無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

102 / 154
Q.こっちのレン君の神機は?
A.本編アナザーが持ってる堕天ハンニバル神機。

どこかでレン君ちゃん'sの会話を書きたい今日この頃。


無口と決意の神機さん3

--"吸い込まれるような"という表現がある。

 

釘付けになる、目が離せないと言った意味を持つ言葉だが。

極東では主に美しさを表現するために用いられる言葉でもある。

 

黒を基調とした刀身に、切られた溝から映る鮮やかな紫。

 

見るのは初めて。

だが不思議と目が離せない。

 

 

まるで、あのクソトカゲを思わせるような雰囲気だ--

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは通称"贖罪の街"。

今尚残る繁栄の残り香がアラガミに人気のビュッフェスポットである。

 

何でも崩壊寸前のビルに空いた大穴は過去にアラガミが捕食した際の食べ跡らしい。

 

自分より大きい食べ物にダイビング捕喰とか。

人間の身であってもちょっとやってみたいところである。

 

定番どころで言えばケーキとかチョコレート辺りであろうが。

ステーキとか焼き魚といったガッツリ系の誘惑も捨てがたい。

 

酒池肉林と言う言葉もあるくらいだしな。

人によっては酒の方が良いという意見もあるだろうが。

俺はそこまで飲まなくても酔えるので腹が満たされる方が好ましい。

 

「あの…僕の説明、聞いてましたか?」

 

怪訝そうな表情で話かけてくるレンの言葉に意識が戻る。

 

ゴメン聞いてなかった。

えーと、何の話だったかな。

 

流石に怒られそうなので正直にそれを言ったりはしないが。

思考の海を漂いながら耳にしていた言葉を思い起こす。

 

-この前収集されたリンドウさんの痕跡を元にアラガミ化した場合の因子パターンを解析し…-

 

そうそう、レンが今日見せてくれている神機の話だったな。

アラガミ化したリンドウに特化した特殊な神機なんだっけか。

 

なんでも本人が使っていた神機に近い性質を持たせた神機であり。

アラガミ化した神機使いに対しては通常の神機よりも遥かに高い効果を発揮するとの事。

 

-ただ、この神機はまだまだ研究途中の技術でして、使用するに当たって解消しなければならない問題もいくつかあります。その一つが…-

 

普段俺達が使っている神機にはこれまでコアを回収した数多のアラガミが持つ因子情報が組み込まれているが。

ターゲットを絞り、一から極限まで特化した調整を施したこの神機に対しては通常の因子投入技術が使えないとの事らしく。

 

-要約しますと、貴方にはなるべく多くのアラガミを倒してきて欲しいんです。-

 

いくら神機とはいえ、投入された因子がほぼゼロでは通常の武器と変わりなく。

当然アラガミを攻撃した所でオラクル細胞を喰い千切れず、まともなダメージは入らない。

 

が、そんな状態でもコア捕喰だけは例外で。

先の因子投入の問題も直接コアを捕喰すれば強引に取り込む事が出来るらしい。

 

コアを喰らえばアラガミを倒すことが出来るようになるが。

コアを喰らうまではアラガミを倒す事など夢のまた夢。

 

であればどうすればよいか。

他の誰かにアラガミを倒してもらい、そのコアを喰らっていけば良いだけの話。

 

と、いう訳で。

 

「ご馳走になります隊長さん。美味しい食事、期待してますね。」

 

うむ、良い笑顔だ悪くない。

何時ぞや俺の元上官が向けてきていた笑顔とは雲泥の差である。

ここまでストレートに奢ってと言われると一周回って気分が良い。

 

別にそっちの趣味がある訳では無いけれど。

むさいオッサンのニヤケ面と美少年(?)の爽やかな笑顔、どっちが良いかなんてわざわざ議論検証するまでも無い話。

 

大体オッサンに奢ってもな。

寧ろ若い俺の方が奢ってもらう立場だし。

 

実際は報酬の分、色々飲み食いさせてもらってたから不満は無いけど。

まぁ俺の話は今はいいや。

 

とりあえずミッション内容を再確認。

今日の任務はヴァジュラテイルの群れとプリティヴィ・マータ一体の討伐か。

 

本来なら二人で役割分担するところだが。

残念ながら今日のレンは戦力としては数えられないので、一人で全滅させる手段を考える。

 

ふむふむ、うーん…

よし、決めた。

 

 

雑魚はお得意の不意打ち殺法で蹴散らして。

後は雌獅子もどきと一騎打ちと洒落込むか。

 

…とはいえ。

ただ倒すというのもつまらんな。

 

別に慢心してるつもりは無いけれど。

せっかくだし訓練がてら、俺も色々試しておきたいところ。

 

どうせレンしか見てないしな。

多少アレな事しても秘密の任務中の出来事だから口外したりしないだろうし。

 

そんな訳で改めて装備を確認。

 

スタグレ良し。強化薬良し。

トラップ良し。偽装フェロモン良し。

 

マグナム良し。グレネード良し。

指差ししながらオール良し、と。

 

 

これでも立派な古参兵。

適当なチェックをかました結果、"どうして"なんて寝言を宣わったりはしないのだ。

 

 

さぁ、正々堂々勝負と行こう。

 

……………………………………………………………………………………

 

「貴方って本当、リーダーさんとは別の意味で無茶苦茶しますね。リッカさんが怒る訳ですよ…」

 

口から舌を垂らしたまま横たわるマータを捕喰しつつ。

呆れたように口を開くレンに、返事代わりにチラリと一瞬視線を向ける。

 

無茶苦茶とは人聞きの悪い。

これは歴とした戦術というものだ。

 

ちょっとグレネードを撒き散らしたり、マグナムを零距離連射したくらいで大袈裟な。

ちゃんとした理由だってあるんだぞ。

 

"アラガミは神機で無ければ傷付かない"というのが巷における通説だが。

"ではアラガミ相手に通常兵器が全く効かないのか?"というと、実のところそうではない。

 

もちろん正面から銃撃や爆撃してもダメージが通らないというのは変わらないが。

極端な超火力をぶつけたり、極一点に対して集中砲火を浴びせたりした場合についてはこの限りではなかったりする。

 

確かにオラクル細胞というものは高い耐久と再生力を兼ね備えた存在ではあるものの。

それはあくまで"化学的に防御力が高い"と言う意味であり、RPGのモンスターみたいに物理無効効果を持っているという訳ではない。

 

例えばグレネードを大量に飲み込ませて腹の中から爆破したり。

傷口に大口径弾を撃ち込みまくったりすれば、多少だが細胞にダメージは入るのである。

 

これは以前ロシアだかでリンドウたちが大型アラガミを核爆発で吹っ飛ばした事でも実証済み。

まぁ実際は爆発のエネルギーも吸収するらしいので頼りすぎは厳禁らしいが。

 

そしてこれは俺の経験から基づく話になるが。

アラガミを構築するオラクル細胞と言うものは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

切っ掛けはオウガテイル相手に通常兵器の効きを実験していた時の事。

最初は気のせいかと思ったものの、色々試している内に明らかに他の部位より耐久性が落ちており、通常兵器ですらダメージになりえそうだという事に気が付いた。

 

もちろんそのままではあっという間に修復するし、修復後はその前よりも通常兵器に対する防御力も増してはいたが。

神機に対する防御力は下がったままだったので、そこに目を瞑れるならば銃撃等が手頃なデバフ手段になりえるという事である。

 

そしてゴッドイーターである以上、わざわざ神機以外を攻撃の主軸に据えるメリットは無く。

メインは神機による攻撃である以上、通常兵器が通りにくくなったところでデメリットも無い。

 

という訳で今回は改めてそれを使った戦術を練習してみたところ。

ものの見事に全部位叩き割られたマータの刺身が出来上がったという次第である。

 

まぁこの戦術、アイテム使いまくるから戦闘コストは馬鹿にならないし。

巻き添えが怖いから誰かとチームを組んでると使えないんだけどな。

 

仕方ないじゃないか。ずっと一人部隊だったんだから。

周りを気にしない戦術を試す機会は腐るほどあったし。

 

それに別に周りを気にする事が出来ない訳じゃない。

今まで一人きりだったから周りを気にする必要が無かっただけ…この話はもう止めようか。

 

「神機だけには留まらず。強化薬に偽装フェロモン、挙句の果てには銃撃に爆弾ですか。神機使いの歴史を紐解いてみても、ここまで手段を選ばない戦い方をするのは貴方だけな気がしますね。」

 

それはまぁそうかもしれない。

で、それが何か問題でも?

 

戦場において卑怯の二文字は存在しない。

まして相手は憎きアラガミ、慈悲をかけてやる必要性すら存在しない。

 

シオ並みに可愛いアラガミだったら多少は手段も厳選するが。

仮に友好的でもあろうものなら戦闘どころか素材をアーンして食べさせてみるという手に出る事もやぶさかではない。

 

シオにもやった事あるが、あれはあれで役得だったな。

勢い余って指までしゃぶられた時は、あどけない少女の愛らしさとアラガミに指喰われる恐怖のせめぎ合いで言葉も出なかったが。

 

閑話休題。

査問会を呼ばれる前に話を止めよう。

 

「…ふぅ。ご馳走様です隊長さん。戦い方はともかく、アラガミの方は美味しく討伐出来ていましたよ。」

 

考え事に耽っていたのも束の間。

コアの捕喰を終えたレンが声をかけてくる。

 

「本当、見た目に反してコアの損傷が想像以上に少ない。最初はわざわざ神機以外で攻撃する意味がわからなかったんですけど…これなら僕の方も、予定より早く仕上がりそうですね。」

 

アラガミのコアを取り込んで一層輝きが増したように感じるレンの神機。

ふむ、流石は特別製の神機。一般の神機は因子を追加しても特に見た目が変わったりしないのだが。

 

物珍しいと言った感じでレンの神機を眺めていた所。

申し訳なさそうにレンがこちらを見ながら口を開く。

 

「すみません、疲れている所申し訳ないんですけど…貴方さえよければ、今日の内にもう少しアラガミを狩ってきてもらってもいいですか?」

 

…うん、構わんぞ。

これでも一応部隊長、隊員からの頼みは答えてこそなんぼだからな。

 

アイテムと弾丸、まだ余ってたっけか。

まぁ無ければ普通に後ろから斬り飛ばして…

 

 

部下とか後輩ってさ。

何処の部隊でも上官に食べ物集るものなんだな。

そう考えると俺からねだる前に色々ごちそうしてくれた俺の元上官殿は物凄く優秀な人物だったのかもしれないな。

 

補給含めたら普通に報酬から足が出そうだが。

まぁいい、やせ我慢は大人と上司の特権だ。

 

 

今週は食事を配給レーションにして節約するとするか。




時たま話に出てくる元上官。
ボロクソ言っているようでも無口さん的には高めの好感度。

レン君sideも書きたかったけど長くなりそうなので一旦区切り。
書くかどうかは気分次第。

タイトルが内容と一致していないのはご愛敬と言う事で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。