無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.元上官は赤い目を見た事ある?
A1.Ja (ヤー)。

Q2.元上官はこの人怖くないの?
A2.それ以外の面も知っているのでそれほどでも。

極東支部で最もこの人と関わりが深い人。
出番?モブ様なので出演予定は無いですね。

曇りが続いたのでハイパーすっとこタイム。
前半?曇りのち晴れという事で。


無口な無口な防衛隊-幕間-

-Side_ツバキ-

 

(…やはり、リンドウのようにはいかんな。)

 

叱責を聞いているのかそうでないのか。

無言のまま青い瞳を向けてくる神機使いに溜息を漏らす。

 

これが同じ立場の人間であったなら他の手段もあるのだろうが。

生憎と私は極東支部の教官。彼より立場が上である以上、逆に取れない手段というのも多くある。

 

-姉上は相変わらず固い固い。こういうのは酒でも飲みながら軽く窘めるくらいでいいんだよ。-

 

いつぞやリンドウが言っていた言葉を思い出す。

それが出来るのならどれほど気楽な事だろうか。

 

確かに彼は人命を救った。

アラガミによって奪われそうになった命を、寸前の所で掬い上げた。

 

やむを得なかった状況なのは認める。

質量の塊である神機を一般人の眼前に投げつけたという点については目を瞑ろう。

 

だがその後の行動は頂けない。

コア回収すら行わず、過度に残虐な仕留め方をした点については擁護のしようがない。

 

アラガミは人類の敵であり、生命というには少しばかり違う存在。

だからと言って必要以上に加虐を加えて良い理由にはならないのだ。

 

本来であれば徹底的に行為を弾糾し、次が無いよう努めるべきではあるのだが。

 

(わかってはいたつもりだったが。やはり傷跡に火は燻り続けている、か。)

 

快方に向かっていたと思っていたんだがな。

やはり心傷というものは十年やそこらでは癒えるような生易しい物では無いらしい。

 

ふと視線を逸らせば彼の元上官がこちらの様子を伺っていた。

 

へらへらと、どこか楽し気に。

まるで"何をそんなに真面目に捉えているんだか"と言わんばかりの軽い視線。

 

下衆め、何がおかしい。

お前が()()()()()()()()()()を私が知らないとでも思っているのか。

 

つい感情がこもってしまった視線に気付いたのか、そそくさと男が退散する。

露骨な感情表現の一つもしたいところではあるが、残念ながら今はそれが許される立場でも状況でもない。

 

「まぁ、いい。」

 

誤魔化すように目の前の神機使いに言葉を紡ぐ。

僅かではあるが、その瞳に負の感情が帯びているのに気付いたからだ。

 

言葉こそ口にしていないものの、青い眼には明らかに不満の色が感じられる。

まるで誰のボスに粉をかけているのだと言わんばかりの視線だ。

 

一体何をどうすればここまで彼の心情を掴むことができるのか。

前評判さえ知らなければ是が非でも聞き出したいところではあるのだが。

 

「結果として人命は無事助けることが出来た。故に今回だけは不問にしてやる。…が。」

 

先程も言ったように私には立場というものがある。

下の者に甘くみられるようでは組織は成り立たない。

 

締めるところは感情を押し殺してでも締めなくてはいけないのだ。

 

「次は、無いぞ。」

 

首筋にバインダーを軽く当てて脅しつける。

 

聞いているのかいないのか、青い瞳の持ち主は相変わらず無表情のままだった。

 

……………………………………………………………………………………………

 

教官室に呼び出された。

 

心当たりがありまくりである。

 

怒られるかな?

怒られるよな。

 

それでも俺は謝らない。

だって俺は喋れないらしいもの。

 

実は普通に喋れるだろうって?

当たり前だろ。言葉を知らない訳じゃあるまいし。

 

そんな人間、いるなら是非ともお目にかかりたいくらいだ。

 

取り留めも無く考えながら部屋に入る。

うーん、般若のオーラが見えますね。

 

どうやらいつの間にかユーバーセンスの資質を手に入れてしまったようだ。

我ながらアラガミも真っ青のスピード進化だな。

 

「おい。」

 

はい、お呼びでしょうかマダム…待った今の無し。

危ない危ない、ドスの効いた声にビビってなければ危うく口にしていたところである。

 

ツバキさんは何時だって麗しい立派なレディ。

そこに議論検証の余地は無い。

 

だって当たり前の話だからな。

俺が言葉を喋れるのかどうかと議論するくらいアホらしい話である。

 

「貴様、聞いているのか。」

 

すみません、聞いてませんでした。

言うと殴られるだろうから言わないが。

 

ふと視線を横に逸らせば俺の元上官様がこちらを見ている。

珍しくヘマをした()()()()()()()の様子を、へらへらとどこか楽し気に伺っている。

 

ちくしょう、他人事だと思って。

見てないで助け舟の一つも出してくれよ。

 

いいのか?このままだと助けを求めて泣きつくぞ?

イケメンの好青年が顔面を土砂崩れにしながら、いい年こいたオッサンに縋りつく絵面が見たいのか?

 

いいのか隊長?ホントにやるぞ?

俺の性格は知ってるだろう?

 

いいんだな?畜生舐めやがって。

いいだろう、マジでやってやんよ隊長殿。

 

目を覆いたくなるような惨劇(呆れ)を見せてやる。

後で何言われても知らないからな。

 

いざ実行に移そうかと思ったところで元上官殿がそそくさと逃げ出す。

どうやらツバキさんの睨みに負けて知らぬ存ぜぬを決め込む事にしたようだ。

 

信じられん、あのオッサン部下を見捨てやがった。

アラガミ相手の時は大型種二体がかりでも一歩も引かなかったくせに。

 

くそ、後でお礼参りしてやるからな。

オッサン相手に容赦はしないぞ。手加減が欲しけりゃ女の子にでも転生してから出直してこい。

 

「………………………」

 

気付いたらツバキさんがこちらを睨んでいる。

ヤバイ、流石に無視し過ぎたか。

 

シャイなんでそんなに見つめないでください。

緊張して何も喋れなくなっちゃうじゃないですか。

 

「…まぁ、いい。結果として人命は無事助けることが出来た。故に今回だけは不問にしてやる。…が、次は無いぞ。」

 

はい勝訴。オッサン早く戻ってこい。

いつもの勝鬨やりますよ。

 

-我々の勝利だ!-

 

まぁここでやろうものなら間違い無く二人まとめて挽肉にされるだろうけどね。

リンドウ君のように身内じゃないからミンチコース間違いなしである。

こんなマズそうな合挽メンチ、シオだって願い下げだろう。

 

 

まぁいいや。

とりあえず今回の所は厳重注意で済んだ。お給金も減らされずに済んで何よりである。

 

しかし、うーん。

流石に今回の件は我ながら思う所もある訳で。

 

とりあえず菓子折り持って謝罪に行くのが筋というものかな。

 

幸い食べ物であれば榊博士から横流s…分けていただいた物が大量に余ってる。

持てるだけ持って外部居住区に挨拶に行くとしよう。

 

 

 

 

 

…あ、隊長オッサンお仕事ですよ。挨拶周りに行きましょう。

アンタ今は極東支部でも上層部の人間でしょう?下っ端の不始末は上司が面倒見るものですよ。

 

俺?いやぁ、シャイだからお酒で口を湿らせないと喋れないし…

 

休みが潰れた?知らん。それは支部長に行ってください。

ついでに俺の休暇もお願いします。

 

もうこんな仕事辞めたい?

アハハッ、相変わらず冗談が上手いんだからもう。

 

ゴッドイーターが自分の意志で退職出来る訳ないじゃないですか(笑)。

 




元上官様と無口さんの仲は良好。何気に声も知っています。

故に元上官様は(過大評価されまくってるので)引退できません。
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