宇宙に一番近い場所   作:雨宮祷

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なんか書きたくなったので初投稿です。


第一章 始まり
プロローグ


 

 世界には、様々な場所がある。

 

 例えば、戦いの神が治めている軍事国家。

 例えば、仲間、或いは家族とさえも殺し合い強さを求める女性達の暮らす国。

 例えば、ダンジョンを中心に栄える迷宮都市。

 

 

 ――例えば、特殊な力場により引力や時間の流れさえも狂った山。

 

 ――そして、その山の中に築かれた街、とか。

 

 

 まあ、そんな訳で、この世界には多種多様な場所がある、という事だ。

 

 

 ――さて、そんな世界のとある街に、『英雄』を夢見る少年が一人。

 新雪の様に真っ白な白髪に、澄んだルベライトの瞳。あどけなさの残る顔立ちは、どこか守りたくなるような風貌とも言えるだろう。

 

 

 

 ――しかしながら、今回注目するのは彼ではなく、その隣。

 

 若葉のような、淡い白緑色の髪に、夜をそのまま投影したかのようなミッドナイトブルーの瞳。

 まだこちらも少し幼さの残る容姿をした少年。

 

 これは、その少年が綴る眷属の物語(ファミリア・ミィス)である――。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「んで、僕はどうすればいいの?」

 

 深い青色の瞳をした少年が、そう疑問を口にする。

 

「えっと、まだこのままじゃダンジョンには入れないんだ。今シエロは、ファミリアには所属してるけど、冒険者ではない状態。ギルドに冒険者登録をして、初めてダンジョンに入れるようになるんだ」

 

 それに対し、赤い瞳の少年が丁寧に回答を出す。

 シエロと呼ばれた少年は、不満そうに口を尖らせて「なんか、色々めんどくさいんだね」と愚痴る。

 

「まぁ、とりあえずは冒険者登録を済まさないといけないって事ね。クラネルはどうするの?」

 

 赤瞳の少年――クラネルは、申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「本当は付いて行って手伝いたいんだけど…僕らのファミリアは出来たばかりだから、少しでも稼いでおかないと正直その日を暮らすのも大変なんだよね……」

 

「そっか、じゃあさっさと冒険者になって沢山稼がなきゃね」

 

 何とも世知辛い現状。だが、シエロはそこまで気にしていないらしい。

 

 シエロはギルドで冒険者登録、クラネルはダンジョンでお金を稼ぐ。今後の方針が決まった二人は、それぞれ軽く言葉を交わし、各々の目的地へと足を速めた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「ここがギルド、ねぇ……」

 

 なんというか、そう。

 

「でか……」

 

 非常に大きい。

 バベルが大きすぎるせいで感覚が狂っている人も多いだろうが、田舎出身からしてみれば、ギルドも充分過ぎる程に巨大である。

 

 シエロは早速中へと入り、受付へ向かう。

 

「冒険者登録をしたいんですが」

 

「冒険者登録ですね、ではこの用紙に必要事項をご記入下さい」

 

 対応してくれたのは、光沢に溢れるブラウンの髪にエメラルドの瞳、エルフの血が流れている事が見て取れるほっそりとした耳を持つ窓口受付嬢、エイナ・チュールだった。

 

「ノア・シエロさんですね。ヘスティア・ファミリアという事はベル君の所ですよね?」

 

「クラネルの事をご存知なんですか?」

 

 まさかクラネルの事を知っている人と話す事になるとは予想もしていなかった様で、驚きつつ疑問を口にする。

 

「ええ、まあ。実は私、ベル君のアドバイザーもしてるんです。あの子、色々と危なっかしい所があるから心配で……」

 

「あー、なるほど……」

 

 関わりが長いかと言われるとそうでは無い。なんならまだ一週間程度だ。

 が、しかし、出会いがどうとか、ハーレムがこうとか、美少女とお近ずきに、だとか言われていれば何となく察するものもある。

 口ではそんな事言ってるくせに実際は凄く初心で臆病だったりするし。

 

「えと、ノア君も聞きたいこととかあったら何時でも相談してくれて大丈夫だからね。冒険者は冒険しちゃいけないんだから」

 

「ありがとうございます。とりあえず今日は休んで、明日から、クラネルに色々と教えて貰いながらやっていこうと思います」

 

「うん、それがいいと思うよ。頑張ってね」

 

 ノアはエイナに感謝と別れを告げ、ギルドを後にする。そうして歩き出した方向は、拠点である廃教会とは真反対、ダンジョンの方向であった――。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ダンジョン――。

 その風貌はぽっかりと大きく口を開けて、獲物が入ってくるのを今か今かと待っているかの様である。

 

「エイナさんには悪いけど、気になるものは仕方ない。あのまま正直に一人で潜る予定だとか言ったら説教されそうな予感がしたからな」

 

 ちなみに予感は大正解である。

 もし本当に口にしていた場合軽く一時間は小言が飛んできていただろう。

 

「楽に勝てるなんて思ってない。今の自分の力量を感じる事。安全第一。……よし」

 

 お金が無いため、最低限の革の装備。残念ながら武器は無い。信じられるものは己の体一つ。

 

 ――さぁ、踏み出そう。冒険の第一歩を。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「こんなにモンスターって遭わないもんなのか……?」

 

 現在地、なんと3層。 

 適当に走って進んだ結果、どのモンスターとも遭遇すること無く、奥へ奥へ、下へ下へと進んで行き気が付けばこんな所まで来てしまっていた。

 

 数体のモンスターと戦えればいいや、位に考えていたノアにとっては大きな誤算。数体どころか、一体のモンスターとも邂逅していない。

 不満気にため息を吐こうとした瞬間だった。

 

「――ッ!!」

 

 不意に飛んできた凶爪を咄嗟に防ぐ。

 

「やっと、お出ましか……!」

 

 それは、一言で表すのならば「実体を伴う影」と言った所だろう。

 真っ黒の影のようなものに、鋭く伸びる鉤爪状になった三本の指。体長は1.6M程で、少年と何ら変わらない大きさ。

 爪での攻撃を防いだ右腕がビリビリと痺れる。

 

「重い……。この浅さでこの強さ……、故郷とは比べるまでも無く魔境だな」

 

 自然と、ノアの口角が上がり、藍色の瞳を瞬かせる。

 

 油断は無い。緊張は程良く。体は思うがままに、十全に僕の命令に応える。

 一度瞬きをし、意識を切り替えれば、ほんのりと崩れた()()()()()()()()

 

「――ふぅー……っ」

 

 息を吐き切り、新鮮な空気を吸い込む。

 全身に力を込め、地面を蹴る。足取りは軽やかに、影の異形へと肉薄する。

 

 その鋭い鉤爪の鋭利さは、見ただけで分かる。恩恵を授かったばかりのノアでは、一度でもまともに食らえば致命傷に近い。つまりノアは、このモンスターの攻撃を全て搔い潜り倒さなければならない。

 

「――上等ッ!」

 

 ノアは照準を定める。

 もともと不安定な力場を、ほんの少し、()()

 影の左足が、ずるりと後ろにズレる。驚いたのか、硬直する影の異形。その隙を見逃す程甘くは無い。踏み込んだ足を力場によって押し上げ、推進力にする。

 

「――ッァ!!」

 

 右拳の溜め、そして解放。

 

 放たれた拳は、確実に芯を捉え、そして――。

 

 

 

 ――貫く事も無く、静止した。

 

 この結果に硬直したのは、今度はノアの方だった。

 ()ったと思った。それは確信に近いものだった。

 

 だからこそ、目の前で起こった事象に当惑した。

 

 そして生まれてしまう、思考の余白。

 影の異形が、攻撃に移るには十分過ぎる余白()だった。

 

「――マズッ! ッグぅ!」

 

 咄嗟に、自分の体を後ろに引っ張れたのは僥倖だろう。左腕には、痛々しく、大きな三本の傷が残されており、ジクジクと痛みを訴えている。

 あとほんの少しでも引っ張るのが遅れていれば、確実に左腕だけでは済まなかっただろう。

 

 傷口が熱い。血液が流れ、欠乏感で体が重い。

 

 我慢できない、という程では無い。

 だが、先ほどの攻撃。自らの中では、『渾身』とでも言うべき一撃を、防御するでも無く、あっさりと受け止められた。

 

 圧倒的な火力不足。

 その現実は嫌でも重く伸し掛かる。

 

 

 逃げる――?

 

 いや、自分は傷も負っている上に、そもそもコイツが速い。逃げ切れるビジョンが浮かばない。倒す以外に道は無い。死ぬ。倒さなければ、倒せなければ、待つのは『死』のみ。倒す。超える。でも、どうやって。どうする。どうする、どうするどうするどうする。どうすれば――。

 

 

 ――詰み。

 

 

 そんな言葉が頭の中を駆ける。思考に意識を取られ過ぎた。

 気が付けば、眼前にまでその凶爪が迫っている。

 

 恐怖が体を支配する。明確な死が、自らに降り掛かろうとしている。

 一秒後、自分がどうなっているのかを理解した時。

 

 

 

 

 ――世界が、止まった。

 

 厳密には、止まっていると錯覚する程に、緩やかに進んでいる。

 ゆっくりと、死が近づくその最中。

 

 ――ふわり、霞の様な物が見えた。

 

 ノアは、()()を瞬時に理解した。

 

 

 次の瞬間――。

 

 振り下ろされた鋭い爪は、ノアではなくその少し隣、ダンジョンの床に深く突き刺さっていた。

 影の異形は、どうも困惑している様子。意識を切り替え、もう一度攻撃をしようとした時には、もう既にノアはそこには居ない。

 

 

 油断はない。慢心もない。けれど、今のノアには勝機が見えていた。

 今までのノアには見えていなかった物、ただ感覚によって扱っていた物。

 

 ――『力場』が見えるようになっているから。

 

「――分かる。流れが、動きが、()()()が…ッ!」

 

 体が軽い。――その身に掛かる重力を軽減。

 壁を走る。――重力のベクトルを変える。

 

 振るわれる爪には、力場をぶつけて逸らす。

 

 ――懐に入った……ッッ!!

 

 今まで通りじゃダメだ。力場を、引力を、()()ッ!

 捻って、伸ばして、そんで、(ほど)くッッ!!

 

 振り抜く拳に力場をぶつけ、さらなる威力の向上。

 影は逃がさない。それどころか、むしろ引っ張り、威力も逃げさせない。

 

「――つらっ…ぬけええぇぇッッ!!!」

 

 

 ――二度目の、芯を捉えた感触。

 

 そして、今度は、確実にその身を抉った――。

 

 

 バタン――。

 倒れた影は、その身をボロボロと崩し、灰になる。

 

 その灰の中に、埋もれる様に紫紺の輝きがある。

 

「これが、魔石…ね」

 

 肩を揺らし、息も絶え絶えに呟く。

 

「冒険者、大変だなぁ……」

 

 その呟きはダンジョンの広大な壁に吸い込まれ、溶けて消えた。

 

 

 

 





浅い層だとモンスターの発生のスパンがそこまで早くない印象だったので、運が良ければ(悪ければ?)モンスターに一度も出会わずに三階層位なら行けそう。多分無理。
というかある程度知識あるならステイタスオール0の状態で三階層まで降りようとしない。

今回三階層でノアが戦ったモンスターは「ウォーシャドウ」で、本来なら六階層にて初めて出てくる「新米殺し」なんて呼ばれるモンスターです(確かそうだったはず)。

いわゆるイレギュラーで登ってきました。

ノアは、初っ端でウォーシャドウと戦ったので、これが普通だと勘違いしてますが、コイツが頭おかしいだけです。良い子のみんなは真似しないでね。


ちなみに作者は本編の途中までしか読んでおりませんので、あしからず。
ソード・オラトリアほすぃ……。







ノア・シエロ
Lv.1
力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:I0
《魔法》
【】
《スキル》
領域掌握(レギオン・コントロール)
 ・力場の可視
 ・力場の掌握
 ・領域内でステイタスに補正




 圧倒的不定期更新

ダンまちヒロイン誰がお好きですか?(完全に興味本位なので結果が小説に影響する事は無いです)

  • ヘスティア
  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • エイナ・チュール
  • リリルカ・アーデ
  • シル・フローヴァ
  • リュー・リオン
  • サンジョウノ・春姫
  • フレイヤ
  • カサンドラ・イリオン
  • ウィーネ
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