無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

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Q1.初恋ジュースの評判知ってた?
A1.知らない&新商品だったので買ってきた。

Q2.不味いという感覚知ってる?
A2.もちのロン。

Q3."悪食"?
A3.一周回って"グルメ"。

アリサの料理(紫色)に美味を感じたり、初恋ジュースにすら一般的な味わいを見出す程度の味覚なだけ。
レアドロップとか言ってはいけません。


無口と新しい新型使い-幕間_ソーマSide-

ここは極東支部のエントランスホール。

今日は急ぎの任務の指定も無く、待機要員としてソファーでくつろぎながら音楽を聴く。

 

ホールにたむろしている事に理由は無い。

ただ何とはなしに、今日は自室から外に出てきただけの話だ。

 

少し前の頃の俺なら。

そんな気分になる事なんざ考えもしなかった事なんだがな。

 

このクソッタレな身体は普通の人間よりも幾分性能が良い。

わかりやすいのは傷の治りの早さだが、五感の鋭さの方も折り紙付き。

 

少し耳を澄ませば…なんて必要すらない。

何ならイヤホン越しであっても、聞きたくもない余計な言葉があちらこちらから飛び込んでくる。

 

-バケモノ。死神。-

 

以前なら聞き耳を立てるまでもなく聞こえてきた陰口だが。

近頃は俺の方が困惑してしまうくらいにぱったりと途絶えてしまった。

 

思い当たる原因は二つ。

 

一つは我らが第一部隊の隊長様の存在。

近頃は俺を差し置いてバケモノの異名を冠している人間である。

 

フッ…と、思わず零れてしまった笑いを何とか一息だけで堪える。

 

だって仕方がないだろう?

 

少し前までは一山いくらの神機使いという感想しか抱いていなかったのだが。

まさかアラガミ紛いの俺を差し置いて、人外と称される人間が出てこようとは。

 

単純なスペックで言えばあくまで人間の範疇を外れていないが。

その上で戦い振りや上げられる戦果はもはや並の域に収まるレベルではなく。

 

-ソーマが"死神"ですか…-

-なら差し詰め部隊長の私はそれを束ねる閻魔様と言った所ですかね。-

-…女の子を閻魔呼ばわりは酷くないですか?-

-あー傷付きました。帰ったらお菓子奢ってください。

-女の子の心の傷は甘い物でしか癒せませんので。…あ、ついでにアリサの分もお願いしますね。-

 

…最近あったやり取りをそこまで思い出した所で思考を止める。

実力こそは古参すら凌駕するが、やってる事は年相応のガキのやり取り以外の何物でもない。

 

アイツ、あの後マジで集ってきたからな。

おまけにしれっとアリサの分まで上乗せしてやがったし。

 

「…珍しいですね。今日はエントランスで寛ぎたい気分なんですか?」

 

噂をすれば何とやら。

我らが隊長様のお出ましだ。

 

「隣、失礼しますね。いいですよね?まぁ答えは聞いていませんが。」

「…なら一々聞くんじゃねぇ。」

 

答えを待たず。

流れるように隣に座るリーダーに呆れながらそう返す。

 

…男の俺が言うのもなんだが。

女ってのはもう少し男の隣に座るのに恥じらいも持っているものじゃないのか?

 

まぁコイツ相手にそんな事は気にするだけ無駄か。

それほど長い付き合いじゃないが、コイツの感性はシオのそれと同レベルだからな。

 

同性のアリサに対しても、異性のコウタに対しても。

コイツは基本的に距離が近い。

 

俺が若干引く程度には過剰なスキンシップ。

何時ぞやサクヤが苦言を呈していたが、ついぞ今に至るまで変わる事は無く。

 

そして幸か不幸か。

最近何となくだが、過剰なスキンシップの理由がわかってしまった。

 

コイツはあまりにも、()()()()()()()()()()()()()

 

何時ぞやオッサンがシオに評していた言葉だが。

コイツを見ているとムカつく程にその言葉の意味が理解できてしまう自分がいる。

 

ざっくり。本当にざっくりとではるが。

コイツの家族がアラガミに殺されているという事は聞いている。

それから神機使いになるまでの間、アイツ同様に施設で過ごしていたという事も。

 

特段珍しい話じゃない。

今日びアラガミに家族を殺されたなんて話、極東どころか世界中の至る所でよく聞く話。

 

復讐に狂って()()()()()()()()()()なんていうのもそんなありふれた話の一つだ。

何ならその典型的な例が俺の同期にいるしな。

 

そしてそういう人間は決まって人付き合いの距離感がずれているらしい。

 

一般的な人間関係の距離感が掴めず。

感情の機微を介さない発言を繰り返したり、かと思えば無遠慮と思えるほどに踏み込んできたり。

 

まぁ幸いというかなんというか、コイツの場合は後者に当てはまる。

 

他人の感情を逆撫でするようなことも無く。

距離感が近過ぎる事を除けばそう大して実害らしきものも無い。

 

うっとおしいのが玉に瑕だが。

喋りこそしないものの、アイツもよくまぁコイツのコレに付き合えるものだな。

 

-ピピピーッピピピーッ-

 

取り留め無しにそんな事を考えていると。

不意に携帯端末が鳴動して何かしらの連絡が入った事を告げる。

 

「ミッションですか?そう言えば今日は待機要員でしたね。」

「フン、まぁどうせいつも通りのクソッタレな内よ、う…」

 

端末を操作して受信したメッセージを確認する。

 

-件名:お元気ですかソーマ君。-

-本文:アネット君とデートしてくれま・す・か?-

-ミッション参加要請:クアドリガ、及びクアドリガ堕天種の討伐~-

 

意味不明なタイトルと書き出し。

それらに全く噛み合っていないクソ真面目な本文に言葉が詰まる。

 

コイツ、ついに壊れたか?

いや、何なら元から壊れていたか。

 

「どうしましたソーマ?そんな変な顔をするような連絡だったんで、す…」

 

横からリーダーが端末を覗き込み、絶句する。

 

進んで見せたい内容ではなかったが。

あまりの阿呆らしさに衝撃を受けていたため、反応が遅れた結果見られてしまった。

 

「…やっぱりこの人、喋れないだけで普通に感情ありますよね?」

「…かもな。」

「実はソーマもこういう愉快な性格だったり…」

「するわけないだろ。馬鹿かお前は。」

 

"女の子に馬鹿とは何ですか"、と反抗するリーダーを片手で制止つつ。

もう片方の手でアイツからの連絡に返信を返す。

 

-件名:Re.お元気ですかソーマ君。-

-本文:断る。-

 

一言。

誤解の余地も無い程簡潔に返事を返す。

 

まぁ本来ならば待機要員である俺に拒否権なんざ無いんだが。

余りにも阿呆らしい内容だったのでこのくらいは別にいいだろう。

 

「ちなみにあの人、結構こんなメール飛ばしてきたりするんですか?」

「まぁそれなりにな。お前も既にわかっていると思うが…アイツ、多分これが本来の性格のような気がするしな。」

 

我ながら半分愚痴も兼ねていたのだろう。

特段誤魔化すようなこともせず、俺が感じるアイツの本性をリーダーに情報共有する。

 

無口無表情の鉄仮面。

アラガミに家族を殺されたどころか、目の前で両親が喰われる様を見せつけられた凄惨な過去の持ち主。

 

結果その青年は言葉や感情といった人間らしさを軒並み失い。

復讐にすら喜びを見出す事が出来ないまま、機械のようにただひたすらアラガミを狩り続ける神機兵と相成った。

 

それがこの極東支部の大多数の人間が持つ、アイツという人間に対しての評価なのだが。

 

「実際の所は見ての通りだ。感情が無いというにはまた異質…何を考えているかわからないというのが正解だと俺は思う。」

 

そうでなければ。

こんな馬鹿みたいなタイトルのメールなど送ってきたりしないだろう。

後輩相手にいいように菓子を集られているような事も無いだろうしな。

 

まぁこれを言うと隣の藪から大蛇が出て来そうなので黙っておくが。

 

「…何か失礼な事考えていません?」

「いや、別に。」

 

リーダーからの疑惑の目にしれっとそう返した所で再び携帯端末が鳴動する。

 

-件名:拒否権なんぞある訳なかろう-

-本文:上官命令だ。ついでにフェデリコにも声をかけ~-

 

ピキリッ。

思わず感情に任せて力を込めてしまい、手にした端末から悲鳴が上がる。

 

そうだった。

コイツは昔からこういう奴だった。

 

対面では感情どころか言葉一つ発しようとしないくせに。

連絡メールなどでは妙に馴れ馴れしい。

 

というかリーダーの言う通り。

コイツやっぱり感情あるだろ。

 

一般的には失語症という見解になるらしいが。

本当の所はただのコミュ障というのが真実ではないのだろうか。

 

 

まぁいい。

 

トラウマ云々と言うならともかく。

感情があると言うなら話は別だ。

 

ふざけたコミュニケーションに対し、俺も感情のままに反応を返しても文句はあるまいな?

 

とりあえず。

アイツに会ったらまず、このふざけたメールの件についてぶっ飛ばそう。

 




ソーマの話だけで長くなったのでひとまず区切り。
他の人については筆が乗ったら。

Q4.メールだと饒舌?
A4.無口さん的には普段と変わり無し。

自覚が無いので仕方なし。

Q5.もう一つの原因は?
A5.この人に聞かれた。

この人は喋れますし、何よりとっても仲間想い。
聞こえた以上、陰口は決して許しません。

だから何時ぞやルーキーちゃんに言いかけた言葉をばっちり口にしてくれます。
懐のブツを突き付けながら。
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