無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~ 作:猫丸飯店
A1.ガン見してたので反応で遅れた。
Q2.ガードベント?
A2.冤罪です。
Q3.だってわざとじゃ?
A3.故意じゃなくて過失(うっかり)です。
答え合わせの時間。
なのでちょっと時間が巻き戻ります。
真の仲間同士に言葉などは不要なのです。
今は通じてなくても、やがてガンにも効くようになる。
薄暗い地下通路を進む。
前方を支部長とオオグルマ博士が進み、道を知らない俺がその後ろをついていく。
ふーむ、アナグラの地下にこんな空間があったとは。
いよいよ支部長の本気度合いが伝わってくるな。
事の正誤善悪などどうでもよく。
なりふり構わず、ただ純粋に人類の存続を考えて最善と思える手を打っている。
その結果が残る人類の殺戮とはなかなか洒落の効いている話だ。
もっとも、俺にそれを糾弾する資格などありはしないのだが。
そう考えるとオオグルマ先生も実は外道に至った理由があるのだろうか?
例えばかつては立派な理想のために身を粉にして駆け回ったものの、そのどれもが認められず失意の内に手段を選ばなくなっていったとか。
仮にそうだとしても別に俺の知った事ではないが。
俺は神様じゃないので、他人の人生を加味してまで自分を捻じ曲げようとは思わないし。
まぁいいや、オッサンの半生にそこまで興味はない。
真面目にお仕事に取り掛かるとしよう。
しかし彼女達か。
レディに手を上げるのは俺の流儀に反するんだがなぁ。
そんな子に育てた覚えは無いと両親に怒られてしまうよ。
まぁ育つ前には既にこの世にいないんだけどな。
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エイジスにある大広間の一角。
件のテロリスト達と御対面である。
いや、お前らかよ。
というかどこでこの計画の話を知ったんだ。
この計画ってまだ公には周知されてない筈なんだが。
実はどこかのスパイだったとかいうやつか?
でもその場合一番怪しいのってこのオッサンじゃん。
あ、まさかこの期に及んで裏切ったって事?
あぁ、だからオオグルマ先生連れてきたのか。
アリサが相手なら暗示であわよくば同士討ちでも狙おうって寸法か。
やっぱりフェンリルなんてどいつもこいつも真っ黒じゃないか。
初めは気の良いオッサンだと思ってたんだけどな。
………
オオグルマ先生が例の暗示を口にする。
アリサの様子が明らかにおかしい。
やりすぎだろ、ホント悪い意味で優秀過ぎるなこの先生。
組み伏せて抑えるか?いや、流石に距離があり過ぎる。
そもそもこのオッサンから目を離すと何をされるか分かったものじゃない。
仕方ない。まずはオッサンを気絶させて、その後アリサを取り押さえよう。
仮に気絶しなくてもバスターブレードの一撃なら間違いなくしばらくは動けなくなるだろうし。
何か言われたら俺にも暗示がかけられてて暴発しましたとか言っておこう。
どうせ二人とも、心当たりの一つはあるだろう。
暗示の言葉がさらに続けられる。
うん、そろそろ頃合だな。神機を握る手に力を籠める。
死なないように。でも無事では済まさないように。
悪いな先生、この前の仕返しだと思ってくれ…え?
次の瞬間、サクヤがアリサに走り寄り、同時にアリサの神機から光弾が発砲される。
その光景に思わず驚き、神機を振り降ろすタイミングを外してしまった。
一瞬同士討ちかと焦りはしたが。
すぐさま光弾の色を思い出して思考をよぎらせる。
軌跡に残っているのは緑色。
なるほど回復弾。つまりこれは--
「お生憎様!回復弾よ!」
囮。本命は次弾。
狙いは俺か先生のどちらかか。
ここでようやくオオグルマ先生から視線を外し、目の前の脅威を防ぐ算段を立て始める。
当てが外れた。取り押さえるとか峰打ちとか、そんな悠長な余裕をかましている場合ではない。
サクヤの神機は狙撃型。
連射が効く武装ではない。
弾丸は一発。
二の矢はここではありえない。
先生狙いならどうでもいいが、俺狙いなら躱してから制圧。
その後の事は…まぁ制圧してから考えよう。
銃口と放たれる弾跡を確認する。
うん、先生狙いか。
じゃあどうでもいいや。
前に出ようと足に力を籠める。
途端、信じられない物が目に映る。
マズい、抜かった。このタイミングは躱せない。
既に足の力の向きは定まっている。
神機で防ぐには既に体幹が崩れている。
出来たところで手近な何かを引き寄せる程度が関の山だ。
手近な何かか。
人として、
ゴメン先生、代わりにこれで仕返しの件はチャラにするから。
………
爆煙が晴れていく
ヤバかった。
何気に爆発モジュールまで組み込まれていたとは。
神機で受けていたら間違いなく吹っ飛ばされていた。
やっぱりカノンと一緒のミッションで訓練させたのは失敗だったな。
無事危険な因子が組み込まれてしまったよ。
先生の影に隠れたままアリサを見る。幸いにも暗示の効果は切れた様子。
代わりに正気の状態で狙い撃ってくるという訳だが。
うん、普通に洒落にならん。
近接神機使い相手に射撃タイプ二人がかりとかイジメか?
おまけに一人は爆発弾装備だし。
このままでは流石にマズい。遮蔽物も無いこの広間じゃ普通にハチの巣にされる。
下手すればミンチ一丁出来上がりまでありうる。
仕方ない、レディ相手にあまり気乗りはしないのだが。
懐から切り札の一つを取り出してアリサに向ける。
馬鹿、何をぼさっとしてるんだ。早く防御態勢を取れ素人め。
このままじゃ
構えたまま促すように銃口を揺らしているとサクヤから叫びが上がり、ようやくアリサが神機の装甲を展開する。
よし、準備出来たな。
これで安心してぶっ放せる。
撃ち合いになったら話も何も無いからな。
とりあえず、このホールから退散してもらおうか。
………
二人が退いたのを確認し、腕の中の人物の容態を確認する。
容態といっても、オラクルバレットの誤射なんて
精々が衝撃で吹き飛ばされる程度。酷い時でも軽い脳震盪でピヨるだけ。
別に命に支障がある訳ではない。
ほら先生、いつまで寝たふりしてるんだ。
女性相手ならいざ知らず、俺にオッサンを抱きしめるような趣味は無いぞ。
揺する。揺する。反応が無い。
何だいったい、当たり所でも悪かったか?
…あ、ミスった。
いやわざとじゃないんだ信じてくれ。
やってしまった。
そう言えば先生は神機使いじゃなかったか。
チラリと支部長の方を見る。
この距離でもわかるくらい渋い顔してる。
すみません、本当にわざとじゃないんです。
ただちょっと傍にいたから引っ張っただけなんです。
この人色々黒い事やってたみたいだったし、因果応報というやつで何卒。
流石に怒られそうなので言わないが。
盾にしといてこんな言い草、俺なら間違いなくキレるしな。
「…オオグルマ博士の方は私が何とかしておこう。あの二人は君に任せる。」
はい無罪。培った信頼度の差が物を言ったな。
胡散臭いオッサンとイケメンの好青年じゃ比較にすらならないか。
やはり若いってお得だな。
それにしても、支部長も中々気の利いた言い回しをしてくれる。
このタイミングで
まるで俺の考えが読まれているようで少し怖い。
まぁいい、せっかくの支部長からの御好意だ。
遠慮せず便乗させてもらうとしよう。
お言葉通り、
先生に銃撃が飛んできた。
咄嗟にその軌道から外してあげたら、外した先にも弾が飛んできただけ。
流れ弾ですな、流れ弾ですね。
先生がこうなっては仕方ないから、隊長さんが何とかするしかありませんね。
長くなったので次に続きます。