無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.レン君NORMALは?
A1.ルーキーちゃんの方にいます。

Q2.もしかして?
A2.そういう事です。

他の人に見えないのは原作準拠。
神機に触った二人だけに見えています。

無口さんが倒れてしまうので憑りついてるとか言ってはいけない。


無口と決意の神機さん2

「さて、それじゃあ早速ですけど。リンドウさんを殺すための方法を説明しまムグッ…」

 

目の前の神機使いの口を押さえ付け。

周囲を見渡して誰にも聞かれていない事を確認してから手を放す。

 

「ぷはっ…もう、いきなり何するんですか。」

 

それはこっちの台詞だ。

公の場で何を口走ってるんだ馬鹿野郎。

 

先の要請に承諾の意思を示した矢先。

ものの十分と経たずに出てきた言葉がこれである。

 

話が早いというのは結構だが。

時間と場所と言うものを弁えろ。

 

幸い聞いたのが俺しかいなかったから良かったものの。

他の誰かに聞かれた日には冗談抜きで詰められるぞ。

 

「何だかよくわかりませんが…改めてリンドウさんを殺すための方法を説明しまムグッ…」

 

再び目の前の神機使いの口を押さえ付け。

周囲を見渡して誰にも聞かれていない事を確認する。

 

誰もいないな?

誰も見ていないな?

 

ならば取り急ぎ俺がすべき事はただ一つ。

 

まったく、さっきまでの重々しい告白は何だったのか。

せっかく俺にだけ本心を語ってきた様子だったのに、気が抜けたというにも限度があるぞ。

 

口を押さえる手を離し。

そのままレンの手を取って立ち上がらせ。

 

「わわっ。ちょ、ちょっと、本当に何するんですか。」

 

反論を無視して流れるようにレンの小脇に頭を滑り込ませ。

勢いを利用して一息に小柄なその体を肩に担ぎ上げる。

 

うむ、我ながら見事なまでの確保術。

傍から見れば拉致現場以外の何物ではないが。

 

ここだけの話。

このような人攫いスキルはゴッドイーターの必修技能の一つだったりする。

 

カルト教団員の確保から要人救助に至るまで。

ターゲットの身柄を素早く確保・避難させるための歴とした公的技術であり。

まかり間違ってもやましい目的を達成するための手段などではない。

 

俺の時はそのまま孤児院直行コースだったけど。

まぁその話は今はいいや。

 

そんな訳でレンを担ぎ上げたまま俺の部屋に向かって走り出す。

 

何というかこの子、想像以上にアレみたいだからな。

このままこの場で会話を続けた日には誰の耳にどんなヤバい話が入るか分かったものではない。

 

正直暴れられたら面倒な所ではあったものの。

口では不満げに抗議の声をあげるつつも、レンの方も抵抗する様子は特になく。

 

というか君軽いな?

人を担いでいる気がしないぞ?

 

今まで担いだ人間の中でもトップクラスの軽量感。

リッカですらここまで軽くはなかった記憶だが。

 

 

まるで()()()()()()()()()()を運んでいるのではと錯覚してしまいそうだ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部におけるとある神機使いの個室。

無事ミッションもコンプリートし、確保した戦利品をベッドの上へ放り投げる。

 

「うわっと。もう、本当に何を考えて…もしかしてあそこでは話すなって言いたかったんですか?」

 

当たり前だろ。

てっきり場所を移して詳しい話をするのかと思っていたのに。

 

いきなりド直球な会話が飛んできてヒヤヒヤしたぞ。

百歩譲ったとしても最初の頼み事の時点でギリギリだ。

 

ヒヤヒヤと言えば。

俺としたことが客人に茶を出すのを忘れていたな。

 

んー、アイスティーしかないけどまぁいいだろ。

茶菓子はまた今度だな。

 

仕切り直しの意味も兼ね。

冷蔵庫から飲み物を取り出してレンに差し出す。

 

「…まぁ確かに、誰が聞いているかわからない所で話す内容ではありませんでしたね。すみません、僕はどうにもその辺りの機微には疎くて。」

 

放りだされた直後はやや不満げな表情を浮かべていたものの。

納得したようにそう謝罪すると、飲み物を受け取りながらレンが先程の続きを話し始める。

 

「改めて、リンドウさんを殺すための方法を説明します。まず今のリンドウさんの状態ですが…」

 

レンの見立ては俺の認識と相違無く。

リンドウはほぼ確実にアラガミ化しているという前提の元、説明の言葉が紡がれていく。

 

「知っての通り、アラガミ化した直後の神機使いには通常の神機は歯が立ちません。これは元々神機を制御していた因子が異常活性する事により、適合するオラクル細胞()()()()()()()()()()、というのが理由になります。」

 

ほう、その情報は初耳だ。

てっきり神機に組み込まれた因子が適合しないから喰い千切れないのかと思っていたのだが。

 

「近いイメージだと磁石の反発が似てるかもしれませんね。オラクル細胞由来の硬さからではなく、アラガミと神機のオラクル細胞同士が反発によって触れる前に弾かれる、というのがアラガミ化した神機使いに通常の神機が通用しない理由です。」

 

-神機使いから変容したと思われるアラガミにスサノオ種がいますが…あれは時間経過によって異常活性していた因子が沈静した結果、先の反発する性質が無くなり、通常の神機が通じるようになった-

 

「…と言うのが最近の研究見解のようですね。」

 

なるほど、目から鱗とはまさにこの事。

硬くて攻撃が通らないのではなく、実際にはそもそも当たっていないことが原因だったのか。

 

そして時間経過によってバリアめいたその特性も無くなれば。

通常の神機でも問題無く倒すことが出来ると。

 

これは良い情報を聞く事が出来た。

それさえ事前に分かっているのであれば、もし誰かが先走ってリンドウの神機を持ち出そうとしても遠慮無く止める事が出来る。

 

何だったら神機をブチ壊すなりして持ち出し不可にしてしまえばいい訳だからな。

他の神機使いからしてみれば、時間さえかければ本人の神機を使わずとも討伐出来るとは思ってもみないだろうし。

 

「あ、だからと言って神機を破壊して足止めしようなんて考えないでくださいよ。僕もそういうのは望んでいないですし、何よりリッカさんに本気で怒られますよ。」

 

おっと、顔に出ていたか。

我ながら隠し事の出来ない体質のようで。

 

まぁ俺とて好き好んで神機を壊すつもりはないから安心したまえ。

リッカに殴られて喜ぶ趣味も無いしな。

 

「そんな訳でアラガミ化した神機使いを介錯する際における最大のジレンマについてはクリアできます。…が、ここで問題となるのが因子が沈静化するのに要する期間です。」

 

-ご存じの通り、アラガミを構成するオラクル細胞は異常な速度で進化を繰り返す存在。適応と言う面では分単位で行われるそれらにくらべて、沈静や安定と言った反応は非常に鈍く。-

 

「早くても数週間、長いものでは年単位を要するケースもいくつか確認されています。」

 

あ、それは無理だ。

 

リンドウの存在が認識されている今となっては。

数週間程度ならまだしも、年単位とかサクヤが持たん。

 

それ以前にそこまでいくと足止め云々で誤魔化せるレベルではない。

そう遠くない内に作戦妨害の罪で営倉にぶち込まれるのが関の山だ。

 

何だ、そうなるとやっぱりリンドウの神機使うしかないじゃないか。

もっともレンに使わせる気は既に無いし、仮に俺が使うとしても最終手段としてだけど。

 

何しろ俺は神機使いになる前からアラガミをブチ殺す方法だけを考えて生きてきた人間だからな。

コスト度外視だが神機無しでも何匹か殺ってるし、まだ試してない手段だって腐るほどある。

 

おまけにここは右も左も畜生アラガミばかり。

おかげでモルモットには事欠かん。

 

まぁ神機を使う方が手っ取り早いので最近はやってないけど。

 

それに実験一つするにしたって、アラガミ相手では先立つものが必要なのだ。

いくら神機使いが一般よりも実入りが良いとはいえ、無尽蔵に散財出来るほどではなく。

 

実家だって別に裕福な家柄だったという訳でもなし。

しがない一般神機使いの身では、配られたカードで勝負するしかないのだ。

 

閑話休題、話を纏めよう。

 

まずレンの目的はアラガミ化したリンドウを討伐したする事。

そしてその手助けを俺に求めてきたというのが話の発端である。

 

まぁこれについては俺の目的に沿う部分もあるので問題無い。

 

俺としてはリンドウがアラガミから戻るのが最上ではあるものの。

もし他の誰かが討伐せざるを得なくなった場合は俺が代わりに介錯するつもりでいる。

 

これなら恨みや悩みも俺一人の範疇で済むので次善の策としては上々。

それに俺は両親二人殺して生き延びたような人間。今更友人一人増えたところで大差はない。

 

次にアラガミ化したリンドウを討伐するための手段だが。

 

今回の話の中で時間経過で通常の神機が通じるようになるとの情報を得られたのは実に大きな収穫だ。

何しろ取り返しが付かなくなると思っていた手段も足止めの選択肢に追加されたからな。

 

とはいえ、それが何時有効化されるのかわからない以上。

あくまで多少切り札を切りやすくなった程度に留めておくのが妥当な所か。

 

で、ここからが本題だ。

 

「既にリンドウさんの捜索は始まっていますが、あの強さですので対策無しでは犠牲者が出てしまう。…僕は、誰かがリンドウを殺す事も、リンドウが誰かを殺す事もさせたくない。」

 

同感だな。

だがどうする?

 

レンの方も悠長に時間経過で弱体化するのを待つつもりは無さそうだが。

いくら特務部隊二人がかりでも真っ当な方法では苦戦は免れないだろう。

 

かといってリンドウの神機を使えば俺が新しいアラガミに化けるだけ。

それにリンドウの神機を持ち出すには流石にまだ時期尚早だろう。

 

「リンドウの神機を使えばアラガミ化してしまう。でもだからと言ってあまり時間はかけてはいられない。…つまり必要なのは、使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です。」

 

…なるほど、完璧な作戦だな。

そんな物は無いという点に目を瞑ればだが。

 

どうしよう、ちょっと不安になってきた。

まさかこの期に及んで"僕の考えた最強の神機"とか言い出したりしないよな?

 

「心配しないでください。既にちゃんと用意出来ていますから。というより、今日貴方に伝えたかった本題はここからです。」

 

すっかり温くなってしまったアイスティーを飲み干し。

おもむろに立ち上がってレンが言葉を続ける。

 

 

「貴方に見せたい神機があります。準備が出来たら出撃ゲートまで来てください。」

 

-リンドウを殺すために用意した、僕の切り札。-

 

「…是非ともそれを、貴方の眼で確かめてみてください。」

 

 




・ヒヤヒヤした(無表情)
・顔に出ていた(無表情)
・不安になってきた(無表情)
・○す方法だけを考えて(無表情)

感情豊かな無口さん。
リッカちゃんに殴られて喜ぶ趣味は無いけれど、毎回殴られるような事をしてる人。
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