《死霊術師》の世界へようこそ   作:バベッジ

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明日テストです(白目)


《ドリヰム・パレット》におはよう

eEEEEeehhäääääärKKkkK!!!!〛

 

「ほい、ほい、ほい! いやー一撃一撃が重いねえ、序列七位くらいなら狙えるんじゃないの!?」

 

 

 

 朝5時近く、落書きみたいな夜空の下。巨大な怪物と、夕暮崎血祭が相対している。

 

 あまりの体格差ゆえに、真っ当な攻防の形にはなっていない。一方的に黒い獣が腕を振り回し、光線を振りまき、五体の一部を変貌させて異形の攻撃を行い、そのことごとくを無理やり凌ぐ。むしろ災害そのものに例えてもいい巨体に日本刀一本で立ち向かえている事実を褒めたたえるべきなのであろう。

 

 そして、血祭は。

 

 

 

「んじゃあそろそろ、重めの一撃をば」

 

 

 

 そのような褒めで満足するような、甘ったれた男ではない。

 

 

 

――報いろ、『彼鉈』

 

 

 

 瞬間、落書きの鴉の頭部、その真下に血祭が踏み込み。

 

 高さがビル並、駅前ロータリーくらいの横幅の巨大な獣が、ひっくり返された。

 

 

 

 


 

 

 

 

〚sSSSssSsAaaaawwwwww!?!?!?〛

 

「すげ〜」

 

「でもダメージ通ってないわよアレ……!」

 

 

 

 私たちは先ほど隠れた飲食店の中から、《剣豪摩訶》の男にカチ上げられる落書きみてえな鴉を観察していた。

 

 確かに派手に吹き飛んだのはいいが……それで悲鳴を上げたりとか、血が噴き出したりとかそういう気配はない。来た方向と逆に吹き飛んで綺麗に着地したことで、壊れる範囲が拡大したくらいしか変わったことがなかった。向こうは向こうで『あの空、変なドームっぽいしぶつけられたらダメージ出ないかな』とかやってたらしいが、その時の私が知る由もない。

 

 瓦礫が飛んできたので部屋の奥の方に下がり、ラズさんと顔を見合わせて相談する。

 

 

 

「術式だけじゃなくて物理攻撃も無効……ねえ、ナギサ」

 

「はい?」

 

「一応聞いとくんだけど、《陰陽少女隊・言祝ぎ千鳥》……だったわよね? の使える技の中に術式でも物理でも無いのあるかしら」

 

「んー……あ、そうだ」

 

「何?」

 

 

 

 私は潜伏している店の、レジ横の一角を指差す。直接の攻撃こそ飛んできていないものの衝撃でボコボコになっており、見るも無惨だ。

 

 

 

「【蘇生】の魔術でちょっとあの辺直せたりしますか? ちょっと確かめたいことあるんで」

 

「……急に何……? まあできるけど。【蘇生:建造物sse-6-345o】

 

「あざす」

 

「何するの? レジから金取るとかだったら死ぬほど殴るけど」

 

「そこまで倫理の点数悪くないですよ、っと」

 

 

 綺麗に修復された一角に立ち、設備を見回し、目当ての物品――固定電話を見つける。受話器を持ち、番号を打ち込んで、

 

 

 

「……あーもしもし太郎丸? 凪砂なんだけどちょっと聞きたいことがあって、そっちの技術体系に物理攻撃でも術式攻撃でもないのってなんかな」

 

「何直接聞きに行ってんのよこの糞馬鹿女!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 物凄い勢いの飛び蹴りを喰らった。

 

 

 

 


 

 

 

「……えっ」

 

「いっ、だだだだだだ……!」

 

「『白海の相は此処に輪転す』……これで一応死にはしないはずだけど、大丈夫? 会話できる?」

 

「あ……」

 

「あ?」

 

「あのクソチャラ日本刀殺人鬼野郎絶対殺す……!!……あでだでででっ」

 

「殺意でも何でも生きる意志があるのはいいわね、まだくっついてないからじっとしてなさい」

 

「……えっ……はあ……ええ……?」

 

「で、何してんの太郎丸。電話術式ってことは上層部から何か来た?」

 

「いや……その……」

 

「何」

 

「今、凪砂殿から直接電話が来て」

 

「はあ!?!?!!?!?!?!!!??」

 

「凪砂さん生きてるんですか!?!?!!!!!??!!?!」

 

「何言ってた!?!!!????!!!!!!」

 

「『陰陽師に物理攻撃でも術式攻撃でもない戦闘技能ないか』って聞いたと思えば答えも聞かず即切りされたで御座る」

 

「「「あの女ふざけやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」

 

「同意見で御座るな」

 

 

 

 


 

 

 

「直接聞かなくたっていいじゃないこの馬鹿!!」

 

「さーせん……でも言っちゃダメなのって《死霊術師》隠匿のためっすよね? あんだけガンガン見られてたらもう良くないっすか?」

 

「良くない!!!!!! 後で記憶処置するから隠匿は割と何とかなるしその時に辻褄が合いにくくなるから困るの!!!!!!」

 

「気をつけまーす」

 

 

 

 ラズさんに胸ぐらを掴まれぐわんぐわんと揺すられる。あんまり痛くはない。

 

 

 

「でも答えくらい聞いてからでも」

 

「非物理非術式対抗手段がなくても逆探知くらいはされるのよ。それで襲われたら考える暇も消えるわ」

 

「……なるほど」

 

「それに基本的にどこの勢力もそんなもの持ち合わせてないのよ。今のはダメ元の質問」

 

「じゃあもし持ってたら……あーでもそしたら向こうが勘づいてそれでしばいてくれるから逆にいいか」

 

「陰陽少女隊にできる? 日本刀でボコボコだったけど」

 

「ピンチから立ち直るの得意なんで」

 

「ならよし。じゃあ我々はここからアイツ倒す手法考えるわよ」

 

 

 

 私が応える様子がないからか、それより優先すべきことが山積みだからか。うんざりしたような顔でラズさんは手を離した。

 

 

 

「何かあったら即言いなさい。何かしらのヒントになるかもしれないもの」

 

「……あ、じゃあ質問からいいですか?」

 

 

 

 すっと手を挙げる。室内ゆえか、思考の加速ゆえか、外の騒音が気にならなくなり静寂を感じる。

 

 

 

「そもそも『物理攻撃』『術式攻撃』って一括りにしていいものなんです? 体系が違う技術なら通るとか」

 

「ないわね」

 

「んなばっさり」

 

「冷静に考えてほしいんだけど、人間が瞑想して引き出せる力が何種もあるほうがやばくないかしら」

 

「……まあ、確かに」

 

「うちの研究担当曰く本質的には一、二種類くらいしかなくて、後はその調整次第らしいわよ」

 

「じゃあ調整が変えられる勢力ならあるいは……?」

 

「それが我々、《死霊術師》はあらゆる術式を打ち消せるように即効で対抗術式組めるの。その中でも優秀寄りの私が無理なら――」

 

「あー……」

 

「……さっきから何? 《死霊術師》を信じてないの?」

 

「いや、何かこう、ひっかかりがあって……」

 

 

 

 数秒思索を巡らせ、気づく。

 

 

 

「……そもそもなんで《死霊術師》で倒そうとしてるんですっけ」

 

「初回の通例なのよ。本当の一体目は私たちでしばいて、対処法を確立して、本人たちに嘘の一体目で教育して引き継ぐ……《陰陽少女隊》にもやったわよ」

 

「そのせいだったりしませんか?」

 

「……どういうこと?」

 

「なんか引っかかってた理由分かったんですよ。『なんで当人たち以外が戦ってんだ』って思ってたんです」

 

「じゃあ慣れなさいよ」

 

「『なんで倒せるんだ』の方が近いかもしれません。漫画だとほら、『能力者は能力者にしか倒せない』みたいな設定よくあるじゃないですか」

 

 

 

 怪訝そうな顔をするラズさんを横目に、暴れまわっている鴉を指さし、一息。

 

 

 

「素人の意見なんですけど……()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……は?」

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。そういう可能性ないですか?」

 

「そんなことあるわけ――」

 

 

 

 私の質問を、検討するまでもなく却下しようとしたので、それは違うぞと抗弁してみる。

 

 

 

「陰陽師の術とか、死霊術とかちょっと本読んだだけですけど……大体の術式は『何かの代わりに何かをくれる』奴です。術式とかそういう力で作った生き物が、なんの弱点もなしに成立できるはずがない」

 

「その弱点がそうだってこと?」

 

「あり得なくはなくないですが? そういう本読んでる人が術師になるのも昨今じゃ珍しくないです」

 

「……ええ……見つけてないだけの急所とかだったりしない?」

 

「あったらそっちですけど、そんなんあったらそこぶった斬られて終わりでしょ」

 

「確かに……うわ、なんだかめちゃくちゃありそうな気がしてきた……」

 

 

 

 ラズさんは数秒頭を抱え、しばらくしてこちらに向き直る。

 

 

 

「……他の条件がついてるパターンは? 『木、岩、乾いた物、湿った物のいずれでも倒せない』インドラみたいな」

 

「それ我々に推測できないんでやられてたら詰みですよ」

 

「『特定勢力じゃないと対抗できない』の方が何ならヤバいのよ!!」

 

 

 

 外はドカンドカンと音を立ててビルが崩れているので、このくらい声張ってくれるのはありがたいなあと感じた。

 

 

 

「まずその特定勢力をこの混沌環境でどうやって見つけるっていうのよ馬鹿!!」

 

「? 本人たちに教育して引き継ぐってさっき言ってたんで、見つける方法はあるのかと」

 

「確か、に、有りはするけど戦闘真っただ中で動かすもんじゃない……!! しかも」

 

「しかも?」

 

「全体に実体破壊処理――要は全員こっちから干渉できない状態にしてんのよ! 外さないと探査かけれないけど、外したら外したで全員巻き込まれて――」

 

「――なるほど。じゃあ外して、終わった後で死体を全部蘇生させればいいんじゃないすか?」

 

「カス」

 

 

 

 天啓はにべもなく却下された。罵倒の語彙も尽きてしまったらしい。

 

 

 

「人治すのは一人一人やらないといけない上に魔力もごっそり持ってかれるから時間かかるくせに、割とタイムリミットあるのよ。そしたら普通に半分くらいは死ぬ、私めちゃくちゃ悲しい。オーケイ?」

 

「……この前完全って言ってたのに……」

 

「ちょっと盛ったわ、ごめんなさい。でも蘇生した後は損傷なく動けるからってことで」

 

 

 

 ふと、別の作戦が思いついた。

 

 

 

 

「……あ、じゃあ逆に建物の修復と記憶処理はそこまでってことすか?」

 

「……そうだけど」

 

「なるほど、よく分かりました」

 

「なんかあったの?」

 

「作戦を一個思いつきました。『対応する世界観の奴を引っ張り出せば倒せる』っての前提にしてるんで、そこ違ったらどうしようもないんですけど」

 

「言ってみなさい。どうせ他にできることもないわ」

 

 

 

 大きく頷き、もう一度脳内に浮かんだ完璧な作戦を反芻し、言う。

 

 

 

「まず、全部の実体破壊処理を解除するじゃないですか」

 

「マジで言ってる?」

 

「残念ながら大マジです」

 

 

 


 

 

 

「ん、んん……!! 今日も元気に10時間すいみ――」

 

 

 

 屋良ユメミが、いつものように元気に目覚めると。

 

 

 

sinredniHSinrEdniH!!!!!!!〛

 

「――ん、に、成功――」

 

 

 

 壁と屋根が抜けてて、実家の商店二階の自分の部屋からは子供の落書きみたいな夜空が見えて、クレヨンでぐちゃぐちゃに描いた鴉みたいな巨大生物が這いずり回って暴れてて。

 

 

 

『っは、ほうらほらほら死んでないよこっちは!! “修験会”時代を思い出すねえ彼鉈!!』

 

『ちょっとなんでこっち巻き込んでるのよ!』

 

『そっち構ってんじゃねーよ奏!! アイツ聞いてねえ!!』

 

『それより早く凪砂さん探さないと凪砂さん死なないで死なないで』

 

『だーーっ取り敢えず生き延びるで御座るよ!!』

 

 

「――うーん面白い夢!! 起床失敗だね!!」

 

 

 

 ホストっぽい男と、改造和服の四人組が光線をぶっ放したりしながら駆けずり回っていた。

 

 屋良ユメミは“夢”が大好きな少女だ。ここで言う夢は寝てる時に見る奴の方で、将来には希望を抱いてないので公務員とかになれたらなと思っている。彼女はこの異常な光景も一瞬で“夢”として処理してしまったので、さっさとベットを抜け出し、壊れた壁に駆け寄って夢日記に記すために観察を始めた。

 

 

 

「うわー、夢中夢とか久しぶり……!! にしてもすっごいなあ、派手だなあ」

 

〚sinredniH……masnie,efliH……?〛

 

「あのカラス? は何の象徴だろうな~。何か見たことあるけど夢占い辞典では引いたことないしな――あいてっ」

 

 

 

 小石が顔に吹っ飛んできて、ちょっとのけぞって。

 

 

 

「……あれ? 『あいてっ』……ってことは……これ、夢じゃなかったり……」

 

「……えー? でもだとすると、もしかしてアレはやっぱりどっかで見て……?」

 

 

 

 ちょっと冷静になって、思い出そうと考えだす。

 

 

 

〚……retTTTTTTTtUuuuuMmmmmmmm!!!!!!!!!

 

「夢日記の#4とか、だっけ――」

 

 

 

 そのせいで、怪物がこちらに向き直り、体の一部を飛ばしてきたことに気づかない。

 

 それは剣めいていて、鋭利で、とち狂った速度で。

 

 確実にユメミの五体をバラバラにする軌道を描いていて――

 

 

 

「――間あああああああに会いましたッ、恐み恐み申すッ!!!!

 

「……えっ?」

 

 

 

 スカジャンにゴスロリの異常ファッションで、ボロボロの脚で走り込んで来た女――栞凪凪砂に横合いからぶん殴られて、明後日の方向へ吹き飛んで行った。

 

 

 


 

 

 

 私がまず思い至ったのは、今のままだとラズさんの走査がかけられない以上、絶対に実体破壊処理とかいう奴は解除しないといけない。

 

 一方で、変に外したら一般人がすぐに巻き込まれるという指摘も真実である。

 

 

 

「で、思ったんですよ。――『一般人への攻撃を我々で全部弾けばデメリットは実質なしだな』って。我ながら最高のアイデア」

 

「なんだか良く分からないですけどありがとうございました!」

 

「あーうん、気にしないで。アレのことも忘れて」

 

「それは流石に無理だと思います! あと脚治ってってるのも忘れたほうがいいのかもしれないですけど、そっちも無理です!」

 

「でしょうね」

 

 

 

 だろうなと思いつつ、落書きの鴉の方に向き直る。挙動が大きく変わり、こちらを……どちらかと言えば後ろの女の子の方を睨んでいる。たぶんまだ来る。

 

 今の私は先ほどと違い、【循環蘇生】―― |ぶっ壊れてもおっ死んでも即座に治り続ける術式《リジェネ》を仕込んで貰っている。間に合わせるために全力で呪力を込めたせいでボロボロにぶっ壊れた脚が治りつつあるのもそのおかげだし、貰っていなかったらここまで15人くらい庇った段階で18回死んでた。

 

 なので、さっきみたいな攻撃が来る分には何とかなる……が。我々を相手に暴れまわっていた時の挙動をされるとどうにもならない。ようやく現状の打開のヒントを見出せたところでこれ以上苦戦させられるのか、と苦笑いが出る。

 

 

 

「――ナイスよナギサ! 走査ヒットした、その子が『同一世界観』!」

 

「似た服の女性……空飛んでますけど同僚さんですか!?」

 

「そうだね、正しくは上司かな」

 

「雑談しない、ナギサはあっち見てて。それより貴女――」

 

「屋良ユメミです!」

 

「――ユメミね。何か変身アイテムみたいなものに心当たりあったりしない?」

 

「それについてはないです!」

 

 

 

 話を聞いてはいるものの、目線は怪物から離さない。周囲に注意を振りまく。

 

 ――そのおかげか、怪物以外の起こす音も耳で拾う。

 

 

 

「じゃああの怪物に心当た」

 

「怪物じゃないですっ!! ……あれ?」

 

「……なるほどね?」

 

「すっ、すみません。なんでそんなに嫌な気分に……あっ、あっあっ……思い、出してきた……!!」

 

「……あの、ラズさん。ここ任せていいすか」

 

「……あー、そういう。いいわよ、もうユメミもきっかけは掴んだ、この場はなんとかなるわ」

 

「あざす。最低でも準備完了まで時間は稼ぎます」

 

「何とかするからぶっ殺しちゃっていいわよ」

 

「うす」

 

 

 

 返事を軽く返し、部屋から飛び降り。音源の方へ走り出した。

 

 

 


 

 

 

 数メートル先、市街地。瓦礫はゴロゴロ転がっているが、建物はギリギリ形を留めているので視線は通らない。

 

 その空間を駆ける男の前に、一人の女性が立ちふさがる。

 

 

 

「……ども。さっきぶりっすね」

 

「あれえっ生きてる」

 

「おかげさまで」

 

「真ん中でぶった斬っても死なない……えー、すごいや。幽霊?」

 

「どうします? 服脱がせたら今も斬れてたら」

 

「それはそれで面白いなあ……まったく」

 

「『斬りがいがある』とかですか?」

 

「ノット・ノンノン。大正解だ」

 

 

 

 刹那、2人が交錯する。

 

 

 

「リベンジマッチ、お願いします」

 

「オーケイ。死ぬまでぶった斬ってあげよう」

 

 

 

 《死霊術師見習い》栞凪凪砂が相対するは、《剣豪摩訶》夕暮崎血祭。序列十三位、得物は日本刀『彼鉈』。

 

 

 


 

 

 

「……よし。全部思い出しました――あの子は私が何とかします」

 

「あら、生身で行けるの?」

 

「生身じゃないですよ。この夜は、想像力で満ち満ちています……想いで装備を拵えるくらい余裕ですよ」

 

「……?」

 

「参考になりました、ありがとうございます!!」

 

「……まあ、それならいいわ。行ってらっしゃい」

 

「はい!! 屋良ユメミ――《ドリヰム・パレット》の永訣の白(ホワヰトリリイ)!! 行ってきます!!」

 

〚retTtUUuuMmMMm!!!!!rettuMrettuMrettuM!!!!〛

 

 

 

 ユメミもぴょいと飛びだし、黒い鴉めがけて一直線に駆け出した。パジャマだったはずの服は、だんだんフリフリした真っ白なドレスに変わっていくのが見える。

 

 

 

「あの名前、どっから出てきたのかしらね……」

 

 

 

 バーミリオン・ラズベリーは彼女の部屋から、手を振って彼女を送る。

 

 数秒して、その姿が見えなくなったところで。

 

 

 

「……さて。じゃあ、ちょこちょこ実体破壊処理かけ直したり――」

 

「凪砂ちゃんを返せっ!!!!!」

 

「わちょっ」

 

 

 

 突っ込んできた四人組の魔法少女の一人、その吶喊を無理やり凌ぐ。

 

 

 

「凪砂さんをどうした!!!!! さっき、こっちに向かったのは、見えたんですよ……!!!!!」

 

「わっ、ちょっ、でも暴走してるしさっさと記憶処理――」

 

「――そうはさせないで御座るよ?」

 

「「――恐み恐み申す!!」」

 

 

 

 時間差で突っ込んできた残りの三人によって、彼女の胴体を光帯が拘束する。が、

 

 

 

【緊急殺害:4th167・78】。……何してるのよ、ここ人の家よ」

 

「……っ、そんなサクッと……!!」

 

「アンタはそもそも家以上のパーソナルな概念に土足で踏み込んできてるでしょ!!」

 

「というかあの電話はなんなんだよテメエ!! わざわざ挑発しやがって!!」

 

「それは私としても『馬鹿がよ』としか言いようがないのよ」

 

 

 

 距離を取り直し、術式を練り直す。個々の技量では渡り合えるが、数の比だと4倍。

 

 そして、立て直しを図っているのは向こうも同じ。呪力を編み、フォーメーションを構築している。

 

 

 

「まあいいで御座るよ。ふん縛って拷問して全部吐かせば解決で御座る」

 

「あいにく、秘密主義が私たちの美学なの。返り討ちにして全部忘れさせてあげる」

 

 

 

 《死霊術師》バーミリオン・ラズベリーが相対するは、《陰陽少女隊・言祝ぎ千鳥》。

 

 




感想が来ていることにようやく気付きました。ウレシイ……ウレシイ……気づかなくてゴメンネ……
★みたいなのもあると聞きました。そっちも欲しいです(強欲な壺)
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