無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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※分けるには半端になってしまったので少し長めです。

Q1.カノンの妹?
A1.とある部分が妹的。

Q2.お子様扱い?
A2.年齢ではなく振る舞いで判断してくれる人。

近接戦闘論については某三部作SSを参照。
そう言えばあちらも言っている人のパーソナルカラーが青ですね。


無口な無口な新型使い(仮)3

銃身タイプ:アサルト--

 

所謂マシンガンと称されるそれは小口径弾による弾幕展開を得意とする銃身。

レーザーによる狙撃や放射弾による破砕効果は他銃身に劣るものの、その取り回しの良さは専ら初心者向けといっても過言ではなく。

銃型神機に慣れない俺が扱うにはこの上なくベストな銃身ともいえる。

 

目視したアラガミにガトリングガンを彷彿させるそれを向け、ありったけの弾丸を掃射する。

 

俺のオラクル量だと約三十発程度で撃ち切りリロード。

多くも少なくもなく、弾が切れる頃合で剣の間合いに向こうから詰めてくるのでちょうど良い。

 

飛び込んでくるアラガミを上手くいなし、後ろに回ってずんばらりん。

普段ならここで終わるところだが、今回はオラクル補給のために余計に斬り刻む。

 

蹴りどころか文字通りの死体斬りなので気乗りしないが。

神機というのはこういう仕様なのでしょうがない。

 

オラクルが十分溜まった所で銃形態に戻して残心。

初めての新型神機にしては中々様になってる戦闘スタイルではないだろうか。

 

「射撃戦から切り替えての近接戦闘…確かにお手本のようにスムーズですけど。」

「…二、三発しか当たらないって戦術以前の問題じゃないですか?」

 

ふむ、どうやら教官方には不評の様子。

まぁ俺もどうかと思うくらい当たらなかったしな。

 

いくらマシンガン系統で全弾ヒットを目的とした武器ではないとはいえ、もう少し命中率を稼ぎたいのが人情というもの。

 

 

という訳で、次はもう少し近づいてみようか。

 

………

 

元々近接神機使いの俺にとって相手に接近するのは造作もなく。

当たる距離まで近付いた所で全弾発射。

 

気持ち良いくらいのクリーンヒットの嵐と共に、エリック顔負けの華麗さでアラガミが吹っ飛ぶ。

いくら小口径弾とはいえ、この距離と弾幕なら吹っ飛ぶのも道理か。

 

撃ち切った所で様子を伺うと、全身で弾丸を受けきったオウガテイルが天を仰いで寝そべっている。

身体の一部が所々欠けているのが何とも痛ましい。

 

まぁ手を緩めたりはしないがな。

だって俺のバトルフェイズはまだ終了してないし。

 

剣形態に神機を切り替え、まずは首に刃を突き立てる。

ゴキリと音をさせながら芯を断ち、胴体にも突き刺して前後に捌く。

最後はダメ押しとばかりにプレデターフォームで捕喰する。

 

ちょうどオラクルも溜まったので銃形態に戻して残心。

全弾ヒットから白兵戦でトドメ、まさに理想的な流れではなかろうか。

 

 

「確かに今度は当たりましたけど…」

「近過ぎですよ。そこまで寄ったなら最初から剣で斬った方が早いじゃないですか。」

 

ふむ、これも駄目とか教官方は厳しいな。

極東が激戦区と評されているのも納得である。

 

まぁ俺も剣で斬ろうかなと思うくらいには近かったしな。

かといってこれ以上離れると今度は命中率が怪しくなる。

 

 

仕方ない、発想の転換で戦闘順を入れ替えてみるとするか。

 

………

 

今度は初手から剣形態。

いつものように後ろに回り込んでずんばらりん。

 

バスターブレードじゃないのでちょっと威力不足感が否めない。

小型を斬る分には申し分ないのだが。

 

なのでここからは相手が生きている想定で戦闘継続。

 

切り払いつつも銃形態へ変形させ、バックステップしながら全弾発射。

先程より多少狙いはぶれたものの、一直線に下がりながらの射撃なのでそれほど弾丸はばらけずに命中した。

 

ややミンチ気味になったアラガミを後目に剣形態へ戻して残心。

オラクルの補給は出来ていないが、次の相手に同じことをすれば補給出来るので問題無い。

 

さぁどうだ。これがベテラン様の実力である。

この短期間で三つの戦術を使いこなすとは、我ながら自分の才能が恐ろしいな。

 

「…いや、最後の銃撃いります?無駄弾撃って遊ばないで、真面目に戦ってくださいよ。」

「ちょ、リーダー、もうちょっとオブラートに包んだ方が…」

 

 

嘘だろ、これも駄目なのかよ。

というかどこをどう見れば遊んでるように見えるんだよ。

 

あ、わかった、さては俺の才能を妬んでるな?

まったくしょうがないなぁお嬢ちゃんは。

 

まぁこれでも一応古参兵だし?

慣れてないとはいえこのくらいは余裕だし?

 

いえいえ、決して馬鹿になんてしていませんよ。

まだルーキーちゃんの君達にはわからないかなーって思ってるだけですよ。

 

 

口にしたら多分殴られるので心で思うだけに留めておく。

それに別に悔しく思っている訳では無いから、言わなくたって平気だし。

 

……………………………………………………………………………………………

 

小型種の駆逐も粗方終わり。

いよいよ本命の接触禁忌種と御対面となるのだが。

 

「…どうします?」

「…どうしようか?」

 

ターゲットが作戦エリアに到来するまでの束の間、第一部隊の二人が緊急ミーティングを開催する。

 

あれから何体か追加で小型種を相手にしたが。

教官方からの評価はまさかまさかの"不合格"である。

 

「確かにミッションの目的は新型神機の扱いに慣れてもらうって名目でしたけど…」

「射撃精度が低すぎて戦術以前の問題だよね。ぶっちゃけあの人、新型神機に向いてないような気が…」

「だ、駄目ですよリーダー、聞こえますからもっと声を落として…!」

 

聞こえてるんだよこんちくしょう。

アリサもそれ庇ってるつもりだろうが普通に肯定してるのと同じだからな。

 

まぁ自分の目からも不合格という評価自体はその通りだと思うので反論しないが。

才能云々とドヤ顔しといて言うのもなんだが、わざわざあの戦い方をするメリットゼロだったからな。

 

旧型神機に慣れ過ぎたなどと言い訳するつもりは毛頭無いが。

如何せん新型神機のコンセプト自体、俺の戦闘スタイルと全く噛み合っていないのだ。

 

先程も述べたが近接神機使いの俺にとって相手に接近するのはそれほど難しい事ではない。

不慣れな新兵であればともかく、経験も十二分な今となっては射撃による前準備を必要としていない。

 

そもそも俺の射撃の腕前は言わずもがなだ。

悲しい事に不器用だと言う事も判明し、尚の事隙を晒してまで射撃戦から導入する意味が無い。

 

あとこれは余談だが銃身パーツが付いてる分、旧型神機に比べて妙に重い。

確かに差し込める程度に射撃が出来ればと思う時もあるが、現状取り回し感を下げてまで付けたいかと言われるとNOである。

 

結論。

俺、新型神機向いてないな。

 

以上。

答えも出たし帰ろうか。

 

「いや、何帰ろうとしてるんですか。まだターゲットを討伐していませんよ。」

 

しれっと帰り支度を始めていると後ろからルーキーが声をかけてくる。

そういえばもう一匹中型が残っていたか。

 

まぁ接触禁忌種とはいえ所詮はゴリラ一匹。

サクッと倒して帰ろうか。

 

それで隊長殿、戦術の方はどのように?

 

「いつも通り、突っ込んで切り倒しましょう。言いにくいですけど先輩、射撃戦に向いてませんから。」

 

火の玉ストレート投げてくるの止めろ。

その表情でよくもまぁ言いにくいなんて言えたもんだな。

 

年上虐めは良くないぞ。

それに業火球過ぎてアリサまであたふたしてるじゃないか。

 

「人間誰しも得手不得手はあります。射撃が下手でも下手なりに戦えばいいだけですから。」

 

だから火の玉ストレートは止めろ。

何、もしかしてこれ三振取るまで止めないっていうオチ?

 

アリサはと言うと気まずそうに苦笑いしている。

ちなみに君も以前似たような事言ってたからね。

 

ひょっとしてだが新型神機の適合者って皆コミュニケーション能力に難ありなのか?

親しい仲だから良いものの、付き合い浅いと喧嘩になりそうだぞこれ。

 

そんなこんなしてる内にアラームが鳴り、ターゲットが作戦エリアに到達したことが告げられる。

直前までどことなくぐだぐだした雰囲気だったが、一瞬で空気が切り替わるところは流石は極東屈指の精鋭部隊と言ったところか。

 

二人が銃形態に切り替える。

ルーキー呼ばわりしてはいるものの、こうして見れば二人ともすっかり歴戦の神機使いであると認めざるを得ない。

 

俺の直接の部下という訳ではないが。

こうして後輩の育った姿を見るのも存外悪くないな。

 

一人剣形態のままで感慨に耽っていたところ、ふと先程ルーキーに言われた言葉が頭によぎってくる。

 

-射撃が下手でも下手なりに戦えばいいだけですから-

 

「………………………」

 

…何か気に食わないな。

まるで俺が()()()()()()()()()()が苦手な人間だと思われてる気がする。

 

これでも古参兵としてのプライドはあるのだ。

いくら立場や階級は同じになったとはいえ、後輩に侮られたままというのは沽券に関わるというもの。

 

うむ、このままではいけない。

後輩の成長を喜ばしく思っているのは嘘ではないが、それとこれとは別なのだ。

 

少女相手に本気を出すのも大人げないが。

ここは一つ先輩としての威厳を見せる場面だな。

 

おあつらえ向きに三人揃って色違いの同じ武器。

装備の性能差が無い以上、実力の違いがはっきり分かって好都合。

 

確かに俺に射撃の才能は無いかもしれないが。

白兵戦については一日の長というものがある。

 

そして俺が見た限り、二人揃って()()()()()()()()()()()()()()()()というものがまるでなっちゃいない。

 

そう考えるとちょうど良い機会だ。

神機の性能が神機使いの実力を決定付けるものでは無いという事、優しい隊長さんが教えてやるよ。

 

………

 

ハガンコンゴウが崩れ落ちる。

 

元々割れているような顔を斬り刻まれ。

うつ伏せに倒れた背中はまるで機関砲でも撃ちこまれたように穴だらけになっている。

 

ふぅ、思ったより手こずった。

やっぱりバスターブレードの方が俺は楽だな。

 

「ほ、本当に最後まで白兵戦しかしませんでしたね。」

 

そりゃそうだ。

近接神機使いが獲物を逃がすようでどうする。

 

「いやおかしすぎますよ。新型神機使うの、今日が初めてですよね?」

 

そりゃそうだ。

今までずっと旧型神機にしか適合していなかったからな。

 

「…もしかして、射撃が下手って言われた事気にしてました?」

 

そりゃそうだ。

下手くそなのは事実でも射撃戦が出来ない訳じゃないからな。

 

これでも一応古参兵だからな。

何でもとまでは言わないが、大抵の事は出来るのだ。

 

というかだな。俺から言わせればお前らの方がなっちゃいない。

何でアラガミが後退したくらいでわざわざ射撃戦に移行するんだよ。

 

せっかくロングブレード使ってるんだから、インパルスエッジで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

逃げたら撃つなんて言葉、極東じゃ子供でも知ってる常識だ。

 

ちなみに俺もソーマも以前は普通の銃器で同じ事をやってた時期がある。

威力が低すぎる上にコスパも悪いのでやらなくなったが、オラクル弾を撃ち出せる新型神機なら話も変わる。

 

結果はご覧の通り、背中も正面もボロボロである。

向けば斬撃逃げれば射撃、倒れた姿は全破壊、という事だ。

 

もっとも、俺の場合はいつものバスターブレードの方がもっと楽に仕留められるんだけどな。

その辺りは慣れも絡んでくるので気にしないでおこう。

 

 

さて、思いもかけず四つ目の戦術をお披露目する形になったが。

 

「…まぁ、これなら私達から言う事は特に無いよね。」

「むしろこっちが勉強させられてしまったような…」

 

はい合格頂きました。

四度目の正直でようやくなのだが気にしない。

最終的に合格すればそれでよかろうなのだ。

 

それにしても初めての新型神機の割にはいい感じに動けた気がする。

我ながら自分の才能が恐ろしいな。

 

これは新しい期待の新型使いの誕生かなー。

ルーキーちゃん達の立場を奪っちゃってお兄さん申し訳ないなー。

 

まぁ多分もう使わないから言わないけど。

ぶっちゃけ前の神機の方が使い勝手良いし。

 

使う前は新型神機と聞いて多少なりとも期待に胸を膨らませていたんだが。

まぁやはり実際に使ってみないと判断できない部分はあるという事だな。

 

 

……

 

………

 

 

 

 

 

 

さて。

 

アーク計画のために休暇を取っていた連中も皆戻り。

アナグラもようやく以前のような活気が戻ってきた。

 

多少ギスギスした空気があるのは否めないが、そこはまぁコラテラルダメージと思って割り切るしかない。

時間が解決するだろう多分。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部の個人部屋。

先日まで居た同居人は既に退居しており、静まり返った室内でアーカイブ端末を操作する。

 

画面に呼び出したのは以前受注し、握り潰した特務案件。

 

支部長亡き今、既にデータを参照権限は自分だけとなっており。

特務案件は性質上、オペレーターを介さずに個々人の判断で任務に赴くことが出来る。

 

あれから色々…まぁ、本当に色々あって大変だったが。

そろそろ探しに行ってやらないとな。

 

 

 

 

 

願わくば。

未回収の請求書を破棄せずに済むといいな。




そろそろ時系列が進む予定。
見てない所でアラガミ化してるくらいじゃ死んだとは認めない人。
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