DMC5のクリフォトの樹の実をオイチイオイチイしまくってたら人魔問わず全方位から警戒されまくってて草   作:美味しいパンをクレメンス

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ずっと、楽しい日々が続くと思っていた

ある日。

 

「来てやったぜユリゼン、勝負しろこの野郎!」

 

『おーい磯野、野球しようぜ』なノリでルドラがやって来た。

 

「今日はギルドから指名依頼が入っているから、それが終わった後なら付き合えるが」

「なら仕方ねぇ、この勇者であるルドラ様がそのちんけな仕事を一瞬で片付けてやる。あ、報酬は折半でいいぜ」

「勝手に決めるな」

 

あの日以来、こんな感じでルドラがしょっちゅう訪れるようになった。

 

 

 

 

 

「ユリゼン、お前ルドラに稽古つけてやってるんだってな」

 

またある日、まるでルドラが来ない日を狙っていたかのようなタイミングで少し拗ねた顔のギィが現れた。

 

「稽古というか、数日置きに勝負を挑まれるだけだが」

「それを世間では稽古と言うんだ!」

「そう、か?」

 

首を傾げる俺にギィが剣の抜き切っ先を向ける。

 

「ということで俺にも付き合え。あいつだけには負けたくねぇ。次の勝負でコテンパンにしてやる」

「いや、この後仕事が──」

「だったら俺が手伝ってやる、この魔王ギィが即終わらせてやる。それならいいだろ? あ、報酬は折半だからな」

「お前ら言ってること同じだぞ」

 

悪魔族だがよく人間の街で買い物したり食事をしたりするので、普通に報酬を要求するギィの態度に溜め息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

「ユリゼン、少し相談したいことが」

 

またまたある日。緊張した面持ちのヴェルダナーヴァが来訪したので迎え入れる。

 

「ヴェルダナーヴァが俺に? 珍しいな。それで、内容は?」

「引かずに聞いて欲しいんだけど」

「......」

「ルシアと、もっと仲良くなるにはどうしたらいいと思う?」

 

............恋愛相談?

え? これって恋愛相談だよな?

ヴェルダナーヴァの顔が凄く赤い。

おや? おやおや? おやおやおやおやおや?

神から直接愛のキューピッド役を任されてるのかこれ!?

神様が人間に恋をする、なんか前世のギリシャ神話にもそういうのあったな。まあヴェルダナーヴァはギリシャ神話に登場するろくでもない神々と違って善良で人格者だから、もし振られても理不尽に怒って天変地異を起こすなどしないので何も心配はしていないが。

ならば不肖の身ではあるが謹んで承ろうじゃないか。

 

「二週間後、この街の近くの村で収穫祭がある」

「収穫祭?」

「そこそこ大きな村で外部の人間も問題なく参加できる行事だ。俺も以前参加したことがあるが、なかなか楽しめたぞ」

「それにルシアを誘えと」

「そう。勿論二人っきりでな」

「二人っきりで!?」

 

え? そこ動揺するところじゃないだろ。まさか一度も二人っきりでというシチュエーションになったことないのか?

 

「安心しろ、当日のお邪魔虫共は俺が一人残らず叩き潰しておく」

 

魔王だろうが勇者だろうが、ヴェルダナーヴァの恋路は邪魔させない。

いや、この場合は包み隠さず話して協力させた方が良いかもしれない。その上でもし先走って妙なことをしようとしたらぶっ飛ばせばいい。

 

「でも、ルシアは一緒に来てくれるかな?」

 

不安そうにしているヴェルダナーヴァの肩に手を置き俺は大きく頷く。

 

「不安になる気持ちも分かるがまずは一歩踏み出すことだ」

 

それから俺は人間の女の子に恋をしたこの世界の神様にデートプランを授けたのであった。

勿論、当日に話を聞いて面白そうだから出歯亀しようとした魔王と勇者は全力で叩き潰したのである(二人の仲を応援しているということで珍しく竜種二体が味方してくれた)。

 

 

 

 

 

「お前ら農村の収穫祭好きだよな。この前も行ったじゃねぇか」

「ボクは一所懸命に生きている人々が楽しそうに生を謳歌している姿ならなんでも好きだけど、収穫祭の類いはギィとユリゼンが特にね」

「俺の場合祭は人間を可愛いと思うようになった切っ掛けだしな」

「神様目線のヴェルダナーヴァとギィの二人と違って悪いが、俺は純粋な食い気だ。その地特有のものが惜し気もなく振る舞われて飲み食いできるのは何よりも勝る至福の時間だ。海なら海の幸、山なら山の幸、その地域の酒、他にも数えだしたらキリがないが、冒険者として人々を守るのもクリフォトの主として戦争の抑止力になっているのも、半分はこの為だ。豊かな食事は人生を豊かにしてくれる、これは世界が変わっても種族が変わっても変わらない真理だからな」

「だからいつも忙しそうにあっちこっち行ってんのか。流石は伝説の冒険者様、勇者の俺様より働き者だ。まあ、俺様も民が幸せそうにしてる姿を見るのは嫌いじゃねぇけどよ」

「ユリゼンらしくて良いよね、自身の欲望の為に他者を救うっていうのが。ボクとしては大歓迎だよ」

「人間が皆そんな感じなら俺の仕事も多少は減るんだがな。で、残りの半分は?」

「残りは趣味だ。刺激があるから人生は楽しい、そうだろ?」

「「「確かに」」」

 

 

 

 

 

 

いつの間にかあいつらと一緒にいることが日常となっていく......というか、ルドラと知り合う前からもそんな感じだったが、彼が加わったことで頻度が更に増したのだ。今まで隔週だったのが数日置きになったといえば誰もが納得してくれるだろう。

まるで地球の男子高校生のノリ、学生の放課後や休日と表現すればいいのか。野郎四人で集まってバカ騒ぎして、一緒に美味いものを飲み食いして、たまに喧嘩して殴り合って、楽しいことをひたすら探し求めて、かと思えば丸一日何もせずにグダグダだらだらとくっちゃべって、たまに困ってる人達を助けたら崇められたりして、四人でいる時のノリと勢いを全力で楽しんでいた。

神と魔王と勇者と俺......俺だけなんか『俺』ってそれらしい肩書きがなくて締まらねーな。いや、一応は『魔王の相談役』とか『伝説の冒険者』とか『災禍の魔樹の主』とかあるけど他の面子と比べてふわっとしてる。

とにかく、俺達は互いに心許せる友人同士で、暇を見つけては誰かと共に行動するのが当たり前になっていて、俺は漠然とこんな楽しい日々がいつまでも続くのだと思い込んでいた。

信じて、疑わなかった。

 

 

 

 

 

「ユリゼン......ボクはルシアと、正式に付き合うことになったんだ」

「今更?」

「え?」

「『え?』じゃないだろ。もうとっくの昔に恋人同士になってると思ってたぞこっちは。初めて相談に乗ってから一体何十回デートしたんだお前は?」

「......奥手でごめんなさい」

「で、プロポーズはいつにする?」

「早くない!?」

「お前が奥手だから早い段階で手を打っておくんだろうが」

「............ごもっともです」

 

 

 

 

 

ルドラ達と知り合ってから数年後、ヴェルダナーヴァとルシアが結婚した。

幸せの絶頂にいる二人を俺は当然祝福した。皆も同様だ。

白氷宮で俺主催の、地球の結婚式的なものと披露宴的なものを開催し、大いに盛り上げ祝う。

二人の新しい門出。輝かしい未来を夢想して、末永くお幸せにと心から願った。

 

 

 

 

 

それから暫くして、ルシアの懐妊の知らせを受ける。

そして──

 

 

 

 

生後数日の、まだ首も据わっていない赤ちゃんをルシアから教わった通りに抱く。内心でおっかなびっくりしているこっちのことなど気にしていないのか、腕の中の赤ん坊はすやすやと穏やかに寝ている。

 

「女の子だったな......ヴェルダナーヴァ、ルシア、この子の名前は考えてあるのか?」

 

俺の質問に夫婦は互いに顔を見合わせてからそれぞれ返答した。

 

「はい。ヴェルダナーヴァ様に良き名を考えていただきました」

「この子の名前はミリム。ミリム・ナーヴァ。よろしく頼むよ、ユリゼン」

「......ミリム・ナーヴァ......」

 

聞かされた名前を反芻しながら視線を腕の中の赤ん坊に向ける。

 

「俺はユリゼンだ。よろしくな、ミリム」

 

挨拶をするが、寝ている赤子が反応する訳がない。

小さな命の確かな脈動と温かさを直に感じて、俺は言葉では表現できない感動に包まれ自然と笑みを浮かべていた。

 

「顔は母親似だな。きっと将来美人になるぞ」

「そうでしょそうでしょ! ユリゼンもそう思うよね!」

 

早速親バカっぷりを発揮するヴェルダナーヴァに俺とルシアは苦笑する。

その後、目を覚ましたと同時に泣き出したミリムをルシアに返し、お暇することになったのだが──

 

(......もうすぐただの人間になる、だと?)

 

別れ際にヴェルダナーヴァが告げたのだ。この世界を創造した神である己の力をミリムに継承させ、自身はただの人間に成る、いずれはルシアと共に寿命で逝く、と。

ミリムに自身の力を継承するのはいい。誰だって親なら子に色々なものを受け継いで欲しいという思いがあるのは分かる。

ルシアと共に寿命で逝くというのも......妻に先立たれてしまい独り残されるのが辛いから、という理由で不滅の存在から定命の存在になることにも理解できる。妻を心から愛する彼の意思を尊重しようと思う。

しかし、何の力も持たないただの人間になるというのは反対せざるを得ない。

せめて最低限、自分や妻子を守る為の力は保持しておくべきだ。少なくともミリムがある程度大きくなるまでは。

ヴェルダナーヴァとしては、まだ生まれたばかりのミリムには当然ながら自衛手段が存在しないので、早い段階で力を継承させどんなことがあっても生き延びられるようにしたいとのことだが。

 

(まだあの子は乳児だぞ)

 

言葉は分からないし話せない、善悪の区別もついていない。当たり前だ、新生児なんだから。

友の方針に文句を言いたくはないが、力の前にもっと大切なことがたくさんあるはずだ。もう少し彼女の成長を待ってから様々なことを教えて、経験させてからでも遅くはない。

神が生まれたばかりの赤子に己の力を全て与えて自身は無力な人間に成り下がるなど、誰が想定していただろうか。

 

(嫌な予感がするな)

 

胸がざわつく。仲間内で誰かを心配するなど初めてのことだった。

ヴェルダナーヴァ達のことは気に掛けておくべきだと思う。皆にも声を掛けておくつもりだ。俺もなるべく暇な時は顔を出すようにしよう。杞憂に終わるならそれでいい。

現在のヴェルダナーヴァ達の住まいはナスカ王国の宮殿。ルシアがナスカ王国の王女で、彼女の実家で暮らすことになった為だ。

ルドラもミリムが生まれる少し前に戴冠式を経て王太子から国王へ。以前より忙しい身になったにも関わらず態度は相変わらず。執務仕事を抜け出しては剣を片手に相手をしろとせがんでくる、夜になると飲みに付き合えと酒瓶片手に要求してくる破天荒な王になっていた。

宮殿の警備は厳重だし護衛の兵達もなかなかの精鋭なので、ちょっとやそっとのことでは危険な目に遭うことはないだろう。

我ながら心配のし過ぎだと感じるが、ヴェルダナーヴァの話を聞いてから胸騒ぎが収まらない。

彼の決断が裏目に出ないことを祈り願うものの、胸の奥でしこりのように残った蟠りはいつまで経っても消えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミリムが誕生してから一年も経たずして、杞憂で終わらなかった事実に俺は打ちのめされる。

その知らせは、いつものように目を覚まし朝食を摂ろうと安宿の部屋を出ようとしていた時に、突然前触れもなく室内に空間転移してきたレインとミザリーからもたらされた。

 

「ユリゼン様!」

「ヴェルダナーヴァ様とルシア様が......!!」

 

二人の悲痛な表情と声。レインなんて今にも泣き出しそうだ。それだけで俺はその場で嘔吐したくなるほど気分が悪くなり、思わず口元を片手で押さえる。

 

「二人が、どうした?」

 

震える声で問い詰めれば、レインから返ってきた答えは、

 

 

 

「..................お亡くなりに、なりました」

 

 

 

目に見えない誰かに不意打ちでガツンと殴られたような衝撃を受けた気分になるもの。

信じられない、信じたくない言葉。

危惧していたことが現実になってしまい、一瞬意識が遠のく。全身から力が抜けて立っていられなくなり、無様に四つん這いとなる。レインとミザリーが慌てて駆け寄り何か必死に呼びかけてくれるが耳に入らない。

あの日以来、嫌な予感はずっと続いていた。不安を拭うことはできなかった。いい加減痺れを切らした俺が考えを伝えてもヴェルダナーヴァは頑として首を縦に振らなかったのだ。

困ったような笑みを浮かべて『すまないね、ユリゼン』と謝るだけ。

結果的に言えば神であるヴェルダナーヴァは己の力をミリムに託し、不滅の竜種から人間へと零落し、その結果がこれだ。

 

「ミリムは、無事なのか?」

「はい、ミリム様だけは」

 

辛うじて出せたか細い声での質問にミザリーが応じる。

聞いた答えにより僅かに、本当に僅かに安心したものの、胸中を渦巻く悲しみは消えてくれない。

 

「二人は何故死んだ?」

「それは......」

 

口を噤みどう答えようか迷う素振りを見せたミザリー。そんなに俺に聞かせられない内容なのかと思考が過った時、レインが憎悪と怒りが込められた呪詛を吐くように言う。

 

「人間です。人間の仕業です。ナスカ王国と敵対関係にあった国の人間共が、ルドラ様が不在の時を狙って宮殿に自爆テロを仕掛けてきたのです」

 

 

 

 

 

 

天蓋付きの大きなベッドの上で、二人は仲良く手を繋ぐように横たえられていた。

二人の遺体は、死んでいるのが信じられないくらいに綺麗な状態だ。まるで眠っていて、今にも起き出すのではないかと勘違いしてしまうくらいに。

俺より先に来ていたギィにどういうことか視線で問えば、レインとミザリーが俺を呼びに行っている間に皆が力を合わせて遺体を修復したとのことだ。

つまり修復しなければならないほど、二人の死に様は酷かったと?

ギリッ、と奥歯を噛み締めた。

ベッドの前で両膝を着き、二度と目を覚まさない親友に問う。

 

「どうしてだ? どうしてだヴェルダナーヴァ? どうして俺の忠告を聞き入れてくれなかった?」

 

視界が歪み、涙が溢れるのも構わず問い詰める。そんなことをしても反応などないし何か起こる訳でもないというのに。

 

「お前が、力を失う必要などなかったはずだ。お前がルシアとミリムを守ればそれでよかったはずだ! 力の継承はミリムが成長してからでもよかったはずだ!!」

 

嗚咽混じりに感情をぶつけても何の意味もない。しかし俺は嘆かずにはいられなかった。

もしかしたら、ヴェルダナーヴァはこうなることを予見していたのだろうか? ミリムに力を受け継がせないと彼女の身に何かあるかもしれないから、だからこそ生まれた直後の赤ん坊に力を授けたのだろうか?

分からない。答えは出ない。もうヴェルダナーヴァは何も応えてくれない。

だが後者の可能性は非常に高かった。娘に訪れる最悪を回避する為なら自身が力を失っても構わない、もしそれで自分が死んでも娘が無事ならば、という選択を躊躇なく取れる。彼はそういう男で、父親だったのだ。

 

「......俺の責任だ」

 

背後では自責の念に駆られるルドラが。

 

「俺がもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかった!!」

 

下手人はナスカ王国と敵対していた国の人間。やり方は卑劣極まりない、大量の人間爆弾という非人道的な自爆テロ。犯行のタイミングはルドラが遠征中を狙ったもの。ヴェルダナーヴァとルシア以外にも宮殿にいた者達には大勢の犠牲者が出ている。

怒りと憎しみが沸々と沸き上がってくるものの、今は優先すべきことがあると思い直し、冷静になるように努めた。

 

「......」

 

二度、三度と大きく深呼吸をしてから袖で乱暴に涙を拭い、立ち上がると俺は皆に背を向けたまま促す。

 

「......今は、二人を弔おう。動くのはその後だ」

「ああ......そうだな」

 

ギィだけがポツリと同意を示すのを聞きながら、どうしてやろうかと考えを巡らせ始める。

 

 

 

二人の葬儀は、仲間内だけで粛々と行われた。所謂家族葬のような。二人の性格上、必要以上に大事にするのは嫌がるだろうと誰もが思ったのだ。

一つの大きな棺に二人の遺体を納め、蓋をした段階で俺は心の内を吐露した。

 

「俺は、ヴェルダナーヴァとはもう会えない気がする」

 

この言葉に皆が弾かれたようにこちらを向き大きく目を見開くが、構わず続けた。

 

「ヴェルダナーヴァはミリムに全てを託してただの人間と同じ存在となり、逝った。不滅の竜種ではなくなったんだ。きっと復活はできない」

「それは.........」

 

すぐ隣に立っていたギィが否定しようと口を開き、固まった。

やがて絞り出すように紡ぐ。

 

「......ミリムが既に不滅の存在となっているのなら、ユリゼンの言う通りかもしれねぇ。それにヴェルダナーヴァの性格なら、自分だけ復活することよりルシアと共に逝くことを望むだろうしな」

 

ギィの見解に息を呑む声がいくつも鼓膜を叩く。

それはルドラのものであり、ヴェルグリンドのものであり、ヴェルザードのものであり、レインとミザリーのものであった。

きっと誰もが楽観視していたのだろう。人間であるルシアは死んでしまったらそれまでだが、不滅の竜種であるヴェルダナーヴァだけは復活できる、と。

馬鹿げている。妻は死んだままで自分だけ復活? そんなことをヴェルダナーヴァが望む訳がない。愛する妻と共に寿命で逝くことを望んでいた彼が、己のみの復活を望むなどあり得ない。

だから、本当にこれでお別れなのだ。

ただの人間になるって聞いて、覚悟はしていたんだ。いつか、さよならをしなければならない時が訪れると。

でも、こんなに早くその時が来るなんて思ってなかった。何十年後かに、シワシワのお爺ちゃんになったヴェルダナーヴァが笑って逝くのを送り出すことになると思っていたのに。

 

「さようならだ、ヴェルダナーヴァ、ルシア......どうか安らかに」

 

 

 

 

 

葬儀を終え、閻魔刀を抜刀し空間転移をしようとする俺にギィから声が掛かる。

 

「やるのか?」

 

具体的に何を、とは言わない。そんなことなど言うまでもないし確認するまでもないからだ。

 

「ああ。やるに決まっているだろう」

 

目の前の空間を十字に斬り裂き()を開く。

俺は皆に背を向け振り返らないまま閻魔刀を納刀し、踏み出しながら宣言した。

 

 

「地獄を見せてやる」

 

 

 




次回
地獄之王(ザキングオブヘル)
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