無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.レン君ちゃん何が起こったの?
A1.本編シナリオからのフィードバック。

Q2.致命傷?
A2.Nein(いいえ)。

ルーキーちゃんと無口さんの両方に憑いているので受けるフィードバックは二分の一。
流石に戦闘は無理ですが、しばらく休めば普通に回復する模様。

そしてレン君ちゃんはいい子だから何一つ嘘はついていません。

致命傷じゃないからちゃんと"死にません"って伝えたし。
人間だとアウトな傷だって事も理解してるから"人間より丈夫だから"とわざわざ口にしてくれました。

ただ"(神機だから)人間じゃない"というのを伝え忘れちゃっただけ。

何時だってちょっとしたアンジャッシュがヤバい事を引き起こすもの。
結果ものの見事に地雷が弾け飛びました。


無口な無口な裁罪人5

-ビーッ、ビーッ、ビーッ!!-

 

ひとしきりレンを道連れにしてくれたクソトカゲの身体を喰い尽くした所で。

唐突に携行している無線機からの呼び出し音が鳴り響く。

 

一瞬、アナグラからの直接通信かと思考がよぎったが。

ルーキー共々無断出撃している身の上なので、このタイミングで直接呼び出しがかかるとは考えにくい。

 

ましてやここは電波の届きにくい地下空間。

となればこれはとある程度内容を予想しつつ端末を確認する。

 

表示されている発信点はここから目と鼻の先。

 

内容は極東支部所属の輸送ヘリから発せられた救援要請。

アラガミに強襲されて空中に緊急避難したものの、このままではリンドウ達の回収どころか自身が撃墜されかねない状況との事。

 

時間短縮のためにカバーミッションをすっぽかしたのが仇となったか。

我ながらとことん選択肢を間違える男だな。

 

とはいえ当然、放っておくわけにはいかない。

 

アラガミに対して通常兵器はあまりにも無力。

神機使いの手助け無しにルーキー達が戻ってくるまでの時間を稼ぐなど文字通り至難の技。

 

そしてエイジス島からそう離れていないとはいえ。

ルーキーが駆け付けるまでには少しばかり時間がかかる。

 

仮に救援に間に合ったとしても、あのクソトカゲとやり合った後だ。

どの程度消耗しているかはわからないが、全くの無傷という事はあるまい。

 

そんな状態で消耗したリンドウを抱えての戦闘はあまりにリスキーだ。

 

つまり事実上救援に間に合うのは。

たまたまルーキーと別れて発信点近くで戦闘を行っており。

かつ帰投のための車両を近くに確保していた俺達…

 

いや、今はもう俺一人か。

それも仲間一人満足に守る事も出来ない。

アイテムも尽きかけた役立たずの旧型神機使いがただ一人。

 

 

 

 

 

…ハハッ、いやはや。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

リンドウの生還の見通しが付いたばかりか。

都合良く己が価値を示せる場面まで向こうからやってくるとは。

 

極東支部第一部隊隊長、ルミナ・フォンブラウン。

レンの言葉を信じるなら、彼女は俺達が諦めていた最上の成果を叩き出した。

 

結果リンドウは無事救出され。

ルーキー含め第一部隊の面々にも欠員無し。

 

あとはあの二人さえ無事帰投出来たのならば。

あの日リンドウが帰投出来なかったという出来事は実質帳消しになるも同然。

 

そう、彼女は晴れて()()()()()()()辿()()()()()()()()()()

 

それも考えうる最良の結末とも言えるそれに。

奇跡ともいうべきその終幕を見届ける資格は他ならぬ彼女にこそある。

 

 

まかり間違っても俺ではない。

 

どこにでもいる一山いくらの神機使いなぞ。

スタッフロールにいる必要など全くないのだ。

 

………

 

救難信号が放たれた付近。

携帯端末上より周辺エリアのマップを確認しつつ、ここに来るために受注したカバーミッションの内容を思い出す。

 

たしかターゲットに挙げられていたのは小型種の群れと中型種が数体。

アラガミ動物園と揶揄される極東に相応しい雑多ぶりだ。

 

もっともこの辺りは大型アラガミもちらほら目撃される危険区域。

新手に想定外のターゲットが乱入してくる事も十分考えられる。

 

何しろこれだけ餌がよりどりみどりなんだ。

俺とてどれから八つ裂きにするか目移りしてるくらいだからな。

 

しかし生憎、俺はソーマやルーキーのように化け物じみたスペックはしていない。

 

消耗したこの状態で考え無しに突っ込んだ日には。

目移りされるまでもなく、逆に八つ裂きにされるのが関の山。

 

だが大丈夫。

 

いくら疲弊しているといってもこの程度の戦力差。

()()()()()()()()()()()物の数に値しない。

 

別に旧時代の根性論を振りかざしている訳ではない。

 

まずは手元に残っているのは各種強化薬に回復錠、それと強制解放剤。

 

これらを活用して何とかバースト状態の発動まで持っていき。

バースト状態が終了する前に全てのアラガミを喰い殺せば良いというだけの話だ。

 

どうやってバースト状態までもっていくのかって?

 

なぁに、これでも俺は極東有数の古参兵。

もっていくだけでいいなら幾らでもやりようはある。

 

ましてや今回は命懸けだからな。

損耗度外視の鬼札など十や二十余裕で用意できる。

 

バースト状態が持たないんじゃないのかって?

 

その点については問題ない。

先にも言ったように、餌なら目移りする程いるからな。

 

それに先程の救難要請は広域信号で発信されている。

 

当然ルーキー達の所にも届いているだろうし、今頃こちらへ向かってきている筈。

もう間もなくとまではいかなくとも、何時間も耐え凌がなければならないという話ではない。

 

というか()()()()()()()()()そのくらいの時間は優に稼げる。

 

周りはアラガミしかいないからな。

ルーキーの方と違って守る対象がいない分楽なものよ。

 

懸念点は最初の強襲に失敗してしまった場合、後はそのままアラガミの餌になるというくらいだが…

 

まぁそれはそれで別に問題はないか。

役立たずにはお似合いの末路だろ。

 

そう。こここそまさしく。

俺という人間の価値を試すにこの上なく相応しい正念場。

 

両親が命を捧げてまで生き長らえてさせてくれたその子供が。

己が命を尽くしても仲間を救えない、途方も価値の無いクズなのか否か。

 

ちなみに命を尽くさないという選択肢は最初から無い。

 

万事に当てはまるとまでは言わないが。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

この程度の事で迷っていた日には。

"親の背に何を見ていたんだ"と怒られてしまうよ。

 

もっとも、肝心の背中は見て育つ前にアラガミの腹の中で細胞レベルに分解されちゃってるんだけどな。

まぁ親は無くとも子は育つと言うし。

 

ハッハッハ、冗談冗談。

イッツ・ア・ブラックジョーク。

 

 

--さて。

下らん軽口で程よく緊張もほぐれた。

 

今更命を惜しむつもりなどはさらさらないが。

だからと言って無駄死にするつもりも毛頭ない。

 

生き延びるために全力を尽くす。

打てる手は全て打ち、使える物は余さず使う。

 

その上でそれでも死んだとしても。

それはそれでそれまでというだけの話。

 

わかりやすくて実に結構だ。

 

………

 

レンの身体を車に乗せ。

振り落とされないようしっかりとシートベルトを結びつける。

 

別にこれから行う特攻に付き合わせるためじゃない。

 

使える物は余さず使うとは言ったが。

仲間の死体まで道具として扱うほどドクズではない。

 

ここは普段からアラガミの姿が確認される地下通路だ。

 

せっかく五体満足に残ったというのに。

こんなところに放置して喰われましたとかあんまりだからな。

 

生きて明日の朝日を拝ませるというのはもう無理だが。

現世の夕日を背景にヴァルハラへ旅立たせたいというくらいなら、主神様も目こぼししてくれるだろう。

 

 

………

 

出発前に最後の戦闘準備を整える。

 

 

まず旧型神機特有の構造である脱着式カバーを開き。

捕喰したオラクルリソースを貯め込むカートリッジを取り外す。

 

次に車に積まれていた工具を使い。

アラガミのコアを回収、保存するケースユニットも取り外す。

 

そうして剥き出しになった、アラガミから捕喰したオラクル細胞が流れるための細い管。

 

そこに懐から取り出したコードを接続し。

反対側を自身の腕輪の偏食因子を注入するための穴へと接続する。

 

軽く神機を振って接続が外れない事を確認し。

カバーを閉じて外れないようしっかりと固定する。

 

うむ、準備完了。

 

これでプレデターフォームで捕喰したオラクルリソースは。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

強化薬というものは。

本来人間に備わっているリミッターを一時的に外し、服用者の力を百パーセント引き出すだけの代物だ。

 

引き出せるのはあくまで当人に備わっている数値まで。

 

仮に元のスペックが1しかなければ。

いくら限界を超えて服用しようとも1以上の力を出す事は叶わない。

 

つまり俺のような凡人が服用したところでその効能はたかが知れている。

 

しかし今俺がやっているのはこの神機が出始めた頃に採用されていた古い手法。

 

神機使い版の活性化とも言えるバースト状態に必要な、捕喰によって得られたオラクルリソースの取り込み。

それを神機を握る柄を通じてではなく、腕輪と接続した有線コードを介して直接体内に取り込む。

 

技術の進歩と安全性の見地から当に廃れた方法ではあるが。

外部から強制的にオラクル細胞を活性化させるこの方法なら、元が1しかなくとも10を超える力を引き出す事も可能である。

 

まぁ戦闘後はそれはそれは凄い状態になるんだが。

 

視界はジャミングがかかっているかのように砂嵐状態だし。

周囲の音も聞こえはするがノイズだらけで何もわからない。

 

身体は痛いを通り越して動かす事もままならない。

回復を図ろうにもただじっとしているだけなのにどんどん体力が消耗していく感覚さえある。

 

安全な訓練場でちょっと試しただけでそれなのだ。

実戦で使った日には帰投後どうなるか想像するだけで怖い怖い。

 

 

まぁミッション中は問題無いならそれで良しだ。

今回は無事帰投出来るか怪しいし、そこまで気にしない事にしよう。

 

 

 

 

 

それに…

そうだな。

 

 

 

 

 

もし仮に今回こそ力も悪運も尽き。

アナグラに帰投する事が叶わなかったならば。

 

 

 

 

 

その時こそ俺は胸を張って。

草葉の陰で見守っている両親にこう言うとしよう。

 

 

 

 

貴方達が命と引き換えに救った息子は。

 

 

 

 

 

貴方達と同じように。

最後のその時まで誰かの命を救おうと足掻いてみせたぞ--と。




不明なユニットが接続されました(ry。

元ネタ的にも強ち間違っていない。
大丈夫、敵は全て倒してくれます。

ジャミングがかかっていても。
ノイズがかかっていても。

しっかりと()()()()()()倒してくれます。





ところでルーキーちゃんって新型NTですね?

長くなってしまったので区切ります。
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