無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q.シリアス回?
A.どちらかというとシリアル回。

ルーキーちゃんは至って真面目にやっています。
たまにトンチキな発想が混じっていても。


-Side_Story-無口な新型使いはかく思う2

先日依頼されたリンドウさんの神機の調整素材の調達依頼。

 

榊博士の胡乱な言い回しを訝しみつつも。

相手が私だという事で、リッカさんも包み隠さず素材の正体についても話してくれました。

 

必要なのはリンドウさんがアラガミ化しかけている事を示す痕跡。

それも可能な限り症状が進行している事を指し示す物。

 

恐らくリッカさんとてこんな頼み事はしたくなかったのだろう。

告げるその表情には暗い影が落ちており、言い終わりにはゴメンねと謝罪の言葉まで口にして。

 

そんな彼女を安心させるべく。

気にしないでくださいと事も無げに答えて引き受けたあるミッション。

 

リッカさんが言い淀んでいた気持ちも鑑みて。

一人でこっそり済ませてくるのが一番良いのですが。

 

(それをやってしまった日には、もうあの人のやる事には文句言えなくなりますね。)

 

嫌われている訳ではないとは思う。

喋らない上に無表情なので、何を考えているのかわかり辛い所はあるけれど。

 

リッカさんに差し入れを持っていくのに付いていき、ご相伴に預かるのもしばしばだし。

頻度こそ減りはしたけれど、私も含めて他の神機使いの皆ともよくミッションを共にしている。

 

けれどその実。

これっぽちも信用されていないし、これっぽちも信頼されていない。

 

あの人にとっては文字通り。

誰も彼もがその心中を()()()()()()()存在に過ぎず。

 

だから任さないし頼らない。

そしてそれはある意味、今私が抱えている悩みに近しいもので。

 

まったく、本当に嫌になります。

なったものにだけわかる悩みと言うのは聞いた事があるが。

まさか身をもってそれを体感する事になろうとは。

 

私にも皆に伝えていない秘密がある。

レンとの感応現象から始まった、リンドウさんに関わる一連の秘密。

 

シオの時とは違って秘密を共有する第一部隊の姿はそこに無く。

むしろ知られてはいけないという状況に難易度が変わっている。

 

その度に頭をよぎるのはあの人と同じ行動原理。

全てを一人で、誰にも気づかれないままに片付ければいいのではと考え始める閉じた思考。

 

そうすれば誰も辛い思いをする事が無いから。

 

流石に私自身はどうしようもないですけど。

そこはまぁ私が我慢すれば済む話と割り切って--

 

 

 

 

 

(で、その結果やる事があの人と同じ。誰にも頼る事が出来ずに単独行動ですか。)

 

 

 

 

 

散々人の事を信用できないのかと悪態ついておきながら。

いざ自分の番になればこの通り。

事前にわかっていながら悪例をなぞるとか我ながら馬鹿じゃないのか。

 

こうしてあの人の姿が頭によぎり。

自己嫌悪の後にあの人の愚痴を言い始めた所で正気に戻ると言うのが最近のお約束。

 

だって仕方がないじゃないですか。

 

ただでさえ鉄仮面と評されるほどの無表情。

加えて言葉も喋れないとあってはまず周りがそれを察する事は難しい。

 

さらにあの人の場合、最早確信犯と言っていいレベルで自身のそれを悪用している。

 

眉一つ動かさずに知らん顔。

問い詰められても"喋れませんが?"と知らん顔。

 

こちら側からしてみれば何とも腹立たしい事この上ない。

文句の一つくらい言いたくもなるじゃないですか。

 

あの人は恐らく、いやほぼ確実に。

自身の苦悩を周りに気付かれないよう意図的にそれを良しと考えていて。

自身の心傷すら隠れ蓑に丁度良いと利用する。

 

もしかすると人を悪戯してからかったりしてくるのもその一環なのだろうか?

事が済んだら適当にからかい、あしらっておけば多少不信に思われたとしても誤魔化されると思って--

 

いや、これは多分違いますね。

きっとあの人の素ですね。

 

…違いますよね?

あれまでカモフラージュとしてやってると言われたら、私普通に人間不信になりそうですけど…

 

まぁこの話は一旦置いておきましょう。

 

とにもかくにも。

私にはあの人という悪例がある。

 

 

私自身が嫌悪するあの有様を。

私自身が進んで歩むわけにはいきませんから。

 

……………………………………………………………………………………………

 

そんな訳で今回のリンドウさんおびき寄せ作戦にかこつけて。

こっそりリッカさんの頼みをこなそうと考えたのが、私がコウタの案に乗った理由。

 

まぁこの作戦にかこつけてあの人が怪しい行動を取ろうとしていないか監視するという目的もありますが。

 

榊博士の言葉を信じるなら、あの人は物事の道理を非常に重んじる性格との事。

つまり不審な行動を取っている現場を現行犯で押さえれば、いくらあの人でも観念してこちらの意見に耳を傾けてくれるようになるでしょう。

 

ちなみに弁解する場はあげません。

自分から喋れない事を利用するくらいなんですし、私も利用したっていいでしょう。

 

という訳で一人はあの人で確定ですが。

残りのメンバーの人選は慎重に行う必要があります。

 

ヒバリさんに作戦エリアの状況を確認した所。

目的の素材が有りそうな場所には現在ヴァジュラとそれを捕喰しようとしているハンニバルが彷徨いているとの事。

 

これが普通の生物であればお互いに喰い合い消耗した所を叩くのですが。

アラガミと言うのは捕喰した物の性質を取り込んで急速に進化する存在。

 

下手に共食いをさせた結果、手出しできない程強力なアラガミになってしまっては元も子もない。

 

そんな訳で今回の任務は討伐ミッションではあるのだが。

大型種二体同時に相手取るのは危険性が大きくなるため、合流前にどちらかを叩いておく必要がある。

 

となれば求められるのは攻撃力に優れ。

ヴァジュラやハンニバル相手にも果敢に攻撃を仕掛けられる実力者…

 

まぁソーマですね。順当に考えて。

適当に決めた訳じゃありませんよ?

 

 

これで残るはあと一人。

さて、誰が良いですかね?

 

………

 

「…リーダー、マジで言ってる?」

「あの、理由を聞いていいですか?適当に決めた訳じゃないんですよね?」

 

そこまで思いついた所で一旦二人にメンバーを話したところ。

予想の十倍は渋い顔を浮かべる二人が怪訝そうに聞き返してきます。

 

「何ですかその表情は。二人ともリンドウさんとほぼ同期に当たるベテラン神機使いですよ?」

「確かにそうだけどさ…え、何?まさか付き合い長い同士の方がワイワイやれるだろう的な感じ?」

 

鋭いですね、良い勘してますよコウタ。

まぁ残念ながら外れてますけど。

 

もっとも、せっかく提供してくれたそれらしい理由を見逃す必要もないので。

微笑みながら頷いて肯定の意思を示していく。

 

「ちょ、正気ですかリーダー?二人ともどう考えてもワイワイ騒ぐのから程遠いイメージなんですけど…」

「そんな事ないよアリサ。ほら、考えてみて?」

 

ソーマはよく音楽を聴いてるじゃないですか。

自分から騒ぐのはともかく、騒がしい場自体はそこまで嫌いじゃないですよ。きっと。

 

それにあの人はよく人の事からかってきますし。

喋らない上に無表情ですけど、自分から場を盛り上げるのは好きな方だと思いますよ。

 

まぁ適当に言っているだけなので間違っているかもしれませんけど。

ここでそれを言ってもこじれるだけなので黙っておきましょう。

 

さて、問題なのは残る一人です。

相手と作戦の関係上、出来れば近接神機使いが良いのですが。

 

「順当に考えれば同じ古参繋がりで…そうなるとこの二人に近いのはタツミさんですね。」

「止めてやれよリーダー、タツミさんにまで俺と同じ思いをさせるなよ…」

 

何時ぞやあの面子の中に放り出された事を思い出し。

若干遠い目をしつつコウタが口を挟んでくる。

 

確かにタツミさんは和気藹々とした空気を好み、自身も積極的に会話していくタイプ。

会話を好まないだけのソーマはともかく、そもそも会話が出来ないあの人との組み合わせは辛いかもしれない。

 

「じゃあ逆に私達に近い歳と言う事でフェデリコ…は流石にまだ経験が浅いからシュンさんとか。」

「いや、今回の相手ハンニバルですよね?コンゴウと互角のあの人じゃ正直荷が重すぎますよ。」

 

他所の支部なら実力者だと思いますけど、とフォローしつつ。

指摘してくるアリサにそれもそうかと思い留まる。

 

そう考えるとカレルさんも候補から外れますね。

まぁ銃型神機使いですので今回は元から外していましたが。

 

本来なら近接2、遠距離1の編成は悪くはないのですけど。

今回分断するのはヴァジュラとハンニバル。

 

カバー役が減る分後衛の危険は増えるし。

何より合流の可能性が出た際は近接型が文字通り身体を張って止める必要も考えなくてはいけない。

 

つまり求められるのはタツミさん以外の近接型で。

最低でもヴァジュラクラスと戦える実力者。

 

 

そう考えると。

極東支部で該当する近接神機使いは一人しかいませんね。

 

まぁ雰囲気的にも似てる気がしますし、きっと相性は良いでしょう。




-おまけ-

ブレンダン「あぁ、ちょうど今なら手が空いている。何のミッションに行くんだ?」
ルミナ「第三次リンドウさんおびき寄せ作戦です。」
ブレンダン「…すまないリーダー、一応聞いておきたいんだが…誰が俺をメンバーに入れようと言い出したんだ?」
ルミナ「一応考えたのは私ですが…あ、コウタもアドバイスをくれたと言えばそうですね。」



ソーマ「ほぅ…リーダー、その話、詳しく聞かせてもらおうか。」
ルミナ&ブレンダン「あっ。」

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なるべくしてなった組み合わせ編成
ルーキーちゃんの趣味ではありません。

ルーキーちゃんの趣味ではありませんよ?
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