無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
A1.「人懐っこい」という単語も頭にセットで付いている。
Q2.ソーマとどこで差がついた?
A2.餌付けされてる頻度が多すぎる。
本人はたかってるつもりでも傍目にはペットがおやつをねだってまとわりついてるようにしか見えない。
普段と違って年相応な雰囲気になっているのもさらに原因。
つまりは大体無口さんのせい。
「…うん、これで良し。神機のオラクル細胞の活性も無事安定。ありがとね、リーダー。」
ここは極東支部の神機保管庫。
作業台に置かれた神機から顔を離し、微笑みながら話かけてくるリッカさん。
「それにしても考えたよね。神機の不調を直すのにリンドウさんの痕跡…それもアラガミ化の進行が進んでいる状態の物が必要だからと言ってもさ。」
ここ最近急激に不安定な状態となっていたリンドウさんの神機。
その調整にはあろうことか極力アラガミ化が進んだ状態のリンドウさん本人の痕跡が望ましいとの事で。
正直に言えば気分の良い話ではないと思う。
依頼する方もされる方も、リンドウさんが生きていると信じていたいこの時に。
寄りにもよって悪い話を裏付けるような素材を集めてこいというのだから。
しかし事情と背景を知っている以上。
それをわざわざ口にするつもりは毛頭無く、とりあえず当たり障りの無い言葉を選んで続きの言葉を促してみる。
「リンドウさんおびき寄せ作戦だっけ?よくあんな名前の作戦にミッションを偽装しようなんて考え付いたね。」
「あれはまぁ何と言いますか、たまたま予定と状況が噛み合ったというか…」
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-数日前、極東支部のエントランスホールにて-
コウタが発端となって二度に渡り実施された"リンドウおびき寄せ作戦"。
第一次はリンドウさんが女性神機使いを主軸に。
第二次はそれに加えて男のロマンとやらを添えて決行された。
ただまぁ結果は予想通りと言うかなんというか。
「来る訳ありませんよこんな頭の悪い作戦で。逆にこれで来たらドン引きですよ。」
「何だよアリサ!そんなに言うなら代わりにリンドウさんが誘い出されそうな物でも出して見ろよ!」
「そ、そんな簡単に思いついたら苦労しません!ていうかまだやるつもりなんですか!?」
当然だと言わんばかりにドヤ顔するコウタ。
正気を疑うと言った様子で聞き返すアリサ。
喧々諤々、ここ最近ではとんと聞く事の無かった感情的な言い合いが室内に響き渡る。
周りも顔を顰めて…と言うことは無く、また始まったと呆れ交じりに遠巻きにその様子を眺めている。
かくいう私もその一人。
まぁ二人とも本気で言い合っている訳ではないので大事にはならないとは思っているのですが。
これでも一応二人が所属する部隊のリーダーなので。
巻き込まれない程度には距離を置いたうえで、もしもの時のために近くで二人のやり取りに耳を傾け--
「リーダーからも何か言ってやってよ。アリサってば文句ばかりで全然意見出してくれないんだぜ?」
「ちょ、誤解を招くような言い方しないでください!むしろリーダーからも言ってあげてください!"しょうもない作戦ばかり立てるな"って!」
残念、普通に巻き込まれました。
しかもあちらを立てればこちらが立たず。
どちらに寄り添っても角が立ちそうな立ち位置。
さて、どうした物でしょうか。
考える事数瞬。
ふと頭に名案が浮かび、軽く会話をシュミレートしてから二人に向かってそれを語りかけてみる。
「…うん、私が思うに、コウタのアプローチはあながち間違いじゃないとは思う。」
その言葉を聞いたコウタは我が意を得たりと言わんばかりに得意げに。
同時にアリサは信じられない物を見るような目でこちらを向いている。
「ただまぁアリサが言うように内容はちょっとどうかと思う。何ですか、女の子ばかり集めて"リンドウおびき寄せ作戦"って。女性どころかリンドウさんに対しても失礼ですよ。」
「そ、その通りですよリーダー!もっとコウタに言ってやってください!」
が、次の言葉を告げた瞬間に手のひら…もとい顔をクルリ。
今度はアリサがここぞとばかりに畳みかけ。
コウタの方はそうかなぁといまいち納得しかねるような顔で生返事を返してくる。
「発想の方向が間違っているんですよ。リンドウさんが好みそうな物を用意するのまでは合っているんですけど、そこで俗物的な物に舵を切るからいけないんです。」
「…つまりどういう事?」
次の言葉に今度は二人揃って首をコテン。
ちょっと可愛いと思う私の心を他所に、コウタが率直な疑問を口にしていく。
「簡単ですよ…と言う前にコウタに質問です。」
うん、予想通りの展開です。
であれば何も戸惑うようなことは無く、先程頭でシミュレーションした内容をそのままコウタに告げていく。
「ある休みの日、コウタはバガラリーを見ようと考えています。」
右手にはオヤツ。左手にはジュース。
そして部屋に戻る途中に見かけたのは同じ趣味持つ気の置けない男友達。
「もしその人もお休みだとしたらとりあえず誘ってみたりしない?それとも一人で見る方が気兼ねなくていい?」
「そんな訳ないじゃん。それ絶対誘った方が楽しい奴じゃん。」
「そう、つまりはそういう事です。」
何も女の子ばかりはべらかすのが男の人の楽しみではありません。
気の置けない友人たちと共に。
心行くまで趣味の時間を満喫する。
これもまた男の人が引き寄せられる浪漫の一つ。
アーカイブにあった小説にもそう書いてありましたので間違いありません。
「ごめんリーダー。わかるようなわからないような、いまいちピンとこないんだけど…」
間違いないのに。
目に飛び込んできたのは見るからに頭に疑問符を浮かべたコウタの姿。
むぅ、何で通じないんですか。
男の子ですよね?それともコウタにはちょっと文学的過ぎる話でしたか?
まぁいいでしょう。
これが諭す事を目的としているなら続きの話も考えますが。
今回はそれっぽい事を言って煙に撒くのが目的なので気にしません。
それに全く理解出来ていない訳でもなさそうですし、であればこれ以上私の出番は不要です。
という訳で次はアリサ。
こちらはこちらで先程の話の意図がわからないといった表情を浮かべていますね。
「アリサもピンとこない?男の人ってさ、よく大勢集まってワイワイやってるイメージとかない?」
「あぁ、そういう…つまり女性云々ではなく、楽し気な雰囲気で誘い出そうとするのが良いんじゃないかって事ですか?」
流石アリサは話が早い。
得心したと言った感じに聞き返してくるアリサに私は軽く頷いて正解の意思を返します。
「と言う事は次は男だけのメンバーで出撃するって事?」
「まぁ私は発案者なので同行しますが。いわゆる"両手に花"って奴ですね。」
「駄目ですよリーダー、そんな事言ってたら本当にコウタみたいな思考になっちゃいますよ?」
"ひでぇ…"とまるでシオがいた時のようなやり取りをするコウタとアリサ。
軽い言い合いこそは続いているものの、先程までに比べるとずっと声の感じも落ち着いたもの。
うんうん流石私、どうやら上手い事場を収める事が出来たみたいですね。
自画自賛になりますけど、たまには自分で自分を褒めてもいいでしょう。
「ちなみに誰連れて行くの?男って事はまた俺?」
あ、すみません。
コウタは今回は御留守番です。
自身を指さしながら聞いてくるコウタに違いますよと即答する。
実は言うと今回のメンバー。
話の前から大枠が既に決まってるんですよ。
タイトルが思い浮かばなかったのでいっその事全て書き換えてみるテスト。
登場人物は同じだから書き換え前と同じだと言い張るコンテンツ。
テセウスの船?知らぬ。