とある個体の方向転換   作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊

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やっと超電磁砲(レールガン)要素を入れられました。


方向転換しながら深く感情を知る

13577号(自分)は今、重大な問題に直面していました。

 

 

「いいや、まだ病院から退院するのは早いよ」

 

「何故ですかと、自分(ミサカ)は懇願します」

 

「”彼”に君がどれだけ自身の身体に無理を強いているか伝えたら、せっかくだからしばらく病院で預かって欲しいって言われてね」

 

 

あぁ、”彼”という存在が誰だか分かりませんが、13577号(自分)は少しでも早く一方通行(アクセラレータ)と接点を作りたいんです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八月上旬、何もすることがないまま食べて寝てを繰り返すことにも、流石に飽きてきてしまいました。ただ、印象的なことがなかった訳ではありませんでした。正確な日時は覚えていませんが、ある日の昼間に飛行船が病院の近くを通りました。…あぁ、確か八月九日でした。

 

学習装置(テスタメント)から入力された軍事知識から、戦闘機等の飛行する乗り物があることは知っていました。しかし、いざ13577号(自分)の目で見た時は、言語では伝わり切らないような”感情”を感知しました。

 

果てしなく澄み切った青空の中、白く冷たい雲に紛れて快晴の空を飛行する小さな船…決して移動速度が早い訳ではなかったですが、優雅に空を旋回して病院から離れていく様は空を泳ぐ鯨のようでした。

 

 

「…どうしたんだい、お腹空いてないのかな?」

 

「あ…違いますと、ミサカ(自分)は隣の女性に言葉を返します」

 

 

カチカチと、光に従って時を刻む時計の秒針の音が、病棟の廊下に響きます。13577号(自分)の隣には、いつの間にか座っていた長い茶髪の女性が一人座っているだけで、他の人は既に昼食を終えて去っていたようです。

 

 

「ただ…、昨日初めて飛行船と呼ばれている物を目にして、それが頭から離れないのですと、ミサカ(自分)は言葉を続けて発します」

 

「あぁ、アレか」

 

 

隣に座る女性は、昨日の昼に現れた飛行船のことを”アレ”と呼び、酷く嬉しそうに笑みを顔に浮かべました。その女性の目元には薄らとした隈が残っていて、今まで睡眠が取りづらい状況だったことが窺えました。

 

 

「アレはね、私の…教え子達が、私の誕生日に飛行船を使って祝ってくれたんだ」

 

「教え子という事は、貴女は以前教師として働かれていたのですかと、ミサカ(自分)は茶髪の女性に問います」

 

「随分昔にね。まあ…それもしばらくしたら辞めてしまったよ」

 

 

学習装置(テスタメント)から入力された単語の一つである”哀愁”を帯びた顔で、女性はやっと落ち着けたかのように言葉を途切れさせました。…いえ、それとも”憤怒”でしょうか。その女性の表情は学んだばかりの感情から、たった一つだけを断定することを不可能と判断させる顔をしていました。

 

…カチカチと、秒針の音が聞こえる程の静寂が会話を途切れさせます。この茶髪の女性の感情は、13577号(自分)学習装置(テスタメント)で入力された情報よりも複雑奇怪で、非常に興味深く感じていました。

 

 

「…ミサカ(自分)、は」

 

「…?」

 

ミサカ(自分)には、…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな目をしないでちょうだい、私まで悲しくなるわ」__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミサカ(自分)には、悲しい目をしないで欲しいと言って…ミサカ(自分)の頭を撫でてくれた人がいました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうよ。13577号(貴女)のおかげで、私は新しい可能性を見出せた…そのお礼ね」__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めてミサカ(自分)がいることを、良かったと言ってくれた人が…いましたと、ミサカ(自分)は昔を思い出します」

 

「…そっか」

 

ミサカ(自分)は一言で例えるなら、世間知らずです。その人は、そんなミサカ(自分)に感情を教えてくれましたと、ミサカ(自分)は女性に話します」

 

 

…カチカチと、秒針の音が続かなかった会話と、沈黙を重たく感じさせました。

今日の病院食の献立にされた汁物の表面に、13577号(自分)の無機質な顔が映りました。

……御坂美琴(オリジナル)のことを酷く…羨ましいと、初めて思いました。

 

 

「君はさ、好きな物とかってあるかい?」

 

「好きな物…ですか」

 

「そう…日々を過ごしてる中で、何だか、そこにあることが嬉しく感じる物はある?」

 

 

一番最初に頭に浮かび上がったのは、布束砥信の最後に見た姿でした。

 

 

「食べ物でも、場所でも…それこそ人でもいい」

 

 

二番目に浮かび上がったのは、この病院に来るキッカケになった公園でした。

 

 

「まあ、人に対しては…君ぐらいの年齢だからね…もしかしたら、他の人に対する”好き”とは違う”好き”を感じる人がいたりするかもしれない」

 

 

三番目に浮かび上がったのは、………………。

 

 

「とりあえず何でもいいんだ。好きなもの、人はそれと関わった時…色濃く感情が現れる」

 

「…色濃く、ですか」

 

「だから君が感情を知ったばかりだったとしても、君は私より感情を知っているだろうし、私も君より知っている感情がある」

 

 

そう言って”笑う”女性の姿は、13577号(自分)の頭に焼き付くように残りました。




次の更新時に【”方向転換”の読み】アンケートを投票終了します。
そして…新たなアンケートも出しますね。

”方向転換”の読み

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