宇宙に一番近い場所   作:雨宮祷

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これで一章が終わるので初投稿です。


閑話 とある女神達の会談

 

『ベル君にっ……ボクの【ファミリア】の子に、武器を作って欲しいんだ!』

 

 

 

 とある店の屋内。

 そこには、とある神が二柱。

 

 紅眼紅髪の女神ヘファイストスと、ロリ巨乳――もとい幼女神ことヘスティアである。

 

「――ヘスティア」

 

「何だい、ヘファイストス?」

 

 頬を染めて破顔しているヘスティアは、たった今、ヘファイストスに武器を作って欲しいという懇願を聞き入れて貰ったばかりで舞い上がっている。

 

 しかし、そこへ当のヘファイストスから待ったが掛かる。

 

「……そのベルって子に武器を作ってあげるのは確かだけど、一つ聞かせなさい」

 

 一瞬にして、雰囲気がガラリと変わる。

 あまりの圧力に、ゴクリとヘスティアの喉が鳴る。

 

 

「――あんた、【ファミリア】の中で贔屓なんてしてないわよね?」

 

 

 鋭い眼光。

 綺麗な紅色の瞳が、ヘスティアを射抜く。

 

「これがもし、あんたの【ファミリア】の団員が一人なら言う事は無かったかもしれない。けど、二人なんでしょ?」

 

 先程までは舞い上がってご機嫌だったヘスティアも、表情を引き締めて話を聞いている。

 

「私が打つ武器は一人分だけ。もしあんたが、そのベルって子を特別扱いしてるんなら――」

 

 一呼吸置き、ヘファイストスは言の葉を紡いだ。

 

 

「――ヘスティア、私はあんたを友として見れなくなる」

 

 

 それはきっと、忠告でもあった。

 

 ヘファイストスはつまり、もう一人の団員もちゃんと見ているのか、と言いたいのだ。

 

 【ヘファイストス・ファミリア】は鍛冶職人で構成されている。

 その為、誰もが意地とプライド、そして熱意を掲げて仕事をしている。

 

 仕事であり、プライドがあるからこそ、優劣をはっきりと付け、実力相応の待遇をしている。

 

 だが、最初は誰もが全く同じ扱いを受ける。

 最低限は全員が同じであり、実力以外において特別な贔屓は一切無い。

 

 だからこそ、【ファミリア】の構成員全員がヘファイストスを信頼しているのだ。

 

 

 ――そんなヘファイストスだからこそ、ヘスティアの発言が妙に気になって仕方が無い。

 

 

 そんな(ひと)では無いと、友であるからこそ、分かっている。

 

 だが、二人分の武器を頼まなかったのは何故か。

 『ベル』だけに限定したのは何故か。

 

 もしも、扱いに差別をしているのであれば――。

 

 

「――そうだね」

 

 

 ヘスティアは、静かに言葉を発した。

 

「ヘファイストスの懸念も、(もっと)もだろう。そう見えても、仕方無い」

 

 静かな声、けれども力強く、部屋の中に響く。

 

「だけど、断言させてもらおう」

 

 青みがかった澄んだ瞳が、真っ直ぐにヘファイストスを見つめる。

 

 

「――ボクは、【ファミリア】の中で贔屓なんてしていないし、しない」

 

 

 ヘファイストスでさえ、かつて見たことも無い程の真剣な表情。

 

「確かに、ベル君は初めて出来た眷属(かぞく)で、特別視してないかと言われれば、言葉に詰まる」

 

 目を閉じればいくらでも思い起こされる出会いに、ヘスティアは薄く微笑む。

 

「けど、特別扱いはしていない。ボクは、きちんと子供達を見てるよ」

 

 ヘスティアにつられる様に、ヘファイストスも笑みを浮かべた。

 それは、友の成長を見た事による嬉しさもあったのかもしれない。

 

 今までずっとだらけて、一人じゃ何も出来ていなかった友が、こうも立派に見える。

 

 今まさにヘファイストスに頼っている最中である事は、どうやら頭から抜けてしまっているらしい。

 

「それに、ノア君本人から言われてる事もあるんだ」

 

 ヘスティアは『神の宴』へ行く前、バイト先でのノアとの会話を思い出す。

 

 

『神様、もし僕に遠慮とか申し訳ないとか思っているのなら……余計なお世話と言うヤツです。僕は、自分自身の力でどこまでやれるのかを見てみたい。だから神様は、クラネルの事をしっかりと見てあげてください』

 

『……でも、それじゃあ君は』

 

『僕は、きちんと自分が見えてますから。けど、今のクラネルは遠くの強さしか見えてない。足元も、近くに潜む危険すらも、気付けないかもしれない。クラネルを止めることも、背中を押すことも、出来るのは神様だけです。だから、ちゃんと見てあげてください』

 

『ノア君……』

 

『助けて欲しい事があれば、その時は自分から言いますよ。それに何より、クラネルに成長を促す事は、僕にとってもありがたい事ですからね』

 

『ノア君にとってありがたい……? それってどういう事だい?』

 

『簡単な事です。――つまり、クラネルの行く末は、僕も楽しみにしてるって事ですよ』

 

 

 ニヤリと笑いながら去っていったノア。

 彼の言葉に、一切の嘘も含まれていなかった。

 

「ノア君に対しては、何もしない事こそが正当な待遇なのさ」

 

「……なるほどね」

 

 ヘスティアの説明に、ヘファイストスは納得といった表情を浮かべた。

 

「ノア君は今、自分で出来る事と出来ない事とを精査してるんだと思う。仮に出来ない事が見つかったとして、自分の力で克服出来るかどうかを含めてね」

 

「つまり、そこへ他人の力で援助をしてしまえば、却って彼の思いを裏切る事になるって訳ね」

 

 ヘファイストスは、ホッと息を吐いた。

 (ヘスティア)は、天界にいた時と変わらず神格者である事に安心した為だ。

 

「よし、じゃあ気を取り直して作っていくわよ。ヘスティア、あんたの子が使う得物はナイフだったわよね?」

 

「っ、ああ! とびきりのを頼むぜ!」

 

 動き出したヘファイストスに、喜びを露わにするヘスティア。

 

 ベルの新たな武器が手に入る事、それに加え、親友であるヘファイストス直々に作ってくれる事がとても嬉しい。

 

 ぴょんぴょんと飛び跳ね、隠す気も無い機嫌の良さにヘファイストスの頬が緩む。

 

 天界では無いここでは、『力』を使えない。

 にも関わらず、ヘファイストスの腕を疑うことすらせず、無条件で信用しているヘスティア。

 

 少なからず気分が高揚し、瞬時に意識が鍛冶師(スミス)へと切り替わる。

 

「これからやる作業、あんたも手伝いなさい。今からしっかり働いて貰うから」

 

「ああ、任せてくれよ!」

 

 外は段々と薄暗く移り変わり、女神は二人、工房の中。

 

 

 ――これは、特に語られることの無い、英雄譚の裏話の一ページ。

 

 

 




四話にて、ベルが『豊饒の女主人』に謝りに行ってた時、ノアは神様のバイト先でお話してましたとさ。


何もかも与えられるだけはお断りなノア君。
とりあえず自分でやってみたいと思うのは人の(さが)だと思うの。




次から二章に入る予定でーす。
いつかは未定でーす。

ダンまちヒロイン誰がお好きですか?(完全に興味本位なので結果が小説に影響する事は無いです)

  • ヘスティア
  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • エイナ・チュール
  • リリルカ・アーデ
  • シル・フローヴァ
  • リュー・リオン
  • サンジョウノ・春姫
  • フレイヤ
  • カサンドラ・イリオン
  • ウィーネ
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