無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
Q1.何で契約書見せるの嫌がった?
A1.戦績も書いてあったから。
Q2.何で"何でも言う事聞きます"なんて言っちゃった?
A2.泣きの一回を通すため(十連敗勝ち星無し)。
レン君ちゃんとの勝負で自身を持ってたルーキーちゃん。
ドヤ顔で"私ババ抜き強いんです"とアピールしてからのストレート負け。
完敗した挙句自分が言い出した事を反故にするのは恥ずかしいと強がった結果。
もっと恥ずかしい目に合う羽目になりました。
余談ですがカード捌きは手品の基本です。
広報任務。
端的に言ってしまえばプロパガンダとかそっち方面のアレである。
キャッチフレーズは"君もゴッドイーターになってアラガミから人類を守ろう!"。
拒否権無しの強制徴兵制を敷いた上で言っているのだからなかなかに面白い冗談である。
とはいえこれがもたらす戦意発揚効果というのも存外馬鹿にする事は出来ない。
当たり前の話だが。
昨日まで一市民として暮らしていた人間が"適合合格証"なる紙切れ一枚で拉致られて。
いきなりさぁバケモノと殺し合えと言われて士気など上がろうはずがない。
しかしこれに"人類のため"という調味料をまぶすとあら不思議。
顔も知らない誰かのために、己が命を賭けて戦う兵士の出来上がりである。
そしてこれを物心付くか付かないかの幼い子供に繰り返し刷り込ませていくとどうなるか?
そう、赤紙同然の招集令状がまさしく選ばれたヒーローの証に大変身である。
まったく、"命を使う"と書いて使命とは昔の人はよく言ったものだ。
そしてそれを"命を使わせる"と読んだフェンリルには恐れ入る。
話が逸れたな。
任務に戻ろう。
そんなこんなで始まった撮影会。
被写体は知る人ぞ知る極東支部のアイドル"マスク・ド・ラビット"である。
諸君の中には彼女の事を知らない人も多いだろう。
なので触り程度ではあるがかの神機使いの経歴を語るとしよう。
彼女が神機使いとして任に付いたのは20XX年。
今よりざっくり20年以上前にフェンリル××支部に入隊し、ゴッドイーターとしての経歴を歩み始めた。
当時の彼女の得物は今と同じ第二世代、いわゆる新型神機と呼ばれている代物。
当時は入手出来るコアが小動物サイズと極めて貧相な物しかなく、性能も極めて低かったが。
それでもオウガテイルなどより大型のアラガミのコアを入手する事が可能になった事により、後に主流となる第一世代の神機開発の礎となった。
その甲斐あって第零世代、いわゆるピストル型神機から第一世代神機へと完全な移行に成功したが。
彼女はその後も変わらず愛用の第二世代神機で戦い続けた。
組み合わせはショートブレードにショットガン、そして汎用タイプの中型シールド。
やや機動性に割り振った軽量装備ではあるものの。
ブラスト銃身を転用したショットガンを用いる事により、短射程ながら火力の確保にも成功するに至った。
ちなみにショットガンタイプの銃身は、実は新型神機の開発タイミングと非常に近い。
当時は撃ち出したオラクル弾のエネルギー保持が困難だったらしく、燃費も極悪。
ましてや第一世代は遠近どちらかしか選択出来ない事もあり、肝心な時に撃てぬ届かぬとそれはもう散々な評判だったらしい。
閑話休題、話を戻そう。
時は進んで2071年。
極東支部で初めてとなる新型神機の適合者、ルーキーことルミナ・フォンブラウンが着任し。
その後も続々と彼女と同じ新型神機使いの配備が進む事となる。
余談だが当時の前支部長にボーナスをせびった結果、今の支部長代理のモルモットに任命され。
結果新型神機も使えるようになったという古参兵もいるらしい。
ここだけの話、パーツばらして売り飛ばしてやろうかと思った事は内緒だ。
そんな訳で今や新型神機使いも多数在籍する事になった極東支部。
この辺りで今一度新型神機使いを前面に押し出した広報活動をと思い至ったという訳である。
「………よくまぁこんなありもしない出鱈目ばっかり書けますね。もしかして喋れない分こういう風に何かに書き出すのは得意だったりするんですか?」
ここは極東支部の食堂の一角。
午前の撮影を終えた俺とルーキーが食事休憩も兼ねて写真と広報用の文面を確認しているところ。
一通り読み終えたルーキーが唐突に妙な事を口走り始める。
ちなみにルーキーは相も変わらず全身ウサギ状態だ。
食事のために脱ごうとしたが罰ゲーm…じゃなかった、重要ミッションの遂行中なので不許可とした。
その代わりと言っては何だがウサヘッドを被ったままでも食事しやすいサンドイッチを奢ってやった。
食堂に着いた当初は今にも強引に脱ぎだしそうな感じだったが。
皿を差し出した途端これでもかと言わんばかりのツンデレムーブで大人しく席に着いて食べ始めてくれた。
いやぁ、ルーキーは食べ物で簡単に釣られてくれる扱いやすくて助かる。
俺みたいな大人になると食べ物程度じゃ全然靡かなくなるからな。
「色々とツッコミたいどころかツッコミどころしかない文章ですけど--」
-まず20XX年ってアラガミどころかフェンリル自体存在していなった気がするんですけど。-
せやな。
着ぐるみ神機使いマスク・ド・ラビットの七不思議の一つ目である。
-何でゲンさんが現役だった頃から新型神機使っている事になってるんですか?-
謎だよな。
着ぐるみ神機使いマスク・ド・ラビットの七不思議の二つ目である。
-ショットガンタイプの銃身ってついこの間ようやく実用化の目途が付いたからって配備され始めたと思うんですけど。-
オーパーツというやつだな。
三四が無くて五つ目の七不思議である。
-大体私は確かに極東支部最初の新型神機使いですけど。この流れだとこのラビットさんの方が極東最初の神機使いになりません?-
賢いな。
そこに気が付くとはやはり天才か。
-あと最後にいうのもアレなんですけど…-
「何でこの人キグルミを着てるって設定なんです?しかも彼女って事はこれ暗に中身私だって言おうとしていません?」*1
「………………………」(←コーヒー飲みながら目だけ逸らしてる)
…謎のあるレディってミステリアスで素敵やん?
言ったら張り倒されそうだから言わないが。
…………………………………………………………………………………………
さて午後の撮影開始。
午前中はいわゆる施設案内に絡んだ写真がメインだったのに対し。
後半はいよいよ神機使い本人に焦点を当てた撮影がメインとなる。
やってきたのは訓練場。
ダミーホログラム相手の戦闘シーンの撮影が目的である。
主役はもちろんマスク・ド・ラビットことルーキー。
ホログラム故危険はないので、俺は極力近くによって迫力あるシーンの撮影に尽力する。
え?訓練場のホログラムってたしか管制室で一々操作する必要があるんじゃなかったかって?
案ずるな、ちゃんと人手は確保してある。
「--あの、ちょっといいですか?今更貴方の交友関係にどうこう言うつもりはないんですけど…」
撮影開始五秒前。
迫力あるヴァジュラのホログラムが出現したところでルーキーが待ったの声を上げる。
「私、自慢じゃないですけど目はそれなりに良い方なんです。その上で私の目がおかしくなったとかじゃなければ…」
「管制室で操作してる人、私と同じ格好してません?」
してるぞ。
彼は謎のベテラン神機使いにしてマスク・ド・ラビットの師匠的存在。
何を隠そうこの極東支部における影知る人ぞ知る実力者。コードネーム"kigurumi"--
という設定でさっき初恋ジュース三本でお手伝いさんにスカウトした。
ちょうど在庫処分に困ってたし一石二鳥だった。
ウサギ姿のルーキーが何とも言えない様子で見上げると。
彼もまた愛嬌たっぷりにルーキーに手を振って答えて見せる。
ふむ、悪くない画だ。一枚パシャリと撮っておくか。
"麗しき師弟愛"とでも適当に煽り文句をつけて喧伝しておこう。
ほらほらルーキー、何時までお師匠様に助けを求めている。
仕事の時間ださぁアクション。
………
そんなこんなで戦闘シーンも収録完了。
今は写真のチェックをする俺の傍ら、二匹のウサギが親交を深めている最中である。
「……………!」(←"お疲れ様"とばかりに初恋ジュースを手渡している)
「あ、ありがとうございま…あの、ストロー刺してもらえるのは助かるんですけど、もしかしてこのまま飲めって事でしょうか?」
わざわざ開封してストローまで刺された缶ジュースを手渡されて困惑するルーキーに対し。
"そうだけどどうかした?"と言わんばかりにキグルミが彼女の前でジュースをすすってみせる。
ちなみにキグルミとは彼の事である。
コードネームかと思ってたんだがどうやら日常でも使っている通名らしい。
「(チュルチュル)…あの、初めまして、ですよね?腕輪をしているって事は神機使いには違いないと思うんですけど…」
「……………!」(←コクコク頷いて肯定する)
「やっぱりそうでしたか。私はルミナ。"ルミナ・フォンブラウン"って言います。…こんな格好してますけど、一応第一部隊の隊長をやっています。」
「……………!」(←"おおっ!隊長さん!"といった感じに驚いている)
「………………」
「………………」
「………あの、もしかして貴方もあの人と同じで喋れなかったりとかします?」
だから俺と同じってなんだよ。
いい加減天丼ネタはしつこいぞ。
確かに俺も口数の多い方ではないと自覚してるし。
シャイなのかどうかは知らんが彼も相当無口な人間みたいだけど。
文句の一つも言ってやろうと振り返った所。
同じタイミングでこちらを見てきたウサギ二匹と視線が合う。
「………………」
「………………」
「………………」
やべぇ、冷静になってみるとこの状況ちょっと怖いな。
はたから見ると人間の恰好してるの俺しかいないじゃん。
若干怯んでしまったために言葉を発するタイミングを外すものの。
何時までも喋れない扱いされているのも癪なのでいい加減はっきり言ってやる事にする。
「-ビーッ、ビーッ、ビーッ!!-
『待機中の神機使いに通達します。外部居住区T-3エリア付近のアラガミ防壁に異常を確認。アラガミ侵入に備えただちに出撃体制に入ってください。繰り返します、外部居住区--』
俺の言葉を遮り、唐突にけたたましく鳴り響く警報音。
同時に声色こそ平静を保ちつつも、緊急事態が発生した事を関係者に通達するオペレーターの声。
むぅ、タイミングの悪い。
しかし優先すべきは市民の安全。
という訳で話は後だルーキー。
着ぐるみ脱いでいいからさっさと出撃準備に入っt…あれ?ウサギ一匹どこ行った?
「………………………」
「………………………」
「………………………」
「………………………」(←"もう行ったよ"のジェスチャー)
いや残ってるの君かい。
てかあの格好なのにノータイムで行ったんだルーキー。
まぁ実体はパワードスーツみたいなもんだし。
戦う分には何の問題も無いけれど。
…それはそれとして。
これはシャッターチャンスの予感がする。
…………………………………………………………………………………………
「--話が違うじゃないですか!思いっきり中身私だってバレてるじゃないですか!」
ここは極東支部のエントランスホール。
ウサギから少女へ転生したルーキーが受付の台で小気味良いドラミングを披露しつつ。
苦笑するヒバリにしつこくダル絡みを続けている。
「あはは…まぁ、一般的な神機使いの人はそうそう神機の構成を変えたりしませんからね。」
「だからって!わざわざ神機に着目するような事を書かなくたっていいでしょう!?」
言いながらルーキーが指で何度も主張しているのは先日刊行された広報チラシ。
映っているのはフェンリルの広報部にしては珍しいリアリティ溢れる生写真である。
映っているのは急所であるコアを斬り裂かれて活動を停止しようとしている一体のヴァジュラ。
そして今まさに神機を振り抜き、アラガミのその命を喰い千切った恐ろしくも頼もしい神機使いの一幕。
内容自体はそれほどおかしなものではない。
まぁウサギを狩ろうと全力を出した獅子が逆に仕留められているのはある意味でギャグと言えなくもないが。
しかしルーキーがこれほどに憤慨しているのはそこではなく。
写真に添えられている神機と神機使いの関係性についての解説に対してである。
その一文にはこう書かれている。
"神機使いが使う神機は基本的に本人に適合した一点物である"と。
この言葉、確かに間違ってはいないのだが。
神機の知識をそれほど持っていない人間に対する説明としては少々詳細が不足している。
まぁ巷によく広まっている誤解なんだが。
神機と神機使いが一対一というのはアーティフィシャルCNS、いわゆる神機を制御するための中枢に当たる部分が神機使い本人と密接に紐づいているというものであり。
ぶっちゃけ刀身や銃身、装甲といった部分であれば。
"変えようと思えば自由に変える事が出来る"というのが誤解の無い説明となる。
無論変えれると言ってもそうホイホイ変えないのにはちゃんとした理由がある。
アラガミとの戦いは何時だって命懸け。
そんな戦場にわざわざ不慣れな武器で赴く馬鹿などまずいない。
というよりそもそもの話、人間というのはアラガミと違ってコミュニティを形成する事に長けた種族である。
一人で百の武装を使いこなすより、各々が得意とする一つの分野を担当する方が遥かに効率が良いに決まってる。
さらに付け加えるなら神機の制御を司るアーティフィシャルCNSの本質が機械ではなく生体部品だというのも関係している。
端的に言うと人間と同じように、コア毎に機能に対する得手不得手というものが存在しているのだ。
例えばあるCNSは刀身と装甲の切り替え制御が著しく難しいが、逆にオラクル弾の切り替えは従来の物より遥かにスムーズだったりと物によって結構顕著な差があったりする。
つまり出来る出来ないで言えば"出来る"という回答になるが。
それが使えるか使えないかの話になると、結構数値にばらけが出てしまうので。
ちなみに俺の神機はわかりやすく言うとオールC。
不得手は無いので何でも使えるが、逆に特筆すべき長所が無いので器用貧乏になりやすい。
まぁ長所については強化薬や強制バーストでスペックを無理くり上げればどうとでも出来るのである程度のやりようはあるが。
あんまり派手にやるとリッカにしばかれるので程々にしている。
実際この前しばかれたばかりだしな。
話が逸れたな。
本題に戻ろう。
要するに神機使いというのはいくら顔を隠したところで本気で正体を隠そうとでもしない限り。
使っている神機を見られればある程度誰々かの推察がついてしまうのである。
ましてや振るっているのはまだまだ数の少ない新型神機。
そしてヴァジュラ相手に正面から斬り倒せる猛者ともなれば自ずとその正体もわかるというもの。
まぁルーキーの場合、アリサと同タイプの神機の組み合わせだから。
白さえ切れればどっちかまでは絞り切れずに誤魔化せる可能性もあったんだが--
『こんな着ぐるみ着てミッションに挑む変人、私の訳無いじゃないですかッ!!』
それはそれはフロア中に良く通る声だった。
ルーキーの目が一瞬で鉄塔の森の廃液湖レベルに濁る程度には。
そしてアリサは金が取れるのではというレベルでルーキーに絡まれ。
見かねて苦笑いのまま止めに入ったヒバリが絡まれているという次第だ。
…………………………………………………………………………………………
そんな訳で。
所変わってここは極東支部のレクリエーションルーム。
ルーキーから負けた腹いせ…じゃなかった。
リベンジマッチを申し込まれそのまま拉致…じゃなくてデートに誘われた。
俺はルーキーから渡されたカードを慣れた手つきでシャッフルして配りつつ。
目の前で堂々とコンビ打ちの相談をする少女二人のやり取りを観察する。
「いいアリサ?私とアリサのチームプレイで、何としてもこの人にもう一度ウサギの恰好させますよ。」
「良いも悪いも…あの、本当に私も責任取らなきゃ駄目ですか…?」
「…そう。アリサも結局、私を一人ぼっちで置いていくんだね。良いですよ、ウサギと違って私は一人寂しくても耐えられますから。」*2
「わ、わかりました!わかりましたから!その目で私を見ないでくださいリーダー!」
公共の場で辱められた上、半ば強制的に巻き込まれてしまったアリサが不満に近い質問を口にするも。
途端見捨てられたと言わんばかりに絶望した眼になるルーキーにアリサが速攻で前言を撤回し協力を誓う。
…いや、さも感動的な場面のように言ってるがな。
それ要約すると二人がかりで俺をいいように嵌めるって事だろ?
レディ二人が寄って集って大人を辱めようとは恥ずかしいと思わんのか。
まぁいい、勝負の世界は弱肉強食。
獅子搏兎という言葉があるように、負けたら俺がレディ二人に狩られたというだけの話だ。
あくまで負けたらの話だがな。
逆に俺が勝ったら二人まとめてウサギにしてくれる。
という訳で先手必勝!
喰らえ必殺、二の二の天h--
「あ、いたいた。リーダーちょっといい?」
「リッカさん?どうしました?」
--急用を思い出した。
いかんな俺とした事が。
後輩の手本とならねばならない古参兵ともあろうものが、よりによって急ぎの仕事を忘れていたなんて。
スマンなルーキー。
ちょうどそっちも野暮用が出来たみたいだし、今日の所はお開きに…
「…ちょっと何処に行くんですか。まだ私の用は済んでいませんよ。」
「ん?何かこの人と打ち合わせでもしてた?」
しれっと部屋を後にしようと試みたものの、ルーキーの隣を通り過ぎようとした所で服の裾を摘まれる。
「ちょっとこの人とババ抜きで勝負を…大丈夫です。アリサと二人がかりなので直ぐ済みますから。」
「…ババ抜き?…この人と?」
ルーキーのその言葉を聞いた瞬間、リッカが容疑者を見るような目で俺の方へ視線を向ける。
「そう言えば昨日の広報任務、リーダー着ぐるみでこなしてたね。…単刀直入に聞くけど、もしかしてこの人のせい?例えば勝負に負けた罰ゲームとか…」
「そ、そうなんです!その、たしかに着ぐるみ着る羽目になったのは私が泣きの一回で"何でも言う事聞きますから"ってお願いしたからですけど…!」
「あぁ、通りで…もぅ駄目ですよリーダー。この人はともかく、男の人にそんな頼み方したら酷い目に遭いますよ。」
自業自得故に、道理であそこまでやさぐれてた訳だと理解したアリサとは対照的に。
いよいよ持ってリッカからの視線が犯罪者を見るような冷たいものに切り替わる。
気付けば何時の間にか俺の行く手を阻むような位置に移動している。
…もしかしなくてもこれは詰んだか?
いや待て、まだ慌てるような時間じゃない。
「リーダー、もしかしなくてもおかしな負け方しなかった?例えば何回もやったのに一回も勝てなかったり、最後の一枚がどうやっても引けなかったり。」
「そ、その通りなんです!何なら一回だけですが
「…あの、それってまさか…」
リッカの言葉に何かに気付いたアリサ。
そんなアリサの態度に事ここに及んでようやく全てを理解したルーキー。
俺はというと現場を押さえられた訳ではないので開き直ってだんまりを決め込むことにし。
そんな俺の態度にリッカが呆れたように大きなため息をついてからルーキー達に言葉を投げかける。
「…リーダー、今回カード配ったのは誰?」
「…この人です。」
「じゃあそこにあるその人の手札確認してみて。多分だけど今回のそれも揃ってると思うよ。」
「…アリサ、お願い。私、この人が逃げないよう掴んでおきますから。」
その言葉を聞くや俺は部屋を後にすべく全力ダッシュ。
が、服を摘まんだ--否、何時の間にか既にしっかりと掴んでいるルーキーに阻まれ徒労に終わる。
「…揃ってますね。そんな素振り全然見えなかったのに…」
「キミはさぁ、ホントにもう…」
………偶然だぞ。
いやぁ、珍しい事もあるもんだ。
「…いや待ってください!これ昨日もそうだったとしたら、私着ぐるみの着損じゃないですか!」
ダメ元でそう言って白を切り通そうとした矢先。
ルーキーの手が服の裾から胸倉へと移動して涙目で俺を締め上げる。
「どうしてくれるですか貴方!責任、責任取ってください!」
「リーダー、だから言い方が…」
「この人に同情の余地は無いけれど。これはリーダーもリーダーでもう少し悪い大人に気を付けるようにするべきかなぁ…」
………
翌日。
エントランスホールの一角を二匹の兎が陣取り、行きかう人々に適当に縁を作っていた。
「………………………」
「………………………」
「…あの、リーダー。私の目が変になって無ければ、あの人が二人いるように見えるんですけど…」
「あぁ、あっちの人はあの人の知り合いらしいですよ?喋れない人同士気が合うみたいで。」
珍しく無口さんが言葉を発する会。
聞こえなかった?アラームでかき消されたかもですね。
Q3.で、どうして着ぐるみがコスチューム候補に?
A3.不審者扱いされたのを根に持ってたから。
何の事かは過去に書いたお話参照。
ガン見して縁が出来たから仕方ないね。
イカサマバレたのでアリサとルーキーちゃんのダブルバニーは無しになりました。
代わりに無口さんとキグルミのダブルラビットをお楽しみください。