とある個体の方向転換   作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊

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多分今までで一番文章量が多めです。
それと注釈も多めですが、以前更新した話に戻らなくても今回の内容が分かりやすくしたいだけですので、あまり細かく見る必要はありません。


一方通行なレールの終点

パシン、と俺の伸ばした右手が上条当麻(一般人)に叩かれる。

 

 

「…はァ?」

 

 

…何で俺の伸ばした手が叩かれた?いつものように反射は俺の意識外や無意識下で接触した物理現象を反射するようにしてる。明かに目の前の上条当麻(一般人)の手に叩かれたのは物理現象だ。

…反射しない設定(フィルター)にした覚えはねぇ。

 

垣根帝督(メルヘン野郎)未元物質(ダークマター)みてぇな超能力者なら俺の反射を通り抜ける何かをしてきやがってもおかしくはない……。でもそんな超能力があったとするなら何故、俺の攻撃から逃げるだけだった?

 

それに超能力といえど、どんなもんに力の流れ(ベクトル)っつーのはある。

脳が自身の手に対して動く指示を出し、神経がその電気信号を手に伝えることで手が動く。

つまり、脳から神経に対して電気信号を発した時点で、力の流れ(ベクトル)は生まれてる。

 

俺はその電気信号を四肢に伝える神経に干渉すれば、人すら殺せる。

実際似たようなことを以前の実験でやった。じゃあ何なんだ今のは。

 

超能力じゃねぇにしろ、物理的なもん以外の何だって言うんだ?

上条当麻(コイツ)が俺の手を叩くまでの速度(スピード)威力(パワー)向き(ベクトル)の何が今までと違う??

 

超能力者なら能力に伴った現象を引き起こす。

どんだけ弱ぇ能力が発動していたとしても別に目に見えるもんではなかったし、赤外線や紫外線といった不可視光線のように人の視界()に映らないもんでも発見自体が初の能力者じゃない限り反射自体は成功してる筈だ。

 

日常的に精神感応(テレパス)とかを送られて反射の設定(フィルター)外にしたとかではないし、そもそも精神感応(テレパス)だけの超能力者(ヤツ)が俺の前にのこのこと出てくる訳がねぇ。

 

反射に異常(イレギュラー)が生じた可能性はあるが、生じたところで反射される事実は覆せねぇ。

俺が反射を意図的に変えるのはそうそうねぇし、確かに騒音とかの観測したことがねぇもんとかは反射出来ない。

 

でもやっぱ反射自体の機能は働いてることに変わりはねぇ。俺だって反射を通り抜けた観測外の現象の感知はするし、だから観測外の現象を反射する設定(フィルター)に変更できる。

反射が機能してれば……いや、待て。

 

仮に反射の感知機能から逃れられる能力か現象があったら……?

 

とりあえず空間移動(テレポート)系の超能力ではないな、上条当麻(コイツ)がそんな動けるとは思えねぇし、まぁ動いたら俺も分かる。

 

そうなると空間に干渉する類で発動条件がある超能力くらいしか…いや、でも、反射に感知されない要素がねぇ。

 

それか反射自体が何らかの現象によって阻害された…いや、それだったら俺も反射が阻害されたっつーことが分かる。

 

 

「…っ」

 

 

……観測外…いや、まさか、そんな、…。

どこ見ても科学で溢れた東京西部にある完全独立教育研究機関。あらゆる教育機関・研究機関の集合体、学生が人口の八割、外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街の総本山なんだぞ…!??

 

そんなとこに魔術側の能力者がいる可能性があんのかよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、俺の脳裏に過去の記憶がよぎった。

 

 

「ねぇ___、もしスゴい力が使えるようになるって聞いたら」

 

「ほしいにきまってる!!!」

 

「そんでそんで!おれがふたりをまもってあげるんだ!!」

 

「…だよなぁ、お前ならそう言うとお父さんも思ってたよ」

 

 

あぁ、なんで……。

 

 

「___すご〜い!!うわぁ!!ほんとにてがとどかないよ!!」

 

「ぼくも___みたいないのーがほしかったなぁ」

 

「…でもどっちぼーる、ひまになる」

 

「どっちぼーるくらいどーでもいーじゃん!」

 

 

なんでそこまで俺を止めようと(の邪魔を)するんだ!!!!

 

 

「おっきくなったなぁー___!!」

 

 

俺は結果がどうであれ人を殺した(守れなかった)んだ!!!!

 

 

「…重たい」

 

 

だから名前を捨てた(別人として生きて)んだ!!!!

 

 

「あら、いいじゃない。せっかくだから三人で写真撮りましょう?」

 

 

だから異能(一方通行)になったんだ!!!!

 

 

「…何で今日誕生日の俺が譲歩するんだよ。撮らせるもんか」

 

 

…俺は誰一人も守れないまま、人殺しをした悪党なんだ。

俺の超能力が狙われるなら、俺が最強になって、俺が堕ちるところまで堕ちれば…もう、あんなことは起きないよな?

 

それに、最初から()()だったように振る舞えば、誰も俺を狙うなんて馬鹿をやらかさないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

過去の記憶と、どう表現したらいいのか分かんねぇ感情が入り混じるように俺の内側で暴れて、目の前の上条当麻(一般人)から離れる選択肢を取ろうとする頭と反発し合う。

 

あの時のように地面を踏み付けて、その衝撃の威力を掛け合わせて放つだけ。

 

 

「〜〜〜あああァァ!!!!」

 

 

暴れ回りそうな感情に任せた威力のまま、周囲のコンテナを全て壊さない程度の範囲に放たれた衝撃は、目の前のもはや上条当麻(一般人)と言えない存在をコンテナの鉄製の壁に打ち付けた。

 

続けざまに上条当麻(一般人)が苦しそうに背を打ち付けて、

身体を預けているコンテナに向かって飛び蹴りをかます。

辛うじて俺の飛び蹴りを直撃せずに済んだ上条当麻(一般人)の背後、大きく窪んだコンテナのバランスが崩れてその上に積まれていたコンテナが重力に従って上条当麻(一般人)を下敷きにしようと落ちた。

 

コンテナ程の質量が落下した勢いで、落下したコンテナや俺が飛び蹴りをかましたコンテナの中身が周囲の僅かにある風に巻き込まれながら舞い上がる。追い打ちをかけるように他のコンテナも壊して中身の粉が舞う範囲を広げる。

 

 

「中身は小麦粉でしたってなァ」

 

 

これで下準備は出来た。勘のいいヤツなら気付かれるが、目の前のボッロボロの上条当麻(一般人)を見る限り、”気付いてません”って顔に書いてやがる。例え上条当麻(コイツ)が魔術的な能力を使うとしても、恐らく対象に接触することで発動することは間違いねぇ。

 

 

「今日は風もねェし、ひょっとすると危険な状態かも知れねェなァ?」

 

 

ほとんど風の流れがなく、あったとしてもコンテナで遮られるこの場所に広がったのは、本来料理などに使用される小麦粉。まぁ俺に接近されずに攻撃すればどうにかできるってワケだ。そう考えちまえば方法はいくらでもある。俺が能力でイジった衝撃でダメージは通るってことは、フツーに拳銃で数回撃てば簡単に殺せる可能性が高い。

 

 

「なンでも空気中に粉末が漂ってて、ソイツに火が付くとさァ…」

 

 

つまり、あくまでも上条当麻(コイツ)の能力効果が及ぶのは異能(超能力)のようなものであって、物理現象に対する対抗力がねぇと見た。じゃなかったら俺が曲げたレールからも、己の頭上に落ちてくるコンテナから逃げることは意味がない。まぁ上条当麻(コイツ)が意図して俺を騙してんなら話は別だが。

 

 

「酸素の燃焼速度が馬鹿みてェに早くなるンだと!!」

 

 

ほら、何も分かってねぇ正義の味方(ヒーロー)に時間を使わせる為の悪党(ヒール)の台詞ってあんだろ?

さぁ、ご丁寧に説明してやんだから足止めて時間を消費しやがれ。

その後に、頭ん中お花畑な正義の味方(ヒーロー)の顔が焦りで歪んでいくんだ。

 

 

「なァ、オマエ”粉塵爆発”って言葉ぐれェ聞いたことあるよなァ?」

 

 

そこまで説明すると、理解出来たらしい上条当麻(一般人)の顔が焦りと恐ろしいものを見たかのように歪んだ。ドタバタと情けなく地面を蹴って逃げていく背に、ジワジワと口角が上がって、掠れる声で笑う。今逃げたところで、爆発から逃れられないのは確実だ。

 

瞬間、周囲に舞った小麦粉に摩擦によって起きた火種が広がる。空気中の酸素が急激な爆発時の炎によって奪われて、酸欠独特の眩暈にクラリと酔う。俺は反射の設定(フィルター)上に炎や死に至るような熱源は遮断するようにしてあるから、強いて酸素が僅かに薄くなるくらいで済む。

 

 

 

「全く…さっき身を持って経験したばっかじゃねェか?」

 

 

黒煙を反射の設定(フィルター)で遮断するように変更した直後、黒煙が爆発していない場所から流れこむ酸素によって段々と不明瞭ではなくなっていく視界に上条当麻(アイツ)の姿が見えて、少し鬱陶しくなる。

 

 

「酸素を奪われるとこっちも辛いンだっつーの…あァ死ぬかと思った」

 

 

上条当麻(コイツ)どれだけここに居座るつもりなんだ?

…あぁ、そういや”助ける”とか正義の味方(ヒーロー)じみたことぐだぐだと言ってやがったなぁ。

 

 

「喜べ。オマエひょっとして世界初じゃねェのか。この俺を死ぬかもしれねェとこまで追い詰めるだなンてさァ」

 

 

空気中の酸素の流れから、目の前でぶっ倒れてる上条当麻(相手)が息絶えてないことが分かる。

良かったなぁ、ゴキブリ並みの生存力あって。あの爆発の中で四肢の一部すら欠損してないなんて運に恵まれてるぜ?

 

 

「死に物狂いで努力しても一歩も近付けない。かといって、仮に近付いたところでオマエに何が出来るってンだ?」

 

 

そもそも近付けねぇと思うがな。

 

 

「俺は触れたもの全てのベクトルを操ることが出来る。俺がオマエに触れたら最後、全身の血管と内臓を根こそぎ爆破、ってことなンだけど?そこンとこ正しく理解してたのかァ?」

 

 

実際俺の異能(超能力)は大半の攻撃を無効化、そして反撃を可能にする。まぁこの世で俺を殺せるのは寿命くらいじゃねぇの?力の流れ(ベクトル)が存在するもの全て俺には届かないし、届くわけねぇ。

 

 

「つっても…この一方通行(アクセラレータ)を前に、今こォして呼吸してることそのものが奇跡なンだけどなァ…それ以上を望む、ってのは贅沢じゃねェの?」

 

 

物理的に触れないもの、または触ったところで意味がねぇもの以外は俺の支配下だ。それこそ人が自然に行っている、食いもんを食べて消化して、身体を動かす為のエネルギーを得る為に酸素を吸うことすら俺が出来ないようにだって出来る

 

 

「だから良い加減、楽になれ!!」

 

 

そう言って俺はコンクリートの地面を蹴って向かって行った。目の前の上条当麻(相手)に、トドメを刺す為に。俺は確かに右腕を伸ばして上条当麻(コイツ)を殺そうとした。

 

 

「っくそぉ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顎の下が痛い。なんで。どうして、俺に手が届く。アッパーされた?この俺が?なんだ上条当麻(コイツ)。なんなんだよ上条当麻(コイツ)は!!!!

 

 

「ック…!!面白れェ…畜生…!!イイぜェ、最高にイイねェ。愉快に素敵に決まっちまったぞ」

 

 

いや、偶然俺にアッパーが入っただけだ。きっとそうだ。じゃねぇならなんだ。ビギナーズラックってヤツか?

 

 

「ッオマエはァ!!!」

 

 

上条当麻(コイツ)が俺に攻撃を当てられたのは偶然だと思い、再度力の向き(ベクトル)をイジって加速して触ろうとした。けれど今度は左頬を殴られた。確かに俺に攻撃を当てたんだ。それも一回や二回じゃねぇ。覚えのない骨の痛みや皮膚の下の神経に熱を持って染み渡るような痛みが殴られた箇所に広がる。どれだけ殴られたのかすらあまりの衝撃だったもんで頭に入ってねぇ。

 

とにかくこの状態から離脱することを考えまくって、力の向き(ベクトル)を操作して上条当麻(アイツ)の手が届かない高さまで跳躍し、別の場所に移動した。全身が軋むように痛い。マラソン後のような不安定な呼吸を続けながら、口元まで流れてきた汗を手の甲で拭う。

 

 

「畜生……どォいうことだァ?一体…」

 

「っは”負けたことがない”、ねぇ?」

 

 

俺の耳に届いたその声に、素早く姿勢を低くして警戒体勢をとりながら左足を軸にして背後に振り向いた。背後から聞こえた声の主がコンテナの影から姿を現したのを見て、俺は再度顔を歪めた。

 

 

「あらゆる敵を一撃で倒し。どんな攻撃も反射する。そんなヤツが”喧嘩のやり方”なんて知ってる筈がねーよな」

 

「吠えてンじゃねェぞ、三下がァ!!」

 

 

戯言を口にする上条当麻(ソイツ)の言葉に、再度思い知らせてやろうと左足で足元のレールを踏み付け、踏み付けた時の力の向き(ベクトル)を使い、この状況を崩させるつもりだった。

 

 

「なにっ!!?」

 

 

しかし上条当麻(アイツ)は俺が空中にレールを上げて、また針の筵のようにしてやろうと力の向き(ベクトル)を上に向けていたレールを、てこの原理のように上手く利用して飛びかかって来やがったんだ。さっきのダメージで足元がフラフラとしていた俺は、上条当麻(アイツ)が落下してくる勢いが足された拳に再度吹き飛ばされた。

 

 

「アイツらだってな…精一杯生きてきたんだぞ…」

 

 

顔を何度も思いっ切り殴られたことで頭ん中の脳みそが直接揺さぶられるような感覚と、向こうの攻撃の度にぶつけたりしていた身体の痛みの中、痛みが増すと分かっていても止められない荒い呼吸を続ける肺と口。

 

 

「全力を振り絞って…必死に生きて…精一杯努力してきた人間が…」

 

 

そんな割とピンチかもしれねぇ中で俺の耳が聞き取る声は、やっぱ俺が腹立つようなことばっか言ってやがってて、舌打ち出来たんならしたいくらいには俺の中で虫酸が走っていた。

俺が上条当麻(コイツ)に吹き飛ばされた先がレールの終点(行き止まり)じゃなかったら、まだ。

 

 

「なんだっててめーみたいな人間の食い物にされなくちゃなんねーんだよ…!?」

 

 

垣根帝督(メルヘン野郎)が目付きが悪いと言っていた両目で、眼球の筋肉が許す限り上条当麻(アイツ)を睨んだ。上条当麻(コイツ)が言い放つ甘い(現実を見ない)考えに浸り切った言葉を鼻で笑って口を動かした。

 

 

「”精一杯生きてきた”?”全力を振り絞って生きてきた”ァ?」

 

 

あぁ、確かに人道的には正しいことだろうなぁ。

 

 

「…なンだよそりゃあ?」

 

 

そんなんじゃ、学園都市(ここ)は生きていけねぇんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きく口で息を吸う。目の前の上条当麻(コイツ)にこれを使わないといけねぇ状態まで追い詰められたこと事態は腹立たしいが、だからと言って手を抜けばこっちが殴られるだけだ。

 

 

「くか…くかき、くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか――――――!!」

 

 

俺が吸おうとした空気の流れ(ベクトル)を操って、周囲の空気を圧縮する。全演算機能をこの辺りの空気の流れ(ベクトル)の操作と圧縮に回す。俺の周囲の空気を中心に気圧の高い空気を近辺の建物から集める。風向きは低気圧が上へ、高気圧が下へ流れることを利用すれば、ちょっとした空気弾を作れる。

 

低気圧自体が上空に上がって高気圧に変わる時点で、ある程度の圧縮はされている。ただそれだけじゃ人一人ぶっ飛ばす威力も出ねぇ。簡単に言っても台風が出来る原理と大して差がある訳でもねぇんだ。海水温が高く日差しが強い熱帯の海上などで発生した水蒸気は上空に上昇し、そん時に出来る上昇気流が上空で冷やされることによって多くの雲を形成する。

 

形成された雲は次第に渦を作り出し、出来た渦の中心付近の気圧が下がる。そっから先は渦自体がでっかく発達して風速が一定を超えれば”台風”に、台風に定義されるまでの大きさを保てないまま大気に消える時もある。

 

んで俺が利用したいのはそれに近い作用だ。あくまでも擬似再現だから台風が出来る訳じゃねぇが、無理矢理流れ(ベクトル)を操ればそれに違い現象は出来る。その分逆算して再現するまでが苦しいところだが、やらねぇ理由もない。

 

 

「殺せ」

 

 

いい感じに圧縮の調整が整った空気の塊を、目の前に突っ立ってる上条当麻(相手)に向かって放つ。それこそまるでファンタジー世界で使われる魔法のように圧縮された空気が放射線状に飛んで、俺が演算上に組み込んだ上条当麻(標的)付近を掠めて2〜3m程向こうに吹き飛ばした。

 

 

「なンだ?なンだよ?なンですかァその様は?」

 

 

容易に吹き飛ばされていったその姿を馬鹿にしたように笑ってやる。

実際先程まで俺を殴りまくって追い詰めたとは思えない情けなさに、内心で呆れと落胆に近い何かが出てきたのを押さえ付ける。

 

 

「結局デカい口叩くだけで大したことねェなァ。おら、もォ一発かましてやるから、カッコよく敗者復活してみろっての!!」

 

 

足元のレールに仰向けで倒れ込んだまま起き上がらない上条当麻(アイツ)を笑いながら、再度周囲の空気を操って圧縮をし始める。一度逆算と演算処理を通過した計算式だということもあって、一度目のように言語機能の低下を伴わなくて済んだ。

 

 

「圧縮…圧縮、空気を圧縮」

 

 

順調に俺の頭上に圧縮と収縮を繰り返している空気の塊の調整を絶えず続ける。やはり圧縮し過ぎていることで高気圧になっている塊が多い。別に俺としてはこのままかましたっていいんだが、少し勿体無い気がして考える。

 

 

「圧縮……イイぜ、愉快なこと思い出したァ!」

 

 

俺の脳裏によぎったのはいつもこの実験場で殺してきた(壊してきた)妹達(シスターズ)が使う欠陥電気(レディオノイズ)*1のこと。閃いた考えを再現出来るか逆算して、可能であることを証明出来たことに純粋な好奇心が湧き上がる。

 

 

「おら、さっきまでの威勢の良さはどォしたンだ!!?オマエにはまだまだ付き合って貰わなきゃ割に合わねェンだっつーの!!」

 

 

頭上で計算上に組み込まれた圧縮を繰り返された空気の塊同士を近付けて、粘性摩擦*2を起こさせてプラズマ*3が出来る温度までその作業を繰り返して熱エネルギーを増やす。最低でも蛍光灯の中で起こっているプラズマ状態と同じ10,000度は届かないといけねぇな。

 

 

一方通行(アクセラレータ)!!」

 

 

そんなことを考えていると、俺の超能力名(今の名前)が呼ばれた。それも最近聞いたばっかの御坂美琴(第三位)の声だ。声がした右斜め後ろを目線だけ向ける。当然俺の頭上で繰り返される計算上の現象は止めない。

 

 

「……動かないで」

 

「……めろ」

 

 

微かに起き上がり始めた上条当麻(ソイツ)の姿に少し関心を持ちながら、俺自身はプラズマを形成することに集中を向ける。てかさり気なく他人()一人挟んで会話すんじゃねぇよ。

 

 

「やめろ…御坂…」

 

「ごめん…アンタは何一つ失うことなく、みんなで笑って、みんなで帰ることを願ってた。…だけどそれは無理」

 

 

一体何があって御坂美琴(第三位)上条当麻(コイツ)が出会ったのか知る訳ねぇが、妙に厄介なコンビ組みやがって……。

 

 

「だから……ごめん」

 

 

だからと言って俺が見逃す訳でも、逃してやる訳でもないがな。

 

 

「何だかね、勝手なことかもしれないけどさ…それでも…それでも、私はきっとアンタに生きて欲しいんだと思う」

 

「やめろ!!!」

 

 

上条当麻(ソイツ)御坂美琴(第三位)に大して投げかけた声の終わりと共に、御坂美琴(第三位)がいる方向から電磁波が集まって超電磁砲(レールガン)*4を撃とうとしているのが分かる。だがそれを撃つにはちょいと遅かったなぁ御坂美琴(第三位)

 

 

「…プラ、ズマ?」

 

 

俺の頭上に出来上がりかけている現象の名前を御坂美琴(第三位)が愕然とばかりに呟く。

 

 

「風の向きを操り、一箇所に集めて、プラズマを形成するなんて…!?」

 

 

その驚く声に入り混じる恐怖に近い感情に俺はつい、笑いが込み上げてきた。

*1
能力的にはオリジナルの1%にも満たない程度、実力は2万人集まってもオリジナルに敵わない程度

*2
空気などの気体同士の僅かな粘性によって、移動するときにまわりの空気との間で摩擦が発生する現象のこと

*3
気体に熱や電気エネルギーを加え、気体の分子が解離して原子になり、さらに温度が上昇し原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れ、(この現象を「電離」といいます)中性分子とプラスイオン、マイナスイオンが混在して非常に活性化した状態のこと

*4
主にゲームセンターのコインに電磁加速を加えて放つ技で毎分八発、音速の三倍以上の速さ(つまりマッハ3以上)。空気との摩擦熱で弾が溶けてしまうため射程は50mと短めだが、威力や撃ち出す質量を加減すれば射程を延ばすことも可能




今回の話の為に前回の話の一週間前くらいから話の構成を考えて、作中での一方通行(アクセラレータ)の言動と行動がチグハグしないようにネットでプラズマに関して調べたりと、かなり時間を使った話でした。
つまり難産でした。

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