無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
Q.「Make Your Choice.」
・神秘が欲しい。
・神秘にしたい。
・神秘を近づけたい。
A.ルー○が足りません。
どうすればいいのかって?
貴方達には立派な神機があるじゃないですか。
唐突だが紳士淑女の諸君。
君達は花は好きだろうか?
花、英語で言うところのフラワー。
それは古今東西、アラガミが現れる遥か昔より人類とは切っても切れない歴史にして文化の一つ。
食うにも困る昨今においては、やもすれば"何を呑気な"と窘める人も中にはいるかもしれない。
しかしこんな荒んだ世の中にあってこそ。
草花を愛でる余裕を人は心に持っていなければいけないのだと俺は考えてやまない。
「ふわぁ…いいなぁ先輩。やっぱり改めて見ても、凄く引き締まったお腹してる…」
「そ、そうかな?私は特にそういうの気にした事はなかったですけど…」
そう、目の前のそれは例えるなら可憐な二輪の白百合。
咲き誇る花の美しさに優劣をつける気はさらさらないが。
それでもその日の気分に従い花瓶に飾ったその二輪はまさに格別と評するより他はない。
「と言うかそういうアネットだってアリサと同じくらい柔らかくて良い感じじゃないですか。--むぅ、私だってもう少し大人になればこのくらい…」
「キャッ!?もう先輩、気にしてるんですから柔らかいとか言わないでくださいよぉ…。」
うむ、佳きかな佳きかな。
大変微笑ましい光景で何より。
セクハラ?失敬な、花見はこの極東に古から伝わる文化だぞ。
頭ごなしに人様の国の文化を否定するのは止めていただこうか。
まぁ花見とくれば酒の一つもと言いたくなるところだが--
「あ、あのユウマ先輩。俺、この後出撃するミッションの準備があるからって呼ばれてきたんですけど…」
そう、隣で気まずそうに座りながらそう質問するフェデリコ君の言う通り。
何を隠そう俺達はこの後ミッションに出撃する予定で。
キャッキャウフフしているアネットとルーキーは実は出撃前の装備を整えている真っ最中である。
ちなみに俺とフェデリコ君はとっくの昔に準備は完了している。
野郎だからな、レディに比べて準備が早いのは当然の事と言える。
決して花見のために急いで身支度を整えた訳ではない。
たまたま余った待ち時間を利用して花見しながらコーヒーブレイクと洒落込んでいるだけである。
ちなみにコーヒーはフェデリコ君に入れてもらった。
豆は俺が持参したのでパワハラではないと思いたい。
小さめのマグの中で程よく冷めたエスプレッソを一息に飲み干し。
香ばしい豆の風味を堪能しつつ、目の前に咲く花の美しさを満喫する。
「(ズズッ)…あの、もしかしなくてもこれメチャクチャ良いコーヒー豆ですよね?出撃前にこんな良いもの飲ませてもらえるなんて…」
「もしかしてこのミッション、何かヤバい裏とかあったりします?」
「………………………」
ハッハッハ、良い勘してるなフェデリコ君。
しかし勘違いしてもらっちゃあ困る。
裏があると言われれば確かに否定はしないけど。
今回のミッションの発起人は榊博士。
そしてメンバーをかき集めたのは他ならぬそこで同性相手にセクハラかましてるルーキーだ。
俺は所詮は一山いくらの古参兵。
お呼びがかかれば一も二もなく従うだけさ。
もっとも--
俺は俺で榊博士から個別にご依頼頂いたお仕事があるけどな。
「--ところで先輩、今回のミッションなんですけど…何で私にもポール型神機用の戦闘服の着用指示がされてるんでしょうか?」
「………ごめんねアネット、私の力が及ばなかったばかりに…せめてアネットのお腹だけは守るから…」
「(ズズッ)…あとルミナ先輩なんですけど、何でさっきからずっとアネットのお腹に抱き着いてるんでしょうか…?」
「(ズズッ)………………………」
さぁ?抱き心地が気に入ったんじゃないか?
言ったらセクハラ扱いされそうだから言わないけど。
まぁ同性相手ならセーフだろ。
アネットも困惑こそしてるが嫌がってるようには見えないし。
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ここは極東支部から約五十キロメートル離れた人口の島。
アラガミから隔離されたこの世の楽園を夢見て作られたエイジスと呼ばれる島である。
その実態は終末捕食という地上の全てを飲み込む洪水を起こす装置を作るための元製造所。
アーコロジーの機能は有しているもの、それに関わるごく少数の人間のみ賄える程度の小規模なもの。
おまけに神気取りで洪水を起こそうとしていたヨハネス前支部長が倒れた事で全ては御破算。
用意された安物のノアの箱舟も残らずガラクタとなり、置き場に困ったそれらが少し奥の空間で文字通り山となって積み重ねられている。
もっとも、今のご時世鉄くずと言えど貴重な物資に変わりなく。
同時にご存じアラガミ共にとっては丁度いいおやつの山であるとも言える。
そんな訳で本日のターゲットは堕天種含めたシユウ数体。
二本足のくせにカラスの真似事をしている阿呆鳥の駆除である。
ちなみに偵察班による事前の情報収集によるとどのシユウも生まれたばかりのひよっこで。
強くもなければ連携のれの時もない烏合の衆であるとの事。
対してこちらは新型神機使いのみで編成された精鋭小隊。
ぶっちゃけ過剰戦力もいいところである。
今日は旧型神機じゃないのかって?
その通り、これには海より深い理由があるのだ。
そんな訳で回想タイムの始まり始まり。
………
--数日前、ミッション帰投後の整備室にて。
『キミって人は本当に!何度言ってもいつもいつも平気で無茶ばっかりして!』
『言ったよね!?今度無茶したらもう神機メンテしてあげないって!』
『そんな風に正座して謝ったって駄目!リーダーも言ってたけど、絶対"喋れないから"って頭だけ下げて済まそうとしてるよねそれ!』
『しばらくは出撃を控えて反省する事!良い機会だし君の神機はオーバーホールして再メンテするからね!』
………
以上、回想終了。
もうメンテしないと言ったそばからオーバーホールしてくれるリッカちゃんマジ女神。
え?出撃控えろって言われたのに何で出撃してきてるのかって?
言っただろう、俺は一山いくらの古参兵。
確かに今の俺の上官はリッカという事になっているが。
それより上の役職たる榊博士からの命令とあれば話も変わる。
個人的にはオッサンの命令なんか無視して女の子のお願いを優先してあげたい所だけどな。
宮仕えの悲しい所である。
ちなみに榊博士は多分リッカが出撃控えろって言ってた事は知らない。
単に伝えるの忘れてたというだけである。
別にわざと言わなかったとかいう訳ではない。
いつも通り旧型神機持ち出そうとして"そういやオーバーホール中だった"と代わりに準備した新型神機の調整するのに時間取られちゃったからな。
その後花愛でる予定もあってすっぽり頭から抜け落ちていたんだよ。
まぁオッサンがリッカに怒られるというだけなので大して気に病むこともあるまい。
そんな事より皆が興味津々であろう
今ツッコミ入れた奴の顔覚えたからな。
後でじっくりお話しよか。
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栄えある最初の紹介はフェデリコ・カルーゾ君。
ロングブレードとスナイパー、シールドの構成を施した新型神機を使う新人神機使いである。
コーヒー淹れるのが上手。
以上、次。
一応誤解の無いよう言っておくが別に意地悪してるとかいう訳ではない。
忘れてるかもしれないが今回のミッションも先日実施したミッションの一環で。
ポール型神機および専用戦闘服の運用データの収集が本来の目的である。
ついでに言うとリンドウの監視というか経過観察も合わせて行ってはいるんだが。
こちらは先日のミッションで得られたデータから一般の神機使いでも問題無いという目途が経ったらしく、今日はリンドウはお留守番という事になっている。
あの野郎、どうせ留守番にかこつけてビールの一本でも開けてんだろうな。
悔しいから請求予定の貸しの利子に少し色付けとこっと。
話が逸れたが、要するに本来の目的としては装備を運用するルーキーさえいれば事足りる話なんだが。
何故か今回、ルーキーが新型神機使いで構成された小隊で出撃したいとわざわざ要望を出してきたいのだ。
ちなみに元々の要望だとアリサもばっちりメンバーに指定されていたが今回は欠席。
理由は単純、今ソーマが別任務に付いているので、コウタ君一人になって第一部隊が回らなくなるからである。
いや、ルーキーの狙いを考えればこんな通る訳ない要望書くのもわからんではないんだがな。
それにしたって俺の部隊という前例があるとはいえ、同じ同期のコウタ君にもう少し手心というか…
ルーキーの狙い?
所謂"ドアインザフェイス"というやつでな、初めにわざと無茶な要求をして本命の要求を通しやすくしようという使い古された手口さ。
まぁ彼女なりに頑張ったとは思うけどな。
新人相手ならいざ知らず、それなりに場数を踏んだ古参兵の俺には通じない。
"
今回のミッションの目的考えたら許可出来る訳ないだろうに。
終いには"アネットにも同じ格好してもらいますけどいいんですか"とよくわからん脅しかけてきたしな。
俺的にはむしろ目の保養になる…じゃなかった。
運用データ増えるからその案採用とミッションの備考欄に書き足して即終了だったが。
決して変態呼ばわりされた事に対する仕返しではない。
まぁそんな訳で。
次は今回巻き込まれる形になったアネット君について紹介させていただこう。
※以下作者のメタ話。興味無ければ読み飛ばすとベネ。
"猛者ピクミンは倒れない"という言葉に衝撃を受けたこの頃です。
Q.最近話がまとめられない…微妙な長さで書ききれず時間切れ(寝なきゃマズい時間)になる…
A.逆に考えるんだ。(途中で)『上げちゃってもいいさ』と考えるんだ。
よくよく考えたら元々即興書きで投稿してたんだから悩む事はないかと開き直る事に致しました。
そんな訳で今回も一旦区切ります。
もし次話が短くなるようならどこかのタイミングでくっつけるかもです。