無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.ルーキーちゃん単騎?
A1.レン君が傍にいます。

Q2.無口さんちゃん単騎?
A2.レン君(アナザー)が傍にいます。

どっちのレン君も他の人には見えません。

ちなみにルーキーちゃん側のレン君は支援型。
無口さん側のレン君は戦闘型です。


無口な無口な裁罪人-幕間_ルミナSide-

-Side_ルミナ-

 

背後に突如響いた崩落音。

 

崩落と言っても自身がいるのは生き埋めになるような狭く危険な場所では無く。

頭を屈めて潜り抜けた先の、ちょうど人一人が立って通り抜けられる程度の狭い道。

 

窮屈ながら振り返る事も出来ないような場所じゃない。

 

やや肩をこすりつつ体制を振り返ってみれば。

先程自身が通ってきた通路を瓦礫の塊が塞いでいる。

 

「………え?」

 

物語にありがちな展開としては。

仲間だと思っていた人物に裏切られ、止むを得ず危険な難所へと進まざるを得なくなると言った場面だろう。

 

確かに目的地点に危険が無いとは言わないが。

その道中にあるのは正規の手段で乗り込む際に利用する開いた空き地。

 

通ってきた道を引き返す事は出来ないが。

アナグラに帰投しようと考える分には何も問題は無い。

 

寧ろ脳裏に過っている不安はその逆。

 

逃げるために引き返す事を防ごうとしているのではなく。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()瓦礫を崩したのではあるまいか?

 

 

思い当たる節は多々ある。

加えてあの時のリンドウさんも、崩れた瓦礫の向こうにただ一人残ったのだ。

 

 

そして次の瞬間、壁と瓦礫の向こうから響いたアラガミの咆哮が。

私の思考の全てを肯定し、ようやくあの人の思惑を理解する。

 

 

「ッッッッ!!!!!!」

 

 

ここにきて。このタイミングで。

あの人はまたしてもやってくれた。

 

ここまで私の我儘に協力してくれた事には感謝の気持ちしかないし。

激情が湧き立つ今とてその気持ちに嘘偽りは欠片も存在していない。

 

でも、だからって。

性懲りも無く、またこんなタイミングで。

 

 

「あの、人はぁっ…!!」

 

 

溢れ出る怒りのままに神機を構えようとする。

 

が、ただでさえ人一人通るのが関の山の狭い通路。

剣など振り回すどころか満足に構える事すらままならない。

 

ならば銃形態でと考えても。

この狭い通路を抜けない限り切替すら出来ない。

 

改めて考えてみればここはこの上ない死地だ。

 

正面からならまだしも、このタイミングで背後から襲われればそれまで。

満足な抵抗すら出来ないまま殺されかねない絶体絶命の難所。

 

そんな場所に私を先に行かせた理由。

それは同じ死地でも神機を構える正面と無防備な背後では襲われた際の危険性に雲泥の差があるから。

 

そしてあの人の懸念通り。

背後から看過出来ない危険が差し迫っただろう。

 

私が通ってきた道を崩した理由。

それはいくら正面を向く事が出来るとはいえ、わざわざ危険を冒して再度危ない道を戻ってこないようにするため。

 

通路を塞がれた以上視線や攻撃が遮られるのは向こうも同じ。

あちらから危険が及ぶのを防ぎつつ、こちらから危険に飛び込もうとするのを封じる一石二鳥の妙手である。

 

 

「ふざけないでくださいッ!!」

 

 

恐らく叫ぶ声は向こう側には届かない。

それでも堪え切れずに感情のまま声を上げ続ける。

 

 

「誰がっ!誰がそこまでしてなんて頼みましたかっ!」

 

 

貴方も!

リンドウさんも!

 

 

「どうして!どうしてそう簡単に身を簡単に投げ出したりするんですかっ!どうして残される人の気持ちを考えずに、そうしてすぐ行動に移すんですかっ!」

 

まさか、まさか自分だけの犠牲で済むのならとでも思っているのか。

もしそうだと言うのなら浅はかと言うにも程がある。

 

ましてや貴方は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

通路を駆けるのように飛び出し。

即座に神機を銃形態に切り替え、バレットをセットする。

 

まともに構える事すら出来ない通路では、神機を振るって道を切り開く事は出来ない。

 

私の銃身はアサルト、所謂ガトリングガンと呼ばれるタイプ。

本来は連射性に優れた銃身であり、爆発タイプのバレットとはお世辞にも相性が良いとは言えない。

 

だが先日あの人が私の目の前で見せてくれたあの技術。

リッカさんと相談しながら応用し、訓練を経て体得したあのスキル。

 

 

六本の銃身を生かしたそれぞれが別種の爆発弾の一斉掃射。

本来は交差消滅により不可能である筈のそれを、別々のバレットを超高速で切り替え撃ち出す事により実現させた正真正銘の飽和爆撃。

 

それを持ってすればこんな瓦礫の蓋なんてものの一瞬で容易く吹き飛ばす事が出来る。

 

無論ここに爆風を避けられる程の余裕ある空間なんて存在しない。

空気の逃げ道すらないこんな所でそんな射撃を行えば、撃ち出す本人とて破壊の暴圧から逃れる術はない。

 

 

--それが、どうした。

 

 

死ななければ良いんでしょう?

生きてさえいれば、()()()()()()()()()()()()()

そして今の私には、それを掴み取る事が出来る力がある。

 

あの時の私に、それを選ぶことすら許されていなかった。

 

家族がアラガミに殺されたあの日も。

リンドウさんが一人残されたあの時も。

 

理由は簡単だ。

私が弱かったから、ただそれだけの事。

 

大切な家族を守るために抗うという選択。

大切な仲間を守るために留まるという選択。

 

弱い私がその選択を選んでも無駄死にでしかない。

故にあの人達の想いすら否定するその結末は、初めから選ぶ事すら許されなかった。

 

それはきっと誰のせいでもない。

全ては私が弱かったからだけの事。

 

弱い事は悪では無いが。

弱い事は罪なのだ。

 

罪である以上、罰という名の制約を課せられるのは当然。

そして私に課せられていた罰とは、その選択を選ぶ事が許されなかったというだけ。

 

でも、今は違う。

 

無力だったあの頃に比べて。

今の私は比べ物にならない程強くなった。

 

少なくとも私の行く手を阻む壁を吹き飛ばす事など訳はない。

有り体に言って、その気になれば目の前の石くれなど障壁にすらなりはしない。

 

爆風のダメージは当然あるだろう。

だが問題無い。回復錠は十分に持っている。

 

致命傷を避けさえすれば。

例え仮初の力であろうとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

壁に銃身を押し付け。

余波の衝撃に意識を備えつつ引き金に指をかける。

 

 

「…待ってリーダーさん。そんな事、あの人は望んでいませんよ。」

 

 

いざ引き金を引こうとしたその刹那。

何時の間にか戻ってきたレンが神機を握り締める私の肩に手を乗せる。

 

 

「…『気持ちはわかります』なんて綺麗事は言いません。その上で、貴女が今成さねばならない事について改めて質問します。」

 

 

-貴女は何のためにここまで来たんですか?-

 

 

-明確な規則違反を犯し、彼をその共犯へと巻き込んで。-

 

 

「それ程までに貴女がやりたかった事がこれですか?これまで積み上げてきた事を薙ぎ倒し。一時の感情で全てを台無しにする行動を取る事が。」

「ッ貴方に、何がわかってッッ…!!」

 

 

邪魔するのならタダではおかないと。

銃口こそ向けていないものの、もはや仲間に向けるべきではない眼でレンを睨みつける。

 

 

 

 

 

それでも尚。

彼の瞳に揺らぎはない。

 

 

 

 

 

「…巻き込まれただけのあの人が。何故後顧の憂いを絶つ役目を買って出たのか?」

 

-相手は決して楽な相手ではない。それどころか不確定要素を多く含んだ未知の相手。-

 

「運悪くば万全を持して挑んでも不覚を取ってもおかしくはない、それこそ命を賭す必要のある相手であるにも関わらず。」

 

-それでもあの人はそれを選んだ。-

 

「おまけに感謝どころか恨まれる事すら承知の上で、それでも自身の救路を絶ってまで貴女を送り出した--」

 

 

-それを踏まえた上で今一度。-

 

 

「貴女が成そうとした事を踏まえて考えてみてください。」

 

 

-貴女が今成すべきことは。我が身を傷付けてまでしてあの人の所へ戻る事ですか?-

 

-それともあの人の心を汲んで、少しでも早くリンドウの元へ向かう事ですか?-

 

 

シオと同じ、ハイライトの無い橙の目を真っすぐに向けながらレンが言葉を紡ぐ。

 

既にトリガーにかけた指に力は籠っておらず。

だらりと銃身を下げたまま、同じように顔も自身の足元へと項垂れ。

 

 

レンは続きの言葉を喋ろうとしない。

恐らくは私が答えを返すのを待っているのだろう。

 

 

「嘘つき…!」

 

 

数秒後か、数分後か。

出てきた言葉はそれだった。

 

 

「嘘つきッ…!、嘘つき、嘘つき嘘つきぃッ…!!」

 

 

項垂れたまま。

力なく神機を下げたまま感情的に叫び続ける。

 

 

大丈夫だって言ったじゃないですか。

全て上手くいくって言ったじゃないですか。

 

なのにこんなにあっさり。

それもこんなにも意地悪いタイミングで前言を翻すような真似をするんですか。

 

涙が止めどなく零れ落ちる。

悲しいのではない。悔しいのだ。

 

力を蓄えたのだと思った矢先。

あの頃と同じように変わらず無力なのだという事実を突きつけられて。

 

 

同時に激情に焼き切られた思考が急速に回復し。

自身のやるべき行動を整理し、構築していく。

 

 

今私が成すべき事。

それは感情的に泣きじゃくる事でも、あの人の不満をぶつけにいく事でもなく。

 

私があの人に協力を求めた、リンドウさんを止めに行く事。

それ以外の事は無く、その他にそれ以上もそれ以下の事も存在しない。

 

 

でも、でもこれだけは。

今この場ではっきり言わせておいてください。

 

 

「…私、絶対に許しませんからっ!!」

 

 

レンが驚きに目を見開いて私を見つめるが。

構う事なく感情のまま、私は言葉を続けていく。

 

「大丈夫だって言いましたよね!?全て上手くいくって言いましたよね!?」

 

「これが、これがッ…!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?-

 

レンに諭され。

あの人の想いを理解し。

 

それでも尚納得出来ぬ。

そんな感情に折り合いを付けるためだけに声を荒げる。

 

 

「信じますからねッ!私、信じましたからッ!だから、この言葉だけは…」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!-




ルーキーちゃんは最終ミッションへ。
誰かルーキーちゃんに悪い大人を真似るなと叱ってあげてください。

とりあえず悪いのは無口さんとリンドウさん。
ただでさえよわよわなメンタル状態なのに思わせぶりなムーブをかましたり、「俺の事は放っておけ」なんて言ったらそりゃ心も摩耗するに決まってます。

レン君ちゃんは無罪、誑かしたとか言ってはいけません。


話は変わりますが。
無口さんってドーピングで心身が限界になってくると神機使いもアラガミと見なしていましたね。
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