無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
A1.似てる。
Q2.まさか血の繋がってない…
A2.ルーキーちゃんが神機持ってそっち行きましたよ。
今のルーキーちゃんは無口さんに不満を抱いている状態。
その人の妹みたいなんてからかい方をしてはいけません。
「…結局の所。話を聞くにこれはただの色々な機能が搭載されたウサギの着ぐるみって認識で良いんでしょうか?」
ひとしきりリッカさんとの会話も終わり。
区切りの良いタイミングで再び着ぐるみの話題へと話を戻す。
「うん。元々あった実験用強化スーツにシオちゃんのドレス作成で得た服飾技術で作った繊維素材でコーティングしたウサギの着ぐるみだね。」
「着ると狂暴になったりアラガミを倒したい衝動に駆られるとかは…」
「ないよ!?というかそういう理由で疑似バーストになる機能がどうとか聞いてきたの!?」
「どんなウサギですかそれ…もしそういう意図があるなら普通ライオンとかにしません?」
聞きたい事は全て聞け。
リッカさんに確認したい事も無くなったので雑談タイムに移行する。
「そうそう、そう言えば何でウサギなんです?一応これ、建前としては作戦支援用の強化スーツなんですよね?」
「あ、それ私も最初から気になってました。何かウサギである必要性があるんですか?」
「うっ、それは…」
私とアリサからの質問にリッカさんの視線が泳ぐ。
泳いだ先にはクピクピとお酒の缶を傾けている神機使いの姿。
先程私が視線を向けた時とは違い、今度は真っすぐリッカさんの目を見返している。
「…彼の趣味…みたいな?」
「すぐバレる嘘は止めましょうよリッカさん…ほら、あの人凄いこっち見てますよ?」
相変わらずの無口無表情の鉄仮面。
しかし普段のそれとは打って変わり、今は「嘘つくな」とかつてない程にあの人の目が物を言っているような気がします。
「ま、まぁ正直ウサギにしちゃったのは出来心というかなんというか…でもちゃんと機能を持たせてるからただの見た目だけに終わってないよ!例えばこの耳の中にはね…!」
レーダー、アンテナ、各種特殊ゴーグルに稼働補助装置。
それは聞けば聞くほど思った以上に凄い装備…なんですけど。
…別にウサギの姿にしなくても良かったのでは?
隣の様子を伺う限り、アリサもどうやら同じ感想に至ったようだ。
「と、とにかく被ってみてほら!頭だけでもこの着ぐるみの凄さがわかるから!」
「え?わっ、ちょっとリッカさん何を…!」
私とアリサからの怪訝な視線に堪えられなくなったのか。
誤魔化すように声をあげ、無理矢理私にウサギの頭部を被せてくるリッカさん。
抵抗虚しく被せられてしまった私の視界は暗闇に覆われるものの。
一瞬の後に普通の視界が戻った後、レーダーのような物が何とも言えない感覚で脳内に投影されていく。
「わっ、凄い。本当に三人分の反応を感じます。これがユーバーセンスと呼ばれる感覚なんですか?」
「ね。便利でしょ?性能の関係上、
例えるなら頭の中に浮かんだミニマップのようなものに浮かぶ光点。
一つは自分の隣から。一つは少し離れた位置から。
なるほど、神機使いの位置が丸わかりだ。
偏食場パルスを感知してると言う話だし、これがアラガミ相手ならきっと向いている方向すらも分かるのだろう。
うん、確かにこれなら捜索ミッションに持ち出してきたというのにも納得できる。
見た目はどうあれ、あの人は手段を選ばないところがありますから。
慣れない感覚と視界をリンクさせるよう、物珍しさも含めてキョロキョロしていると。
いつの間にか隣の部屋にあった反応が件の神機使いの隣に移動している。
視線を向けて見れば、そこにあったのはレンの姿。
肩を叩いてあの人を促し、軽く辺りを見回してから二人連れ立って私達がいる保管庫を後にする。
「そう言えばリッカさん。あの人達今日は何しに来ていたんですか?」
視界から完全に外れているにも関わらず感じる二人の反応に若干戸惑いつつ。
ふと疑問に思った事を口にする。
「え?私は知らないけど…というか二人がこの着ぐるみの件で声かけたんじゃないの?」
「いえ、私はリーダーがリッカさんに聞きたい事があるって言ってたから付いてきただけで…」
「それじゃあ今日は
私がその言葉を口にした途端。
二人とも示し合わせたように目を丸くしてこちらへ顔を向けてくる。
「何言ってるんですかリーダー。今も何も、ここには
「そうそう。今だって出て行ったのは彼が一人で…あ、もしかしてちょっとレーダーの調子悪い?」
カポッと着ぐるみの頭を持ち上げられ、新鮮な空気と共に視界が戻る。
おもむろに道具を取り出して被り物の下から内部を覗き込むリッカさんに、私は説明を続けます。
「いえ、レーダーは多分ちゃんと機能してますよ。アリサとあの人、それにレンの三人が映ってましたし。」
「…アリサと彼と
「そもそもリーダー、その"レン"って誰の事です?」
…レンを知らない?
おかしい。
どうも根幹の部分から話が噛み合っていないような気がする。
百歩譲ってレンが今あの人と一緒に部屋を後にしたのが私の勘違いだったとしても。
そもそも知らないなどという返答が返ってくるのはどう考えても変だ。
これがシュンさんとかなら意地悪でからかっているのかなとも思いますが。
少なくともあんなに後輩が出来ると喜んでいたアリサが新人の存在を忘れるような真似をするとも思えない。
そうだ、冷静に考えてみると初めて会った時からずっと違和感があった。
初めてレンと会ったのは医務室。
あの時はリッカさんに怒られていたので気付きませんでしたが、初対面であるはずのレンに対する言及が一切なかった。
そしてその後ツバキさんがエントランスホールで新人紹介をした時。
アネットとフェデリコは自己紹介したにも関わらず、レンだけが私に微笑みを向けただけで終わった事。
リッカさんの性格からして、レンに一瞥もくれないというのは想像出来ないし。
ツバキさんの性格からして、レンの紹介を失念していたというのも想像出来ない。
「そのレンって人が誰なのかはともかく、レーダー関係無しに部屋を出たのはあの人一人だけでしたし…どうしましたリーダー?…もしもし、リーダー?」
ハッと目の前でパタパタとアリサの手が振られているのに気付いて我に返ると。
いつの間にか二人から向けられていた視線が疑問ではなく心配の色を帯びたものへと変化していて。
「…リーダー、もしかして結構疲れてないですか?今日はもう休んだ方が良いですよ。」
「私もそう思う。にしてもこれ、要調整かなぁ。リーダーに何か変な物見せちゃったみたいだし…しばらくは私の方で預かっておく事にするよ。」
失礼な、私は疲れてなんていませんよ。
少なくともあれは幻覚なんかじゃありません。
しかしどうやら二人は私の発言を"疲労からおかしな幻覚を見た"と言う事で解釈一致したらしく。
「それじゃアリサ、片付けは私がしておくからリーダーの方はお願いするね。この人、この感じだと目を離すと多分休もうとしないからさ。」
「了解です。それじゃリーダー、今日のところは部屋でちゃんと休んでくださいね。」
「わわっ。ちょ、ちょっとアリサ離して…」
弁解の機会を与えられる事も無いまま。
アリサに手を引っ張られるまま自室まで連行されてしまいました。
…ねぇアリサ。
私ってそんなに信用無い?
「えぇ。リーダーの事は信頼していますけど、ここ最近の様子を見る限り休むことに関しては全く。」
むぅ、即答ですかそうですか。
納得いきませんが思い当たる節が無いとも言えないので今回は素直に飲み込みましょう。
危うく捕捉されそうになったレン君ちゃん。
そして何かに勘付き始めるルーキーちゃん。
書き足したら長くなったので再度区切ります。