無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.この人何で神機使いになった?
A1.両親の仇を討つためアラガミを狩れるから

Q2.もしアラガミがいなくなったら?
A2.困る困る

Q3.何で?
A3.アラガミを狩れなくなるから仇が討てなくなるから

手段と目的が入れ替わりましたが、オーバーフローしてるので参照不可。


無口な無口な猟犬さん-幕間_箱舟Side-

-ユウマ・マカヅチ特務少尉の報告書1-

 

神機使い・橘サクヤ、アリサ・イリーニチナ・アミエーラの処遇について

 

~~~

 

1.エイジスにおける戦闘にて、両名の完全無力化に成功。現在は小職の管轄する一室にて身柄を拘束し、説得による懐柔を検証中。

2.両名は極東支部における影響力も高く、殺害による無力化よりも生存させて今後の作戦に利用する事の方が有用と思われる。

 

 

以上の理由により、現時点において両名の早期処罰はフェンリル極東支部での活動に置いて不利益を被る可能性が高いため、現状維持による有効活用が効果的である旨を提起する。

ただし万が一監視の手を離れた場合に備えて両名については引き続き指名手配としておく旨も併せてここに提起する。

 

 

--報告者:ユウマ・マカヅチ特務少尉

 

……………………………………………………………………………………………

 

-Side_ヨハネス・フォン・シックザール-

 

…全く、私が言うのもおかしいが。

一体どの面を下げて私に会いに来ているというのだろうか。

 

出来る限りの圧を込めて目の前の神機使いを睨みつける。

もっとも、そんな低俗な威圧が通じるとは欠片も思ってはいないが。

 

先の任務中と変わらない無言無表情。

感情の読めない鉄仮面が、反応を返すでもなく真っすぐこちらを見据えてくる。

 

思えば武器の支給を要求した段階でもっと疑いを持つべきだった。

放し飼いの猟犬どころが、まさかリンドウ君が可愛く見えるほどの猛獣ネズミだったとは。

 

ここに来て手駒の薄さを悔やむ日がこようとは。

既にオオグルマ博士を失っている私に彼を抑える術はなく、にも拘らず今の私にとっては手放し難い貴重な戦力。

 

それを理解していた上での行動なのかまでは正直わからないが。

遠慮無しに彼女らの助命を強要してくる忠実な兵士。

 

拒否権は無い。断ればまず間違いなく、彼はこちらに牙を向けてくる。

 

その上でわかりやすいほどのメリットも同時に掲示してくるのだから性質が悪い。

"信用できない"の一言で切り捨てるには、あまりに利用価値があり過ぎるのだ。

 

飼い主がわかればまだやりようがあるものの、今の段階ではペイラーぐらいしか思い当たる節が無い。

まったく、何をどうやって彼をここまで飼い馴らしたものなのか、折あらば是非聞いてみたいものだ。

 

船に招待したのは早計だったか?

いや。思えば彼の元上官からして底の知れない人物である。

性格は似ても似つかないというのがまた何ともお笑い草な話だが。

 

ある意味ではそのような人間こそ新たな世界に席を用意されるべき人間。

次の世代を繋ぐべく、伏魔殿と化すであろう人の世界を生き抜くことができる上澄み中の上澄み。

そのような輩こそ、箱舟に乗せるにふさわしい。

 

まぁいい、話を戻そう。

まずは目の前の交渉を纏めない事には話は進まない。

 

「…君の嘆願は飲もう。だがタダですべて聞いてもらうというのは、いささか虫が良すぎではないかな?」

 

要求は飲む。

指名手配をかけたままなのであれば、別に彼女達を生かしておいたところで計画に支障はない。

 

だが見返り無しに全てを叶えるつもりはない。

大願成就のため、私を含めたいかなる犠牲を払ってでもこの計画は成功させなくてはならない。

そのためにも特異点を確保するための手駒が何としても必要だ。

 

私は知っている。

 

君は基本的に仲間のために行動する。

が、それはただ無条件で動いている訳ではない。

 

そこに()()()()()()()()()()()()()()()()

言葉を発しない故に気付いている人間はごく少数であろうが。

 

先のリンドウ君の探索にしても、第一部隊の面々以外にも便宜を図っていた事は知っている。

ミッションを無視するような連中の頼みは全て断っていたことも。

 

ならば私も損得という名の道理を通した上で、君に要求を突きつけるだけ。

君とて一方的に要求するだけでは座りが悪いだろう?

 

「要求は一つ。君には今後、私の手先となって動いてもらおう。断れば、問答無用で治安部隊を君の私室に差し向けさせてもらう。」

 

無論、この行為自体は彼自身にダメージは無く、彼がわざわざ抱え込んだ弱みに対するけん制でしかない。

 

…が、効果は十全だったようだ。

無表情のまま、訝しむような視線は向けられたものの、それほど間を置かずに彼は頷く。

 

山場は越えた。

得体の知れない猛獣は、晴れて真に私の猟犬へと姿を変えた。

 

さて。

では早速で悪いのだが。

 

 

君には特異点の確保に協力してもらおう。

…いや、これは言い方が悪いな。

 

せっかく彼がそれらしい理由を用意してくれたのだ

あえて乗るのが上に立つものの務めというものか。

 

先程提出された()()()の報告書を手にして言葉を紡ぐ。

 

「君に正式に辞令を下す。引き続き任務を継続し、特異点の確保に当たりたまえ。」

 

……………………………………………………………………………………………

 

-Side_部隊長-

 

「俺、アーク計画に乗る事にしました。」

 

意を決したようにそう告げるコウタだが、俺からすると別にどうという話ではない。

 

いや、うん、良いんじゃないか?

過程を理解した上でそう結論付けたのなら、何を恥じる必要があるというんだ。

 

お前には守るべき大事な家族がいるんだろう?

 

自分が大切に思う家族のために覚悟を決める事の出来る人間。

自分以外の誰かを最上に考えられるというのは本当に素晴らしい事だと俺は思う。

お前みたいな人間こそ生き延びるべきだと俺は思うよ。

 

まぁ、うん。

迷う理由はわかる。

 

が、()()()

 

生きるというのは何かの犠牲無しには成り立たない。

全てを救いたいなんて思想、偽善どころか命に対する侮蔑だ。

 

…続きがあるようだな。じゃあ聞こうか。

言葉次第では、俺はお前の敵に回るぞ。

 

………

 

そうだ、それでいい。

まったくハラハラさせてくれる。あまり年上を不安にさせるな。

 

コウタの決意を一通り聞いて安心する。

そこまで覚悟が出来ているのなら俺が心配する必要は無いだろう。

 

犠牲を払い、それでもなお生きていると。

それだけを忘れなければそれでいい。

 

両親を犠牲にしている俺が言うんだから間違いない。

まぁ我ながらちょっと重いかなと思うから言わないけど。

 

代わりに帽子越しに頭を乱暴に撫でてやる。

不意に行われる行為に何するんですかと抗議の声が上がる。

 

ハッハッハ、悪いが男相手に優しくしてやる義理は無い。

それに多少は気が紛れただろう?

 

子供が難しい事考える必要は無いんだ。

面倒な考え事は大人の俺に任せておけ。

 

あ、いや。そこまで歳の差無いからお兄さんと言うべきだな。

大事な事だ、この辺ははっきりさせておかなくては。

 

 

…さて。

 

覚悟は決めた。腹も括った。

なぁに、今更一人二人増えたところで変わらんよ。

 

支部長も博士も正直信用ならないからな。

俺は俺の信じる思想のために動くだけ。

 

単なる独りよがりと言われたらぐうの音も出ないが。

それでも()()()()()()()()()()()()()()()()

 

優しいお兄さんに感謝しろよコウタ君。

特に妹さんには良く感謝するよう言っておくように。

 

 

 

 

 

ただ、まぁ。

 

シオがイヤって言った時はごめんな。

 

……………………………………………………………………………………………

 

-ユウマ・マカヅチ特務少尉の報告書2-

 

特異点の捜索結果、及び確保に関する作戦概要について

 

~~~

 

1.当該個体は人型で高い知能を有しており、本任務目標である特異点である可能性が非常に高い。以下、本個体を"特異点"と呼称する。

2.特異点はペイラー・榊博士の管理下にあると推測されるが、具体的な収容位置並びに方法は不明。

3.特異点の監視、及び保安要員としてソーマ特務曹長他数名の存在を確認。アーク計画に非協力的である事から、確保においては特異点の無力化を実施される可能性が懸念される。

 

 

以上の理由により、早期の強硬手段は任務失敗の可能性が非常に高いと推測される。

収容位置の確認を最優先事項とし、その後強襲計画の立案・実施が効果的である事を旨を提起する。

 

なお上記提起事項の遂行においては小官を自薦する。

本件の遂行に当たり、継続許可を求む。

 

 

--報告者:ユウマ・マカヅチ特務少尉

 

 




決意のコウタとその覚悟を聞く隊長さん。
なおリンドウさんと違って実行ファイルは作れない模様。
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