少女姿の深海上位者 作:夕焼けの空を飛ぶ海老
仕事となるケルシーの雑務、とは言っても敵か味方かも分からないへんてこ生物にロドスの経理状況などが細かく書かれた書類等目を通させるはずもなく、本当に掃除したり医療班にご飯を届けたりの家事手伝いとしての雑務をこなして、7時過ぎ頃にアーミヤの部屋に初めて入る。
公式の挿絵として見たことがあったため、今の時期でもおこたとかあるのかな?とワクワクしていたが、リビングのそこの辺りには木製のテーブルと椅子が置いてあった。どうやら季節に合わせてワンオフで変えているらしい。季節を楽しんでいるようで何よりだ。
リビングの手前にも広くスペースを取っており、あのままのサイズだったらソファで眠ろうかと考えていたが杞憂らしい。リビングから私室を含む何部屋か繋がっていて、そのうち1部屋を倉庫に使ってたらしく、そこを片付けて使わせてもらっている。
クソ広い療養庭園なんかがあるから突っ込まないけど個人の倉庫あるし、キッチンも完備なんて贅沢だ。
ざっくり計算するとケルシーの研究室込みのめちゃ広いワンルーム部屋よりも広いかもしれない。社長特権すげぇ。
夜にはそんな彼女の手料理を食べながら、龍門の事や旅行に行っていた体で他の国の話も小出ししつつ談笑して就寝した。
風呂は最後に入ってそのままバスタブを洗う謎の主義を展開してなんとか納得して貰い、塩を振って海水と同じ比率にしてから入る。
めっちゃ広くてぬくい。
この感覚は、すごい柔らかいおふとんのよう……。
徐々に青が深くなっていき1時間後には雄大な星空を映したファンタジー残り湯を収納して証拠隠滅を図る。体の水気とかも残り湯判定で拭き取れて便利なのだが、バスタオルが濡れてなくて不審に思われるのは避けたいのでそのままにしておく様な工夫も忘れないで行う。
ベッドの中でこれからの事を考える。そんなすぐに見つかるわけもなし、2週間から一月程とみているが捜索の範囲を狭めるための間が空くとしてこのままだとアーミヤは保護すべき少女を殺してしまう。
そのストーリーは変えないとして、誰がそのメンタルケアを担うのか……当然ながら同居してる私に向くだろう。ヘラっちゃうからケルシーの部屋に行けとか言われるのは多分アーミヤの性格からして有り得ない。それが終わったら1つの区切りとすると私がロドスにいるのは2ヶ月くらいだろうか。逆算するとアーミヤの元にいるのは1ヶ月ぐらいかな?仲良くしようね!
︎ロドスを降りて行くのは炎国の小規模な地方都市にいる信徒のもとに。龍門はその後も侵略破壊!滅亡の危機!ってされるので炎国から出国するか?……いや、その前に旧友には会っておこう。
原作始まる前から原作キャラだー!ってなったら未来を壊さない程度に暇つぶしに積極的に絡んでいた。ケルシーもその1人だ。結構経った古代辺りからずっとウォーリーを探せ的な感覚でどこにでもいたので、旅をしている最中に見つけては助力をしてあげたりはしてた。見解を聞くために一応私の出自は話していた。
流石にバベルに助力して勝利!バベルと昔のドクター最強!ロドスは無し!ってなるのは嫌だったので、知人経由で面会してテレジアや昔のドクターに会うのが限度だったが。そういう意味ではウルサスでケルシーについて行って石棺観覧ツアーも何か起こりそうでやめておいた。
要は昔から友人になっておいた原作キャラに会いに行っても邪険にはされがたいという事だ。まだ会ってない人達に会いに行ってもいいけどね。
考えに耽けていたら早朝になっていた。おはようございますアーミヤちゃん。早いね♡まだ5時前だよ♡コーヒーは飲みますか?
軽い朝食を食べ終わり、夜行性すやすやケルシーの老老介護ヘルパーしてこようと思っていたらロドスにいるアーミヤの知り合いやドクターに会ってみよう!って話になった
「良いのですが、先に先生に午前中の余暇を貰いにいってもよろしいでしょうか?」
「うん。私もケルシー先生に用事がありますし、一緒に行こう?」
「分かりました。準備してきますね」
そう返して洗面台に行き、顔を洗いながら考え込む。本当に大丈夫なんだろうか?多分ドクターはアーミヤと一緒なら大丈夫。知り合いも正体はラップランドでしたー!がはは。君面白いね!勝負しろオラァ!みたいな人間に初日で会わせるとは考えづらい。大丈夫だろう。決まったら水の栓を閉める。
ちなみに海水の比率のしょっぱい塩水以外では聖水にはならないっぽいが、塩素殺菌の水道水も大丈夫だった。塩分の高いスープは危ないのでは?と思い立ち秘書のシレネを連れて龍門の人気店に食べに行ったがそれも大丈夫だった。そうなると海水レベルの塩水を日常的に見る事は少なくなる。へい!塩水お待ち!とならないだろうし、それこそシエスタの海やプールに入らない限りは。
そんなこんなでケルシーの部屋に着き、先にケルシーと2人きりで話させて貰う。3人でいる時に小声でひそひそ話でも、うさ耳相手には危険だ。うさ耳は凶器。
「って感じで、アーミヤと一緒にドクターには会いに行っても大丈夫だよね?」
「あぁ、大丈夫だ。アーミヤの知り合いに関しても問題性のある人間は選ばないだろう。これは保険だ。肌身に離さず持っておけ」
そう言って渡してきたのは片手で持てるタブレット端末。指紋と網膜の二重で認証され、機能を確認してみた感じは電話と地図、PRTSとパズルゲームはあるが、ロドス内部では専用の無線を使えるのだろう。SNSは無さそう、シエスタの端末にしかないのかな?
この世界には普通に携帯はある。原作5章の序盤では1枚絵としても描かれている。都市間で無線が使えたり使えなかったりするけども、龍門では無線の提供がされていた。一時期は信徒だけで提供される無線の開発が着手されていたが、あれは上層部の連絡用に落ち着いたのだったか。まぁ、この世界ではそれが普通で市民の普及なんて中央移動都市の娯楽に過ぎないだろうが。
「これは?」
「地図を見てみろ」
地図アプリではオペレーターが調べれば出てくる程度のロドスの全貌が載っていた。注目すべき点は結構な数の黄色の点と少ない赤色の点が地図上に分布されているが、私たちの周りには一切ないという事は
「オペレーターの分布図?」
「厳密には監視カメラを始め、ロドス内のタブレットのカメラなどのあらゆる目を使った君が避けるべき人物の分布図だ。クロージャに一晩で作らせた。
赤色のマーカーはアビサルハンターや要注意危険人物しか登録していない。気をつけるべきだろう。黄色のマーカーも赤色ほどではないが注意するべき人物を入れている。上手く活用するといい」
「うわっ、本当っぽい。ありがとうケルシー!聖水いる?」
「今はいらない。午後の実験する際に一緒に持ってきてくれると助かる」
「りょーかい」
要件は終わったのでアーミヤを部屋にあげる。要件としては2週間後に龍門で大規模な作戦をする旨。私に教えていいの?って感じだが、その間は私はアーミヤの自室を使っていいらしい。めっちゃ申し訳ないから先生の部屋に行くと遠慮していたら、ケルシーに凄い目で見られた。お風呂には入りたいし、ありがたく使わせてもらおう。
「あれ、ノアちゃんも携帯電話貰ったんですか?」
「えぇ。機械には疎いですが、便利な物だから上手く使わせて貰おうかと」
「私が使い方教えてあげるね!まず、電話のアプリを押して、ここをこうして電話帳を開いて」
そう言って自分のスマホをスイスイと動かすアーミヤを見て戦慄する。この子、殆ど人の名前が登録されていない……。かろうじてケルシーやドクターの名前だけは見えるが、その他はロドス人事部総合管理局やロドス流通保安局、カランド貿易とか組織の名称しかない。光栄だけども、ここに私が載るのか……。知り合いに食堂のおばちゃんとか紹介されたりしないだろうか心配だ。目のやり場困ってケルシーを見てみると子供の成長を嬉しく思う慈愛の目をしていた。私の事をアーミヤに献上したのはそういう意味合いもあるのかな?
携帯番号の交換も終わったところで、アーミヤの知り合いと会うことになった。
購買のクロージャや食堂によく居るグムや武器の調整や少しなら工芸品も修理が出来るアドナキエル、ケルシーの仕事で医療班に出向くとよく見かけていたアンセルやアーミヤに香水に凝ってると思われてたらしくそれの専門家であるパフューマーとかの「知り合っておくと後々困った時に助けてくれる人」といった人選だった。
クロージャは先程貰ったデバイスで世話になっており、なんの事かはアーミヤには分からない程度にお礼を言ったり、グムの食事に舌鼓を打ちつつ、パフューマーにはめっちゃ詳しめな話に相槌をうって過ごしていた。自分の持っていたものは趣味で香水を作っている知り合いの作品であり非売品だという事にしておいた。このご時世に香水に凝ってる人は少ないらしく、友好の証として後でオーダーメイドで作って貰えるらしい。楽しみだ。
アーミヤも私に遠慮してか話を振られた時にまた後でと返すシーンも少しあったが、CEOとしてではなく個人として接する事が出来ている気がする。グムやパフューマーといった女性陣とは凄い仲が良い印象だ。……なんで携帯番号交換しないんだ?
そう思いながらクロージャ以外の出会ってきた人と交換しようとするとめっちゃ悲しげだけど仲良くなってくれて嬉しいそんな微妙な顔をするアーミヤ。結果、雰囲気的にそういった方向に持っていけずにパフューマーとだけ後で会う約束を取り付けた。
知識だけ沢山ある私の様なおもしろ生物には少女心は紐解けないらしい。
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ドクターの部屋を目指しつつ廊下を進み、その途中で会ったオペレーターとは一通り挨拶した。危なくなったらここに行ってみたいと寄り道の提案をしてやり過ごす事もあったが特に問題がある訳では無い。
あったとすれば教官をやっているドーベルマンと会った際に体の動かし方が戦闘職としてのセンスがあると言われた事だろうか。一応体幹などを崩してはいるのだが、歩く姿だけを見てそのように言われるのは予想外だった。一応高級将官ではあったが地味にスペック高すぎないか?アーミヤも同伴していたため、ありがとうございますと謝辞だけ送りやり過ごせてはいたが。
これまで戦闘を見てきた知り合い達は全員源石の力や異能の力に任せた戦い方の動きしかしていなかったため、学習をしようにも難しい事が多かった。
そんな例外以外の体術や体捌き、武器の使い方は学習本能と分析能力で見ただけで取り込めてはいる。
聖水を凝固させたり伸ばしたり飛ばしたり展開したりの自在に型を変えて戦う私にとって役に立った動きは少ないが、無いということでもない。
例えば?そうだな……クルビアのジョンウィックみたいな拳銃を用いた柔術とかナイツモラの馬上の高速で動きつつ弾や剣を当てる技術、あとは──────デストレッツァとか?
ドクターの執務室に到着しアーミヤがノックをする。声が聞こえてからドアを開ける。とても静かでシックな家具で統一された趣のある部屋だ。そこの中心に書類に目を通しているらしい彼がいた。ヘルメット付けたまま作業するの大丈夫?キツくない?
「ドクター、ノアリスちゃんを連れてきました」
「ご苦労、アーミヤ。私の名前は……なんだったか。まぁ、ドクターと呼ばれているし、君もそう呼んでくれ」
「分かりました。私はノアリス、ケルシー先生直属で働かせていただいています。よろしくお願いします、ドクターさん」
「あぁ。よろしく頼む。さっ、
アーミヤで試した時の失敗を活かし、事前にどういった人物かをドクターへケルシーから報告して貰っていたので紹介はスムーズだ。
声的には金属を伝ったエコーが少しかかっており、高めの声だが女っぽい青年のようでもあるし、カッコいいクールな女性の声のようにもきこえる、どっちなのかは分からない。
ただ、昔のドクターに面会した時より少し声が高くなって、雰囲気が柔らかい気がする。
昔のドクターはなんというか、ちょっとやつれていながらも、めっちゃクールでかっこいい紳士的でありつつ淑女的な仕草もよく垣間見えるいぶし銀って感じだった。しょうみ、どっちでも性別分からん。部屋の好みは一緒っぽい。
その時のドクターはケルシーともちょっと雰囲気似てたかもしれない。ただ、彼女とは月とすっぽんレベルで段違いなクール系で、周りの退廃的であり破滅的な、異質でありながらどこか惹かれる、そんな空気感に私であっても緊張していた。正直、性別無しのおさかな珍獣でも惚れそうだった。
そんな昔の元カレカノぴっぴに比べると今のドクターはどこか穏やかだ。口の中でラーメン作ってそうだし、自販機の補充させられてそうだし、おやつ取り上げられて涙目になってる風景が脳裏に浮かんでくる。正直、こっちの方が接しやすい。
龍門やケルシーの話を混じえつつ周囲を観察していると彼の近辺には複数の気配はしている。恐らく警護のグラベル、シラユキとストーカーのファントムだろう。何も問題はない。ドクターが起きてからシエスタに行ってないのだろうか。なら、シュヴァルツに関しては雇用していないのだろう、そこは視えない。
「君といるとどこか懐かしいような気分になるんだが、昔会ったことはあったりする?」
「いえ、私はお会いしたことは無いと思います。母親とケルシー先生が友人同士らしかったので、それを経由して幼少期に会った事や親に似ているといった事はあるかもしれませんが」
「なるほど、確かにそれはあるかもしれないね。今日は来てくれて本当にありがとう。これからよろしくね」
「はい。ケルシー先生のおつかいで会うことが多いかも知れません、今後もよろしくお願いします」
そう言って礼をしてから退出する。懸念していた、記憶を失ったドクターが転生者になっていました!お前誰ーっ!?ってなる世界線が完全に無いと分かった事や、今のドクターがどういった人物なのか分かったのは大きな収穫だろう。
横にいるアーミヤはドクターと一緒に執務するのでここでお別れだが、母親がケルシーの友人なのは嘘だと分かっているため顔が陰るかと思っていたがそうでも無いらしい。あくまで私は何も知らない故の方便と捉えたのだろう。一緒に退出して別れの挨拶を交わし、手を振りながらケルシーの下へ戻る。
そこからは実験と称してケルシーと一緒に聖水でちゃぷちゃぷ水遊びをする。
とは言っても、聖水でどこまで可能なのかをみたい為、遠隔で聖水を起動してみせたり、壁で遮断し真空にした上で精密な操作をしたり、実験体のオリジムシの足を切断したりそれを治したりしてみせた。水遊びかと思ったら虫遊びだったよ……。聖水はアーツ反応が全く出なかった模様。
その後ケルシーの自室で家事をしつつ彼女と雑談していた。
「いやー、やっぱりドクターは良いねぇ!昔のクールな孤高系もアリだし好きなんだけどさぁ!今は協調性のあるイケメンお姉さんって感じがしてたんだよ!?ケルシーは昔と今のドクターどっちの方が───────」
「今日の午前、スカジをここに呼び出しを行い、以前に君がそのサンプルを使った付近に座らせ、作戦指示を出す等の会話をした」
「えっ!?ちょっ、はぁーッ!?リスクを考えてから私に相談するなり」
「スカジも君も私の直属の部下だ。直接指示を出すのは当たり前だろう、そこに君が口出しする権利はない。それに、万が一露見した場合のリスクケアも行っていたための実験だ。
─────だが、結果的に彼女が何かを気にしている素振りは見せなかった。そして、今回の実験で見当は付いた。」
ケルシーは私の顔を正面からじっと見つめて語りかける
「私は君と彼女達の共生が可能だと考えている。」
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夕方、ドクターの部屋
ドクターとアーミヤは龍門で見つからなかった少女を見つけるため、龍門周辺を段階的に捜索する周辺地区を増やしていく案を考案し、パトロールを行う龍門近衛局やオペレーターに書類を書いていた。
それが一段落し、今日の業務は終了。アーミヤが自室に帰宅して、ドクターも執務室で休憩し理性をじわじわと回復させていたところ、ノックが聞こえる
「開いているよ。」
「失礼するわ、ドクター」
入ってきたのは銀髪に真紅の眼をした狩人装束のような服を着た女性。作戦終了後だろうか、オペレーターの正装である戦闘服のまま
「今日はこれでドクターの仕事は終わり?」
「あぁ、少し熱を冷ましていたところさ」
「じゃあ、一緒に食事を取りに行きましょう?」
「謹んでご一緒させて貰うよ、この書類をファイルに纏めなくてはいけないから少し待っててくれ」
彼女はドクターを待っている間、今日は何を一緒に食べようか悩んでいた。そして、気づく。
「今日、ここに誰かいた?」
「?、グラベルとシラユキは朝に挨拶してきて、昼にテンニンカやポプカルが遊びに来たりはしていたか。そういえば、アーミヤが友達を連れてきたりもしていたな」
「そう、じゃあ分からないわ。なんで、なんでこんなにも懐かしいのかしら。」
「えっ?」
「海のような懐かしさも、波のさざめきのような静かな激しさも感じられない。月の光のような眩さに似ているけど、違う。もっと、もっと深い何か」
「いや、何を言っているのかさっぱりなんだが、……泣いているのか?」
「泣いている……私は泣いているの?でも、どうしてかしら、泣かないと後悔してしまう気がするの。」
「いや、ポエムじゃなくてもっと普通の言葉をだな……おっと」
天才的な戦術家であるドクターですら何が何だか分からず、パニックに陥ってしまったところで彼女は眠るように意識を失った。
1時間後に起き上がったその女性はあれはなんだったのか不思議に思いつつ、同じ部屋で彼女を見守っていたドクターはお腹と理性がぺこぺこだよー……となっていたらしい。
主人公:友情クソボケ野郎
アーミヤ:思春期の少女が自分の手に鉱石病があると気づいてもおかしくは無いのに初対面で握手をしてくれて、自分が敬語を崩してもいい名前にちゃん付け呼び合いする自分の立場ではなく1人の人間として扱ってくれる心優しき友人と初めて保護者と慕ってる人と企業案件以外で電話番号を交換する事になった時の友情度を求めよ。
クロージャ:ロドスの初期メンの1人でありバベル所属だった1人。信頼性もあるためある程度は話したり、ケルシーから事情は聞いている。密集するような購買にはいけない主人公だが、宅配サービスは使えるだろう事を見越して地図状のソフトウェアのついでに購買部の電話番号を提供する。毎週月曜日にエアドロップ形式でチラシも頒布されるオマケ付き!……スパイウェアでは?でも、そんな大体の事は購買部におまかせ!