なぜお前はいつもそうなのだ!!バーヴァンシー!!(パチモン)   作:ジンジャエール

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他人のガチャ結果を喜べる奴は例えどんな人でもいい奴ですよね!!
ね!



何故お前はいつも…18

陛下の自室から退室し、肩に掛けている外套を翻す。

 

「…」

 

『お前がその様な不埒な男ではない事は分かってはいるが…流石に年頃の男女が同衾とはどうなのだ』

 

先程の陛下からのお言葉を思い返す。むしろ1000年前に言われなかった事が奇跡だろう事は分かっている。あの時は頻度が凄まじかった。

基本ほぼ毎日通っていたのでむしろ何故今?と思った程だ。

最近は長い間会えなかった事がストレスだったのか、気づかないうちに自分の中で溜まっていたのかは知らないが彼女が帰ってきてからは大分爆発した気がする。

バーヴァンシー自体陛下の部屋に呼ばれる事が常である為偶にしか共に就寝できずに居ることが原因なのか仕事外では勿論部屋の中ですら常に一緒に居るのでそれは仕方がない。

いやもしやあの時はまだ自分達は子供だった事もあり気を遣って仰らなかっただけかもしれない。見た目はバーヴァンシーと比べて子供と言うにはいささか上背だったが年齢だけを言えば子供と言っても差し支えなかった故に中々自分達に言えず陛下に気を使わせてしまったのでは。

陛下は未来を視通す事が出来る。知らないはずがないのだからそうに違いない。そう考えているとコツコツと足音が広がる。背後から見知った気配を感じ時間を掛けすぎた事を少し後悔する。

 

「おい!ユー、」

バズビーが言葉を紡ぐ前に目で制しする。

 

「…やめろ、バザード・ブラック。陛下からのギフトが解ける。陛下からの命を守らぬつもりか?」

 

これでハッシュヴァルトのギフトが解けようものならば彼に何かしら陛下より厳罰が降るだろう事を予見しての親切心からの忠告だった。

 

「チッわかってるよ」

 

バズビーもハッシュヴァルトの本意が分かっているのかあっさりと引き下がる。

 

「なんの用件だ」

「何の用だぁ?そんなの決まってんだろッ」

 

名前自体は出ていなかったが自ずと予測がついたのは周りから散々ランスロット経由で陛下に進言してくれと散々頼まれたからだろうか。

 

「今なのか」

 

しかしそれも少し時間が経てば落ち着きを取り戻した。彼のことだから陛下に直接直談判でもやりかねないと思っていたので少し疑問を感じていた。

 

「お前が!いっつもあの女に引っ付いてるからだろうが!!」

「?あぁ、そうだな」                

「あぁそうだな……じゃねぇよ!!お前はあの女があの席でいいのかって話してんだよッ」

「何故私が陛下のご判断に不満を持つ必要がある」

 

それを聞いたバズビーは酷く顔を顰めた。日頃は幼少期の決別が原因で会っても目も合わさずギスギスとした空気が流れるだけだった。

今回久しぶりに

 

「ッそれに陛下の命令かはしらねぇが犬みてぇにずっと女の後ろに侍って…お前には男としてのプライドはねぇのか!」

「…陛下の御命令で共に居るわけではない。」

「ッ」

 

ランスロットは基本陛下の意思以外では生真面目に規律を守る事を軸に生活をする。そのせいで他の団員からは少し避けられている節がある。

しかしそれと同時に皆この男には逆らわない。それは男の能力もあるだろう、しかし最もの理由はあの血も涙もない憎たらしい男に認められ、半身として側に置かれている姿を見れば歴然であり、あの癖の強い星十字騎士団がこの男ならば次期皇帝と呼ばれても文句は愚か何も言えなくなった程だ。それ故に周りとしてはいきなり現れたポッと出のあの女は目の上のたんこぶであり千年前の〝陛下の娘〟の存在を知っている古参の者でさえ苦言を漏らす。そもそも本人として認識されている事すら怪しいが。自分との昔の思い出でもこの男はあまり感情的になる事は無く受動的であり基本言いたい事が言えない気質なのだ。これは単なるバザード・ブラックからの心配から来るものだった。 

「!だからお前の意思は…ッ!?」そう言いかけた時だった。

集中していた為に背後からの気配に気づかず背中を思いっきり殴り蹴られる。

すぐ様距離を取り顔を確認すると気に入らない白色がくっきりと見えてた。

 

「─あ、何か踏んじゃった?」

 

その女は隠す事もなく自分を蹴った体制のまま嘲笑う様に此方を見つめる。

 

「ちっ、トリスタン…」

 

少し不満気に、そして身内の贔屓目なのかもしれないが少し気まずそうに一度此方を振り向き目の前の女に向きを変えながら答える。

 

「そんなに顔歪めてたらまた眉間に皺できるぜ?」

「はしたないから足を上げすぎるな。」

「はいはい、わかってるわよ。でも仕方なくない?存在感薄すぎて踏むまで居るのかよく分かんなくてさぁ」

 

バズビーはそれを聞いた瞬間頭に血が昇る感覚を感じる。

 

「目ついてねぇのかよアァッ?」

 

女に近づき胸ぐらを掴みそうになるのを堪える。

流石にこんなくだらない事でコイツと争おうものなら陛下からの厳罰どころではない。しかし次の言葉で全ての思考が止まる。

 

「は、アンタこそ見えてないんじゃない?美的センスが終わってる雑魚ニワトリ頭の癖に」

「テメェ…俺のこの最高にイカしてる髪に」

「何よ、やる気?私相手に?」

 

小馬鹿にした笑いに再び神経を削がれる。

 

「上等だッ、表出ろッ」

 

「はい、私に喧嘩売った時点でスクラップ確定♡〜」

 

一触即発そう思えた2人の間に一瞬、間が開きながらトリスタンは退屈そうに目を細める。

 

「まぁ、だけど今回は特別に見逃してあげるわ」

「おい、逃げるのかッ」

 

バズビーはそのまま前へと叫ぶ。

 

「空気も読めない訳?私は喉が渇いたからとっとと帰りたいの分かる?そのダセェ髪と同じで頭もトリ公かよ」

「あッ?!!」 

 

うざい白髪を揺らしながら女はコチラに興味が失せた様にランスロットに声かける。

 

「面倒だから早く行くわよ」

 

バズビーそう言って連れられて行く男をただ見ているだけだった。

バザード・ブラックはあの日、女が後継者に指名された日のことを思い出す。何故あの癖の強い星十字騎士団があの場で異議を唱えなかったのか。

〝皆んな心の内では分かっていたのだ〟

今回何か進言しようものならその場で床の汚れになると自分の中に流れている滅却師の血が、体が、そう知っていたからだ。

 

「君も懲りないよね」

 

次から次へとぞろぞろと忙しい事だと思いながら同じ星十字騎士団の1人である 蒼都が疲れ切ったバズビーに声をかける。

 

「その短絡的な所を治すべきだと思うよ僕は」

「お前…近くで見てやがったな」

「お?なんだバズビー!またランスロットと遊んでいたのか!」

「今はマジで黙ってろ…」

 

また五月蝿いのが来たと思いつつ。不愉快そうに先程のハッシュヴァルトと同じ様に顔を歪め、女の後ろについている金髪の髪を眺めながらそう答えた。

 

 

 

 

一部始終を陰から見ていた者が1人。

星十字騎士団にて愛を司る男、ぺぺ・ワキャブラーダは彼らが争う様を心底面白いと言う様にまざまざその様子を鑑賞していた。

 

「ゲッゲッゲッ、そのまま戦ってたら陛下に怒られてたろうに…残念ダネッ!」

 

ぺぺ・ワキャブラーダの信念とは愛なき所に戦いはなしである。

よって自称愛の伝道師を名乗る自分こそが戦いにおける戦士の完成形であると言うのが彼の自己評価であるが、まぁそれを本当にそう思っているのは当人のみなのは仕方がない。

 

「若い男達と女が一つの愛を取り合う様……愛だよネ!!!」

 

愛は何も綺麗で純粋無垢なものばかりではない。

しかしどれだけ泥臭かろうと側から見れば醜い争いだろうとも彼から見ればそれはどんなものであれ美しいものであり、そして何より変え難い娯楽でもある。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「どないしはったんです?僕らだけ居残やなんて」

 

その特異な能力故に我らが魔王に見初められた哀れな人間、井上織姫を拉致する為に態々現世に十刃を揺動として送り込み、たった今最近の藍染のお気に入りであるウルキオラを向かわせた後にコレである。

 

「五月蝿いぞ市丸、藍染様には藍染様のお考えがあるのだ。」

「はぁ、そないで」

 

市丸ギンは内心冷や汗を流すがけっして表には見せない様に取り繕う。

 

「そんなに固くなることはないよ。ギン、要」

 

何かやましい事があるから、と言うことも勿論あるだろう。

まさかこんな、まだ早い時期にあの化け物が自分の裏切りに勘付いたのではそんな思考に陥る。

これが彼らの計画の内であれば話は分かる。

自分は技術面では全く持って役に立っておらず基本そう言った小難しい事は東仙要が受けたまっている。

 

しかしあの東仙要ですら何故藍染惣右介が自分達をここに引き止めたのかは分かっていない様だ。藍染は心底嬉しそうにその日頃の薄笑いを浮かべている顔の相好を崩す。

 

「先日、実に素晴らしいものを見てしまってね。

失敗を恐れるものに成功は訪れない。それをまざまざと見せつけられたよ」

 

本当に何ってんだ。ここまで何も説明がないとこれは流石にあの藍染に盲信している男も苦言を漏らすに決まっている。

 

 

「?!、もしや例の実験の成功例がッ?」

まさか東仙は認知済みだった様だ。

これはもういじめでは、そう思ってしまうのも仕方がない程になんの説明もないし普通に酷い。いや、僕も結構付き合い長いやないですか、もしかして嫌われてる?あかん、頭が混乱してもうてる。

 

「あぁ!!あぁ!その通りだよ要!」

 

藍染は心底歓喜しており目が恐ろしく怖い。これは例のホワイトの実験以来の喜び様である。日頃よく分かっていない者の興奮した様は大変恐怖を覚えると思い知った。

 

「己自身が不可能だとたかを括り、諦め、別の道を模索する中で自分が成し得なかった偉業を目にした事はあるかい?」

 

いや、しりませんよそないな事言われても。

藍染は冷めた紅茶を側に控えていた破面に下げさせる。

ほら、近くにいる子も混乱してはるや無いですか。

 

 

「〝彼ら〟が完全降臨すれば霊王以上の力によってこの世界を揺るがしかねない存在だ。

故にその危険性から私も一度は手を引いた、

しかし、しかし!それをこうも簡単に…」

 

 

 

 

「─流石は霊王の息子を名乗るだけの事はある…そう思うだろう?」

一瞬息が止まるのを感じる。

この男は今何と言った?

「は、今なん」

 

「あぁ、それに超えるべき壁は高い程良い、私はいつか必ずや霊王すら超越した存在となるのだからね」

 

「なんと…」 

 

東仙は感激のあまり手で顔を覆ってふるふると震えている。その様子を見て思わずギョッとする。え、これ僕空気?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんやあれ…怖」 

 

よくわからないがとても重要な事を言われた気もする。それにしても本当に自分達が呼ばれた理由が不明すぎるのでそれどころではないのはどうやら市丸だけの様だ。結局何が言いたかったのかわからず2人の熱量に置いてけぼりを喰らわされた市丸ギンはそのままこっそり扉を開けて自室に戻る。

 

「結局何をしたかったんや…」

 

もしやこの非人間的かつ自己中心的な感性を持つ男がただただ感想を語りたかっただけなのでは、いやいや、そんな訳ない。というかそうであってほしい。あの子供の様にはしゃぐ男共を見た市丸は酷く疲れた様子で溜め息を吐く。一先ずは自分の胸の内が明かされなかった事を喜ぶべきなのだろう…が、

 

「霊王…言うてはったけど、」

 

此方に引き入れられる際に一応説明はされた世界の王。

人身御供を体現した存在であり世界の楔そのもの。

「その息子?いやいやいや、絶対やばいに決まってますやん」

しかも、その頂上の人々の頂に立つ存在を超える?全くもって正気じゃない。さらっと超重要な機密情報を流してくるあたり本当に人の心がない。え、これ僕悪くないですよね?

 

「やっぱり天才って言うのは頭が可笑しくてなんぼなんやろうな…」

天才というのはやはり一癖も二癖もある者が多い。

 

しみじみとそう思いはしたが市丸には関係のないことだった。全ては彼女の、乱菊の為の復讐劇なのだから。

しかしそれはそれとして2人のあの熱の入り様に少し引いた市丸だった。




半身と愛娘が一緒に共寝してるのに最近気付いたのにハッシュからの勘違いが止まらない──

藍染「超えるべき壁!!すごい!すごい!(そもそも検体すら確保できてないし確率的に無理だろうなと思ってた成功例を発見した尚且つ自分がしかったことを目の前で見せつけられ意欲増し増し)」

陛下「?(藍染からの好感度がすごい事になってるが気づかない)」

偽バー「はわわ…(確率的に色違いみつふし証持ちのノココッチと同じパチモン)」

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