初めて13577号の自我が生まれたのは、身体年齢が5歳を超えた辺りが最初でした。
一番のキッカケは身体年齢が14歳に至った時です。
布束砥信が監修した、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感全てに対して電気的に情報を入力する機器、学習装置のレベルを身体年齢に合わせて調整する時でした。
13577号の担当者であり、学習装置の監修を行った布束砥信によって調整が成され、本来であれば13577号と接している必要のない時間へ切り替わる時でした。
調整の際、13577号はさまざまな機器に繋がれていて、頭への負担が多くなり目線は低いです。
けれどその時、13577号の担当である布束砥信と初めて目線が合いました。
「Forever 13577号は調整している人を見ているのね、But 私はジロジロ見られることが好きじゃないの。That's why やめてくれないかしら」
学習装置で”怒られる”という感情表現を学んではいましたが、それを体験したことはありませんでした。それに学習装置があるといえど、与えられる知識に限度がありました。御坂美琴のクローン体、通称妹達と呼ばれている個体のほとんどに、必要のない軍事知識がありました。
本来13577号や妹達は、一方通行の絶対能力進化計画の為の犠牲者として今もなお製造されています。しかしその計画で犠牲者が軍事知識を持っている必要はありません。けれどその必要のない知識は、消されることなく残っています。
だから13577号はその軍事知識を利用することに、他の妹達との差や13577号の存在価値を見出せるのではと考えました。
理由または原因としてあげられることは、13577号の異質な姿にありました。
オリジナルである御坂美琴の髪色や眼球の色とは異なり、赤みを帯びながら背中の中央まで届く黒髪とアルビノとも思える程の鮮やかな紅色の目は、他の妹達からも一際目立っていました。
他の妹達と同じ製造方法の筈なのにも関わらず、突然変異という形で13577号を構成しているほどんどが変異していたのです。
声帯・骨格・体質・髪質・身長といった身体情報の八割が変異したことは、今でこそ良いことだったと捉えてくれている人がいるので気にしていませんが、当時の13577号は良くなかったことだと感じていました。それで、13577号の一人称を取り繕った程でした。
「自分は担当者である布束砥信を観察することも学習ですと、自分は布束砥信を心配していることを隠します」
13577号が計画に組み込まれていた一方通行の絶対能力進化計画の規模は大きく、その分13577号という異質が生まれたことは担当者である布束砥信の足を引っ張ってしまいました。
13577号の収容されている部屋の扉の向こうから時折、布束砥信への他研究者からの罵倒が聞こえていました。最初は知識が足りず、理解できないままでした。
13577号が製造され始めて一週間が経過する時に、扉の向こうの声と布束砥信が言い争っているのを聞き取ってから、布束砥信にとって13577号が足手まといになっている現状に気付きました。
布束砥信が監修した、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感全てに対して電気的に情報を入力する機器、学習装置は13577号にある言葉を入力しました。
”出る杭は打たれる”、つまりこの場合での出る杭は13577号でありながら布束砥信で、それを打とうとしているのが他研究者達だと真に理解したのです。