無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.壊れそう?
A1.成長しているので大丈夫。

Q2.どうしよう?
A2.強い刺激 or ゆっくり休む。

気付けにビンタは鉄板の治療法。
誰かがいれば手っ取り早かったのです。


無口な無口な偏食記1

リッカから送られてきたメールを確認する。

回収してきた偏食因子の組み込みが終わったとの事。

 

とんだ醜態を晒してしまった前回の任務だが。

転んでもタダでは起きないのが優秀な神機使いというもの。

 

これであのバケモノも真っ二つに出来る。

今から楽しみで仕方が無いな。

 

おっといけない。

いくら自室の中とはいえ、いい年した大人が一人でニヤニヤしているのはいただけない。

 

気を取り直して外出準備を整える。

先程のメールの最後に時間があるタイミングで一度調整に来て欲しいとの一文があったためだ。

 

別に任務前の調整でも構わないのだが、レディからのお誘いを断るのは無作法というもの。

モテる男は普段の気配りからして気を遣うのだ。

 

それに取り急ぎ用事も無い事だし。

サッと調整を済ませて、久しぶりにリッカ嬢とのティータイムでも楽しもうか。

 

………

 

目論見通り、調整の方はサッと終わったんだが。

 

「…で?キミ、何か隠してない?」

 

初めは神機の使い方が荒いというお小言程度だったんだが。

どうも俺の態度に感じるところがあったのか、椅子に座らされての尋問タイムが始まってしまった。

 

以前にも思ったんだが。

もしかして俺って表情に考え事が出やすいのか?

 

確かにこの前のリンドウの件は隠しているけど。

それでも人並み程度には取り繕えてる方だと思うんだがな。

 

まぁ単にリッカの勘が鋭すぎるというのもあるかもしれんが。

どちらにせよ、今後はもう少しポーカーフェイスというものを磨いておくか。

 

幸い今日のリッカはそれほど強引に聞き出すつもりはないらしい。

軽くレンチをペシペシしてはいるものの、前にアリサ達の事を聞き出された時のような圧力にはほど遠い。

 

詰まるところはただの雑談の延長線。

見方によっては年頃の少女に口説かれてる状況と言えなくもない。

 

紳士としては小粋なトークの一つでもするべきなんだろうが。

今回はボロが出るとマズいので黙っておく。

 

他の奴ならいざ知らず、最近のリッカは表情だけで何かあると勘付いてくるからな。

下手に喋ろうものなら一体どこまで内緒事がバレてしまうものだかわかったものではない。

 

「また隠し事してるんですか?早く白状した方がいいですよ。」

「ほらほら、第一部隊の隊長さんもこう言ってるよ?まぁ私は別に何もする気はないけど…」

 

横を見るといつの間にかルーキーがクッキーを食べながらこっちを見ている。

 

彼女の目配せに合わせてシュッと拳を空に繰り出すルーキー。

リッカもリッカでいつもの脅しとは違う、ニヤニヤと意地悪い笑顔でこちらの様子を伺っている。

 

前言撤回。強引に聞き出すつもりは無くとも、別に穏便に済まさなくてもいいらしい。

というかお前ら、人のお菓子を食べておきながら脅す事には躊躇無しか。

 

流石は極東支部屈指の整備士と精鋭部隊のリーダー。

この図太さは見習いたい。

 

「ところでリッカさん、何でこの人隠し事してるってわかるんですか?」

「何でと聞かれると困るけど…強いて言うなら"勘"かなぁ…」

 

やはり勘か。

勘で暴力に訴えるのは止めてくれと言いたいところだが。

 

あながち外れてもいないので何も言えない。

それでもまぁ、次からはもう少し穏便な聞き出し方で頼みたい。

 

俺の持って来たお菓子食べてるだろ?

残りもちゃんと置いていくから。

 

ここは一つ、賄賂だと思ってマジで頼むよ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

休暇を取って宇宙旅行してきた同僚達も皆戻り、今ではすっかり以前の喧騒を取り戻している。

 

うん、やはり良い。

やはりこの場所はこのように活気溢れる雰囲気じゃなくてはな。

 

ティータイムというのは静かな場所で優雅に嗜むものと言われているが。

俺的にはこういう他愛の無い喧騒に浸りながら味わうのも悪くない。

 

欲を言えば可愛い女の子と一緒に楽しみたかったところだが。

あいにくシャドーボクシングをする後輩というのは俺の中では可愛いと表現しない。

 

シュシュシュッと口で風切り音を言っていた所だけは認めるが。

最近気付いたんだが変な所天然だなアイツ。

 

まぁそんな訳で振られてしまったので寂しくお茶会。

お菓子は置いてきてしまったので、博士から貰った試食品を部屋から持ってきてティーフーズ代わりにする。

 

今日の品は蟹クッキー。

蟹の形のクッキーではなく、本当にカニエキスが配合されている新風味。

 

嘘かホントかは知らないが。

何でも蟹の風味には精神を落ち着かせる作用があるというのが製作の着想になったらしい。

 

いや、確かに蟹を食べる時は無言になるという話は聞いた事はあるけれど。

だからと言って蟹をクッキーに入れようと考えるか普通?

 

新しい物を生み出す人達って、やっぱりどこか頭のネジがぶっ飛んでるんだな。

まぁ美味いから文句言わないけど。

 

でも次作る物はもう少し食指を動かしやすいものを素材にしてほしい。

 

モキュモキュゴクンとクッキーを飲み込み。

人肌の適温になったお茶を啜って一息をつく。

 

本当に蟹の効果で心が落ち着いたかどうかは知らない。

というか"蟹を食べたら心が落ち着いた"なんて言う奴がいたら普通に医務室送りにした方が良いと思うけど。

 

まぁいいや。

 

さて。

飲み食いも終わったので休憩タイムは終了である。

 

と言っても今日は特に急ぎの任務も無く。

あのクソトカゲでも探しに行こうかな…

 

と、思っていたんだが。

ふとクッキーを食べていた時に考えていた事を思い出して手が止まった。

 

 

 

 

 

アラガミって、どんな味がするんだろう?

 

 

 

 

 

別に他意がある訳ではない。

 

今さっき食べた蟹クッキーとて最初こそ不味そうと思っていたんだが。

食べてみるとこれが意外と美味かった。

 

つい最近まではよくシオにおやつを食べさせていたのも思い出す。

俺が美味しいと感じた物でも半分くらいはぺっぺされて悲しい思いをしたのも記憶に新しい。

 

ただ、俺の食べていた物をシオに分け与える事はあったが、その逆というのは無かった。

いくらアラガミ相手とはいえ、見た目少女の女の子に食べ物をねだる程、流石に俺のプライドは低くない。

 

正直言うとシオに「食べる?」と聞かれた時は何度か危なかった時もあるが。

まぁ手は出さなかったのでセーフだろう多分。

 

うん、この言い方は良くないな。

何か危険な誤解を招きそうな気がする。

 

閑話休題。

アラガミの味の話に戻すとしよう。

 

シオはよく美味い美味いと言ってはいたが。

実際の所は結構好き嫌いもしていたような気がする。

 

好き嫌いをするという事は。

つまり味や食感に明確な違いがあるという証左。

 

うむ、我ながら中々の着眼点。

榊博士程とは行かなくともそれなりの観察眼はあるようだ。

 

そうと決まれば善は急げ。

いや、極東的にこの場合は()は急げと言うべきか。

 

今日の所は食べれるアラガミ…

もとい、食べたいと思えるアラガミを狩りに行こう。

 

流石に毒撒き散らすザイゴードを食べたいとは思わんからな。

そうじゃなくてもアラガミなんて食えるかどうかわからんし。

 

 

とりあえずは蟹っぽい奴でも探してみるか。

 




少なくとも5ポイントは削られているので継続中。
どこぞの世界にいる食べると心が落ち着く蟹を食べさせましょう。

ちなみにあの世界ではチタタプ食べても狂気が減ります。
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