とある個体の方向転換 作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊
一方通行な激情を向けられる
物心付く頃から、我ながら恵まれた幼少期を送っていた。
学園都市から施された強力な異能に、それを理解してくれた両親。残念ながら原石と呼ばれる部類ではなかったが、髪が白くなったり目が赤いのはカッコよくて好きだった。
俺はまだ、異能の力に名前を付けていなかった。
身の回りの奴らは安易に名前を付けて、ガキらしく目を輝かせてた。
俺は異能自体の力が、
ふと気になって、他の子供と鬼ごっこをしている時に異能を使った。
よくやる”バーリア”ってやつを、再現できるのではないかという好奇心でワクワクした。
けど、それをやることによって何が起きるのか、俺は予測できていなかったんだ。
「へへっ、”__”捕まえた!」
そう言ってボーッと突っ立っていた俺へ向けられた手のひらが、何もないところでやんわりと止まる。”成功”、その二文字が俺の頭に浮かんだ。
俺がボーッとしていたことで鬼役の子供の手のひらのスピードは遅く、ある程度手加減されていた。ただ、当然鬼役の子供は俺が捕まえられないことにおかしく思ったのか、何度も何度も小さな手のひらを俺に伸ばそうとした。
けれどその手は一定のところで止まる。
そのことに子供は段々と不機嫌になって、ついにその手を上げた。
「ズルいぞ”__”っ!!!」
その子供は
しかし、性懲りも無く大人が見ていないところで異能を使って枯れ葉を燃やして、ボヤ騒ぎを起こしたことがあった。
「うわああぁぁん!!!」
気付けば俺はその子供が感情的になって放った火の玉を、異能で跳ね返していた。
幸い跳ね返された火の玉は放った本人の顔スレスレを通り、結果的に壁に当たって消えた。
俺は完全に自己防衛で、後になって大人達に叱られているのも自業自得だった。
けれど…俺が異能で反射的に火の玉を跳ね返せていなかったら、どうなっていたんだろう。
そう考えてしまう思考に、子供ながら背筋が冷え切ったようだった。
「すっごーい!!火をブワーってぐわーってやったんだ!!!」
「いのーってスゲー!!!」
俺の周囲の子供は俺の異能に対して、憧れのような眼差しで俺を見ていた。
けど、俺からしたらわざとやったことではないし、いつの間にか跳ね返していただけだった。
だから少し、その憧れの眼差しが俺を見ていないように感じて、怖かった。
そんな面倒臭い日々が、子供の俺に付き纏い続けた。これでもかというくらいに入り込んで来て、もういいだろってところまで追いかけて、俺や親を責め立てた。
「”__”の異能って羨ましいよなー、オレもあんな力あったらなー」
最初はまだ小さな、憧れだった。
「アイツってぜってー調子乗ってる」
それは時間と共に爪を研いだ。
「……お前が、…お前さえ…!…っお前さえ居なければ!!あたしは生まれてからずっと…比べられることなんてっ!!!無かったのよ!!!!」
ついにそれは俺や親に爪を立てた。
同じ地域に住んでる訳でもなく、年齢も俺より下であろう初対面の女が、人通りの多い場所で俺目掛けて異能で攻撃をした。両親が俺の後ろで立ち止まっていた。
早く逃げるように言っているのに、全く聞いてくれない。
二人とも俺より弱いんだから、さっさと置いてけばいいって言ってんのに、全然逃げない。
女はバチバチと音を立てながら、これから暗くなってくる街中の街灯から電気を奪った。
こんな人が多い場所で範囲攻撃するとか、周囲のこと考えてない女だな。そんなことを思いながら、放たれた電撃の
「は、?」
「っ何ボーッとしてるんだ!!逃げるぞ”___”!!!」
電撃の
「あなた!あっちなら避雷針があるから電撃を受けない筈よ!!」
「あぁ分かってる!!」
……両親が、俺の腕を引っ張って、避雷針のある場所へ…移動させてくれようとしているのか。
俺の心は両親の行っていることに酷く影響されているのに、頭は電撃の行き先を叩き出す。
息を呑んで、つんのめって躓くことを気にせず背後を振り向いた。
女はとっくに本来の限界を超えて鼻血が出ているのに、電撃は無慈悲にも俺を追って来ていた。
「お前のせいで!!お前が居たからあたしは認められなかった!!居なくなればよかったのに!!あたしが生まれてすぐにでもさぁ!!!死ね!!!死んでしまえ家族共々!!!あたしの可能性を奪ってのうのうと生きないでよ!!あたしはこんなになったのはお前が居て!!あの小娘が無事に生まれて来たからなのよ!!!あの
頭ん中の脳みそが崩れて水みたいに揺れているんじゃないかってくらい凄まじく頭が痛いのに、電撃の
「…ぇ」
声が自然と掠れて、目の前が少しずつ滲む。頭痛が夢ではないことを証明している。
やめろ。嫌だ。嘘だ。
「お…が、
バッと、途轍もなく小さな声に勢いよく振り向いた。
「持っ…る、…が…わるい」
俺が、……俺が
瞳孔が開き、
「は……ひゅー……ざ、ま……み…ぉ…」
みっともなくダラダラダラダラと鼻血を垂れ流して生きてやがる女の目と鼻の先で、頭を踏み付けると思わせるように片足を上げた。
「…なァ、」
両親は今まで俺と出会った人々の中で、唯一俺と俺の異能を分けて考えてくれた。
内心で返事を返す誰かがいたらと、思う思考を静かな怒りが塗り潰す。
「腹痛めて…俺を産ンでさァ」
俺の異能がどれだけ強力でも、ちゃんと俺自身のこと考えて、…叱ってくれたりした。
電撃が来た時も、俺の手を引っ張って一緒に逃げようとしてくれた。
「頭捻って名前付けて、…ここまで育ててくれたところ」
俺自身の名前は、女々しいとは思ってるが、今更違う名前にされるのは納得いかないくらいには気に入ってる。もう、あの名前で誰かが俺を呼ぶのは……これで最後でいい。
死にかけ女の頭のすぐ横目掛けて足を振り下ろす。
女が俺を馬鹿にしたような雰囲気に変わる寸前。
バキッと、人体から鳴っちゃいけねぇ音と共に、女の頭が捥げる。
「…悪りィが、」
頭が女の胴体から離れ、どっかにぶっ飛んでいく。
それと同時に首の筋組織や背骨、頸動脈といった中身から噴水のような勢いで血が飛ぶ。
死んだ女を踏ん付けた辺りで、ぶっ飛んでった頭が落っこちてくる。
「こっから先は”一方通行”だ」
落っこちて来た頭から出た血が頬に飛び散る。
既に真っ暗になった街中に血の臭いが広がる。
人を殺した俺は、もう表で生きていけない。
あの名前は人を殺した俺に合わないし、汚したくない。
だから俺は、俺の
周囲の人間の言っていた通りに生きてやる。
「まンま”一方通行”じゃァ語呂悪りィからなァ……”一方通行”って書いてェ……」
これから先はもう、生まれ付きの
「そォだ、
もう、イイ子で生きる理由はない。
ちなみに呪術廻戦のキャラである五条悟は無下限術で無限を貼りますよね?
その無限自体の効力は【
その場合、
それとも、
…みたいなことを親に話していたんですが、ほとんどスルーされていました。
いやー…いのーってスゲー!!!
そしてその能力の起点となった数学ってスゲー。
”方向転換”の読み
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エンコード
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オートコンプリート