【未完】陽キャ天然バカ女といく、魔法世界転生記。 作:スイーツ阿修羅
1.「俺は殺された」
「起きて、起きてよっ」
なんだ??
身体が揺すられる感覚がある。
ん…?
俺は目を覚ました。
目の前には顔があった。
そこにはクラスメイトがいた。
俺が心の中で、陽キャ天然バカ女と呼んでいる女。
本名、田畑みかんだ。
田畑みかんは、ぽろぽろと涙を零しながら、
俺の身体にまたがって、俺の顔を覗いている。
いや、顔近っ!!
思わず目を逸らす。
は?なんでこいつが?
一体何が起こって……
ドクン、ドクン、ドクン、と、
心臓の音が跳ね上がる。
「あっ、起きた?良かったっ!、良かったぁ!!」
田畑みかんは俺の頭上で、いっそう激しく泣きじゃくる、
こいつの涙が俺の顔面に、ぽろぽろぽろ、と、落ちてくる。
やっ…やめろっ、どけっ!
「やっ……め……」
くそっ、喋れねえ。
「ごめんっ、ごめんなさいっ!殺しちゃってごめんなさい!ドジをしちゃってごめんなさい!本当にごめんなさいっ!」
田畑みかんは絞り出すような声で、悲痛そうにそう言った
はあ?、何言ってんだ?こいつ。
殺しちゃってごめんなさい?
ていうか、あれ?ここはどこだ?
森の中の…草むらのような。
知らない場所だ。
とにかく、状況を把握せねば。
「私っ、私は…
君と、この子を、殺しちゃっんだ。」
あ……
思い出した。
そうか、俺はあの時
死んだんだ……
――――――――――
俺は、吃音という障害を患っている。
吃音というのは、言葉を喋ろうとしても、喉がつっかかって上手く喋れない言語障害である。
俺がまだ、小学校低学年の頃…
クラスの皆は、俺が上手く喋れないのを良いことに
いつも俺に、“お願い”を押し付けてきた。
「宿題みせて」
「このゴミ捨ててきてよ」
「お前が鬼な、30秒数えてからだぞ」
そして、その後の言葉はこう続く。
「嫌なら断ってみろよ!」
俺はもちろん、こんなパシリみたいな扱いは嫌だった。
でも……
「や…やっ…」
「いやだ」という言葉が、うまく声にならない。
「文句ねぇな!じゃあ頼んだぜ、よろしくな」
僕は渋々、言う事を聞いた。
そんな日々が、ずっと続いていた。
僕は学校に行くのが辛かった。
さらに喋れなくなっていった。
そして僕は、人と話すのを諦めた。
僕はそれから、できる限り人と話さなかった。
もう、クラスメイトのおもちゃにされるのは耐えられない。
一人の世界に入りたかった。
でも本当は、僕は人と話したかった。
中学校に入ると、
小学校で、僕に意地悪をしてきた奴らも
良いやつとして振る舞うようになった
僕に気を遣うそぶりをしたり、
友達とふざけあったり、遊びにいったり。
恋人を作ったりなど、
あいつらは中学校生活を満喫していた。
クラスメイトに、悪い奴はいなくなっていた。
羨ましかった。悔しかった。
吃音さえなければ、いじめられなかったのに。
吃音さえなければ、普通に人と話せるのに、
辛い、辛い、辛い。
上手く喋りたい。
話したいのに話せない、人と話すのが怖い。教室が怖い。
僕は、中学校が辛かった。
そして僕は、本の世界に逃げ込もうとした。
本に夢中になれば、この辛さはなくなるかも知れない、と、
でも、ダメだった。
どれだけ本に集中しようとしても、
教室の雑音、クラスメイトの会話の内容を聞き取ってしまう。
どうしても気になってしまうのだ。
だから僕は、本が読めない。
本を読むふりをして、教室という空間に怯えているだけだからだ。
――――――――――
それは、学校から帰る途中だった。
秋の終わりの寂しい夕闇の中、
街外れの寂しい道を一人歩く。
そして俺は、踏切に差し掛かった。
明かりの乏しい暗闇の中、
遮断機の、真っ赤な二つの光が、俺を見つめる。
今にも飲み込まれてしまいそうな怖さを感じて、俺は身震いした。
ああ、早く家に帰って、溜まっているアニメを見よう。
カンカンカンカン
踏切がうるさい警報音をならして、遮断機が降り始めた。
まじか、タイミング悪いな。
今から走れば、反対側までは十分間に合う距離だ。
しかし、今は急いでいる訳でもない。
例え急いでいたとしても、無理せず安全が最優先だ。
電車を眺めながら待とう。
そう思った時だった。
踏切の中に、子供が倒れているのが目に入った。
多分男の子だ。
線路の上で、身動き一つせずにうつ伏せになっている。
このままでは電車の下敷きになってしまう。
俺が、助けないと!
俺はいつの間にか、遮断機をのり越えて、踏切の中に飛び込んでいた
電車が来るには、まだ時間に余裕がある。
走れば絶対に間に合う。助けられる。
このまま見殺しには出来ない。
そう思ったのだ。
急いで男の子に駆けつける、
遠くから電車の音が聞こえてきた。
男の子を抱える。
思ったより重いな
よし!後は立ち上がって、早く遮断機の外に出るだけだ。
そうして振り返ると。
「あぶなぁいっ!!」
誰かが、踏切の中へと飛び込んできた。
この声は、クラス一のバカ女、田畑みかんの声だ。
大丈夫だ、来なくていい。
この子は俺が助けられるから。
「だっ!…いいっ!…」
そう言いたいのに、くそっ、こんな時まで声が出ない。
バカ女はそのまま勢いよく走り込み、
俺に向かって飛び込んできて、
足を線路に引っかけて、
派手に転んだ。
「うわぁああっ」
俺はそのまま、バカ女の転倒に巻き込まれ、下敷きになる。
田畑みかんは、高身長で発育もいい。
対して俺は、クラス一の低身長、いわゆるチビだ。
だから…重いっ……
僕は線路の上で、バカ女の体重で押しつぶされる。
電車の音が近づいてくる。
うそ、これ、やばくね。
電車のフロントライトが、僕らを照らす。
暗くて分からなかった、目の前の顔が、はっきりと照らされた
目の前に見えたのは、田畑みかんの、絶望に染まった顔だった
多分俺も、同じような顔をしていただろう。
女の子の顔を、ちゃんと見つめた事なんて、何年ぶりだろうか?
死ぬ直前だからだろうか、恥ずかしさなんて微塵もなかった
まあ、人生最後に見る景色がこいつの顔なのは、なんか気に食わないが…
でも、すごく可愛い顔だった。
次の瞬間、俺達三人は仲良く、電車の下敷きになって死んだ。
続く
最後まで読んで下さり。ありがとうございます。
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頑張って書き続けて、この作品を宇宙一面白い物語にしたいです。
この一話が、後の歴史に刻まれますように!