無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
A1.欲求>感情の人。
Q2.じゃあ食べ物あげれば餌付けできる?
A2.試して駄目だった時は責任取れません。
Q3.カノンちゃんよくやれたね?
A3.怒らせる常習犯なので慣れている。
なおソーマには通じなかった模様。
ここは極東支部のエントランスホール。
少しずついつもの喧騒を取り戻し、神機使い達がせわしなくあちこちを往来している。
珍しくターミナルをポチポチいじる。
普段は専用の端末を持っているのであまり触る事は無いのだが。
アリサの実地訓練も次で最後。
ちょうどいい相手はいないものかと発注されているミッション一覧をスクロールする。
一番手頃なのはコンゴウ辺りなんだが。
最近はめっきり数が減っている。
リンドウ捜索の名目で一時期乱獲されたからな。
残念と言うべきかアラガミが減って喜ばしいと言うべきか。
代わりに増えているのは大型種。
訓練相手と称するにはちょっと無理がある。
おっ、コンゴウ見っけ…と思ったらハガンコンゴウか。
流石に接触禁忌種はNGだ。
んー、無い。
まぁ無いんだったら仕方がない。
今日の所はお休みにしておこう。
休息を取るのも立派な訓練だ。
アリサに連絡を入れておく。
俺も部屋に帰ってティータイムと洒落込むか。
…え?俺は普通に任務に行かされるの?
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あれから三日、ようやく訓練にちょうどいいミッションが見つかった。
と言っても受注してるのはルーキーなんだが。
結局よさげな獲物が見つからず。
延々と訓練が先延ばしになってしまってた所にルーキーからお誘いされた。
まぁ女性からのお誘いは断れないな。
これ幸いと二つ返事で了承した。
ターゲットはグボログボロ二体。
通常種と堕天種で飽きがこないのもよさそうだ。
それに今回のミッションはルーキーも一緒。
受注主だから居るのは当然なんだが、おかげで万が一の備えも完璧である。
見た感じアリサの方も特に問題は無し。
正直、今日の訓練は消化試合みたいなもので終わると思ってる。
うむ、今日は楽が出来そうだ。
偶にはこういう役得もいいだろう。
…どうせ消化試合というのなら、さっさと狩って終わろうか。
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「私達、そんなに信用できませんか?」
一匹仕留めたところでルーキーに睨まれた。
ついでにドスの聞いた声でも脅される。
いや、どうせ消化試合なら俺が仕留めた方が速いかと思って。
だってお互い、その方が楽じゃない?
心配しなくても悪い評価は書かないよ。
「………………………」
やだ、ちょっとこの子怖い。
黙ってたら目線に殺気が籠められてきた。
おかしいな、俺一応上官なんだけど。
そんな目で睨まれたら、お兄さん怖くて何も言えないよ。
マンガやアニメならここで軽口の一つも叩くんだろうが。
残念ながら彼女の担ぐ切れ味よさそうなロングブレードがそれを許さない。
ついでにインパルスエッジも付属しているから、焼くも焙るもお好みのまま。
戯言なんぞほざこうものなら、十中八九、偏食因子の肥やしにされる。
刺身が本命、対抗でハンバーグ、大穴でたたきが一丁と言ったところか。
「…はぁ。」
溜息まで付かれてしまった。うーん、最近の娘は扱いが難しい。
まぁ俺は十分若いけど。
「アリサ、行ける?」
「…はい、行けます。」
ガン付けから解放されたと思ったのも束の間、ルーキーが俺そっちのけでアリサに話しかける。
アリサもアリサで同じように俺そっちのけで返事を返す。
うん。これ、普通に俺いらないな。
仲睦まじさの中に感じる確かな信頼関係。
やっぱり同年代の方がこの辺の意思疎通はしやすいのか?
まぁ俺は若いから関係ないけど。
世代じゃなくて男女差だという事にしておこう。
というかルーキー、こうしてみると意外とカリスマもあるみたいじゃないか。
第一部隊の
とか言ってる間に二匹目のグボロが来た。
さぁ二人とも、気を引き締めて討伐に…
あれ?何か向こうも二匹いないか?
残り一匹って話の筈だが。
あーそうか、近くに居すぎて一匹分の反応と誤認したって奴か。
良くある話だ仕方ない。
アリサとルーキーの表情が強張る。
一匹だと思ってた所にもう一匹付いてきたんだから驚きもするか。
まぁいいさ、こういうイレギュラーに備えて補佐役がいるんだ。
一匹は俺が片付けるとしよう。
知ってるか?
こういうの、極東じゃ"百合の間に挟まるな"って言うんだぞ。
俺の代わりにお前を刺身にしてやるよ。
…刺身の方が挟まりやすいような気もするが気にしないでおこう。
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ここは極東支部のエントランスホール…の、片隅に陣取られてるよろず屋。
多少お値段は張るものの、配給では出回らないような嗜好品などを入手できる場所である。
「ほらアリサ、遠慮しないで好きなの買いなよ。」
「い、良いんですか本当に?ここ、結構高いみたいですけど…」
ルーキーに促されてはいるものの、書かれた値札にアリサも若干引き気味だ。
「大丈夫だよ。私たちが払うわけじゃないし。」
「いや、だから余計に気にしてるんですが…」
片やジト目で、片や心配そうな目でこちらに振り返る。
いやぁ参ったな。こんな可愛いレディ二人の視線を独り占めとか、男冥利に尽きるというものだ。
まぁ現実を直視すると何のことは無い、ただの財布係なんだがな。
勢いに任せて、うっかり獲物を横取りした代償は高かったという事だ。
訓練とはいえミッション報酬は変わらず頭割りなんだが、この買い物で俺の取り分は綺麗に吹き飛びそうだな。
…いや。これむしろ若干、足が出るかも。
アニメに出てくる上官役がよく金欠描写されている理由がちょっとわかった気がする。
というかルーキー、お前菓子ばっかり選びすぎだろ。どんだけ甘味が好きなんだよ。
アリサも吹っ切れたのか遠慮なく砂糖菓子を選び始めたし。
太るぞお前ら。
ぷにぷにになったら大笑いしてやるからな。
まぁ言ったら刺されるだろうから言わないが。
せっかくアラガミにお刺身役を押し付けたのに、わざわざ串刺し役に立候補する必要は無いからな。
-おい見ろよ、今度はもう一人の新型も一緒だぜ。そういやあの二人は仲良かったな。-
-あの人味覚が狂ってるからな。流石に友達が変な物食わせられる所は見てられなかったか。-
二人の買い物を見ていたところ、おなじみのひそひそ声が聞こえてきた。
またお前らか…ていうかちょっと待て、聞き捨てならんぞどういう事だ。
俺が何時他人に変なものを食わせた。
自分が不味いと思う物を勧めるとか普通に嫌がらせだろうが。
俺は
まぁ人の噂なんていい加減だからな。
とはいえ、変な誤解が広まっているのも考え物だ。
必要無いとは思うが、一応俺の味覚センスも披露しておくとしよう。
ふむ、茶菓子と言って欠かせないものと言えば…
-ペシりっ-
「…私達が選びますから。先輩は選ばなくていいですよ。」
ごく普通に手をはたき落とされた。
嘘だろ、俺が金出すのに自分で好きなの選べないの?
「ちょ…流石にそれはひどすぎなんじゃ…」
「駄目だよアリサ、そんなんじゃこの先、いつか必ず後悔するよ。」
勢い余って二匹倒したらマイナス報酬になったって話。
ちなみにまだ出てないけどルーキーちゃんにはちゃんと名前があります。