無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
A1."新型"のルビがNTになり始めてるくらい。
Q2.苦手な相手いる?
A2.スペックでゴリ押してくる大型アラガミとか、物量で押し込んでくる小型アラガミの群れとか。
Q3.勝てない?
A3.とは言ってない(評価SSS+)。
総評:アリサどころかソーマもちょっと引く程度。
※12/12 タイトル変更、ついでに一部ちょっと修正。
危険区域における遭難者の捜索にあたり。
最も気を付けなければならないのはニアミス(すれ違い)である。
これから出向く場所は治安の整った都市区にあらず。
人喰いの化け物が闊歩する、この世の地獄の一丁目。
付近にはお腹を空かせた猛獣もどきが絶賛ご飯を求めて徘徊中。
となれば当然、捜索隊が見つけやすい見通しの良い場所に陣取って待っているなんて話はありえない。
必然的にアラガミから隠れる遭難者を求め、地道に人が潜む事の出来そうな場所を探していくことになる。
それこそしらみつぶしに、アラガミがウロチョロしている危険区域で。
もちろん現場では声を上げて救助者にこちらの存在が伝わるよう呼びかけもするし。
レーダーを用いて付近に救助ビーコンの反応が無いか精査も行う。
だがこれだけでは正直足りない。
言わずもがな人間が大声を出し続けて呼びかけるのには限界があるし。
遭難者が意識を失う程に衰弱していたり、疲労から眠ってしまっていたりすれば文字通りの徒労に終わる。
ビーコン反応の精査にしても盲目的に信用できる程の精度は残念ながら無い。
ツバキさんの言い分も分からんでは無いが、だからと言っていきなり高性能な代物が出てくるほど現実は都合良く出来ていないのだ。
というわけで話を戻そう。
そういう訳でブレンダンが潜んでいるであろうおおよその区域は掴めているものの。
どの辺りに隠れて救助を待っているのかまでは探してみないと分からない。
加えて当該区域には現在一匹のプリティヴィ・マータの存在が確認されている。
件の刀傷を負っていたというアラガミであることから、恐らくはブレンダンを追ってきた個体だと考えられるが。
いつぞやのリンドウの時のように急に他の個体が集まってくる可能性も無いとは言えない。
もしそうなれば捜索は否応なく中止。
再開する頃には偏食因子の投与期限もタイムアップでゲームオーバーと言う奴だ。
今時そんなつまらないオチは流行らない。
手負いの死にぞこないには速やかに御退場頂き、他のアラガミがやってくる前に確実に見つけ出す必要がある。
では先に述べたすれ違いが起こらないよう。
俺達がするべきことは何か?
そう。見逃しや見落としが起こらないよう。
怪しい場所を手当たり次第放射と爆発弾で消し飛ばして--
なんてな。ハッハッハ、ジョークだジョーク。
イッツ・ア・レスキュージョーク。
いくら見つけ出す事が第一と言っても。
その過程で救助対象を仕留めにかかってどうする。
丈夫な神機使いが相手とは言え、そんな真似をすれば五体無事で発見できる訳がない。
どこぞの婦長じゃあるまいし、俺はそんな頭バーサーカーな手段を用いたりはしないよ。
吹き飛ばすのはあくまでアラガミ。
声の代わりに鉄風雷火を轟かせ、俺達が救助に来た事を伝えればよい。
まぁその過程でちょっと辺りが焦土になるかもだけど。
スマンな、俺もカノンもお菓子作り以外の火力調整は苦手なんだ。
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ここは極東支部の出撃ゲート。
贖罪の街近辺に潜伏していると思われるブレンダンを救助すべく。
選りすぐられた精鋭メンバーが神機と共に続々と集結してきている。
まず初めに現れたのは新型神機使い、アネット・ケーニッヒ。
先日入隊したばかりだというにも関わらず"壊し屋"の異名を冠する事になった、極東支部期待の大型新人である。
何でも商品が詰まった自販機を直すべく。
斜め45度の角度で拳を叩き込んだとの事。
その結果自販機に発生していた詰まりは無事解消。
ちなみに自販機は故障していたのではなく、ただコンセントが抜けていただけだった。
無駄死にだとか言ってはいけない。彼はその身を挺して伝説の礎となったのだ。
次にやってきたのは極東支部第二部隊所属、台場カノン。
説明不要。先日公の発表にて世界一の神機使いと称された、まさに生きる伝説その人である。
射線に入ると吹き飛ばされるし、射線に入らなくても吹き飛ばされる
そんな世界中から怖れられる事になったカノンの誤射だが。実はこれ明確な理由が存在していたりする。
実際に撃たれる側の視点で見ると一目瞭然なのだが。
射線から逃げようと身体をずらすと、それを補正するかのようにカノンが構える銃口も追尾して照準を合わせてくるためである。
これによりうっかりアラガミの近くでロックオンに巻き込まれた場合、回避行動に追従して大型弾が撃ち込まれてくるせいで誤射される。
またロックオン対象に巻き込まれなくとも発射直前まで銃口がせわしなく動くため、何時の間にか射線に組み込まれてしまった結果ロックオンが切り替わって誤射される。
「射線上に入るなって~」とカノンが言うのもこれが理由だ。
どちらの場合もカノンからすれば射線に割り込んできたのは誤射された側の認識となっているからである。
おまけに明らかに目と言動がヤバくなっているせいか、誰も彼もが反論を諦めて目を伏せる。
結果カノン自身も改善する機会を得られずに誤射が続くという訳だ。
まぁ俺は物事をはっきり言うタイプの人間だから関係無いがな。
先輩神機使いとしてカノンが誤射した際にはちゃんと叱るようにしてる。
記憶違いじゃないのかって?
そんなことは無い。毎回お詫びのクッキーやチョコ貰って食べてるんだから。
そして最後にやってきたのは第一部隊隊長、ルミナ・フォンブラウン。
極東支部初の新型神機使いにして。
もはやこの極東支部で知らない人間は存在しないであろう、現極東最強の神機使いである。
見た目こそ歳相応だが…
いや、やっぱり贔屓目で見ても歳の割りには色々と小さいな。
身長こそ辛うじてリッカ並みだが、同年代のアリサと比べてある所がまるで成長していない。
体重に至ってはロングブレードを振り回した際の遠心力がそのまま機動力に変換される程だ。
しかしその実力たるや、精鋭部隊である第一部隊隊長の肩書に全く恥じない強さの持ち主。
人手不足を理由に単騎でアラガミの群れに突っ込んで殲滅してくるその様は最早戦略兵器のそれといっても過言ではない。
入隊当初こそそれなりに粗の見え隠れする戦いぶりではあったが。
今では入隊後僅か数か月で数多のアラガミを屠ってきた正真正銘のゴッドイーターである。
そんな彼女だが意外にもソーマのように化け物呼ばわりされる事は殆どない。
その理由は一見する限りでは昨今流行りのクール系少女に見えるものの。
食べ物を与えた瞬間、ただの可愛い小動物のそれに成り代わるためである。
モキュモキュと小さな口で一生懸命にクッキーを咀嚼し。
コキュリコキュリと少しずつ飲み込んでは新しいのに手を伸ばす様は正直愛着さえ覚える。
-あれは化け物というよりただの猫科の猛獣だろ。-
誰が言ったか忘れたが中々言い得て妙だと思った。
戦闘になれば凄まじい強さを誇るが、平時はぶっちゃけただの人懐っこい少女だからな。
隣にルーキー居たから相槌打てなかったけど。
まぁいい、今度子猫ちゃん呼ばわりしてからかってやろう。
閑話休題。
話を戻そう。
そんな訳で今回のメンバーはルーキーを筆頭にカノンとアネット、そして俺。
四人がエレベーター正面の一角に集まり、これから出撃するミッションについてのブリーフィングを開催する。
今回基本となるフォーメーションは1-1-2。
通常のそれよりも各列の感覚が詰められた密集形態となっている。
今回相手となるプリティヴィ・マータは中距離以上からの攻撃手段も有している。
そのため距離を保った戦法が必ずしも安全を確保出来る戦術とは言い難い。
-それなら最初から後衛も前に出た方が敵の動きが見えるから良いのでは?カノンさんなら前衛に出た方が色々安全かもしれないし…-
そんなルーキーの発言を受けて提案したのがこの陣形。
前衛にルーキー、後衛にカノンと俺。
真ん中は遠近両方こなせるアネットを配置。
前衛は中陣のサポートを受けつつ正面からアラガミに仕掛けて足止めし。
後衛はその隙に近距離から高火力を間断無く撃ち込む攻撃寄りの陣形である。
「…あれ?先輩が後ろなんですか?バスターブレードで後衛は戦い辛いんじゃ…」
作戦概要に目を通し始めて数分後。
アネットから上がった疑問に俺以外の面子が改めて作戦概要を読み直しておく。
「そう言えばそうですね。もしかして今回は新型神機の方を持っていくんですか?」
「新型神機も使えるとこういう時戦術の幅が増えて便利ですよね。旧型神機の私はアラガミを狙い撃つ以外選択肢が無くて…」
思わずカノンの言葉に突っ込みそうになったが今は置いておこう。
確かにカノンやルーキーの言う通り、新型神機を持っていくという手もあったのだが。
射撃のみに特化させると考えた場合、ジュネレーターとマガジンカートリッジを兼ね備えた旧型神機の方に軍配が上がる。
可変機構にスペックを割いている新型神機では鉄風雷火を轟かせるには少々オラクル容量が心許ないのだ。
新型には新型しか出来ない事があるように。
旧型にも旧型の方が優れている利点がある。
以前アリサが言っていた事はあながち間違いでも無かったりするのだ。
本人的には黒歴史扱いみたいだから言わないけど。
解釈次第では普通に含蓄ある言葉だと思うんだけどな。
まぁその話はいいや。
本題に戻ろう。
疑問符を浮かべるアネットにルーキー。
心なしか羨ましそうな目を向けるカノン。
取り急ぎ俺のやるべき事は彼女達の誤解を解き、疑問を解消してやる事である。
という訳でほい。
これが今回の俺の装備ね。
「…え?」
「あれ?これってまさか…」
「あの、冗談ですよね?貴方確かに新型も使えますけど、一応近接神機使いなんですよね?」
バインダに挟まっている作戦表から俺の隊員情報のページを抜き取り。
彼女達に手渡したところ三者三様の異なる反応が返される。
共通しているのは目に見えて顔に現れている"言ってる意味がわからない"という感情。
まぁその反応もやむ無しかなとは思ってる。
何しろ今回の俺の得物は鈍色に煌めく六本の銃身--
そう、皆大好き"ガトリングガン"だからである。
旧型神機だからシールドが付いていないのが少々残念な所だな。
「ガトリングガンってアサルト銃身のやつですよね?ユウマさん、近接神機使いなのに射撃戦も得意なんですか?」
「率直に言ってカノンさんの方が上手です。この人何十発と撃って当たったの一、二発だけでしたし…」
おい言葉を慎めルーキー。
事実を陳列するのは良くないぞ。
「わ、私と比べたら可哀そうですよ!普段バスターブレードを使うユウマさんがブラスト使いの私を比べても参考には…」
やかましいぞカノン。
つい最近世界一に輝いたばかりのお前には言われたくない。
「実は射撃が得意という訳じゃないんですね。…じゃあ何故わざわざ不得意な銃型神機を?」
良い質問だアネット君。
その回答にはまず今回の任務における注意点から--
「あ、わかりました。」
アネットに答えを返そうとした直前。
ルーキーがそう口を開いたために言葉を止める。
ほぅ、流石は第一部隊隊長。
自力で答えに辿り着くとは。
では答え合わせといこうか。
「カノンさんに誤射されるのを避けるために剣から銃身に換装してきましたね?旧型神機なのも新型だと剣形態に切り替えれてしまうからで…」
違うわたわけ。
撃たれるのが嫌なら何でわざわざカノンの同行を許可したりするんだよ。
う、そ、そんな悲しそうな目で見るなカノン。
アネットも何かこっちを見てるし、お前らこんなルーキーの戯言を本気で信じるのか?
俺が銃型神機を持って来たのには歴とした訳があって…
「………………………」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
…畜生わかったよ!
そこまで疑うというのなら。
カノンより前に出て戦ったなら。
間違っても誤射を恐れてなんて感想は出てくまい。
それに近付けば命中率も上がるからDPSも増えて一石二鳥だ。
装甲は付いてないから誤射されたら確かにヤバいけど。
当たらなければどうと言うことは無い。
神機の性質の違いが実力の決定的差ではない事を教えてやる!
…だから頼むぞカノン。
マジで信じているからな。
……………………………………………………………………………………………
「先輩、さっきの話本当なんですか?」
「いや、ああは言いましたけど多分違いますね。あの人は確かに言葉を喋れない人ですけど、そんな陰湿な真似は絶対にしない人ですし。」
「良かったぁ。追い回すんじゃなくてついにそういう形で訴えてくるようになったのかと思っちゃいましたよ。」
「大体カノンさんの誤射は防げば別に問題ありませんしね。あの人も普段からそうしてますし。」
「…すみません。それが出来るの、多分先輩達二人だけです。」
「発想が凄いというかなんというか…あの人もリーダーさんも、結構そう言う所似てますよね…キャア!ちょ、リーダーさん!?」
-そう言えばカノンさんって射撃の時結構銃身がぶれる事が多いですよね。-
-きっと重心が前に偏っているからですよ。銃身だけに。-
-出撃前にちょっと調整しておきましょう。あぁ、お礼はいりませんよ。隊員のパフォーマンス管理もリーダーの務めですから。-
-おぉ、これは、むぅ…自分から言っといてなんですが意外と本当に重量が…-
「そう言えばアネットも足が遅いの気にしてたけど…もしかしてアネットも思いの外これが?」
「わ、私は違いますよ!だから片手をこちらに向けないでください!」
「な、何でもいいので早く助けてくださいぃ…」
…ついてこないなと思ったら。
公共の場で何やってんだアイツらは。
いや、この場合はルーキーか。
力はソーマ並みに強いくせに、アイツと違って普段からスキンシップを好む子だし。
まぁいい、仲間とのコミュニケーションは大切だ。
男が混じっていたら大問題だが同性同士でやってる分には構わんだろう。
眼福だしな。
そのうち来るだろうから放っておこう。
ガトリングガンは近接型の標準装備。
どこぞの青いモ○ルスー○とお揃いですね。
このSSではルーキーちゃんに連れて行ってと頼んだのがアネットになっています。