少女姿の深海上位者 作:夕焼けの空を飛ぶ海老
私は転生者だ。アークナイツはよくやっていただけの一般おさかな。名前はnor-dilcaだが、人類には言いにくいのでノアディシアと読んでる事が多い。あとは……幾億万年生きてて、今いるシーボーン共に私を慕ってくれてる子達が弾圧されて海から追いだされたシーボーンの始祖的な存在と覚えてもらえればいいか。
私達は人間に擬態しながら移住を続けていたが、ここ数百年は龍門を拠点に活動している事が多い。旅に出る事も多いが、経済的発展が著しい龍門に私を神と崇める信徒達が音楽や芸術分野、流通関係等様々な分野の企業を設立、それを纏めた財閥みたいなのを形成し、私はそこのトップに担ぎ上げられてはいるのでそこの案件処理でいなくてはならない事も多い。大体秘書子ちゃんが運営しているのでマスコットと化しているのも事実。これは私の容姿や態度にも問題があるが。
白い髪。白い目、小学生高学年程の少女のような容姿。前世の精神や今の体に引っ張られた年齢に伴わない生意気な口調。
立てば芍薬座れば牡丹、話すとクソガキ黙っていれば百合の花。なんでこんな奴が崇められているのかはスペックと長年の擬態によって作られた聖女然とした外ヅラのおかげかもしれない。
そんな私の目標は、退屈な生活を送らない事。その為に旅行だってするし、原作のストーリーも近くで見たくなる。だからこそ、龍門でロドスの人間がウェイと会談をしたという話を聞きつけて顔馴染みであるケルシーに会いに来たのだった。
会談から数刻程度しか経っていない事やこれから龍門で起こる事からもロドス・アイランド号は炎国周辺に駐泊している可能性が高いからこそ特定は容易だ。
「久しぶりー! 遊びに来たよ、ケルシー!」
「……法というものは国家を縛る檻である。だが、それと同時に檻というのは外敵も入って来れない聖域にもなる。
しかし、法に限らずとも明確化されたルールを群れとして組み込む事で、他人との一線を引く思考。倫理や道徳といったものが産まれてくるものだ。
君と以前に会った頃のガリアでは国家としての機能が十分に発展しておらず、夜警という国家の枠組みから外れながら一時期形成されていた地方自治に治安維持を一任していたが、それが受け入れられていたのはそれ自体が一種の道徳的福祉につながっていたからだろう。
無論、その倫理的福祉というものはロドスにも適用されている。当直ではなくともロドスのオペレーターとしての自覚のある者は普段見かけないような侵入者がいるのならば、声をかけるなり、周囲に連絡程度はするだろう。要は簡単に侵入許すほどロドスの警備体制はヤワでは無いということだ。今の情勢なら尚更な。だが、君のような馬鹿げた存在が侵入できるというのなら、ロドスの警備体制を侵入経路を吐かせた上で今1度見直すいい機会になるだろう。それを踏まえた上で旧友に送る言葉があるとするのならこれが1番当てはまる。
……久しぶりだな。ノアディシア」
「ノアって呼んでってずっと言ってるのにねぇ」
「君にその名前は海に大地の名を付けるくらい……敵に英雄の名を授けるくらいに馬鹿げた話だと分かっているのか? ……あぁ、いや、分かっている上で表面上で仲良くなったかのように振る舞うような輩に対して相手が分からないような皮肉をその口で言わせるような奴だったな、君は。人類以上に閉鎖的な排他性と身内主義を行うのは種族全体での意識観だろうか」
久しぶりに会ったロドスを代表する医師であり、悠久とも言える長い間の中で構われ続けたその旧友は何一つとして変わらない美しさと年上に対する悪態は健在であった。
今のケルシーはドクターが記憶喪失になっている事に気づいてショックを受けながらも帰ってきて、自室を開けたら謎の知り合いがいて驚いているといった所だろう。
「実は今龍門に住んでいるんだけど、危ないよーって聞いて一時的に避難しているところなんだよー!」
「イベリアやカジミエーシュでは君の危機管理能力で助けられたことも多い。上層部から直接聞いたとしても訪れるのは早い気もするが、許容範囲内だろう。
私室の中にいたのも『天敵』に嗅ぎつけられないようにとみれば分かる。そちら側のサンプルも多い部屋だからな。で、私になんの用があって部屋の中で待機していた」
「ロドスに龍門での暴動が収まってある程度機能が復旧するまで居候しに来たんだー」
「ロドスは世界各地に救命活動をする機関であり、そのために大規模な移動を必要とした。それを可能としたのがロドスアイランド号だ。大規模な船でありながら輸送能力と防衛設備、そしてそれを使用するための動力の安定を実現させている。これはこの船の自由に使用出来る部屋の余裕はない事も意味している。
つまりは君のための部屋の余りなど存在しないし、患者でもない君に宿泊する権限はない。帰れ」
しっしっと帰宅を促すジェスチャーをしながらも内容を吟味している感触はある。ただ、私をロドスが匿うのはリスクが高すぎる。
私達が住む地域周辺の気配は感じ取れるため、避けることが可能でアビサルハンターと私達が会ったことはほぼない。ドジって会った数回でも温和な対応を心がけた結果エーギルと全部勘違いされていたため生き残ってきた。私たちを付け狙っては無いが、心臓に悪いし出来れば出会いたくない職業だ。
そして、ロドスには居なくなったとされるアビサルハンターが3人もいる、はず。名簿を見ないことには分からないが、この段階からいてもおかしくは無い。現状でグレイディーアがあのカルト教団に潜入するかは分からないがおそらく今はいない扱いになってる可能性が高い。
そこに私とケルシーとのライン、そしてこれからロドスのオペレーターと交流する中でこの2人に正体がバレた場合、最悪世界が滅亡する。
直接的な因果はないが、もしスカジ達がシーボーンを匿ったロドスに対して懐疑的になり、敵対し、ロドスとアビサルハンター間の戦闘になった場合、ロドスが壊滅的な被害を受けても源石による病が治せずレユニオンが残存し、アビサル側が負けてもシーボーン達の侵攻は止められなくなる。
だからこそ、ロドスに私を居着かせるのは悪手としか言い様が無い。
まぁ、絶対に住み込んでやるんだけどね!
「住みこませる間、私をオペレーターとして利用しても構わないよ?」
「君の有用性は注目すべき点ではあるが、君達の戦闘法においてチームワークを測るのは難しい事は目に見えている事だ。
その根幹の矯正を行うのはとても難しい事だというのは彼女達への試験的な運用において一定の結果が出ているからこそ、一番ありえない話だな。私達に二重に負担を強いるような事だろう」
「なら、しょうがないか」
そう言って1つの小瓶を差し出す。その小瓶にはありとあらゆる青を塗りたくったような芸術的な星空を内部に描き、見る人が言うには、神秘性と畏怖を感じるらしい。
それは私と彼らの武器となり薬となり、果てには移動手段や娯楽にもなる万能物。
「それは?」
「聖水って呼ばれてるね」
「具体的にはどういうものかを言ってくれ」
「水と塩を混ぜて、私がその中をプール兼お風呂として入った残り湯」
「…………ノアディシア、今日は会えて本当に光栄だった。次に正式に会えた時は私が持つロドスの権限をもって君を賓客として迎えよう」
「待って待って待って。話だけでも聞いて? ね?」
この日は龍門のトップとの交渉に加え彼の記憶喪失でショックを受けた上で、不法侵入してきた旧友に風呂の残り湯を見せつけられるとても忙しい日だったと、それで終わらせてくれとケルシーは心から願っていそうだがそれで問屋を下ろさせる訳にはいかない。
「源石は私たちに対して無反応なのは知っているでしょ?」
「あぁ。こちらとしてもある程度は研究は進めている」
「でも、成果は出ていない。出ていたらかなり鉱石病は解決しているはず。だからこそのこのサンプルを交渉材料出してみたんだ! きっと気に入ってくれるよ!」
「…………抗体を持っている可能性が高い純粋なDNA。研究対象としての価値は一定以上見込め、彼女達のDNAと比較検証を行う事でどの構成単位が源石関連で追加研究するべき点かを絞れるという事か」
「そう。でも、それだけじゃない」
数分考え込んで答えを導き出したケルシーに対してアプローチを変えてみる。やっている事はただの知識での暴力でハッタリをかますだけだ。
「『石棺』『記憶喪失』」
「何を言っているのかさっぱりだな」
「『指揮系統』『医者』」
黙り込みかけたケルシーに追い討ちをかける。
「昔から神秘というのは人間の体を治す事や、病を沈めるといった事に使われる言伝が多い。源石関連に対しては彼女達を試した方が結果は出やすいかもね。でも、恐らくこのサンプルの研究を進めることで誰かさんにも治せるようになる。
「────────ッ!」
「今ここで承諾して貰えるなら、今後一切この聖水に関してだけはあらゆる交渉の材料には使わない事を約束しよう。元々信者が1度使用するとただの塩水になるシロモノだ。外部の者の手に渡ったことも一切ないよ。
交渉を成立させて個人的に研究するのも良し、悲劇を繰り返さないように破壊して抹消するのも良いかもね」
「……どうしてそこまでして、ロドスの内情に入り込みたいんだ?」
本当に必要としていた時には出てこなかったのに。そんな言葉をケルシーは口の中で飲み込んだ。
「さぁ、交渉の席に座りなよ。ケルシーちゃん。───年前のようにまた素敵な話をしよう」
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ケルシーとの会話で決まった条件は
・私はケルシー直属の部下として今回の龍門の作戦か終わるまでの間ロドスに在中する
・基本的にはケルシーに監視されながら護衛をするため共に行動し、龍門での騒動はロドスの主力の大半を出向させるためその間のロドスの防衛も担当。一緒に行動出来ない場合が必ずあるため、その間は割り当てられた自室で待機
・1部のオペレーターとの接触の禁止。該当人物との不用意な接触を防ぐために食事などは自室で行い、購買などの大勢が密集する場所は極力控えること。
アビサル勢やエーギル勢やバベル勢は当然として、ロスモンティスやラップランドなんかの『会わせるとロクでもない事になりかねない人物』もリストに載っていた。
・ロドス内ではケルシーの龍門での知り合いが遺した遺児を保護した扱いとなり、相応の立ち振る舞いをする事。まぁ、年端も行かない少女がおおよそ同年代に見えてもロドス上位の年長者であるケルシーに対してよっすー! って感じで話してたらビビるし、その日のロドスの1番のニュースがケルシーにタメ口で話す少女になる事間違いなしだ。まぁ、しょうがないし残当。
・ドクターを含む1部の人物においてはケルシーの同伴のもと面会を可能とする。
交渉時にあんな会話をしていれば妥当なのだが、最初にリストを見た時はドクターも接触禁止リストに載っており
「ケルシーとは*龍門スラング* して*深海スラング*する仲だって紹介してやる!」
「ドクターに会えるならなんでもする」
「そもそも、私がその気になれば会えるし、その気があればケルシーと交渉せずに聖水ぶっかけてるよ(正論)」などと言っていたら本当に本っ当に渋々認められた。やったぜ。
他にも色々制約はあるし、重要なルールもあるものの大部分だとそんな感じ。
深夜をまわる前には交渉は終わり、何処かと連絡を取り数分待ってから自室を提供された。機密棟に近い警備もいる場所で、アビサル勢の住む棟とは1番遠くに配置されている。
廊下で不慮の接触を避けるためとはいえ、勤務地となるケルシーとの自室からもかなり近く一回り大きいビジホの部屋くらいの大きさがある。船であり、色々制限があるロドスにおいてはめちゃ優良物件だ。だけどもね
非感染者は男女で使用出来る時間帯が違う合同浴場が使えたり、鉱石病の患者や毛深めのオペレーターのような公共福祉的な意味合いで使用が制限される場合、部屋には狭いシャワーが備え付けられているらしいが、見たところ私の部屋にシャワーのようなものは無い。勝手に聖水の精製されるのを防ぐためにわざと非感染者用の宿舎に入れたのだろうか?
合同浴場に関してはそもそも入ると水を変な物質に変えるおもしろ生物が入れるはずもなく禁止されている。もうおしまいだ……。
……隠れて聖水ワープ日帰りするか?でも彼女個人の実験と勤務以外では、ロドス周辺で聖水の使用禁止されてるんだよな……。
と悩みながらケルシーに相談したところ、ケルシーの自室にバスルームが備え付けられているため、相部屋する事になった。個人用の研究室と連結されており、めちゃくちゃに広いし家具も充実してる。これが組織トップの特権かぁ……。
えぇっ!ケルシーと相部屋!?なんで!?と驚いていたが、どうやら聖水ワープが目を引いたらしい。そんなポンポンと居なくなられたり、気づいたらロドスの住人が増えてました!(密入者)ってなったりしたら大変だもんね。
ウルサスから亡命して息を潜めるためにやってきたケルシーを保護して私と半ば同棲してた時もあるけど、プライベートの時間まで削られるとかケルシーちゃんめっちゃ可哀想……。あっ、香水とか服類はそこに置かせてもらうね!
いつもクソでかい浴槽で温水に浸かって寝てるんだけど、わざわざ他人の部屋の風呂場でやる事では無いので広すぎて余分に空いてるスペースに聖水で収納していたいつも使ってるベッドを置かせてもらった。
ケルシーに私の権能は何度も見せているが、どういった代物を使ってるかを知ってから見せるのは初めてだ。
どこからともなく体をつたって、何も無い床に大きな水の薄い膜が出来る。それは海のような冷たさの青でもありながら、どこか星空に似た景色をしていて幻想的だ。それが下から上へと昇るといつも使う豪華なベッドの形が見えてくる。完全に出し切ったあとに残った膜を霧散させる。
床は濡れておらず、水を使ったような形跡は残っていない。残っているのはベッドのみというファンタジーな世界であるから許された光景。
そんな探偵がいたら匙を投げるような光景に、ケルシーは思案顔をしてる。その呆けた顔をしている同居人に私はスプレーを振りかけ、自分にもかける。
「……香水だろうか。初めて嗅ぐ香りだ。シトラスと薔薇は分かるが、その他にも香水に使われないような原料を使っている事が分かる。今振りかけたという事はその体液特有の臭いを消すためか?」
「そうなんだけどさ、体液とか言われると萎えるからせめて液体とかを呼称してくれない……?」
「人の部屋で得体の知れない分泌液を振りまく存在にエチケットという言葉がある事自体が初耳だが、共に過ごす初日で気を荒げさせる意図はない。これを機に改めるとしよう」
脊髄にペット飼ってる奴にやばい奴呼ばわりされるとむっとする所はあるが、やってる事の字面が酷いために収めざるを得ない。最っ高に便利機能極めてるけど、あの子みたいに歌えば奇跡が起こるような能力が良かったな……。私もめちゃうまに歌えるしなんなら歌って踊って戦えるが、効果がついた試しは一切ない。
今日はそのまま就寝だ。ケルシーは私に襲われる事を危惧していないのかと心配になるが、脊髄ペットことMon3trがそこをカバーしているのだろう。そのまま眠りについたし、私も眠るとしよう。
今日はいい日だったし、明日はもっと良い日になるよね!
主人公:おもしろ生物
ケルシー:被害者
ただ、雇って住まわせてやってる方と考えると交渉は有利なのでそこまで被害を被っている訳では無い。大昔から主人公に救われた事もあり、一応恩義は感じているため諸問題がなければ泊めてあげるのも許してあげなくもない。そのため、住まわせる条件はかなり甘口。
主人公より年下。主人公が出自を話した相手。タメ口は許されているし、距離詰めコミュニケーションも許している。
普段はエタノール消毒液とかクレゾール石鹸液とかの病院の匂いがしそう。(偏見)
カルト教団:シーボーン自体が先の海底大戦争のために主人公と信徒との折り合いが悪め。相容れないしコミュニケーションも取れない、取ろうともしない。
3000年前程から現存し、所在も明確な最古級の神(?)である主人公の奪取を目論むたびに信徒達が聖戦の末退けてきた。それを脚色して報告される度に、ノアディシアにDVしてきて別れた後にストーカーになるメンヘラ種族のカルト教団だと思われている。グレイディーアがスパイとしているが、報告を受けた時にケルシーが頭と胃を痛めながら接触を困難な形に纏めた。
過去に会ったアビサルハンター達:イベリアから来た?なるほどな。陸地に住んでいるしこちらにめっっっちゃ優しくしてくれてるし温和で芸術も嗜んでて言葉がカタコトでもないのだからシーボーンではないのは間違いないな!ヨシ!(聖水の使用による微かな海の匂いは長年の信徒の研究で開発された香水で誤魔化せる)