無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.着ぐるみですか?
A1.キグルミです。

Q2.無口さんなの?
A2.YesでもありNoでもある。

シュレーディンガーのキグルミ。
中の人などおりませぬ。

20XX年入隊らしいのでリザレクション前からいても何もおかしくありませんね。


無口な無口なオフショット1

唐突だがゴッドイーターの同志諸君。

バニーガールというものはご存じだろうか?

 

バニーガール。

それは地球にアラガミが現れる遥か以前、我々の先達たる人達が生み出した叡智の結晶である。

 

ここでそれを語るには一端たりとて尺が足りないので割愛するが。

まぁこれが嫌いな紳士はいないだろうと俺は確信している。

 

「--ま、待ってください!本当に、本当にこの格好で行くんですか…!?」

 

唐突に引く手が重くなり足が止まる。

 

視線を向けたその手の先では。

声を発した人物が往生際悪くも近くの手すりに掴まって必死の抵抗を見せている。

 

普段の俺であればここで多少の譲歩も見せただろう

 

しかしこれは俺が勝ち得た正当な権利。

駄々を捏ねられたくらいで反故にしてやるほど俺は聖人君子ではない。

 

それに俺とて紳士である前に一人の男。

嫌がる女の子からでしか得られない栄養というものがある。

 

さぁ抵抗は止めて大人しく来るんだ。

第一部隊の隊長様ともあろう人が、よもや君は勝負の約束を反故にしたりするまいな?

 

引っ張る手を緩めないまま。

懐から彼女の名前がサインされた契約書を取り出して見せつける。

 

「う、うぅぅっ…!」

 

見せつけられたそれに俺が決して折れる事はないという事を理解したのか。

小さくうなりながらも彼女から抵抗する力が弱まっていく。

 

ハッハッハ良い子だ。

なに、大人しくしていればすぐに終わるさ。

 

………

 

その後も時折ちゃちな抵抗を見せる彼女を引っ張り。

やってきたのは極東支部のエントランスホール一階の受付。

 

「--あ、どうしましたユウマさ、ん…ッ!?」

 

本日担当していたのはヒバリ。

何時も彼女を口説いてるタツミがいないところを見るに、どうやら防衛班はお仕事中か。

 

残念、ジーナ辺りに見せれたら絶対面白い事になったのに。

 

「ちょ、ちょっと!何で残念そうな雰囲気してるんですか!まさか貴方他の人が集まる時間帯を見越して来たとか言いませんよね!?」

 

おっと、誰が喋って良いと言ったかね?

ウサギが人語を喋るとかおかしいじゃないか。

 

後ろから発せられた苦情に勢いよく振り返り。

彼女の口元に指を当てて黙らせる。

 

「ッ!?そ、その声って、もしかしなくても…!」

 

 

 

 

 

「--ルミナさん、な、何でそんな恰好をッ…!?」

「き、聞かないでください…!」

 

 

 

 

 

まぁカードに負けた代償とは言えんわな。

 

負けが込んだからと何度も再戦させた挙句。

"次負けたら何でも言う事聞きます"なんて言って普通に負けたとか恥ずかしくて言えやしない。

 

え?

負債の清算にバニーガールはやり過ぎじゃないのかって?

 

あぁ、失敬失敬。

これは俺の言い方が悪かった。

 

「いや、まぁ可愛いとは思いますけどね。理由を気にしなければ単にウサギのキグルミ着てるだけですし。」

「………ハイ、ソウデスネ。」

 

そう、ルーキーが今着ているのは皆大好きバニーラビットスーツである。

 

これの何処がバニーだって?

 

いや、だってバニーもラビットも似たようなものだし。

これも一種のバニーガールと言えるだろ?

 

ちなみにこの格好をさせてるのにはちゃんとした理由があるし。

何よりこの格好を選択したのは他ならぬルーキーである。

 

「あの…それで何故そんな恰好でわざわざ私の所に…?」

 

戸惑いつつも、何か事情があるんだろうなと察した様子のヒバリが。

死刑宣告に等しいその言葉をルーキーに問いかける。

 

その言葉を前にウサギ姿のルーキーが助けを求めるように俺の方に振り返るものの。

口元に指を当てつつ懐の契約書をチラ見せする俺の姿に、ルーキーは全てを諦めた様子で事前に渡してあった申請書をヒバリに手渡す。

 

「そ、それは、その………うぅ、このミッション受けに来ました…鬼、悪魔、神機兵ぃ…!!

 

差し出された申請書にヒバリが目を通している傍ら。

こちらに振り返りつつ、くぐもる程の小声でルーキーが恨みの言葉を呟く。

 

ハッハッハ、これは人聞きの悪い。

 

知らんのか?実の所鬼や悪魔ほど約束や契約というものを大事にするし。

巷で噂の神機兵に至っては文字通り決められたプログラム通りの事しか出来やしない。

 

俺とてただただ事前に約束された権利に従ってそれを履行しただけの事。

 

鬼悪魔と一緒だと言われればそうですね以上の言葉を返せやしないし。

神機兵と呼ばれればお前もプログラム契約を履行しろとしか言いようがない。

 

大体先にも言ったがその格好を選択したのはルーキーだろう?

ちゃんと"バニー"と"ラビット"で好きな方を選択させてやったじゃないか。

 

ここだけの話、あの時のルーキーの表情はきっと忘れない。

凄かったぞ、前後どちらも同じ言葉なのに、言葉の必死さがまるで違ったからな。

 

まぁこれで男相手に"何でも言う事聞きます"なんて言ったらどうなるか身に染みた事だろう。

負けたくせに大した事は言われないだろうと高を括ってたのが見て取れたからな。

 

それに一応これは正規のミッション、身代取られるどころかちゃんと報酬まで出るんだから寧ろ感謝してほしい所である。

 

「…ええと、内容確認致しました。その、一応何の問題も無いんですけど…」

 

渡された書類に目を通し終え。

ルーキーにそう答えつつもヒバリの顔が俺の方へと向き直る。

 

「…ルミナさん。もしかしてですけど、ユウマさんに何か脅されてたりしません?」

「そ、それはっ…!」

 

ルーキーが光明を見出したとばかりにこちらに振り返る。

 

俺に向けられる二人のレディの視線。

それに対し、俺は答えるかのように懐から一枚の紙を取り出そうとする。

 

「ちょ、ちょっと!しまって、しまってください!」

「あ、あの、ルミナさん…?」

 

ウサギハンドとなっているくせにルーキーが器用に俺の腕を掴み押し戻す。

 

わざわざ助け船を出したというにそんな態度を取る彼女に。

ヒバリはやや状況が掴み切れないせいか、続けて救いの糸を垂らしてみる。

 

「その、もし本当に何か脅されてるとかであれば、プライバシーを約束した上で査問会に通報する事も出来ますけど…」

「い、いえ!本当に大丈夫ですから…って何ヒバリさんに見せようとしてるんですか!見せたら本気で叩き潰しますからね!」

 

言うが早いか、ルーキーが加減無しの全力で掴んだ腕ごと俺を地べたへ叩きつける。

脅し文句と同時に実行するとかどういう判断の速さだよ。

 

けどまぁ、せっかく助け船を出しているというのに。

お出しされるのがこんな茶番じゃ…

 

「…ま、まぁ本気で困るような強制をされているという訳ではなさそうですね。じゃあこのミッションは正規の物として受理しておきますね。」

「…え!?ちょ、待ってくださいヒバリさん!」

 

まぁそうなるな。

何時でも叩き潰せるのに脅されてますとか、いくらヒバリでも養護のしようがないわな。

 

………

 

「待って、待ってくださいヒバリさん!私、本当にこの格好でミッションしなくちゃならないんですか…!?」

「…まぁ、一応書類自体は正規の物ですし。別に脅されてるとかでない以上、支部としては基本拒否とかは出来ませんので…」

「お、脅されてるに決まってるじゃないですか!大体--」

 

 

 

 

 

「子供向けの広報任務とか、私より適任の人がいるでしょう!?」

「寧ろ人を選ばなくても良いように着ぐるみ着せたんじゃないですかユウマさん?」

 

 

 

 

 

そう言ってヒバリの視線が床に転がっている俺の方に向く。

そんな彼女に寝転がったまま強く頷き、そのまま立ち上がってミッションの準備をすべくエントランスを後にする。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!ヒバリさん!あの人を止めてください!」

「そう言われましても一応ミッションとしては正式に受注されましたので…大丈夫ですよルミナさん、その格好でも可愛いですから。」

「そ、そういう問題じゃないんです!うぅ、どうしてこんな事に…!」

 

 

始めこそ本気で色々心配して勘ぐっていたものの。

やり取りから大した問題ではないと判断してどことなく塩対応になり始めるヒバリ。

 

そして大事にはしたくなかったが内々で無かった事にしたかったのに、そんな彼女の反応に完全に当てが外れて話を戻そうとするルーキー。

 

ふと振り返れば先程とは完全に様相が別物。

 

必死にミッションを取り下げようと食い下がるウサギ姿のルーキーと。

業務に差し支えるから何とかしてくれと無言の苦笑で俺に訴えかけるヒバリの姿。

 

まったく往生際の悪いルーキーだ。

仕方ない、そろそろ負けの清算に入ってもらおうか。

 

「…あっ!ちょっと何するんですか!ヒバリさん!セクハラ、これはセクハラですよ!査問会に通報してください!」

「あはは…広報写真、楽しみにしてますねルミナさん。」

 

後ろからルーキーを羽交い絞めにし、ズルズルとエレベーターの方へと引き摺っていく。

スマンな、紳士たるものレディからの助けは断れないんだ。

 

セクハラだとここぞとばかりにルーキーが喚くものの。

それがウサギの着ぐるみ姿とあっては真面目にとらえる物はおらず、当のヒバリですら苦笑したまま俺に引きずられていくルーキーを生暖かい笑顔で見守っている。

 

「--ッヒバリさん!戻ってきたら覚えておいてくださいね!タツミさんの前ですっごく恥ずかしい目に合わせますから!」

「そ、それはちょっと…ユウマさん、その時はルミナさんの事何とかしてくださいね。」

 

ヒバリからのお願いに力強く頷いた所でエレベーターの扉が閉まる。

 

ちなみに頷いただけで助けるとは言っていない。

 

だってルーキーの言う"恥ずかしい目に合わせる"というのがすっごく気になr…

この話は止めようか。

 

スマンな、紳士たるもの一方のレディにだけ入れ込むわけにはいかんのだ。

 

-…何だったんだ、アレ?-

-さぁ…ていうか第一部隊の隊長が見た目に反して人懐っこいのは知ってたけど。アイツ、元からあんな感じだったっけ…?-

 

ん?何だか俺の噂話が聞こえるな?

 

まぁエレベーターの音もあるし気のせいだろう。

自意識過剰は紳士として二流、否、三流。俺は常に一流を志しているからな。

 

 

さぁ、楽しい楽しいオフショット写真撮影の開幕だ。




バニルキちゃんかと思いました?
残念、ウサギの着ぐるみです。

バニールーキーちゃんは作者の脳内に。
今ならアリサとのインディアン・グリップでオフショットされています。

長くなったので一区切り。
もしかすると加筆という形で投稿するかもです。

加筆の際はタイトルを変更予定ですのでご確認ください。
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