兎の女神のヒーローアカデミア   作:眼球舐めは通常性癖

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ワラワ職業体験に屈する

 決勝戦が終わり、表彰式が始まった。そのまま表彰式へ向かおうとするとミッドナイト先生と響香に止められた。

 

「ちょっとアンタその格好で行くつもり?」

「戦闘を止めなかった私が言うのもなんだけど流石に着替えてきなさい。悪いことは言わないから」

 

 戦闘中は集中していて気づかなかったけど爆発で体操服に穴が空いていた。確かにチョッピリ恥ずかしいけど正直私の肌にそれほど大騒ぎする程の価値があるとは思えない。響香とか1ーAの女子メンバーの肌は値千金だけど。むしろ普段、着替えの際に色々と見させて頂いて『え、お金払わなくて良いんですか?』ってなもんだ。

 

 結局恥ずかしいものは恥ずかしいので直ぐに予備の体操服に着替えて表彰式に向かった。表彰台には既に3位の位置には轟くんと常闇くん、2位の位置にはリカバリーガールの治療を受けた爆豪くんがこちらを今にも殺さんばかりの殺気ムンムンでメンチを切っていた。相変わらず怖いな……。内心ビクビクしながらなるべく目を合わさないように表彰台に登る。

 

 自慢じゃないが今まで表彰台に登ったことは無い。決勝では色々振り切れていたからそうでも無かったけど、一旦落ち着いて間を置くと観客の視線が一番集まる位置に立っている事に再び緊張が這い上がってくる。

 

 しかし、表彰でメダルを授与する為にオールマイトが現れると一気に視線がそちらに奪われて少しマシになった。やっぱりオールマイトの人気は凄まじい。観客に混じったヒーロー達も彼の前では只のファンの一人になってしまう。

 

「見事優勝おめでとう大筒木少女! 君の巧みな個性を使った戦術とガッツに賞賛を贈ろう!」

「ありがとう……ございます」

 

 いまだにオールマイトと真正面で向かい合うと偽物勘違い事件を思い出して気まずくなる。こんなに立派なヒーローを偽物だと思っていたなんて……と罪悪感と自己嫌悪に襲われちゃう。

 

「あと一つだけ。一つ一つの個性を扱うセンスは素晴らしいが、その個性を組み合わせて効率的に使う為の基盤となる動きを学んでみるともっと君の世界が広がると思うよ。要するに格闘術とかの体術だね」

「……今回深く実感したのじゃ」

 

 響香の習っている空手とかに本気で手を出してみるかな。……カグヤ的には柔拳っぽい動きをした方が個性との相性が良いとは思うんだけどそんな簡単に教わる相手が見つかるようなーー

 

 

 

 ーーあったわ。

 

 雄英体育祭から三日後。そもそもヒーロー科にとって雄英体育祭が重要なのは現役のプロヒーローからの指名を期待してのこと。その流れで今回指名を貰った生徒や他の生徒も職場体験をするらしい。因みに私の指名件数は2位の爆豪くんとどっこいどっこいといった所で、一番指名が多かったのは轟くんだった。

 

 それで職場体験をするにあたって一応形だけでもヒーローとしての活動をするわけで……ヒーロー名を仮に決めるように言われた。

 

 そこで登場したのがミッドナイト先生。相澤先生はそこらへんのセンスが無いのでミッドナイト先生に判断して貰えということらしい。

 

(う〜む。色々考えてみたけどとくに良いヒーロー名が思い浮かばないなぁ)

 

 個人個人で先生に相談しに行く形では無く、みんなの前で発表してそれにミッドナイト先生が意見する形でのヒーロー名の決め方。あくまで皆の前で発表出来てある程度認められるヒーロー名にしておけということのだろう。正直この形式でかなり助かった。私が兎の女神で行こうとする前に爆豪くんが『爆殺王』というヒーロー名で即刻却下されたのを見て、考え直す時間が与えられたからだ。兎の部分を推す形だとラビットヒーローになってしまうが、それは既に現役女性プロヒーローNo. 1のミルコがヒーロー名として使っている。

 

(ボーンヒーロー……ダサい。ラビットオブゴッド……爆殺王センスを英語にしただけで何も変わってない。写輪眼とか使うからイビルアイヒーロー? ……今までより悪くないけど私の戦闘は別に写輪眼だけってわけじゃないし……いっそのこと英語にこだわる必要もないかも……)

 

 悩んでいるうちに皆どんどんヒーロー名が決まっていってしまう。一応仮のヒーロー名だから適当なのでも良いかもしれないが、どうせなら一発で最後まで使える名前を決めておきたい。

 

「残されたのは飯田くんと緑谷くんと爆豪くんと大筒木さんね」

 

 結局私は決めきれなくて飯田くんや轟くんのようにカグヤとだけ書いて提出しておいた。

 

 そしてこれが本題。今回の体育祭の結果を踏まえてプロヒーローからの指名のある生徒はリストを貰うのだがその中のヒーローを調べていたら八卦掌のような武術を扱うヒーローがいた。柔拳の技で八卦掌・回天や八卦六十四掌とかあるがまぁ実際に八卦掌でそういう技がある訳では無く、あくまで八卦掌をモチーフにしただけだとは思うけど動きとしては近い……気がする。

 

 正直、私も格闘技に精通している訳でも無いし、柔拳も漫画やアニメの中の知識しか無い。このヒーローの公式PVで見た動きがあくまでそれに近いだろうという話だ。活躍に関しては箇条書きで淡々と述べられていてそこそこの活動はしているらしい。それでも私の知りたいのはこのヒーローの実情を知っている生きた情報だ。せっかく得た貴重な機会を信頼の無いヒーローのもとで無駄にするなんて事はしたくない。

 

「緑谷……少し聞きたいのだが」

「うん? どうしたの大筒木さん?」

 

 頼ったのは緑谷くん。自他ともに認めるオールマイトファンでもあるが彼はヒーロー全般に関して造詣が深い。何でも最近まで無個性で個性を持って活躍するヒーローへの憧れが大きかったそうだ。基本的に個性は幼少期に発現するとされていて緑谷くんぐらいの年齢で個性が発現するなんて聞いた事は無いけど世界は広い。そういうこともあるのだろう。

 

「マーシャルレディー!? 大筒木さんは彼女の所に職場体験しに行くの? 彼女は九州の博多を活動の中心に置くヒーローで個性は『タイムストレッチ』。近接格闘術を極めていて彼女の個性との合わせ技で検挙率が高く、近年急速に人気を伸ばしつつあるヒーローなんだ。ビジュアルも良くて人気だけど、ヒーローとしてモデルやマスコミに映る副業なんかは嫌いらしくて殆んどTVにも出ない知る人ぞ知るヒーローなんだよ。一説によると彼女の師匠ってのがオールマイトがデビュー前のヒーロービルボードチャートJPでも上位に位置していたカンフーマスターだって噂があって、勿論既に引退しているんだけど彼の活躍は今でも時々過去のプロヒーローの偉業でも取り上げられるぐらいには人気だったんだよ。色々と調べたんだけどその確証は得られなくて彼女自身も取材に進んで答えないから謎が深まるばかりだったんだ。そんなマーシャルレディーだから今回のように職場体験で受け入れてくれるという事案もきっと特別だよ。これは大筒木さんが決めることだから僕も無理にとは言わないけど今回のような機会が次にあるとは限らないし、他に興味を惹くヒーローがいないのならば職場体験を受けて決して損じゃないと思うよ。あともし彼女に決めるとしたら出来ればサインを貰って来て欲しいんだけどお願いできるかな?」

 

「……あっ、うむ。考えておこう」

 

(怖い……怖いよ緑谷くん)

 

 とりあえずヒーローに関しては信頼のおける緑谷くんの勧めだ。一応あれから何度か調べたけどほとんど緑谷くんから教わった情報以上のモノは出てこなかった。皆これから先の職場体験に期待と緊張を隠しきれない様子で放課後1ーAの女子グループで職場体験について軽く駄弁る流れになった。ヒーロー科は原則部活に参加しないので集まろうと思えば簡単に集まれるのは良いことだと思う。その分部活での交流の幅がなくなるって事だけど、正直私はコミュニケーション弱者なので気にしない。

 

「響香は決めたのか?」

「うん。アンタは結局そのマーシャルレディーってヒーローにするの?」

「麗日の指名されたガンヘッドからも指名が来てて迷ったが……やはり第一志望は彼女にしようかと考えておる」

「別に良いんとちゃう? ガンヘッドも気にせんと思うよ私」

「ケロケロ。でも流石雄英高ね。指名が無い生徒を受け入れてくれるプロヒーローも有名な所ばかりね」

 

 雄英のブランド力と出身ヒーローの多さからこんな待遇が受けれるようだ。他の私立のヒーロー科ではこうもいかないだろう。そりゃヒーローの仮免試験も持っていない生徒をプロヒーローの現場に連れてゆくわけだ。それなり以上の気遣いが出来るサイドキックの所属数とか規模的な余裕は必須だろう。そういったツテを持つ雄英の環境はやっぱり貴重だ。

 

「ヤオモモはどうすんの? 確か指名も結構あったでしょ?」

「ええ。私なんかに恐れ多いですわ。一件一件お断りの手紙も送った方がよろしいのでしょうか?」

「いやいや流石にいらないって。必要だったら相澤先生が言うだろうし、カグヤなんて3000件超えてるんだよ?」

「百ちゃん大丈夫だよ〜!」

 

 和やかなムードの女子トーク。始球空間に居るような安らぎを感じる。このまま放課後マックの流れになりかけたけど八百万ちゃんと芦戸ちゃんが別の用事があるらしく解散となった。

 

 相澤先生が放課後マックで談笑したかったら云々カンヌンと言っていたけど、そのままマックで談笑するなって言ってる訳では無い。あくまでそのぐらいの気構えで雄英生活を送って欲しいって話だ。ヒーローを目指すとはいえ私たちは一高校生。努力するのは勿論、遊びも入れないと心の健康に悪い。

 

 正直もうちょっと遊びたいけど、よくよく考えると私にはそんな余裕が無いことに気づいてしまった。

 

(職場体験一週間あるってことは……その間の勉強の予習をしっかりしとかないと私の頭では中間テスト不味いかも……)

 

 響香とか八百万ちゃんなら別に一週間ぐらい勉強しなくても大丈夫だろうけど私にはそんな余裕は無い。金曜日は放課後、土日はほとんど一日中教科書と睨めっこして過ごすことになった。自習なので効率はあまり良く無いけどやらないよりは全然マシだろう。職場体験が終わったら響香か八百万ちゃんにお願いして勉強会でもするつもりだ。

 

 

 そして職場体験当日。我ら1ーAメンバーは静岡駅に集合していた。一応現場にも出るということで勿論ヒーローコスチュームも持参だ。USJで脳無にやられてボロボロとなったコスチュームの改修案を提出していたのだが、今回の職場体験にギリギリ間に合って本当に良かった。

 

「楽しみだなあ!」

「おまえ九州か。逆だ」

 

 そう切島くんが常闇くんに話しかけているのが聞こえた。私の行先も九州、博多だ。集合時間からして恐らく同じ新幹線に乗るみたい。あんまり話した事無いけど、こういった機会でも無ければなかなか話しかけられない。良しっと気合を入れて新幹線のガラス張りの待合室で座っていた常闇くんの隣に腰掛けた。

 

「常闇。オヌシはどこのヒーローだ?」

「……空を駈ける一陣の風。ホークスだ」

「ほぅ……」

 

 ホークスはビルボードチャートJPでも聞く名前だ。22歳と若く甘いマスクと『剛翼』という汎用性の高い個性で人気のヒーロー。常闇くんの個性も飛行もできる汎用性の高い個性なので色々と教わる事が多いだろう。

 

「因みにワラワはマーシャルレディーというヒーローの元でお世話になる予定じゃ。知っておるか?」

「否。聞いた事のない名だな」

「そうか」

「……うむ」

「……」

「……」

 

(あれ……会話終わっちゃったぞ?)

 

 そのまま暫く気まずい無言が続き、ついに新幹線が来てしまった。雄英は後で交通費を請求すれば出して貰えるらしく、自由席では無く指定席だ。当然別々の席となった常闇くんとは自然と離れていってしまった。下りということもあり席は結構空席だった。前の方の席に常闇くんの特徴的な頭部が見えているがわざわざ隣に行っても話が続く自信が無い。指定席なので座っている位置に誰かが来た時気まずいしと理論武装して私はそのまま新幹線での移動を楽しむことにした。到着まで約5時間。

 

(まだまだ時間はあるさ……常闇くんとはこれから先時間をかけて仲良くなっていこう)

 

 博多に到着したのは昼過ぎ頃だった。そこからバスに乗って携帯アプリで指定された住所へ向かう。

 

「此処か……」

 

 見た感じそこそこの大きさの雑居ビルって感じだ。本当に此処かと中の階層表を見たところ確かに1F〜2Fヒーロー事務所とある。不安な気持ちに押し潰されそうになりながらキャリーケースをゴロゴロさせてドアをノックする。

 

「もしもし……何方かおられぬか?」

 

 何度かノックしてみても返事は無い。一応到着時間はメールで知らせているけど、急な犯罪でも起きて現場に駆けつけているのだろうか? 取り敢えずこの重いキャリーケースだけでも事務所に置かせて貰おうとドアを開けると、

 

「おっ?!」

 

 明らかにドアの向こうの誰かにぶつけてしまった感触が手に返って来る。

 

「す、スマヌ!」

 

 ドアを開けた先で痛そうに蹲っていたのはご老人だった。体も手足もまるで柳のように細く、腰を屈めてはいるけどそれでも私の頭を上から見下ろしているので恐らく背筋を伸ばせば2mは超える高身長のお方だ。急いで駆け寄って怪我は無いか確認したが、特に怪我らしい怪我は無かった。ビビりながらドアを開けたのが功を奏したのだろう。それでも私が失礼なことをしたのは間違いない。何度も伏して謝ると、大きな掌で肩を軽く叩いて止められた。

 

「こちらこそすまないね。耳が遠くてノックの音に気づくのに遅れてしまったよ……君は職場体験の子かい?」

「挨拶が遅れて申し訳……ない。此度雄英高校より職場体験に参った大筒木カグヤじゃ……です」

「私はここの事務員をやっているホンダという者だよ。マーシャルレディーなら近場で悪漢が暴れているという連絡を受けて出動してしまってね」

「そうなのか……ですか」

 

 かなり意識しないとカグヤの傲慢な喋り方になってしまいそうになる。他の個性と違って私の個性は特にデメリットらしいデメリットは無いけど、あるとしたらこの喋り方なのかもしれない。ホンダさんは老齢の大木の樹皮がまるで人の表情にも見えるような皺だらけの顔を歪めた。……どうやら笑っているらしい。

 

「私はただの事務員だし……無理して丁寧に喋る必要も無いよ。それより先ずはその荷物を隣のホテルに運ぼうか。事情は既に話してあるからマーシャルレディーの職場体験で来たと話せば部屋を案内して貰える筈だよ。部屋に荷物を置いてコスチュームに着替えたらまたここにおいで」

「う……はい」

 

 言われた通りに隣のビジネスホテルの部屋に荷物を置いておく。コスチューム専用のケースを開けるとそこには新たなヒーローコスチュームが! 大きく見直したのは裾の長さと生地だ。長いのもカグヤらしくて良いんだけど飛行する際に空気で膨らんだりして近接戦闘においては邪魔になるという判断から膝丈ぐらいのチャイナドレスを意識した。勿論スパッツも完備だ。上着に関しては袖の下の部分を多少短くして、今回は遊び心を入れて袖に黒ゼツをモチーフにしたキャラクターを刺繍して貰った。袖の内側が黒い生地でそこに黄色い目とギザ歯のデザインが入っている感じだ。正面に腕を伸ばすとこのデザインが裾から覗くようにしてある。正直これに関してはかなり気に入っている。別に黒ゼツは特に好きでもなんでも無かったけど、カグヤの所為か可愛く思えるのだ。

 

 コスチュームと一緒に入っていた説明書によると個性によってはその人の毛や歯、爪などの体の一部をコスチュームの素材に使用することで親和性のある例もあるらしく今回のコスチュームの生地には私の髪の毛が使われているらしい。効果は屍骨脈でコスチュームの内側から骨を突き出したとしても生地が自然と隙間を開けて、骨を戻した際には骨の出た跡が分からないぐらいには元通りになるというものだ。前回提案書を出したときに骨やら髪やら要求されたので疑いつつも一応送ってはみたがまさか本当にそういう技術があるとはと驚かされた。

 

 着てみた感じ特に私の髪を生地に使ってるなと感じるような触感は無い。普通の肌触りの良い生地って感じだ。恐る恐る掌から出した骨を生地の端の方に刺して、戻してみると……そこには穴の開いてないコスチュームが! よくよく見ると僅かに縫い目が刺さった箇所を中心に開いているような気がしないでもないけど、そこはある程度の大きさなら放置しておけば戻るらしい。

 

 ヒーローのサポート道具やコスチュームを専門に開発してるだけあって技術力が凄まじい。おそらく開発に特化した個性の人が何人も勤めているのだろう。

 

 とりあえず荷物を置いてコスチュームに着替えた私は再び事務所に戻った。私のヒーローコスチュームを見てホンダさんの皺が真横に伸びる。笑っているん……だよな多分。正直分からないけどわざわざ感想を聞くのも怖いので黙っておく。

 

「おっ……マーシャルレディーが帰ってきたみたいだね」

 

 おそらく連絡があったのだろう。かなりゆっくりとした動きでドアに向かうホンダさん。私が代わりにドアを開けようと立ち上がったけど片手を軽く上げて制されてしまった。何だろう……胸騒ぎがする。前世の休日のお昼に良く見た番組でもこの流れを見た気が。

 

「今戻ったゾ。雄英の学生は来ているカ?」ガチャ

「あっ!?」

 

 案の定。ドアを開けようとしたホンダさんが外から開けたドアの直撃を受けてしまった。わっお約束〜。お二人も慣れているようでマーシャルレディーはホンダさんに軽く謝るだけで解決してしまった。まぁ二人がそれで良いなら別に良いけどさぁ……。

 

 

 マーシャルレディー。公式PVを見た時にも思ったけど実際生で見ると余計美人だ。目は殆ど閉じてるような細目で濡羽色の長髪を前はサイドから首元まで垂れ、後ろは前から持ってきた髪も合わせて一本に纏めて長く編み込んでいる。コスチュームは碧色のアオザイを改造したようなデザインだ。普通のアオザイと大きく異なるのは胸の下から腰の辺りまでダイヤ形に生地が切り抜かれてセクシーなバッキバキに割れた腹筋が覗いていることと、袖の部分だけ巫女装束のそれにように生地を垂らしているってとこだ。顔の下半分は今でこそ開いているが、両側から挟み込むように機械で可動式の装甲マスクが装着されている。

 

 戦闘スタイルは勿論、私の黒ゼツ収納スペースと同じようなコスチュームの類似点があったのも彼女を選んだ理由の一つといえる。

 

 彼女は一通り私のコスチュームやら肉体を観察しながらグルグルと周囲を周る。切長の細い目で感情が読みづらいし、なんだか無性に居た堪れなくなってしまう。

 

「……ヨシ。私は役立たずは嫌いダ。基本的に私の指示には絶対服従。もし逆らうようなラ、一週間とたたずに直ぐにでも雄英に戻ってもらウ。覚悟はいいカ?」

「……覚悟は出来ておる」

 

 無言の圧に耐え抜いた後、サッとマーシャルレディーが圧力を緩めたのが分かって思わず肩の力が抜ける。ミステリアスな美人だから黙って見つめられると怖い。

 

「では最初の課題ダ」

「うむ!」

 

 何だろう? 先ずはパトロールか? それともこの空気なら立ち会い? 特訓という説もあるな。

 

「ヒーロー活動の基本中の基本。事務処理のイロハを貴様に叩きこんでやル!」

 

 ーーいや。すごい大事だけどッ!?

 

 

 

 





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