2年ぶりに再会した親友が男を辞めてた上になんかおかしい。 作:あっぷる
穂先 もみじです。この前、帰り道を歩いていたら久しぶりにあさひのお兄さんこと夕哉さんに会った。もみじはやめてくれたのにこの人は未だに私のことをじろうと呼ぶ。幼いときから一緒に過ごしてきたせいか私が中学生になった今でもじろうと呼んでくる。そんな夕哉さんが今いるバイト先の喫茶店でパーティーをするらしい。
詳しく聞くとなんとまひろちゃんの快気祝いらしい。なんで、どうして夕哉さんがまひろちゃんのことを知ってるのか。もしかしてまひろちゃんに会ったことあるのかと聞いたけど会ったことはないと言われた。けど色々あって困ってる友達を助けたいから話に乗ったらしい。夕哉さんの同級生・・・
「もしかして夕哉さんの言ってるその人って」
「多分お前は一度会ったことあるだろ。だいたい察しはついてると思うけどな」
やっぱりあの人かという予想は当たってしまった。名前は相原 葵さんでまひろちゃんとは従兄弟同士で葵さんが高校卒業するまでは一緒に住んでいたとか。大学生になってからおじいさんの面倒を見るために引っ越すことにして当時使ってた部屋をそのまままひろちゃんに譲ったらしいけど・・・
「・・・どうかしたか?じろう。そんな怖い顔して」
「別に・・・」
「まあなんにせよ、その子の快気祝いをサプライズでやる。あさひやお前にはその子を連れてきて欲しいって話だ」
その案には乗っかることにした。乗っかることにしたけど私はあの人のことをあまり快く思ってはいない。確かにあの人の作ったモンブランはすごく美味しかった。お姉ちゃんの話によるとお店でもすごく人気な品で期間限定にするのがもったいないと言わせるくらいだ。お姉ちゃんの案もあったとはいえ最終的にそれをまとめて完成させたのは紛れもなくあの人。顔も結構かっこいい方だし意外と礼儀正しいし真面目だし予想してたのとは大きく違うけど騙されてはいけない。あの人は過激な本をたくさん持っている。あーいう本が好きなのはまひろちゃんの言うように男性なら仕方ないのかもしれない。
けどそれをまひろちゃんの部屋に置くのはあまりにも無配慮だと思う。まひろちゃんは可愛くて面白い子だ。それでいてまひろちゃんには危機感がない。いきなり教室で服を脱ごうとしたりと一部が欠落している。きっとそういうところはあの人に似たのだろう。まひろちゃんはあの人を慕ってるところあるし・・・たまに自分のことをオレって言ってるのはきっと葵さんの喋り方が映ってるのかもしれない。本人はそのことを気にしてるのか直そうとはしてくれてるけど。
「とりあえずまひろちゃんを守らないと」
「おーいじろう聞いてるか?まあいいや、とにかく当日頼んだぞ。あとついでにかえでにも伝えておいてくれ。話さなかったら後が怖いから」
「うん、分かった・・・」
「んじゃあ当日な」
そう言われてから1週間後、授業を終えた私たちはまひろちゃんを引っ張って連れて行ってるところだ。友達は呼んでもいいとは言っていたけどまひろちゃんはまだ転校して日が浅いし人と話すの苦手だからいつも通りみよちゃんを加えたメンバーで参加することにした。後はお姉ちゃんも後から合流、まひろちゃんのところのお姉さんそしておそらく葵さんも来るのだろう。そもそも葵さんは夕哉さんと同じ喫茶店のスタッフだからいるのは当たり前なんだろうけど・・・
「おいっ、離せって。オレ・・・じゃなくて私は帰ってゲームを・・・」
「まあまあまひろん。ゲームなんていつでもできるじゃん。それよりもうすぐ着くよ」
「着くって?」
「ほらっ、喫茶店。にーちゃんがここで働いてるんだ。入ってほらっ」
「ちょっあさひ。押さなくても自分で歩けるって・・・」
「あらあら」
扉を開けるとそこには何個かのテーブル席が全て真ん中に固められていてそこにはいろんな料理が並んでいた。
「おっ、来たな」
「待ってたよおに・・・まひろちゃん」
「み、みはり!なんでここに!と言うよりこれはいったい・・・」
思った通りまひろちゃんはすごく驚いていた。そして私たちは種明かしをした。療養の長かったまひろちゃんのために開いた快気祝いのサプライズパーティー。なんだけど・・・
「まひろちゃん!どうしたの?大丈夫?」
「ううぅ"こんな・・・ひっぐオレのだめにっ・・・」
まひろちゃんは泣きはじめた。ずっと辛かったんだと思う。学校にも行けてなかっただろうし不安も多かったと思う。私がまひろちゃんを支えていくんだ。
「まひろん。よーしよしよし」
「あっ、!あさひずるい!わたしも撫でる」
「お腹いっぱいです〜」
この場に集まってる中であと来てないのはお姉ちゃんだけだ。もう少し時間かかるらしいから先に始めてもいいとメールが来たので始めることにした。
「ほらっ・・・兄貴としてお前が音頭取れよ。葵」
「お、おうっ・・・なんというか今日は集まってくれてありがとう。って本当は俺だけがいうセリフじゃないんだろうけど。今日はまひろの快気祝いも兼ねてパーティーをすることにした。まひろ、黙ってて悪かったな。こうでもしないとお前は来ないと思ったからな」
「だからって・・・だからってお前なぁ!」
「とにかく今日は楽しい時間を過ごして欲しい。それじゃあ乾杯っ!」
そう言ってまひろちゃんの快気祝い。サプライズパーティーが始まった。
〜☆〜
少し大ごとになってしまった気もするがけどこうして無事にパーティーは始まった。かえでさんは不在だけどそのうち合流できるって妹さんは言ってたし夕哉も気にすることはないから始めてくれと言われて始めることにした。
「で改めて紹介するよ。親戚の妹の緒山 まひろだ。んでそっちがみはりちゃ・・・みはりだ。そんでもってこっちは・・・」
「桜花 夕哉だ。葵と同じゼミに所属している。ふーん・・・なるほどな。これが噂の・・・」
「桜花・・・桜花ってまさか・・・」
「うんっ。ウチのにーちゃんだ。まひろんと同じでスッゲー漫画やアニメ、ゲーム好きなんだ。ロスクエだったっけ?確かにーちゃんも持ってたよな」
「まあ一通りだけど葵の妹ちゃん。ロスクエやるんだ。へぇ・・・それでどこまで進んだ?」
「えっと・・・この前やっとストーリークリアして・・・」
「本当か?俺もストーリークリアしたぜ。ネタバレ踏みたくないから発売日から2徹してやったぜははは」
「お前がそれでゼミと授業ばっくれたのは割と心配になったぞ」
それに前々から計画しててロスクエとやらの発売日から3日分はシフト入れてなかったし。まあ時間の使い方としては大学生らしいといえば大学生けど・・・
「そういえば・・・えーっと・・・」
「俺のことは夕哉で構わないよ。えーっとまひろちゃんでよかったか?葵の従兄妹らしいし」
「うんっ。それで夕哉はロスクエのシリーズ何が1番好き?」
「うーんそうだな。シリーズ全体通したらそりゃ6に決まってるだろ。あれこそ至高だ」
「分かるぅ。私も6が好き」
そう言って夕哉とまひろはめちゃくちゃ盛り上がっていた。こんな夕哉見るのは初めてかもしれない。まひろもだけど・・・
しかし共通の話題さえあればちゃんと話せるじゃんお前。年齢は離れてるように見えても実際は同い年だしな。当然ゲームのたどってきた歴史も世代も一緒だからそりゃ盛り上がるよな。学生時代に俺以外の友達がいなかったまひろは露骨にこの話題は避けていたところはあったし。
「にしてもよく知ってるな。この歳でここまでゲームに詳しいなんて。あさひもじろうもこの手のゲームをしないからなんかすげぇ意外だ」
「えっと・・・療養中やることがあまりなくて・・・」
「そうかそうか」
「・・・ちょっと夕哉さん!まひろちゃんと勝手に盛り上がらないでくださいよ!」
「ははは悪りぃ悪りぃ。じろうやあさひの言った通りだな。すげぇ面白い奴、今までこの手の話題で話の合うやつは何人かいたけどここまで話せたのはお前が初めてかもな」
「へぇ・・・そうなのか?」
なんか結構意外だな。夕哉は社交性高いからここまで話せる友達いると思ってたけど・・・
「ああっ・・・葵、この手のゲームをやるには2つのパターンがある。話題になってるし知名度もあるから買ってとりあえずやってみるのがライト層。そしてその作品をやり込むのをヘビー層って言うんだけど今までゲームを話す奴はライト層ばかりだったからあまり熱く語れる奴いなくてな。お前の妹は間違いなく後者だよ。それもかなりのな」
まあ本棚ゲームソフトだらけだしあらゆるシリーズのゲームはだいたいやってるらしいからな。そんなまひろはもみじちゃんに引っ張られて連れていかれたけど・・・
「お待たせ。おっ、盛り上がってるね」
「かえで!」
「かえでちゃん!」
「お姉ちゃん!」
楽しく盛り上がってたら遅れてかえでさんも到着した。それぞれ中学生組と高校・大学組と分かれて話をしている。
「それにしてもまひろちゃん楽しそうだね」
「葵がよく話すから気になってた居たけど面白い奴だな。すげぇ気に入った」
「・・・まさか夕哉。まひろちゃんを!」
「んなわけあるか!というよりお前は俺の好みのタイプ知ってるだろ」
「それもそっか。まひろちゃんは夕哉のストライクゾーンの真逆だし」
「なんというか・・・・歳下って感じがしないんだよな」
「「っっっ!!!」」
俺とみはりちゃんは口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになるのをなんとか堪えた。もしかして勘づかれたか?
「まひろちゃんが?」
「こうなんというか同じ目線で話してるというか・・・まあどう説明したらいいかよくわかんねぇけど純粋な意味で友達にはなりたいと思う。まあいくら話が合うと言ってもあさひと同い年じゃあ友達というよりかは妹の友達という立ち位置になるから難しいけどな」
・・・もし俺とまひろの通ってた高校に夕哉がいたら。もし夕哉が同じクラスだったら少なくともあの日の出来事は防げたのかもしれない。まひろと夕哉はおそらく趣味も思考も限りなく近いと思う。今の俺にはきっとあそこまでまひろを笑顔にすることはできない。
もし薬の効果が切れたら本当のことを話そう。そしたらきっとまひろと夕哉は・・・
「おっいたいた、なあアニキ。アニキはまだみよちんとは会ったことなかったよな。ほらっみよちん。これがにーちゃんの友達のアニキだ」
「えっとまひろの兄の葵です」
「初めまして・・・室崎みよです。よろしくお願いします」
人見知りの激しい子なのかな?どっちにしても嫌われない程度には仲良くしておかないと。まひろの大事な友達なんだから。既にもみじちゃんには相当嫌われてるし変な誤解は避けないと・・・みよちゃんもなんか視線は少し怖い。嫌われてるというわけでは無さそうだけどもみじちゃんとは違う意味で警戒されてるような・・・
「ほらっ、ここのクッキーすげー美味いぞ。このクッキー、アニキが作ったの?」
「ああっ・・・そのクッキーは俺が作った奴だ」
「すごい。料理できるんですね・・・」
「一応ここのキッチンスタッフの一人だからね」
まともな趣味がないせいで料理だけが日に日に上達したって感じだけどまさか今こんなに自分の料理スキルが役に立つなんて思ってもみなかった。
小さい繋がりが少しずつ大きくなっていって・・・そんな繋がりを俺は大切にしていきたい。そんなことを思ってたらまひろがこっちにきた。
「葵・・・」
「どうかしたか?まひろ」
「その・・・ありがとな。色々と」
「気にするなよ。お前が少しでも社会復帰できるようになるなら俺はそれでいいんだ。そうだな、高校の時はこうした機会もなかったしそのうち休みの日に出かけたりするか?」
「それは遠慮しておくよ。休みの日は家でゲームしたいから」
「・・・お前らしい解答だ」
まだまだ・・・そう簡単に変わってはくれないけどでも少しずつでもいい。まひろがまひろのペースで前に進んでくれるなら俺は。
「でもまあ・・・」
「ん?」
「お前と2人で出かけるのも悪くないのかもしれないな。・・・考えておく」
「・・・まひろ」
「葵・・・オレは・・・」
「まひろちゃん!こっちのケーキも美味しいよ!ほらっ」
「も、もみじ。引っ張るなって」
そのまままひろはもみじちゃんに引っ張られる形で連れて行かれた。にしても嫌われたものだな。前の件で少しはマシになったと思ってたけど・・・
その後は夕方まで騒いで解散となった。本当にマスターと夕哉には感謝している。色々と誤解は多いけどこれから少しずつ解いていこう。まひろが実は男だということも含めてな。
たくさんの感想ありがとうございます。きちんと目を通しております。おにまいの二次創作がもう少し増えるまでは頑張ろうと思います。
とりあえず次回の更新は3月になります。なぜなら2月はもう仕事休みないからです。次はいつが休みかな(白目)