無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.メンタル平気?
A1.所々ボロが出ている。

Q2.ハンニバルプレデターになってない?
A2.この人もリンドウさんと同じこと言って狩ってます。

Q3.黒いハンニバルにも言うの?
A3.今は不安定メンタルなので言いません。

今回はレン君ちゃんはお休みです。


無口と新しい新型使い1

今日も今日とてトカゲ狩り。

お目当ての黒いのは見つからず、白いのばかり狩り続ける。

 

リンドウと一緒に仕留めた奴に比べれば。

どいつもこいつもノロマなのでやりやすい事この上ない。

 

最初は決まって後ろに周りこんでからの強斬り一閃。

 

最近は神機も大分強化されているので大概の奴はこれでお終い。

極東風に言うと"いざ尋常に勝負あり"と言う奴だ。

 

たまに進化したタイプなのか斬りきれない奴もいるにはいるが。

その場合はご褒美にスタングレネードからのもう一撃をプレゼントしてあげている。

 

俺は気前の良い人間だからな。

閃光弾の一つや二つ、無駄遣いしても気にしないのだ。

 

どうせ経費で落と…

この話は止めようか。

 

とりあえず何を言いたいのかというと。

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あの時のような無様は二度と晒さん。

次に会った時は確実に仕留めてやるよ。

 

 

………

 

 

…と、そう思いつつ早一週間。

 

笑ってしまうくらいに黒い奴の情報は無しのつぶてである。

白いのはそれなりに討伐ミッション発注されてくるんだけどな。

 

もしかして黒いのは最初だけで、しばらくすると白くなるのかもと考えたりもしたのだが。

今まで仕留めた奴はどいつも顔がリンドウのとは違ったので、多分その線は薄いような気がする。

 

うーん、まさかアイツ冬眠してるとか?

見た目トカゲっぽいし、おまけに最初見つけた寝蔵にしてそうなエリアは寒冷地帯だし。

 

そういう話でも別に不思議ではなさそうだが。

もしそうなら大人しく偵察班が見つけてくれるのを待ちたいところ。

 

流石に雪の中を探索するのは億劫だしな。

それに俺、偵察がメインの部隊じゃないし。

 

思う所は確かにあるが。

見つからない物は焦っても仕方がない。

 

案外こういう時は探すのを止めたら見つかるもの。

どこかの国の人も言っていたような気がする。

 

そういう訳で今日はお休み。

のんびりティータイムと洒落込む事にしよう。

 

 

え?人手が足りないから手伝ってほしい?

俺この前までミッション続きだったんだけど…

 

フリーミッションは休暇考慮されないって?

受注するしないは個人の裁量で決めれるから?

 

アッハッハ、そう言えばそんな規定だったな。

 

マジウケる。

機会があったら昨日の俺をぶっ飛ばしておこう。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは通称"贖罪の街"。

極東支部御用達の新人研修エリアである。

 

旧型だろうと新型だろうと。

新しく参入したゴッドイーターはここでオウガテイルを討伐するところからスタートする。

 

一昔前だと初実戦が最後の実戦になるという話も珍しくはなかったが。

今はある程度サポートに人員を回せるようになったので、以前ほどはそのような話が出る事もなくなった。

 

まぁ死なないだけで普通にPTSDとかにはなったりするけど。

それでいて保険制度だけは充実しているのがまた何とも皮肉な話だ。

 

北欧のヴァルハラは死んでからのサポートが手厚いようだが。

極東のフェンリルは死ぬ前のサポートが手厚いのである。

女神の人数は少ないけどな。

 

そんな訳で。

今回の面子はレンと一緒にやってきた新型使い二人と、その指導役である第一部隊の新型使い二人。

 

うん、新人の方はどちらも人の好さが感じられるな。

声もハキハキしていて元気が良いのも好感触。

 

この業界は色んな物を背負っている人間が多いからな。

こういう人種が入ってくるだけでも和やかになるのでありがたい。

 

俺が直近で見た新人二人と言えば…

この話は止めようか。

 

口は禍の元というしな。

ミッションに集中するとしよう。

 

………

 

ミッションスタート。

 

今回は中型種一体と小型種複数体の討伐ミッション。

ルーキーとアリサがそれぞれ一人ずつ新人を受け持ち、実戦形式で新型神機の基本的な使い方をレクチャーするというのが今回の目的である。

 

先日既に小型種だけの討伐ミッションはこなしているとの事だが。

期待の新型神機使いの第二弾ともあって、早くも中型種を交えた実戦訓練が組まれたらしい。

 

俺の役目はもしものための用心棒。

不測の事態に備えた待機要員として、戦闘には加わらずに少し離れた所から様子を見守る。

 

神機使いというとアラガミと戦うのが役目だと思われがちだが。

こういう役割自体は別に珍しい物でも何でもない。

 

それなりに場数を踏んだ神機使いならいざ知らず。

同行するのは神機に選ばれただけのズブの素人。

 

余程覚悟決まってるような輩でもない限り。

現実に命の危機に身を晒されればいともたやすくパニックに陥る。

 

未熟というのは恥ではないが、戦場では未熟者に次は無い。

故にそうなればどうなるか?人生がゲームセットして試合終了である。

 

しかし神機使いが所属するフェンリルは優良企業。

 

パニックになったからと言ってハイサヨナラと切り捨てるほど薄情な組織ではない。

きちんと独り立ちが出来るまでは経験豊富な先輩方がちゃんと面倒を見てくれるのだ。

 

今俺が待機しているように、もしもの時のカバーも万全。

文字通り命からがら逃げ帰るくらいの時間は十分稼いで貰えるのだ。

 

まぁショックで精神病んだり、手足の一、二本喰われるケースも無くは無いが。

 

死ななきゃ安いとか言ってはいけない。

命に勝る物種は無し。イイネ?

 

戯言はこの辺にしておこう。

今は歴としたミッションの最中。いくら暇とは言え、慢心して気を抜くのはあまりよろしくない。

 

気を引き締め直して物陰から新型四人の戦いぶりを観察する。

もし新人が何かヘマをした場合は、俺が時間稼ぎをしている間にルーキー達が撤退準備を整えるという流れになってるのだが。

 

ぎこちなさを残しながらも、そつなくアラガミを斬り倒す新人。

ぎこちなさを残しながらも、豪快にアラガミを粉砕する新人。

そんな二人を攻守の両面で遠近問わず的確にサポートする新型二人。

 

うむ、優秀優秀。

流石は次世代担う新型使い。手のかからない後輩達のようで何より。

 

ルーキー達はもう第一部隊所属だから変えられないけど。

あの子らは俺の部隊に来てくれないかなぁ。

 

人数的には回してもらって全然差し支えないと思うんだけど。

レンが新しく来たけどそれでも二人しかいないし。

 

おまけに戦闘要員は俺一人のまま。

おかしい、俺の元上官様はもっと部下に任せて楽をしていた記憶があるんだが。

 

まぁいい。

 

今はルーキー達が面倒見ているので大っぴらに勧誘は出来ないが。

せめて物陰からそっと期待の念を送っておこう。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ミッションも終盤。

小型の掃討も終わり、いよいよ中型種のお出ましである。

 

お相手は極東エリアでは中堅程度に位置付けられているシユウ種のアラガミ。

相変わらず開戦前に行う腕の動きが何とも挑発的で人間臭い。

 

初めて遭遇した時は何だコイツと思ったものだが。

挑発中は何故か回避行動も取ろうとしないので、今ではそれに合わせてスタングレネードを放ってやるのがお約束となっている。

 

手をクイクイするのも見方によっては何かをねだっているように見えなくも無いしな。

 

この地域ではよくお目にかかるアラガミの一種だけあって付き合いもそれなりに長いアラガミ。

だからついつい綺麗な花火をプレゼントしてしまうのも仕方のない事なのだ。

 

閑話休題。

 

俺の事はさておいて。

新人二人はどんな感じかな。

 

残念、友好度が足りないようですね。

プレゼントを上げるどころか、二人とも武器を構えて警戒している。

 

ルーキーとアリサの様子も伺う。

こちらも攻撃準備は整っているが自ら仕掛けるような様子はない。

 

まぁこの辺りの感覚は経験の差が物を言う所か。

実力はあれど、俺から見れば新しく来た新人二人とそう大した違いは無いしな。

 

仕方ない、これでもそれなりに長い事戦ってきた古参兵。

可愛い新人ちゃん達にベテランの戦い方というものを見せてあげますか。

 

シユウがエネルギー弾を撃ち出すためにしゃがんで力を蓄える。

この時のシユウは攻撃を加えられても、避けずに力を溜め続ける習性がある。

 

理由は正直わからないのだが。

はっきり言って的である。

 

剣で斬るのだからこの場合は巻き藁か?

まぁどっちでもいいや。

 

なのでまずはレッスンその1、『大技を使おうとする奴がいたらその場でシバけ』。

なおレッスンその2以降はその内考える。

 

ご丁寧に気付かれないよう後ろから近づき。

脳天目掛けて全力のチャージクラッシュを叩き込む。

 

多少肉質が硬直していたので華の両断とまではいかなかったが。

腰のあたりまで二つに裂けたので十分致命傷と言えるだろう。

 

シユウを足で押さえながら神機を引き抜き、コアを捕喰して討伐完了。

いやぁ楽勝楽勝、我ながら随分手慣れたものである。

 

やっぱり人数多いとりやすいな。

注意が分散される分、後ろに周り込むのもたやすく出来るし。

クソトカゲにも有効そうだ。

 

 

気付けば四人とも呆気にとられた表情でこちらを見ている。

そんなに見るなよ照れるじゃないか。

 

ちょっとばかり、俺の方が君達より狩り慣れてるってだけの話さ。

 

「…いや、貴方が倒してどうするんですか。これじゃ訓練になりませんよ。」

 

アリサの言葉にハッと気が付く。

そうだった、そういやこれ新人向けの訓練だった。

 

転がったシユウのなれ果てに目を向ける。

 

僅かにまだ痙攣こそしているものの。

唐竹割にされた上にコアまで引き抜かれたそれが塵と変わるのも時間の問題。

残念ながら今からサンドバックにするというのは難しそうだ。

 

「というか。まだ私達の事、お守りが必要だと思ってるみたいですね。以前コンゴウやグボロ相手にやらかした時と変わってないじゃないですか。」

 

そう言いながら神機を担ぎ直し、ポキリポキリと空いてる手の指を鳴らすルーキー。

 

表情こそ冷静を装っているものの。

纏う空気は明らかに不機嫌そのものと言ったご様子。

 

「まだ私達の実力は認めてもらえませんか?私達、そんなに頼りないですか?」

 

ズイと一歩こちらに近寄り。

真っすぐこちらを睨みつけて言葉を続けるルーキー。

 

いや怒るのそっち?

訓練台無しにしたことじゃなく?

 

何だかよくわからんが。

知らない内に地雷を踏んでしまった様子。

 

気付けばいつの間にかアリサも新人二人を連れてそそくさと退避している。

 

 

ふむ、閃いた。

どうやら早速レッスンその2をお披露目する機会が来たようだ。

 

そんな訳でレッスンその2、『ヤバいと思ったらすぐ逃げる』。

リンドウも口を酸っぱくして言うくらいの至言である。

 

命に勝る物種は無し。

死ななきゃそれで安いのだ。

 

帰投準備が整うまでそう長い事はかからないだろうし。

という訳でサラバだルーキー君。縁があったらまたアナグラで会お…

 

 

 

 

 

-ガシッ-

 

 

 

 

 

「…話は何も終わっていませんが?」

 

 

 

 

 

…袖を掴まれてしまい逃げられなかった。

判断が遅いと逃走もままならなくなるという良い手本になれたかな。

 




ルーキーちゃんはルーキーちゃんでリンドウさんの件含めて色々引きづっている模様。

帰投までの間、ルーキーちゃんの圧に怯える新人二人とそれを宥めるアリサ。
また風評被害が立ちそうですね。

ちなみに以前用心棒した新人さんは今も元気に旧型神機使いやってます。
お話に出るかどうかは気が向いたら。
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