無口な無口な神機使い~別に喋れない訳ではないんだが~   作:猫丸飯店

91 / 154
※今回はアレな表現多し。苦手な場合は読み飛ばして良し。

Q1.何でデート?
A1.リンドウの真似。

Q2.命令違反するとどうなる?
A2.特に何も。

Q3.もしかしてからかってる?
A3.Yes。

からかい上手の無口さん。
そして毎回どつかれる。

ソーマで慣れているのでルーキーちゃんがやっても平気。


無口と新しい新型使い-幕間_レンSide+α-

パキュリ。

クシャリ。

 

音がする。

何かが砕け、割れる音。

 

 

ブチリ。

クチャリ。

 

音がする。

何かが千切れ、潰れる音。

 

 

ピチャリ。

ズチュリ。

 

音がする。

何かを啜り、しゃぶる音。

 

 

どこか。

どこかで聞き覚えのあるような。

 

 

…あぁ、そうか。

 

この音--

 

 

--食事の音だ。

 

……………………………………………………………………………………………

 

バキリ。グチュリ。

バキリ。グチュリ。

 

赤い水たまりを広げながら。

ナニかが何かを食べている。

 

転がらないよう前足で押さえ。

脇目も降らずに食べている。

 

…神機を構え。

ナニかに近づき、首を刎ねる。

 

 

ナニかはそのまま動かなくなり。

塵となって霧散する。

 

 

目の前に広がる赤い水たまり。

構わず踏みつけ、先に進んだ。

 

………

 

バキリ。グチュリ。

バキリ。グチュリ。

 

赤い水たまりを広げながら。

ナニかが人間を食べている。

 

動かないよう身体を押さえ。

一息に頭を噛み割ってから食事に入る。

 

 

…神機を構え。

ナニかに狙いを定め、()()()()()()

 

 

ナニかはそのまま動かなくなり。

塵となって霧散する。

 

 

先程よりも大きい水たまり。

構わず踏みつけ、先に進んだ。

 

………

 

バキリ。グチュリ。

バキリ。グチュリ。

 

赤い水たまりを広げながら。

神機使いがアラガミを捕喰している。

 

逃げられないよう切られた手足。

無防備な腹に神機を突き刺し、喰い千切るようにコアを引き抜く。

 

 

…神機使いがこちらを向く。

 

いつも通りの無表情。

言葉も紡がず、青い瞳がこちらの様子を眺めている。

 

 

既に辺りは水浸し血まみれ

気にするのも諦めて、先に進んだ。

 

途中、一度だけ振り返る。

 

少し…ほんの少しだけ。

彼の鉄仮面が歪んだ気がした。

 

………

 

バキリ。グチュリ。

バキリ。グチュリ。

 

真っ赤な液体を滴らせながら。

神機使いがナニかを捕喰している。

 

アラガミではないし、人でも無い。

いや、そもそもそんな区別すら存在しないのかもしれない。

 

…神機使いがこちらを向く。

 

ニッコリと。

子供が浮かべるような無邪気な笑顔。

 

口は開かず、けれど聞こえる笑い声。

 

楽し気に、楽し気に。

嬉しそうな声を漏らしながら、血のような赤に染まった眼でこちらを見ている。

 

辺りにはまだ水たまり血溜りは無い。

彼から滴る液体が、少しずつ足元に広がるのみ。

 

気にする事無く、先に進んだ。

 

途中、一度だけ振り返る。

 

先程の笑顔と赤眼は消え果てて。

無表情の青い瞳がこちらを見ていた。

 

………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

いつも彼と一緒に見ていた、いつもと変わらない日常の光景。

 

第一部隊の皆がいる。

 

サクヤさんに、コウタさん。

アリサさんに、リンドウの代わりにリーダーとなった隊長さん。

 

そしてそれを少し離れた場所で。

壁にもたれながら寂しげに眺める神機使い。

 

リンドウ--

 

思わず手を伸ばして身体に触れる。

 

それは途端に黒ずみ。

塵となって霧散する。

 

 

--失敗した。

 

どこかから。

初めて聞く誰かの声が聞こえた気がした。

 

………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

いつも彼と一緒に見ていた、いつもと変わらない日常の光景。

 

防衛班の皆がいる。

 

第一部隊以上の大所帯。

所属は違えど、リンドウとは親しく交友していた神機使い達。

 

そしてそれを少し離れた場所で。

壁にもたれながら寂しげに眺める神機使い。

 

リンドウ--

 

一瞬躊躇した後。

手を伸ばして身体に触れる。

 

 

それは途端に黒ずみ。

塵となって霧散する。

 

 

--失敗した。

 

先程よりもはっきりと。

誰かの後悔が聞こえた気がした。

 

………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

いつも彼と一緒に見ていた、いつもと変わらない日常の光景。

 

リンドウがいる。ソーマさんがいる。

そしてもう一人、青い瞳の神機使いがいる。

 

そしてそれを少し離れた場所で。

壁にもたれながら寂しげに眺める黒い影。

 

今度は手を伸ばさなかった。

伸ばすことが出来なかった。

 

ぐしゃり。

触れてもいないのに、黒い影が切り潰れる。

 

 

--失敗した。

 

失敗した、失敗した、失敗した。

またも、またも、またしても。

 

突然辺りに響く後悔の声。

次の瞬間、目の前のリンドウの姿も黒ずみ、塵と化す。

 

ちくしょう。

 

ちくしょうっ、ちくしょう、畜生、畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生ォッ!

 

身のすくむような慟哭と共に。

世界がぐしゃりとひしゃぎ、赤に染まる。

 

正体が人ならざる身の自分ですら覚える強烈な不快感。

何とか耳を塞いで堪える中、背後から感じる悪寒に振り返る。

 

 

鉄仮面と称される、いつもと変わらぬ無表情。

赤眼に浮かぶ青い瞳が、真っすぐこちらを捉えている。

 

 

絶叫のような後悔の言葉は既に消え。

無言のままに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

どこにいるのかと思いきや。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

いやしんぼめ、リンドウだけじゃ満足できなかったか?

 

あぁなるほど、おかわりが欲しくなるくらい美味かったって事か。

 

それは重畳。お気に召されたようで何よりだ。

 

 

 

 

 

死ね。

 

 

 

 

 

-ずしゃり。-

 

 

身体の中心。

頭の天辺から真っすぐに。

 

潰すように、鈍い切れ味で分けられて。

 

僕の意識は幕を閉じた。

 

……………………………………………………………………………………………

 

ここは極東支部のエントランスホール。

既に時刻は夜遅く、夜間の緊急出動に備えて待機している人間が僅かに見え隠れするのみ。

 

もしかして。

いや、もしかしなくても寝落ちしてたか?

 

テーブルの上に目をやると。

口の開いたビール缶がいくつか置いてある。

 

うむ、寝落ちじゃなくて酔い潰れたのか。

でもおかしいな。こんなにビール買い込んだっけ?

 

確かに俺は普段からよく飲んではいるが。

一本飲めば十分満足できる体質の人間である。

 

理由も無しに、こんなに買い込むとは考えにくい。

 

寝起きで上手く働かない頭を何とか動かし。

懸命に寝落ちする前の最後の記憶へと辿り着く。

 

あーそうだ思い出した。

そう言えば俺ヤケ酒飲んでたんだった。

 

今日は待ちに待った新人二人の配属先が発表される日。

極東どころか世界でも恐らく初となる、新型神機使いのみで構成された部隊が誕生…

 

するはずの日だったが。

 

アネットは防衛班第二部隊、フェデリコは防衛班第三部隊へそれぞれ配属。

残念ながら俺の部隊の名前は一ミリたりとも出なかったというオチである。

 

神機使いは一応軍属扱い。

つまり"ミリタリー"と"ミリたり"をかけた高度なギャグである。

 

はっはっは、面白いだろ?

笑えよお前ら。俺は泣きたい。

 

叶う事なら数日前の勝ち誇った俺を殴り飛ばしたい。

泣きながらでも構わないから。

 

ちなみに別の増員があると言う話は欠片も無い。

異動があるという話も聞いてない。

 

とどのつまり。

極東で言うところの"夢も希望も無いんだよ"と言うやつである。

 

まぁいい知ってた、知ってたさ。

どうせこういうオチなんだろって。

 

知ってたけどノーダメージとはいかないのが現実のツラい所。

若者のハートは繊細なのだ。

 

俺は若いからな。

気に病むのもやむ無しである。

 

そういう訳でビールを買って飲んでたらいつの間にかレンがやってきて…

あーそうだそうだ、完全に思い出した。

 

差し出されるビールの缶。

「付き合いますよ?」と言ってくれる眩しい笑顔。

 

-じ、上官酔わせてどうするつもりだ。-

-そんな優しさに簡単に惑わされる程安い人間じゃないんだからな。-

 

極東の一部で有名な一度は言われてみたい台詞の一つだ。

男に言われても嬉しくないだろうから言わなかったが。

 

まぁそんな笑顔に惑わされる事無く。

差し出された缶は滅茶苦茶調べた。

 

何しろこの前の一件があるからな。

何時だって地獄の道は善意で舗装されてるものなのだ。

 

で、普通のビールだってわかったから安心して飲んだんだよ。

良い飲みっぷりですねと持ち上げてくれるレンの言葉に、ついつい何時も以上のペースで盃を傾けてしまった。

 

()()()()()

そりゃ俺程度の酒の強さなら寝落ちするな。

 

真相も判明してスッキリした所で。

夜も遅いし普通に部屋に戻って寝るとするか。

 

 

…誰も寝落ちしてる俺に声かけてくれなかったのか。

確かに所属部隊は違えども、起こしてくれたっていいだろうに。

 

というか一緒にいた筈のレンも姿が見えない。

もしかして酔い潰れたからそのまま放置された?

 

…俺、自分で思っている以上に人望無いんじゃ…

 

この話は止めようか。

真実とは容易に人の心を傷つけるのだ。

 

ちくしょう、今さっき見てた悪夢よりも大きいダメージ入ったぞ。

 

まぁ悪夢と言っても。

あの程度の光景、今更見たところでノーダメージと言っても過言じゃないけど。

 

 

何しろ()()()()()()()()()()()

 

……………………………………………………………………………………………

 

…いやぁ参った。

自分でも知らない内に舞い上がっていたのかな。

 

先日体験した隊長さんとの感応現象。

共有してたのは殆どがリンドウのそれだったけど。

 

一部、ほんの一部だけ。

隊長さんの心の情景も見る事が出来て。

 

言うなれば魔が差したんだろうな。

これを利用すれば、喋れないあの人の心の内も知る事が出来るかもって。

 

今の所。

リンドウの事をお願い出来そうなのはあの二人。

 

隊長さんは普通に話が出来るので信頼がおける人だと分かっているけど。

あの人は会話が無いので意図を組み取るのも一苦労。

 

本当、会話する事がこんなに大事な事だなんて。

ただの神機だった頃には思いもしなかった。

 

そんな意図を持って機会を窺う事数日。

思いの外早くにチャンスが来たので実行してみましたが。

 

-バキリ。グチュリ。-

-バキリ。グチュリ。-

 

思い返したその瞬間。

頭の中で不快な音が木霊する。

 

音だけならまだしも。

自分が斬られ、喰われる光景すらフラッシュバックする。

 

せっかく頼りに出来ると思ってたのに。

これじゃしばらくまともにあの人の顔を見れそうにないですね。

 

 

あぁ、本当に--

 

 

 

 

 

--見なきゃ良かったな。

 

 

 

 

あんなおぞましい光景に耐え続けているなんて。

あの人、本当に人間なんだろうか?

 

人間じゃない僕ですら。

こんな有様になっているのに。




人間であれば耐えられなかったけど。
人間じゃないから耐えれてしまった。

オーバーフロー出来なかったので無事ヤバい感情が感染うつりましたね。

耐えきれなかった場合?
その成れ果てが今のあの人、からかい上手の無口さん。


次でちょっと時系列が進む予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。