2年ぶりに再会した親友が男を辞めてた上になんかおかしい。 作:あっぷる
オレらしさとはなんなのか。オレの名前は緒山まひろ、エロゲを愛する孤高の自宅警備員で今日は久々に再会した親友が雨で帰るのが億劫になっていたのを見てウチに泊めてやることにした。
決してみはりがいないから寂しいというわけでは断じてない。親友との2年ぶりの再会で積もる話もあるからだ。けど実際のところ何を話していいのか分からない。
久しぶりにこうして会ったけど葵は変わらず元気でいるのにオレは妹の実験で女の子にされたというのにそれでも葵は昔のようにオレに接してくれて・・・
「なのにオレはそんな葵を試そうとした。オレはなんて愚かな人間なんだ」
葵の誠実さ、葵の優しさを考えたらそんな奴じゃないってことくらいオレが1番よく知ってるはずなのに・・・ダメだ落ち着け落ち着くんだ。冷静になれ。こういう時は
>押し倒されて胸を触られるシーン
オレは思わず
「オレは男オレは男オレは男オレは男・・・ブツブツ)」
「ふぅ・・・上がったぞ。お風呂ありがとな」
「ああっ・・・ジャージの方は大丈夫・・・っておいっ!なんでジャージの上を着てないんだよ!」
葵の姿は上半身がシャツで下半身はちゃんとジャージのズボン履いてるけど・・・いや意識するな!男が湯上がりで上半身薄着なのは普通だろ!
「すまん、ちょっときつくてな。無理やり着たら破れかねないし・・・最近測ってないけどやっぱり身長伸びてるよな」
確かにオレが会った頃より身長は少しだが伸びてる気がする。いくらオレが大きめのジャージ買ったところで元の身長が低いせいでどう頑張っても無理だった。下は葵曰く結構ギリギリらしい。
「はぁ・・・まあ仕方ないか」
オレだってさっきまではシャツ一枚だったし人のことはいえないからな。にしても男同士・・・いやっ今のオレは男じゃないけどでもなんで葵の上半身見るだけでドキドキするんだ?これも女の子になった弊害・・・なのか?葵ってよく見るとしっかり筋肉ついてて・・・いや何考えてるんだオレは!これはきっとアレだ。この前やったBLゲームをやったせいだ。そうに違いない!
「まあジャージはこの際無くても特に問題もないしいいか」
いやよくねーよ!オレの心臓に悪いから頼むから何か着てくれ。正直、葵の合う服があるかどうかは分かんないけどとにかく服を着て欲しい。けどオレの服じゃあ葵のサイズには合わないし・・・
「それでまひろ、これからどうする?」
「どうするって言われてもなぁ・・・」
久しぶりに会ったはずなのに特に葵とやりたいことは思いつかない。葵とは学校で休憩時間とかよく駄弁ってはいたけど休みの日に遊ぶようなことはなかった。オレはゲームに没頭してたし葵も葵でバイトやら勉強やらで時間を使ってたし。
特に今まで何もやってこなかったせいで実際ゲーム以外でやることが思いつかない。オレは葵以外の友達がいないからどうしたらいいか分からないし葵も友達と遊ぶという経験があまり無さそうなんだよなぁ。友達は多いイメージなんだけど。とそんなことを思いながらとりあえずテレビをつける。
『ついに地上波に参戦!去年大ヒットした超本格的アクションホラー映画!この後すぐ!』
『本当に怖かったから見るときは自己責任でな。小さい子は一人で見るんじゃないぞ!』
映画の地上波の宣伝を見てた葵がふと言葉を漏らす。
「これって去年めちゃくちゃ怖くて話題になってた映画だったな」
そういえばネットでオレもチェックしてたっけ?自宅警備員だから直接映画館には行ってなかったがオレも気になってた奴だ。
「葵、この映画見に行ったのか?」
「いやっ、行ってないよ。ゼミの女の子に誘われはしたいけどちょうどバイトで忙しかったし・・・」
「ふーん・・・ゼミの女の子・・・ねぇ」
「・・・どうした?まひろ」
「べっつにーお前が誰と何をしてようがオレの知ったことではないけどなー」
葵は葵で大学生生活を満喫している。このリア充が・・・葵のリア充っぷりに嫉妬しながらもゲーム以外することないし今エロゲを勧めるのはいろんな意味でまずいし・・・
「とりあえず映画見るか」
「そうするか」
雰囲気を出すために明かりを消すことにした。コーラとポテチを用意してソファーに座る。そういえばこの前は
「にしても映画なんて最近見てなかったな。最後映画館行ったのも5〜6年くらい前だし。お前はどうなんだ?」
「この前、妹と妹の友達と一緒に行ってきた。まあ映画は面白かったよ」
そのかわり失ったものが大きすぎたけど。そうこうしてたら時間は夜の10時を迎えた。映画のスタートである。ネットでも怖いとかなり口コミで書かれてたけどまあテレビ放送だし本当に恐ければチャンネル変えればいいし・・・まあオレは大丈夫だけどな。それよりもだ。
「・・・・・」
「葵は怖い映画とか・・・平気なのか」
「どうだろう。お化け屋敷とかにも行ったことないしさ。程度によるんじゃない?」
どうやら葵はお化け屋敷にも行ったことなければホラー映画も見たことないらしい。つまりもし葵が怖がっても男であるオレが葵をフォローすれば男らしさ、威厳を取り戻せるのではないか?よしそれなら問題ない。オレはホラー映画けっこう耐性あるし、葵がもし怖がったら全力で慰めてやる。さあ葵、怖がるがいい・・・
そして数十分後・・・
「ガクガク・・・」
やべぇよやべぇよ。想像より遥かに怖えよこの映画。こんなの地上波で流すの?頭おかしいんじゃねーの?そういえば最初のテロップの時もホラー耐性ない人や小さい子たちはトラウマになるから見る時は自己責任でお願いしますって書いてたっけ・・・
というよりオレ、ホラー耐性あったよな?少なくとも昔、みはりを慰めるくらいは余裕があったはずなのに・・・うっ・・・
「・・・・っ」
しまった、コーラ飲みすぎた。トイレに行きたい・・・けど足がすくんで動かない。なんでぇ・・・葵に助けを求めようとしても恐怖で声が出ない。それに葵は映画に夢中でオレの異常に気がついてない。
というよりなんでこんな怖いシーンを考察しながら見れるんだよ。あー、やばい漏れる漏れる。助けて・・・
その時、天はオレに味方してくれた。CMの時間に入ったのである。
「なかなか迫力ある演出だな。こんなにすごいんなら映画館で見りゃよかったかも。なっ、まひろ」
「あうっ・・・」
「まひろ、どうかしたか?」
「えっと・・・・」
トイレに行きたい・・・そういうだけだったのに言葉が出なかった。みはりならそう言えたのかもしれない。何回か失敗してるし今更感あるから。
けど葵は違う。葵はオレの親友でそんな親友におしっこもれそうだからトイレまで連れてってくれなんて言えなかった。言ったら負けだと思った。けど足が震えて自力で行けない。このままだと・・・・このままもらすか、葵に助けを求めるか・・・クソーッ!
「葵・・・・オレこのままだともれちゃう。トイレに行きたい」
オレは無力だ・・・・心の底からそう思った。葵は何も言わずにオレを抱きかかえてトイレまで運んでくれた。こうしてオレは漏らさずに済んだけど、男として大事なものを失った気がした。もう嫌だ・・・
〜☆〜
「・・・・」
実際宣伝してたときはホラーに特化したアクション映画。怖さなら歴代1とも言われる映画をまひろと二人で地上波で見ていた。確かに怖いシーン多いしなんならグロいシーン多めなのでテロップ通りダメなやつは他のチャンネルに変えた方がいいくらいのクオリティだった。本当にこのレベルなら実際に映画館で見たかったな。
ちなみに怖いのは本当だが俺が平気なのはちゃんと理由がある。まずこの作品にはちゃんと原作が存在するからだ。その原作をモデルに映画化したらしい。俺は怖さよりも演出に感動していた。あそこはどう表現するのか。ここはこうするんだとか。
そのあまりにもクオリティの高い表現にすげぇとしか感想が出てこなかった。大ヒットしたのも納得だし完全に記憶から抹消して見ても別の楽しさがあるのだろう。と途中までは純粋に映画を楽しんでいた。けど俺は映画に夢中になるあまりCMに入るまでまひろの異変に気がつけてなかった。
ずっと足は震えていて下の方を押さえていた。そしてまひろは小さい声でトイレに行きたいと言った。そこで俺は理解した。まひろはトイレに行きたかったのにずっと我慢してたこと。俺は無言でまひろを抱えてトイレに連れて行った。漏らさずに済んだのは良かったが・・・
まひろ、ホラー、ダメだったのか。そもそも俺自身もホラー得意かダメかなんて見るまでは分からないが原作知ってる分怖さよりも怖さを演出する方に感動してた。ダメだまひろが気になって映画どころじゃない。映画ならレンタルショップで借りて家で見ればいいし。俺は無言でチャンネルの電源を落とした。
「映画・・・見ないのか?」
「この状況じゃ流石にな・・・」
人の家で家主がここまで怖がってるならこれ以上見ても仕方ないだろ。それでまひろが納得してくれるのが1番だけど。
「べ、別にオレは映画が怖くて動けなかったわけじゃないからな!」
「分かってるって・・・」
「いーやっ、その顔は分かってない。別にオレはホラーが苦手とかじゃないんだ。本当なんだよ!」
「別に心配しなくてもそこは疑ってないよ。今の映画のホラーが力入れすぎてるってのもあるだろうし」
まあそういうのも楽しめる映画なんだけどまひろがまたトイレに行きたくなることを考えると映画に専念できないし。
「・・・疲れたしいい時間だし寝るか」
「寝るって・・・いやっお前はそうだもんな。真面目に生活してるもんな。
「ああっ。助かるよ」
まひろは来客用のふとんを用意してくれた。同性だったら同じ部屋で寝たりするんだろうけど今のまひろは女の子だしな。一緒に寝るのはいろいろまずい。まひろが精神が男で気にしなくても俺が気になるから。
「じゃあオレは部屋でゲームしてるからな。おやすみ、葵」
「ああっ・・・」
俺はもやもやしたまま布団に潜る。久しぶりに会った親友が女の子になってて・・・いくらいつも通りに接してるつもりでもどうしても気を使ってしまう。
それにどうしたらいいか分からない。親友であることは確かだがだからと言って休日に遊んでたわけでもなければ趣味とかが合うわけでもない。でもそれでも俺がお前が親友と思うのはお前と一緒にいると・・・・
「まひろ・・・・」
俺の意識は気がついたら闇に落ちていた。
〜☆〜
「ゲームに集中できない」
いつもだったらなんてことない相手にも勝てず、パーティメンバーの足も引っ張ってしまう始末。
胸を触ったことに対してはあんなに動揺してたくせにオレが漏れそうなときは抱きかかえてトイレまで連れてってくれた。オレは死ぬほど恥ずかしかったけどアイツは何食わぬ顔をしていた。それに関しては少しムカついたけど・・・
「けど・・・」
正直かっこいいなとも思った。おひめさまだっこ・・・ではないけど限りなくそれに近い感じだった。まさか自分がされるなんて思ってなかったけど・・・
ダメだ葵といるとオレがオレじゃなくなりそう。葵といると
カチカチ・・・
時計は2時を回っていた。かれこれ3時間近くゲームをやってるが全く調子が上がらない。仕方ないまだ全然早いけど寝るとするか・・・そう思ってオレは布団に入って天井を見つめる。そして一つ問題が起きていた。
「やべぇ・・・寝られない」
ホラー映画あるある、映像が脳裏に焼き付いて恐怖のあまり寝られなくなることだ。みはりが幼い頃も雷が怖くて寝られないから一緒に寝たりしてたっけ?けどそんなみはりは今、大学に泊まってていない。怖くて寝られないなんて認めたくはないがこの状況を解決するために頼る人間は一人しかいない。
オレはまくらを持ってこっそり葵が寝てるリビングに向かう。いつも使ってる廊下も暗くて不気味だ。オレはスマホのライトを照らしてなんとかリビングにたどり着く。
「葵、起きているか?」
小声で呼びかけるが反応はない。葵はぐっすりと寝ていた。こっちがどんな思いをしてるのか知らずに普通に寝ている葵に対して少しイラッと来た。
「半分お前が悪いんだからな・・・」
オレはそう言って葵の布団に入る。こうやって誰かと寝るなんていつぶりだろう。葵の温もりと匂いで満たされて安心する。葵・・・オレは葵の温もりと匂いを感じてそのまま眠りに落ちた。ギュッと葵を抱きしめながら。
後日談へ続きます!
今回の後編で終わらせるって言っただろうが!
本当にすみませんでした。明日お仕事休みなので後日談は明日出します。おにまいのSSがある程度増えるまでは頑張っていきます。
にしても原作よりだいぶでかかったな。おっぱい・・・
後日談終わって初めて本編?に入ります。ここまではとりあえずプロローグ的なアレなので。次回もよろしくお願いします。ストックするぞー!