無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.アナグラでも随一の実力者?
A1.実際の所は三番目くらい。

Q2.その割には強くない?
A2.瞬発力に優れた不意打ち特化型。

文字通りの強襲兵。
攻撃前にはバフを盛りまくるのもお約束。

逃げて隠れて隙を見つけてはアンブッシュ。
リンドウさんの教えそのまんまですね。


無口と神機の任務録2

アーカイブにあるアニメよろしく。

どんな相手も一刀両断。

 

それが出来れば苦労はしないが。

そうはいかないのが現実世界の厳しいところ。

 

ましてや相手はオラクル細胞の塊であるアラガミ。

いかに神機を持ってすれど、闇雲に振り回すだけでは叩き切るだけでも一苦労。

 

だからといってそこで諦めてはいけない。

神機使いとして選ばれてしまった以上、常に上を目指して挑戦し続けるくらいの気概が無くてはいけない。

 

そんな訳で唐突だが。

ユウマ先生主催、アラガミカッティング講座の始まり始まりー。

 

 

うん、男が言ってもキモいだけだなこれ。

 

着ぐるみで誤魔化せるのは見た目だけ。

このノリでレンに説明するのは止めておこう。

 

……………………………………………………………………………………………

 

知っての通り。

アラガミには肉質と言うものが存在する。

 

これは単純に硬い柔いと言う話ではなく。

オラクル細胞が持つ強固な細胞結合に由来する特殊な耐久性を表わしている。

 

例えばボルグ・カムランの盾。

これはわかりやすい"硬い"部位の代名詞。

 

斬撃、打撃、刺突に貫通。

剣だろうが銃だろうが種別問わず、キンキン音を立てて弾き返す程に硬い。

 

当たり前の話だがこういう部位は基本的に狙わないのが定石だ。

 

この講座はあくまで一般人向けの物である。

ソーマのように力で押し切れとか、カノンのように零距離で爆発放射を乱れ撃ちしろとかは言わないのだ。

 

話を戻そう。

 

変わってこちらはグボロ・グボロのヒレ。

こちらは硬さではなく別の理由によって攻撃が通りにくい部位。

 

戦ってみるとすぐわかるが。

この部位、他のアラガミのそれと違って何故か妙にヌメヌメしており。

神機で繰り出した刺突を文字通り滑らされてしまうのだ。

 

加えて尾ヒレに関してはブニブニまでしてる。

そのせいで衝撃に対しても耐性があり、叩き潰してもブニッと潰れる気持ち悪い感触しか残らない。

 

こういう部位は刺身包丁…ではなく、ロングブレードのように切断に特化した武器が有効である。

違うんだ、この前アリサが「料理の素材もアラガミくらい大きければ神機で切れるのに」ってぼやいてたからつい連想を…

 

というか野暮を承知で言うのなら。

神機で素材を切ったら多分小さくなると思うぞ。

 

神機での切断と言うのは正確には細胞レベルで物質を捕喰、つまり喰い千切っているというのが正しい。

つまみ食いは調理する者の特権と言えるが、調理器具そのものがつまみ食いするとか中々に斬新な笑い話だ。

 

おっとまた話が脱線したな。

 

要するに肉質によって攻撃の種類と通りやすさに差異がある。

例では硬い部位、効果が薄い部位をあげたが当然その逆も存在する。

 

つまりアラガミを上手にカッティングするための最初の一歩は。

"出来る限り柔らかい場所に対し、有効な属性で攻撃する"だけである。

 

別にこれは難しい話でも何でもなく。

一端の神機使いであれば誰もが知ってるし、何なら実践だってしている事。

 

だがそれを当たり前と軽んじてはいけない。

 

アラガミの両断は高等技術。

そして高等技術と言うのは、全て基本の積み重ねによって構築されるもの。

 

故に講座を開始する前に今一度。

初心に立ち返って基本を復習してみたという訳だ。

 

うん、俺今凄く講師らしい事言ったな。

今度誰かに説明する時是非使おう。

 

……………………………………………………………………………………………

 

次の話へ進む前に。

唐突だが問題だ。

 

ある人間の目の前に突然ボールが飛んできた。

少しでもダメージを小さくするため、その人物の身体はどのような反応を見せるだろうか?

 

答えは"身体を硬直させて衝撃に備える"。

専門的な仕組みの説明は割愛するが、簡単に言うと生物が持つ反射反応で身体…すなわち筋肉を硬化させ、衝撃によるダメージを軽減させるというものである。

 

これ自体は別に珍しくとも何ともない。

神機使いに限った話でもなく、誰でも一度以上は経験した事があるだろう。

 

これがアラガミの場合、硬くなるのは筋肉ではなくオラクル細胞。

ただでさえ強固な細胞結合を持つそれが、生物の本能に従い更に強力な防御力を発揮する。

 

二つ目の問題だ。

 

ダメージを与える目的で相手にボールをぶつける場合。

どうすれば一番大きなダメージを与える事が出来るだろうか?

 

これも一問目から推測すれば答えは簡単。

 

反射反応によって防御力が上がると言うのなら。

それが起きないよう"意識外から不意打ちで当てる"と言うのが答えとなる。

 

この時重要となるのは"意識外から"と言う点であり。

間違っても()()()()()と言う点を意味するわけではない。

ここテストに出すから覚えておくように。

 

この理論を元に技術として確立させたものが"ハイドアタック"というスキル。

 

細胞レベルで反射を起こす間も無く加えられた一撃は防御どころかオラクル細胞が持つ免疫すらも貫通し。

ヴェノムやホールドと言った状態異常もほぼ確実に引き起こす強力なスキルである。

 

極東だと狙撃手であるジーナが一番の使い手だな。

彼女の場合は状態異常はあまり使わず、シンプルな狙撃弾でアラガミの頭部を吹っ飛ばす方が多いけど。

 

ジーナに直接教わってくる?

気持ちはわかるが待ちたまえ。

 

俺の時はむさいオッサンだったのに。

レディに手取り足取り教えてもらうなんてずるいぞ。

 

まぁその話は後でじっくりするとして。

 

要するにここで言いたいのは何かと言うと。

正面から馬鹿正直に攻撃するよりも後ろから闇討ち仕掛ける方が効果的と言う事だ。

 

そして最後に応用問題。

 

アラガミにも視力や視界と言うものが存在する。

 

視界の外から視界の内へ。

入れば当然アラガミに気付かれる。

 

逆にその範囲にさえ入らなければどれだけ近寄ろうともアラガミに視認される事はない。

 

極端な話、スタングレネードで視界を潰してやった場合でも同じ事が言える。

この場合、何なら目の前に突っ立っていても気付かずに方向転換する奴もいるくらいだ。

 

では先に述べたハイドアタック。

これを実現するためには視界ではなく意識の外から攻撃する必要があるが。

 

意識の範囲とはどうやって測ればいいのだろうか?

何、別に難しく考える必要は無い。

 

視界云々の話にしたって、正直正確な視野なんてわからないだろう?

目が向いてる方向くらいは分かるだろうが、そこまで考えるくらいならスタングレネードとかで目潰ししてやった方が確実だし手っ取り早い。

 

意識の向き先にしたって同じ事。

 

ヒントが欲しい?

ふむ、そうだな…

 

 

カノンが後ろに立っているのを想像するといい。

表情?いつも通りのあの笑顔だよ。

 

まぁ慣れると存外、両方に意識向けれるようになるけどな。

 

……………………………………………………………………………………………

 

さて、今回のミッション。

本来はルーキー達が新種を討伐し。

安全が確保された後にカノンの捜索に入ると言うのが大まかな流れだが。

 

今だから言おう。

この作戦、実は各部隊間で致命的な認識の齟齬が発生している。

 

先に述べた新種討伐からの捜索開始という流れ。

 

これはルーキー率いる第一陣の認識としては確定事項だろう。

そしておそらく第二陣の指揮を執るサクヤも同じ認識だと思う。

 

対して俺の部隊の認識は違う。

 

俺の部隊は遊撃部隊。

戦闘専門ではないにしろ、戦闘能力はそれなりに有している。

 

カノンは大事な仲間だからな。

少しでも早く見つけてやりたいと考えるのが人情と言うもの。

 

おまけに今はレンもいる。

仮にもヨハネス前支部長直属の特務兵だった神機使いが弱いなんて筈はない。

 

であればこそ。

戦力に物を言わせての強硬捜索というのも選択肢に浮かび上がってくるのである。

 

虎穴に入らずんば虎児を得ず。

ましてやそこに待っているのは麗しの誤射姫様。

 

紳士たるもの、飛び込まない理由など存在しないのだ。

 

そんな訳で。

結果諸事情から突っ込む気満々の俺の部隊と認識齟齬が生じているという訳だ。

 

まぁ常識的に考えれば捜索隊が戦場に乱入してくるとか意味不明だからな。

安全確保のために先に討伐するという話なのにお前らが先にに突っ込んでどうするのかと。

 

誰だってそう考える。

俺だってそう考える。

 

でも今回のブリーフィングでは誰一人それを明言していないのだ。

一々言わなくてもわかるだろと誰一人それを口にしなかったのだ

 

じゃあ認識にずれがあっても仕方ないじゃないか。

 

何で黙って突っ込んだのかって?

だって誰からも突っ込むなって命令されてないもん。

 

何で質問しなかったのかって?

だって誰も教えてくれなかったもん。

 

聞いたら違うと言われるから聞かなかっただろって?

何の事やら。わざとじゃないもん偶然だもん。

 

ちなみに語尾についてはわざと言ってる。

 

こういう時は出来る限り腹立たしさを強調するのが作法らしい。

まったく、殴ったら負けとか極東の文学には不思議な表現もあるものだ。

 

 

ま、こういう発想する奴もいるにはいるから。

任務前には些細な事でも、ちゃんと口に出して認識合わせしましょうねという事さ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

そして気付けば良い頃合。

着ぐるみ効果のユーバセンスで認識しているアラガミの反応が徐々に弱った点滅を見せ始める。

 

サクヤも後方に居てフルメンバーで無いとはいえ。

流石は極東切っての精鋭部隊と言ったところか。

 

事前の説明では中々手強い相手と聞いていたが。

ものの十分と経たない内にこうまで新種のアラガミを追い込むとは。

 

それでは俺の方も準備をしよう。

 

スタミナ増強剤Sを飲み、続けてスタミナ活性剤改を飲む。

これで接敵まで全力疾走しても息切れを起こす心配はない。

 

そういえばふと思ったが。

最近は強襲直前に直接飲む事が多くなったな。

 

以前は戦闘中に口内に仕込んでた奴を噛み砕いていたが。

今は最初から普通に飲んで強襲し、そのままケリをつけられる事が多くなっている。

 

極東も優秀な神機使いが増えたからな。

 

新型使いのアリサやルーキーは元より。

彼女達の同期であるコウタの方も筋は悪くない。

 

安心して背中を任せられるというのはありがたいものだな。

 

筋力増強錠90改を飲み、続けて体躯増強錠90改。

体力増強剤Sを飲んだら偽装フェロモンを振りかけて。

 

最後に強制解放剤改を飲んで仕上げ完了だ。

 

何か物語でこんな展開見た事あるな。

あれも最後に人喰いのバケモノが待ち構えているんだったか。

 

まぁアラガミも普通に人間食うし。

バケモノと大して違いはないか。

 

「それじゃあご武運を。あぁ、以前にも説明しました通り…あのアラガミのコアは残しておいてくださいね。」

 

うむ、隊長さんに任せておきたまえ。

そっちもバレないようこっそりな。

 

あぁ、言うまでも無いだろうから言わないが。

抜いていいのは一部だけだぞ。

 

これからやるのは言ってしまえば獲物の横取り。

 

強襲までは作戦内容の勘違いで済むが。

コアまで抜いたとあっては明らかにそれは確信犯。

 

そうなるといくら俺でも言い逃れ出来なくなるからな。

後の口裏合わせも含めてよろしく頼むぞ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

それなりに経験を積んだ神機使いであるならば。

例え初見の相手であっても何となく敵の弱点がわかるもの。

 

観察する余裕があれば。

それはさらにはっきりと。

 

ましてやコイツが戦っているのは今や極東屈指となった神機使い。

的確に相手の弱点を見切り、正確に狙い撃つ様は後輩である事を忘れそうになるほどだ。

 

しかし、しかしだ。

だからと言ってそれに甘んじているつもりはない。

 

これでもそれなりの古参兵だからな。

安物とはいえ俺にもプライドというものがある。

 

とはいえ、真似して真正面から叩き切るなんて芸当は流石に無理だ。

一山いくらの神機使いにあまり無茶を言ってはいけない。

 

ではどうするか?

焦るな焦るな、今から見せる。

 

コウタが制圧射撃でアラガミの足が止まる。

間を置かずソーマが斬りかかってアラガミの体勢を崩す。

 

「リーダー!今です!」

「わかった!任せてアリ…ッ!?」

 

合図と共にアリサから撃ち出されたリンクバーストを受け取り。

いざ飛び掛かろうとしたルーキーと目が合う。

 

やぁこんにちはルミナちゃん。

リッカも大好きウサギさんだよ。

 

そう見つめるなよ照れるじゃないか。

 

見惚れるのは結構だがそれでアラガミに気付かれても困る。

もっとも、この新種君にそんな余裕は無いけどな。

 

何でって?

そりゃそうだろう。

 

足は止められ体勢は崩され。

挙句目の前にはいるのは誤射姫様よりもヤバい戦姫ちゃん。

 

喜べルーキー。あまりの可愛さに君から視線が外せないってさ。

アリサみたくボリュームが無くても、極東じゃ立派に需要があるって証明出来て…

 

この話は止めようか。

 

今は任務中。それも大事な仲間の生き死にが掛かった捜索ミッションの最中である。

ふざけてる余裕なんか一ミリたりともありはしない。

 

 

と、いう訳で。

 

 

どこの馬の骨とも知れない野良アラガミには。

ここらでとっとと御退場願おうか。

 

 

 

 

 

それにしてもこの新種は気が利いている。

わざわざ自前で天使の輪まで用意してるとは。

 

まぁ叩き割られちゃったからには可哀そうだが地獄行きかな。

たしかヘイローが無いと天国には入れないって聞いた事あるし。

 

ツクヨミだけに、まさに()()の国へご案内と言う訳だ。

 

 

アッハッハ、我ながらナイスジョーク…いや寒いか。

 

レンの歳が幾つなのかは知らないが。

見た目からしてそう歳の差なんてないだろう。

 

俺とて普通に見た目通りの若者なのだ。

わざわざオッサンみたいなギャグをかましてドン引きされる事も無い、か。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

ここ最近の陰鬱な雰囲気とは打って変わり、そこかしこから安堵の溜息ともとれる声が聞こえてくる。

 

とりあえず結論から先に言おう。

 

カノンの救助は無事成功。

若干の衰弱こそ見られたものの、二三日もすれば前線に復帰できる程度の消耗であるとの事だ。

 

良かった良かった。無事で良かった。

まだブレンダンの捜索は残っているものの、まずはこれで一息つけるというものだ。

 

ブレンダンの心配はしてないのかって?

 

してるしてる。

でもブレンダンならそうそう簡単にくたばったりはしないだろう。

 

あのゴツい肉体は伊達ではない。

偏食因子の影響も受けてる以上、四日や五日遭難した所で音を上げる男ではないと俺は思う。

 

まぁ意外とメンタルの方は繊細らしいけど。

 

人伝に聞いた話だが。

何でもアーク計画に乗ってしまった自分を責めてるらしく。

近頃その償いとでも言わんばかりに、やや無茶な自己犠牲が目立っているとの事らしい。

 

まったく、俺より年上の癖に考え方が青いな。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺を見ろ。

両親犠牲に生き恥晒して早十数年だ。

挙句恥じるどころか。己が生き様に一辺の曇り無しとか言っちゃうような人間だぞ。

 

真実なんてどうでもいい。

若者たるもの、躊躇わずに胸を張る事が大切なのだ。

 

箱舟に乗れなかった人達の目が痛いのはまぁしょうがない。

 

別にアラガミに喰われた訳でも無し。

俺の両親と違って皆ちゃんと頭部が残ってるんだから。

 

そう考えると俺が両親の視線を気にしないのは。

顔も頭も何一つ残って無くてそもそも視線が向けられていないからなのかもしれないな。

 

ハッハッハ、イッツ・ア・孤児院ジョーク。

 

ブレンダンの好みは知らないが。

意外と堅物ほどこういうブラックユーモアはウケるかもしれない。

救助の暁には是非これで和ませてやろう。

 

 

 

 

 

…で、だ。

そろそろ現実に戻ろうか。

 

 

「………………………」

「………………………」

 

 

カノンの帰還に幾分明るいムードの周囲とは裏腹に。

明らかに不機嫌そうなルーキーが俺の前に陣取っている。

 

何度目だろうなこのやり取り。

親の顔より見た光景だ。

 

ちなみにレンの姿は無い。

正確には怒りで活性化してるルーキーの姿を見た途端、まるで幽霊のように音もなくエレベーターに乗ってこのフロアを後にした。

 

ちくしょう、仮にも俺は隊長だぞ。

一声もかけずに見捨てるなんて酷いじゃないか。

 

あれほど口裏合わせろって言ったのに…ああいや、そう言えば正確には口に出してはいないのか。

だから無言でエスケープされても仕方ない、と。

 

いや、でも普通言わなくたってわかるだろ。

仮にも所属部隊の隊長をスケープゴートにするとかどういう了見だよ。

 

ちゃんと認識合わせしないからこうなるって?

何の事やら。まったくこれっぽっちも身に覚えがありませんな。

 

口に出したら即医務室送りにされそうだから言わないけど。

 

というか。

口に出すと言えばルーキーの方だ。

 

 

「………………………」

「………………………」

 

 

黙ってないで何か言えよ。

俺はエスパーじゃないんだぞ。

 

最近気付いたんだがこの子。

本気で怒ると無言になるんだよ。

 

手が出てる内はまだマシな方で。

怒りが限界に達するとこんな風に人を殺せそうな視線で睨みつけてくるんだよ。

 

ちなみに帰投して着ぐるみ脱ぐ前にこの子をユーバセンスで観察したら、アラガミもびっくりなくらい反応が真っ赤っかだった。

 

何だったらリンクバーストされてる時より凄い。

ひょっとしたらこの子、怒りで自由自在に自力バースト出来るんじゃ…

 

まぁその疑問については置いておこう。

 

何時までもこうやってにらめっこしている訳にはいかない。

何とか宥め透かしてルーキーの怒りを納めなくては。

 

とりあえず軽く場を和ませるとするか。

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

-カシュッ-

 

 

………

 

 

「…最近さ、あの人が喋れない事を悪用してるって言うリーダーの言葉が何となくわかってきた気がするんだよ。」

「いや、あれはそういう問題じゃなくないですか?喋れる喋れない以前にどうしてあの雰囲気の中でお酒の缶を開けるんですか…?」

 

-気持ちはわかるが落ち着け!直接聞きだすって言ったのはお前だろう!?-

-いや、まだるっこしいからもういいです。もう手っ取り早く暴力で聞き出しましょう。-

 

「あのソーマが止める側に回ってる…もしかして彼、感情が無いとかいう自分の評判も悪用してるんじゃないかしら?」

「あーありえそう…こっちはあの無表情見ても何考えてるかなんて全然わかんないし…」

「性質悪すぎですよそれ…でも私達の一件から考えるとあながち否定できないのが何とも…あっ。」

 

 

………

 

やぁカノンさっきぶり。

元気そうでなによりだ。

 

「あ、あの、何かあったんですか?助けてもらった時よりボロボロになってますけど…」

 

何、気にするな。

少しばかり場を和ませるのに失敗しただけだ。

 

流石に真正面から一撃で結合崩壊させられるとまでは思わなかったけどな。

 

柔らかい場所とか意識の外とか。

そんな事を忘れさせてくれるくらいの良い一撃だったよ。

 

あ、ヤバ。

ていうか思ってたより足にきて--

 

 

…悪いカノン。

とりあえずナースコールお願いします。




迷わぬ手つきでカシュッと開缶。

トレーナーと某娘なら怒られるだけで済みますが。
この人はお姉ちゃんでは無いのでどつかれても仕方ないですね。

レン君ちゃんの出番が一瞬だった方が問題?
正に正論。
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