とある個体の方向転換   作:一方通行に健康な食事を食べさせ隊

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さて、一方通行(アクセラレータ)視点の話と時系列が交わりますよ。


方向転換する先の障害物

八月上旬、夏真っ只中の外気は、湿気と熱気で蒸されているかのように暑いです。

布束砥信が七月から八月に変わる辺りで居なくなってしまったことで、計画していた段階を早め、13577号(自分)は現在の担当者の外出許可を得た上で、学園都市内で一番一方通行(アクセラレータ)と遭遇する率が高いと言われている路地に、何度も訪れていたある日のことでした。

 

 

「…自分(ミサカ)は蒸されている食材になったような気分ですと、自分(ミサカ)は誰も聞くことのない独り言を呟きます」

 

 

仮に13577号(自分)が食材になると仮定するならば、それを食べる捕食者の立ち位置に入るのは一方通行(アクセラレータ)になるのでしょうか。そんな暇潰しのようなことをずっと考えていたからでしょう。

 

待ち伏せしている路地にある、小規模の公園を目指して歩いていた筈の足に力が入らなくなり、咄嗟に四つん這いになって倒れないようにしても、時間差でアスファルトの地面に倒れ込みました。

 

 

「あ、補助具を…付けた、ままで…し…」

 

 

外気の熱とアスファルトから間接的に感じる熱に一時的機能停止(ブラックアウト)する寸前、戦闘訓練で使っていた補助具を付けたまま移動していたことに、今更気付いたんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欠陥電気(レディオノイズ)*1による一時的な移動速度の加速が一定回数こなせるようになってから、その急激な移動速度の変化によって、両足や胴体周りの筋肉に大きな負担がかかっていることが分かりました。

 

 

13577号(貴女)が持つ欠陥電気(レディオノイズ)の性質は、他の妹達(シスターズ)とは一線を(かく)*2わ。However(けれども) 、代わりに13577号(貴女)の身体への負担は正直計り知れないと言ってもいいくらいに大きい」

 

「…やはり、使用を禁止されるでしょうかと、自分(ミサカ)は恐る恐る布束砥信に聞き返します」

 

「そんな目をしないでちょうだい、私まで悲しくなるわ」

 

 

13577号(自分)が今も使用している補助具は、以前布束砥信が13577号(自分)と会えなくなる前にくれた物です。革製のベルトが胴体と両足の可動域を補助し、ベルト同士を繋げている金具でベルトが劣化することを遅らせているそうでした。

 

当時、その補助具をくれた際の布束砥信は初めて13577号(自分)の頭を撫でてくれました。

胸の奥が温まるかのような感覚があったことをよく覚えています。

 

 

Therefore(そこで) 作ってみたのがこの補助具よ。付けている間は簡易的な衣服の保護も兼ねているから、人前じゃなければ日常的に付けても大丈夫だと思うわ」

 

「これを、自分(ミサカ)に、ですかと、自分(ミサカ)は布束砥信からの贈り物を受け取ります」

 

「……そうよ。13577号(貴女)のおかげで、私は新しい可能性を見出せた…そのお礼ね」

 

 

布束砥信はその日、13577号(自分)が突然変異*3をした個体でよかったと言ってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、意識が戻ったみたいだね」

 

 

気付くと、13577号(自分)は病院のベッドに横たわっていました。13577号(自分)の担当医であるという、両生類のような顔をした医者が淡々と状況を話している声が個人用の病室に響いていました。

 

 

「まあ、ありがちな熱射病で昏倒していたんだろうけど、君を病院まで連れて来てくれた人には感謝しておくんだよ。あと少しでも遅れていたら何らかの障害が出ていたからね」

 

「それと病院で一泊はしていくように、まだ調子が戻った訳じゃないからね」

 

「分かりましたと、自分(ミサカ)は目の前の医者の意見を受け入れます」

 

「…それと君は彼が今、一方通行(アクセラレータ)に施している実験の変異個体()なんだね。彼から薄らと聞いてはいたけれど、身体情報の八割が変異したというだけあるね。元になった情報の半分以上が使えなかったよ」

 

「どういうことでしょうかと、自分(ミサカ)は目の前の医者の言っていることに首を傾げます」

 

「とりあえず、君が意図して彼の計画(プラン)の邪魔をしていなければ、言っていることが分かっていなくてもいいんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

その医者が言っていた人に、13577号(自分)は心当たりがありません。一番一方通行(アクセラレータ)と遭遇する率が高いと言われている路地で倒れていたんだと思いますが、一体誰が13577号(自分)を病院に連れて来たんだろうと再度首を傾げます。

 

それに”彼”とは一体誰のことを言っているのでしょうか。

”彼”と呼ばれていることから男性であることは確定していますが、”彼”と呼ばれている人物が一方通行(アクセラレータ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画を行なっている?そして13577号(自分)の存在が”彼”の計画(プラン)の邪魔になりうると危惧している、といったところなんでしょうか?

 

しかし、一方通行(アクセラレータ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画の邪魔になってしまうような行動を、13577号(自分)がとった記憶が…ある一点以外ありません。つまり一方通行(アクセラレータ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画とはまた別の計画(プラン)が存在し、その計画(プラン)の邪魔になる可能性が13577号(自分)にある、ということでしょう。

 

…もしや、妹達(シスターズ)に何故か埋め込まれた軍事知識は、その為…?

軍事知識というものはそのまま軍事に関する知識のこと、つまり”彼”が将来的に行おうとしている計画(プラン)は戦争を想定しているということでしょうか?一体どうして、何の為にでしょう?

 

少なくとも妹達(シスターズ)に軍事知識があるということから、何らかの理由で一方通行(アクセラレータ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画が終結するんでしょう。そして、学園都市という小さな国の外と学園都市が対立することが見込まれている…という考えでいいんですよね…?

 

一方通行(アクセラレータ)絶対能力進化(レベル6シフト)計画が成功で終わるのか、失敗で終わるのかは予測出来ませんが、現在製造されている妹達(シスターズ)全てが削除される(殺される)訳ではないんですね…。そもそも一方通行(アクセラレータ)がレベル6に至るのがオリジナルを約2万体殺害すること、と判明した理由や経緯も不明です。

 

そう考えると、”彼”という存在はこの学園都市内でかなりの権力を有している…というのは確定でしょう。そして、何らかの方法で13577号(自分)の存在を知っている…ここまで来ると深く考えたくはないですね。

 

どちらにせよ、”彼”が一方通行(アクセラレータ)以上の実力を持っていない確証はありません。

…想定外のことは起きましたが、13577号(自分)13577号(自分)にできることをするだけです。

*1
能力的にはオリジナルの1%にも満たない程度、実力は2万人集まってもオリジナルに敵わない程度

*2
他との違いをはっきり示す例え

*3
生物やウイルスがもつ遺伝物質の質的・量的変化




この場合、絶対能力進化(レベル6シフト)計画を進める為に13577号を造り出したアレイスターは、13577号の実質的父親(造り手)というカウントになるんでしょうか?
あ、勿論産みの親(情報元)は御坂美琴になりますがね。

”方向転換”の読み

  • エンコード
  • オートコンプリート
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