とある個体の方向転換 作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊
八月二十日の夜…今までのようにアイツはやって来て、今までのようにアイツは俺に生活習慣を直せだの食生活の心配を言う。だが、一向として八月十八日のようにアイツが俺に対して、何かを求めることはなかった。
「えーと…?四番の、メールアドレスを再入力…ですね」
「…わざわざ人ン家来てンのに、機種変作業すンじゃねェよ」
「ちょっと今、話聞けないです。すいません」
「………そォかよ」
目の前で機種変したらしい携帯の説明書片手に四苦八苦している姿を眺めながら、頭の中では八月十八日の夜を思い出す。翌日の八月十九日の夜にはケロッとしていて、弱々しく湿った雰囲気すら残っていなかった。
言及しようにも、十中八九コイツは俺に何かをする為にいるっぽいから、容易に聞き出せない。コイツとの会話は親しい隣人や友人のような雰囲気だが、会話以外を切り取れば結局直接的な繋がりはない。…足が着かないようにか、コイツが俺に弱みを握られても切り捨てられるように…だな。
「…ん?…あれ、電源を長押し…?」
そんな冷めた考えに、心の奥で汚さないように放り投げた何かが震える。それが震えた理由を信じたくなくて、目の前で携帯に向き合って俺から意識が逸れているコイツの作業を邪魔する。テーブルに広げられた携帯の説明書を手に取って、裏表を逆にしてやった。
「………あの、もしかして説明書イジりました?」
「さァな」
「…イジったんですね」
目の前のコイツから向けられる呆れが篭った目線から顔を逸らすように、適当なところを見る。
そうやって俺が顔を合わせないようにしていると、目の前のコイツが急にクスクスと笑い出した。それも何となく愛おしそうな笑みで笑うものだから、少しだけ目線が惹き付けられた。
「猫みたいなことしないでください、つい笑っちゃったじゃないですか」
「は?」
猫?俺が?あんなフワッフワのちっこい小動物みたいだって?
「猫って飼い主が構ってくれない時に、飼い主の気を引いている事柄の邪魔をするんです。可愛いですよね」
そう言われた言葉に図星だと納得しそうになりながら、可愛いと言われたことを認めたくなくて反抗的な言葉が口から出て行く。可愛いって言えば誰でも喜ぶ訳じゃねぇんだよアホが。寧ろそんな嬉しそうに笑うオマエの方が世間的に見たら可愛いの対象だろうが!!
「…誰が猫だってェ?もォ一回言ってみろ、喧嘩なら言い値で買ってやる」
「か弱い女の子に足してそんな無体なことをするんですか…!?信じられません…!!」
言葉の悲観さの割には、先程まで続けていた作業の手を一旦止め、わざわざ胸元で両腕をクロスするようにした後に、今度は両手を自身の頬に添えている。
なぁに可愛こぶってんだコイツ。気色悪りぃ。
「なァに可愛こぶってンだオマエ。気色悪りィ」
「な!?女の子にそれは禁句ですからね!!」
「じゃァなンでホイホイと、礼をしたいからーって一人暮らしの男の家来たンだよ」
「………何も言えません」
当たり前だ。どう考えても、どう考え直してもコイツが俺に対する礼?の割合が多すぎる。それに普通、夏の日中に倒れてたのを病院まで運んでくれたからって、個人を特定する勢いで家に来てお礼がしたいって言って、相手の生活習慣や食生活に文句言うか?言わねぇだろ。
本当にお礼をしに来たとしても、俺の名前をいつまでも聞く気配すらないのは流石におかしい。いや、その前の時点でもかなり怪しかったが、更に怪しいんだよなぁ。
「そもそも、自分のような女の子達が可愛い動作や仕草をしている理由のほとんどが、好きになって欲しいからなんですよ。なのでそんな言い方をしていると、貴方は恋人もきっとできませんね」
目の前の女の、まるで可哀想な存在を見るかのような目についイラッとして、机に広がっていた携帯の説明書を顔面に投げつけた。
曜日感覚が危うい俺の為だ、と言って飾られたシンプルなカレンダーは八月二十日の前日である、八月十九日まで黒色のチェックが付けられていた。過ぎたカレンダーの日々が、コイツとこうやって話すようになってから一週間が経とうとしていることを示唆していた。
そういえば、とある魔術の禁書目録&とある科学の超電磁砲&とある科学の一方通行の時系列を見て、宇宙猫になるのはとあるシリーズ二次創作であるあるですよね?
公式サイトが公開してる時系列でも、ストーリー上では一年過ぎ切ってないとか嘘であって欲しかった……。
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