無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q.洗脳されちゃうの?
A.同じトラウマは二度通じない。

※タイトル間違えていたので訂正


無口と新型とカウンセラー2

調子が良い。驚くほどに調子が良い。

 

腕が軽い。足が軽い。

頭が軽い。神機が軽い。

 

目の前にはアラガミ。

俺の両親を喰らってくれた、忌々しいクソどもだ。

 

こっちにもアラガミ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

あそこにもアラガミ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

来いよ。来いよ。来いよ。

どいつもこいつも八つ裂きにしてやる。

 

俺の両親を喰らってくれた忌々しいクソ種族は、一匹残らず根絶やしにしてやる。

 

 

…いや、ちょっとタンマ。

何かおかしいな。

 

俺の両親喰ったのってコイツらじゃないんだが。

目を閉じてあの時の光景を思い返す。

 

酒入れてないから若干フィルター付きではあるが。

うん、やっぱりアラガミ違いだな。

 

あーそうか、カウンセリングってこういう奴か。

やっぱりフェンリルの関係者は信用ならんな。

 

ちくしょうあのオッサンめ。今度医務室から常備薬くすねてやる。

まぁ実際やったら物資横領で営倉行きになるんだが。

 

「ちょっと!何ぼさっとしてるんですか!」

 

あ、やべ油断した。

新しいルーキーちゃん…もとい、アリサからの怒声が飛んでくる。

 

ヴァジュラの猫パンチを喰らって、華麗に横に吹っ飛んだ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

周りの任務上がりの喧騒の傍らに、一人片隅で頭を抱える。

 

やっちゃった。

いや、ミッション自体はちゃんとこなしてきたけれど。

 

久方ぶりの悪夢で油断していた。

調子が良かった?そりゃ悪感情がフルドーピングされてたからな。

動きだけなら合格点だ。

 

だが感情任せのそれがいつまでもまかり通るほど、この仕事は甘くないんだよ。

長続きなぞするはずも無し、いつか必ずボロが出る。

 

いやぁ、今回ルーキーちゃんがいなくてよかった。

あれだけドヤ顔かましといてこのザマとか、立つ瀬が完全に無くなるからな。

 

ちなみに立つ瀬はもう半分ほど無くなっている。

吹っ飛ばされた後、すぐに立て直してヴァジュラを倒したが時既に遅く。

 

「旧型がでしゃばるからそうなるんです。見得張らないで、それなりの働きをしてください。」

 

止めろアリサ、俺はこれでも古参なんだぞ。

その言葉は俺に効く。それにちゃんとガードして無傷だったろうが。

 

まぁだからどうしたと言われればそれまでなんだが。

我ながらとんだ無様を晒したものである。

 

ちなみにアリサは周りからは名前呼びされているので俺もそれに倣っている。

この前リンドウがルーキー呼ばわりして、もう一人の方からも同時に怒られていたからな。

 

「よぉ色男。流石のお前も、立て続けに新型二人の相手は疲れたか?」

 

出たな諸悪の根源。

誰の頼みのせいでこんなザマを晒したと…

 

…うん、キンキンに冷えている。

このビールに免じて、今回は水に流してやろう。

 

………

 

「ま、よくよく考えてみれば神機使いってのはある意味選ばれた人間の集まりだからな。その中でもさらに選りすぐられた新型ともなれば、あの態度も仕方ないのかねぇ。」

 

ビールを片手に心配そうにリンドウが呟く。

まぁそれは俺も同感ではあるのだが。

 

今の状況は明らかに俺がヘマしたせいで余計拗らせてしまっている。

そもそもそれを是正したくてリンドウが頼んできたのが事の発端だしな。

 

…仕方ない。個人的にもこのままっていうのは寝覚めが悪いし。

 

自分の不始末のツケは、自分で払いに行きますか。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは通称"鎮魂の廃寺"。

信心溢れる人々が集っていたのも今は昔。

仏の代わりに荒神がこぞって鎮座している、何とも皮肉めいた場所である。

 

「貴方、何考えてるんですか。」

 

後ろから不満全開の声がする。

 

「この前のミッションの事、もう忘れたんですか?」

 

知らんな。過去は振り返らない主義なんでね。

優秀な神機使いには記憶力の欠如が必要なんだ。

 

「私、このミッション失敗しても責任持ちませんからね。」

 

そりゃそうだ。これでも部隊長だからな。

新人に作戦失敗の責任を押し付けるとかしませんよ。

 

「…それで?コンゴウ()()、どうやって討伐するんですか?」

 

返事を返さなかった事がお気に召さなかったのか、いよいよ爆発しそうな不満声で質問される。

良い質問だアリサ君、やはり噂の新型は優秀だな。

 

作戦は三つ。

 

一つ、背後を取る。

 

二つ、チャージクラッシュで真っ二つ。

 

三つ、残り三匹、繰り返す。

 

最後にコア回収して終了だ。

どうだ、完璧な作戦だろう?

 

…しまった、これじゃ四つだ。

数え間違いとかリンドウじゃあるまいし。

 

ドヤ顔で説明しなくてよかったよ。

恥ずかしいからさっさとミッション始めるか。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

周りの任務上がりの喧騒の傍らに、一人片隅で頭を抱える。

 

やっちゃった。

いや、ミッション自体はちゃんとこなしてきたけれど。

 

三匹までは何事もなくズンバラリン。

最後の一匹になったところで悪戯心が湧いてしまった。

 

噂の新型さんなんだし、コンゴウ一匹くらい倒せるよね?

俺旧型だしー。期待の新型さんの実力見てみたいなー。

 

ちなみに私見だがアリサの実力なら問題無いと判断した上でのそれだ。

ヤバかったらサポートする気だったし、実際問題も無かった。

 

ちょっと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は気になったが。

基礎戦術は出来てるし、どこぞのルーキーちゃんみたく感情全開な様子も特にない。

 

なので、仕留めるのを中断して最後の一匹を譲ってあげた。

急に振られて驚いていたようだったが。

 

直ぐに気を取り直してコンゴウと戦闘、無事討伐してくれた。

コングラチュレーション、これでミッションコンプリートだ。

 

「馬鹿に、しているんですか…」

 

神機で身体を支えながらアリサが睨んでくる。

 

滅相も無い、流石は噂の新型さんです。

ちゃんと一人で倒せたじゃないですか。

 

肩で息しちゃってるけどー。

俺の倍以上時間かかってるけどー。

まだルーキーちゃんだから仕方ないかなー。

 

口にしたら多分殴られるので心で思うだけに留めておく。

リンドウと違って、俺はちゃんと人の機微がわかる人間なのだ。

 

…で。

 

「………………………」

 

ミッションの受注端末が鳴動する。

頭痛いから当然のように無視を決め込む。

 

「…鳴ってますよ、それ。」

 

顔を上げるとアリサがいる。

ついでにルーキーちゃんもそこにいる。

 

「………………………」

 

受注端末に目を向ける。

ミッション…というか実地訓練の同行依頼だ。

 

ご丁寧に直属上司であるリンドウのサインも入ってる。

 

「旧型呼ばわりして侮った事は謝ります。だけど…」

 

-あの未熟者扱いするような蔑んだ目、忘れませんから。-

-絶対、直ぐに見返させてあげます。-

 

おかしいな、俺あの場で一言も発していないはずなんだが。

それじゃ後輩いびりする意地悪い先輩だったみたいじゃないか。

 

しかもルーキーちゃんまで「私もですよ?」みたいな目で睨んできてるし。

助けてリンドウ、おたくの部下に絡まれてるの。

 

「ハッハッハッ、いやぁモテる男はツライねぇ。ただ火遊びもほどほどにしとけよ?」

 

はっ倒すぞお前。

これが女侍らせてるように見えるのか。

 

今度サクヤに、おたくの隊長が部下二人に粉かけてたって吹き込んでやるからな。

 




どっかでシリアス入ります。
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