とある個体の方向転換   作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊

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皆さんご存知上条さんの登場です。


方向転換したら高校生と会う

八月十一日、学生であれば夏休みと呼ばれる長期休暇の時期に入るんでしょう。そんな学習装置(テスタメント)から入力された知識を頼りに、個人用の病室の窓から外を眺めます。無意識で布束砥信から貰ったベルトと、初めての外出で買った季節外れでありながらうさ耳付きの上着をギュッと抱きしめます。

そんな時でした。

 

 

「青ピ、そこはカミやんの病室じゃないにゃー」

 

「「え?」」

 

 

ガラガラと部屋の扉が開く音の後、聞き覚えのない人の声に驚いて部屋の入り口へ目線を向けます。そこには見覚えのない男性が二人、一人は扉に手をかけて開けたと思われる青く染めた髪とピアスをした人、もう一人は入り口の扉の少し奥に立っている金髪でサングラスをした人でした。

 

恐らく身長が180はあるであろう二人に、内心怯えながら13577号(自分)は彼らに話しかけました。

 

 

「…あの、何か御用でしょうかと、ミサカ(自分)は見知らぬ男性二人に問いかけます」

 

「あボク青髪でピアスしとるから、みんなから青ピって呼ばれとる。いやー今日はラッキーやね、こんな美少女に出会ぉてしまうなんて!な!土御門!」

 

「ラッキーかもしれないけどにゃー、今日は入院してるカミやんの見舞いで来たってことを忘れちゃいけないんだぜい」

 

 

彼ら二人が言い合っている話の内容を聞いている限り、彼らは”カミやん”と呼ばれている同級生が入院したということで見舞いに来たらしいです。恐らく彼らは高校生で間違いないので、可能であるのなら彼らと行動を共にし、年頃の男性が好む女性図というものを学びたいものです。

 

可能ならば彼らが自らの顔に投影する表情を見て、13577号(自分)も投影可能にしたいですね。オリジナルに近い顔であることから、ある程度整っている見目ではありますが、無表情でいるのは些かよくないでしょう。

 

 

「もし良ければ行動を共にしていいですかと、ミサカ(自分)は二人に提案します」

 

「ほら美少女ちゃんもこうゆうとるやろが土御門!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青髪ピアスと共に何とか金髪サングラス…もとい土御門元春(つちみかどもとはる)の説得に成功し、”カミやん”という同級生がいる病室に13577号(自分)も同行します。

勿論黒兎のフード付きダウンジャケットを着て、その下に布束砥信から貰ったベルトを付けた完全装備で移動しています。あ、ダウンジャケットのチャックは締め切っているので、見られる心配はありません。

 

 

「大体野郎どもっていうのはにゃー、女の子に対する下心が計り知れないもんなんだぜい」

 

「土御門は心配しすぎやとボクは思うで」

 

「つまり、年頃の男性の女性に対する性欲に気を付けるように言っていると解釈していいですかと、ミサカ(自分)は土御門に聞き返します」

 

 

瞬間、13577号(自分)の前方を歩く二人の片方、青髪ピアスが瞬時に13577号(自分)の言葉に反応しました。

 

 

「…び、美少女ちゃんの口から性欲っつー単語が聞こえた気がしたんやけど、聞き間違いやろか?」

 

「いや、聞き間違いじゃないにゃー」

 

 

…どうやら13577号(自分)のような外見で、性欲等の単語を口に出すのは宜しくなさそうですね。13577号(自分)の前方を歩く、青髪ピアスの振り向く速さは13577号(自分)が言った言葉ではないと信じたくなかったことの表れ、ということでしょうか?

 

 

「…その場合、ミサカ(自分)も下心があると言っても過言ではないのですが、大丈夫ですかと、ミサカ(自分)は二人に問います」

 

「まあ大丈夫やろ、美少女ちゃんの下心言うても男の下心よりかはだいぶマシや」

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラと、13577号(自分)の病室からさほど遠くない個室のスライド式の扉を青髪ピアスが開けました。

 

 

「こんちゃーカミやん、元気してたかにゃー」

 

「夏休みを入院で潰したなーカミやん」

 

「あ!どうしてお前らがここにいるんだよ」

 

「小萌先生に聞いただけだぜい」

 

 

…そんな同級生と納得出来るような会話の様子を、13577号(自分)は恐る恐ると扉の向こうで覗き見ていました。

 

 

「せや、美少女ちゃん!こっちこっち!」

 

「は?美少女ちゃん?」

 

「あー…実はカミやんの病室来る前に青ピが病室間違えてにゃー、その病室にいた子だぜい」

 

 

室内にいる三名の意識が完全に13577号(自分)に向いたことに気付き、兎の耳が付いた黒いダウンジャケットを被った状態で前に出ました。

 

 

「こんにちわ”カミやん”、13577号(自分)は…」

 

「あ、すまんカミやん。”カミやん”っつー名前やと思われとる」

 

「…違うのですか?」

 

 

”カミやん”…その単語が何度も彼らの会話に出てきたことから、目の前のベッドに横たわる黒髪の青年の名前だと思っていました。つまりあだ名、通称のような呼び名だったということでしょうか?それを指摘するのであれば、”青髪ピアス”はあだ名ではないのでしょうか?

 

 

「俺は上条当麻(かみじょうとうま)、断じて”カミやん”というのが名前ではないからな…?」

 

「失礼しました。では改めまして…こんにちわ上条当麻、13577号(自分)方向転換(エンコード)と言います」

 

 

今日、この出会いは13577号(自分)が学園都市の中心に触れた日であり…

 

 

木山春生(きやまはるみ)からの課題に13577号(自分)だけでは不可能と判断したので、上条当麻・土御門元春・青髪ピアスの三名に手伝いを依頼しに来ましたと、ミサカ(自分)は彼らに同行した理由を明かします」

 

 

13577号(自分)人間(ひと)として生きる始まりとなった日でした。




「そうだカミやん、夏休みの補習大丈夫かにゃー。小萌先生心配してたぜい」

「まさかお前らが上条さんの見舞いに来たのって…!!」

「そのまさかだにゃー、カミやん。再補習だぜい」

「不幸だー!!!!」


そんなやりとりがあったりなかったり。

13577号は魔術サイドに関わって欲しいですか?

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