DMC5のクリフォトの樹の実をオイチイオイチイしまくってたら人魔問わず全方位から警戒されまくってて草 作:美味しいパンをクレメンス
久しぶりにクリフォトの樹を生やして禁断の果実をオイチイ!オイチイ!しようと思ってたらその地はギィと同格の
やがてなんだかんだでクリフォトに集まってきた白、黒、黄、紫の原初の悪魔達。
そして四柱が集まる切っ掛けとなった
その後なんやかんやで
これまでクリフォトに挑戦してきた者達の中で、閻魔刀バリアーを破り俺に傷をつけることができたのは、ルドラただ一人。
そしてルドラはギィと互角。ネームドで受肉済みで覚醒済みで
たとえ三人纏めてとはいえ、やはり名無しで受肉してなくて未覚醒で
というか戦い始めて分かったことだが、こいつら初めて会った時のギィより遥かに弱い。それだけ名前の有無の差、受肉しているかいないかの差、覚醒済みと未覚醒の差は大きく、越えられない壁として立ち塞がるものなのだと実感する。
(どうしてもギィを基準にしてしまうのは申し訳ないが)
名前+肉体+覚醒の有り有り有りなギィ、逆に無し無し無しの白と黒と紫の原初。同じ土俵に立つなら同じ状態になってからにしろ、となる訳で。
「うわー......」
参戦せず見届け人に徹底していた
目の前には地面に這いつくばる
(そもそもこいつら、誰一人として協力して戦おうって気がないしな)
先程まで行われていたコントのような戦闘のことを思い出す。
まず
それを見て
魔法が効かないなら物理じゃないですかアホなんですかと
そのまま三人がこっちをそっちのけでギャーギャー言い合う。
隙だらけなので極太レーザー発射。
いち早くそれを察知した
ぶっ飛ぶ
そんな二人がキレて
内輪揉めしてるところに俺が五月雨幻影剣で三人纏めて動きを止めてから、烈風幻影剣で上空に打ち上げて急襲幻影剣で壁に縫い付けた。
その後はもう乱闘だ。スマ○シュブラザーズみたいな大乱闘。本来なら一対三となるはずが、蓋を開けてみれば一対一対一対一。
やがて唯一立ち上がることができたのは
俺? 未だに閻魔刀バリアー破られてないから無傷だけど。
そんな訳で──
「お前達が死ぬほど仲が悪いのがよく分かった」
レインとミザリーは仲良しなのになー、と二人を思い浮かべながら目の前の原初達に告げると、くたばり損ないと化してろくに返事もできない三人ではなく
え? 当たり前なの? 俺の認識の方がおかしいのこれ?
ま、いいや。
「とりあえず気が済んだなら帰ってくれ、と言いたいところだが、クリフォトの一ヶ月の成果に興味はあるか?」
四人がピクリと反応したのを確認してから言葉を続ける。
「興味があるならまた後日来てくれ。見学してくれて構わん」
勿論、見せるだけのつもりだが、もしこいつらが果実を見て欲しがったらそれを巡って乱闘するのも楽しそうだ。
それならギィ達も誘わなければ。今日知り合ったこいつらがクリフォトの秘密を知ってて、彼らが知らないままなのは不公平だろう。長い付き合いのある彼らを誘わない訳にはいかない。
「クリフォトの秘密......果実が熟したらまた会おう」
四人を見送った後、俺はギィに連絡を入れた。
ちなみにだが、ミリム達『Devil May Cry』には連絡を入れない。何故なら、もし乱闘になった場合ほぼ確実に手加減を忘れたミリムによってクリフォトの樹が周囲一帯を巻き込んで消し飛ぶから。
そんでもってクリフォトの実が熟して──
クリフォトの樹の内部、玉座の間にて原初の悪魔が勢揃いしている。
が、空気が最悪だった。
どのくらい空気が悪いかというと、今にも殺し合いが始まりそうなくらいに。
構図としては、ギィとレインとミザリーの三人が、
なんで? どうしてこうなったの?
気まずい沈黙が続く中、口火を切ったのはギィである。
「......ユリゼン」
「何だギィ」
視線を同胞から外さないまま、低い声でギィから呼ばれる。
「クリフォトの樹の秘密を教えてくれるって言うから来てみれば、なんでこいつらがいるんだ?」
それ言ったよね!? 事の経緯を全部予め言ったはずだよね? なんで改めて問う必要があるんですか!?
「以前こちらに訪問した時に私がクリフォトの秘密を言い当てたら、ユリゼンが見学していけと言ってくれただけですよ」
しれっと応答する
小声でレインが「てめぇには聞いてねぇよ」と吐き捨てる。そんな彼女の今まで一度も聞いたことがない荒い口調に俺は酷く動揺してしまう。
なんでこんなに仲が悪いんですか!? 原初の悪魔達って!!
「つまりテメェらは、ユリゼンの能力を暴いたってことか」
「確かに暴いたと言えば暴きましたが、別に弱味を握って脅した訳でも武力で無理矢理聞き出した訳でもありません。私がこれまでクリフォトを観察して至った考えを伝えたら、ユリゼンが正解と答えただけです」
「......」
「勘違いしないで欲しいのですが、私達がここにいるのはあくまでユリゼンの善意です。クリフォトの秘密、人間の血を吸った樹が一ヶ月かけて実をつけるのでそれが熟したら見学していけと」
「ユリゼン!!」
「「ユリゼン様!!」」
ひぃっ! なんでギィ達三人の矛先がこっちに向くの?
「あれ~? もしかしてユリゼンとは付き合いが長いのにクリフォトの樹の秘密を今までろくに知らなかったの~? ぽっと出のボク達にすら簡単に教えてくれたのに~?」
煽り口調の
要するにギィ達三人は嫉妬してる、ということでいいのか?
だとすると今回配慮が欠けてたのは俺の方、だよな?
「ギィ、レイン、ミザリー、すまん。
「......つまり
ジト目でこちらを見つめるレインの私怨混じりの言い方に何とも言えない気分になりながらも頷いておく。
するとギィ達三人は敵意を霧散させ盛大に溜め息を吐く。
「災難だったな、ユリゼン」
「
「困ったことがあればすぐに教えてくださいね、力になりますので」
今度はなんだか可哀想な人を見る目で見られてしまう。
......もう、この場が収まるならなんでもいいや。
閻魔刀を用いて空間を斬り裂き転移したそこは、クリフォトの頂上にして最下層。
雲一つない青い空の下、牧歌的な人間の村の中にいるような風景が広がっていた。
「ここは? 人間の村?」
「随分と景色が様変わりしたわね」
「何処なんだここは?」
「............幻覚、ですね。しかも恐ろしく精度の高い。この私ですらすぐには気が付きませんでした」
相変わらずの凄まじさを発揮する
「ここはクリフォトの樹の頂上であり、最も深い場所。そしてこの光景は果実が見せている幻だ」
クリフォトが普通の植物と異なり頂上が地下にあること、果実が成る部屋には俺の記憶から再現された幻が映し出されることを説明する。
「......ユリゼン」
「何も言うなギィ。心の何処かでヴェルダナーヴァのことを未だに引き摺っている自覚はあるが、大丈夫だ」
気遣うような視線に対して安心させるように手を軽く振る。
初めてクリフォトの樹を育てた時は何も見えなかったこの部屋も、今ではすっかり俺の心象風景を映していた。
かつて人間の村や街で遊び歩いた記憶。収穫祭やら記念祭やらに参加してバカ騒ぎした思い出。友が亡くなる前の楽しかった日々を惜しむように、果実が幻を見せてくるのだ。
「ううっ」
「はい、ハンカチ」
「ぢ~~~~ん」
「ちょっと......」
レインが当時を思い出し涙ぐむのでミザリーがハンカチを手渡せば、思いっ切り鼻をかまれていた。
ハンカチを鼻水まみれにされて、そういうつもりで貸した訳じゃないのにと悲しそうな目をするミザリーをあえて無視。
「で、あれが果実だ」
原初の悪魔達に一通りの説明を終えて指を差すのは部屋の中央。牧歌的な人間の村には似つかわしくない、場違いなまでに気色悪い小さな樹が一本。
表面の樹皮が血のように赤い、サルスベリにも見えるような樹に禍々しい気配を醸し出す果実が一つだけ成っていた。
数多の人間の血を吸い、肉を喰らい、魂すら糧とした樹が育む禁断の果実。口にすれば絶大な力を手に入れられる悪魔の実。
受肉していない
力を求める者ならば誰もが喉から手が出るほど欲しがる果実であったが──
「なんか、凄く不味そう」
バッサリと切り捨てた
だって見た目が美味しくなさそうだし、実際味も悪くて不味いし、その通りなんですわ! 俺だって毎回良薬口に苦しって思いながら食ってるもん。
「よく一目で見破った。流石は原初の悪魔だ。実際不味いぞ、おまけに後味も最悪だ」
「誰だって見りゃ分かるでしょそんなの! あれ見て美味しそうって思える奴がいたらそいつはゲテモノマニアだよ!!」
「食うか?」
「ボクがゲテモノマニアって言った直後になんで勧めてくるのさ!?」
俺の言葉に
まあ、ギィ達の食生活から分かる通り、悪魔の味覚って人間とそう変わらないんだよな。で、原初である彼らは力は勿論のこと、眷属への権力及び人手、人間を含めた他種族への人脈やコネを持っていたりする。それらを最大限活かして、本来なら飲食を必要としないのに嗜好品として最上級のものを取り寄せていたりする。
そう、悪魔の中でも最高位にいる彼らはグルメなのだ。
舌が肥えてるので、不味いと分かってるなら手を出す気にはなれない。地球の何処ぞの動画投稿者のようにネタに走って買い漁って品評しながらバカ食いとかはしないのである。
「......気になることがあるのだけど」
遠慮がちにそう切り出すのは
「この果実を、これまで貴方以外の他者が食べたことはあるのかしら?」
「いいや」
大切に育てた収穫物をくれてやるなんてこと、今まで一度たりともなかったので何も考えずに返答すれば、
「貴方の能力で生み出されたこの果実は、本当に貴方以外の者が食べて大丈夫なの?」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味よ。果実を食べれば強大な力が手に入るのは分かるわ。けど、それに代償があるかもしれないということ」
代償? いまいちピンとこない。が、俺以外はそうではないのか、原初の悪魔達は何かに気づいたかのように考え始めた。
クリフォトの実を食べることに代償なんてあったっけ? 原典であるDMC5を思い出してみてもそれらしいものが見当たらない。精々ダンテが果実を食べたバージルに対して『人間らしさを失った』的なことを言っていたくらいだっけ?
俺に『人間らしさ』なんて今更だしなぁ......人間性を捧げよ! って感じで今まで好き勝手してきたし。そんな人間性とか人間らしさを大切にしてたらそもそも
「例えばです。もしユリゼン以外の者が果実を食べた場合、ユリゼンに絶対の忠誠を誓うようになってしまう、なんてことはありませんか?」
俺が内心で開き直っていたら、
そして
「いや、知らんけど」
「そうです、きっとそうに違いありません! 少し考えてみれば馬鹿でも分かることじゃないですか! クリフォトの樹はあなたの能力によって生み出された。そして果実はその樹が一ヶ月という時間を掛けて育んだ成果そのもの。それを口にした者の魂が無事でいられる訳がありません!!」
......そうかな......そうかも......?
「クフフフ。危ないところでしたよ、まさかこんな狡猾な罠が仕掛けられていたとは......果実の見た目があまりにも不味そうで、逆にどれほど不味いのかほんの少しだけ興味が湧いていましたからね、本当に危なかった。この事実に気づいていなければ不味いものを食わされた上にあなたの下僕と化していたでしょう」
勘違いが加速してる気もするけど、試してみない限り
「しかし残念でしたねユリゼン。申し訳ないのですがあなたは私が仕えるに相応しい主ではありません。色々と面白そうなのであなたのことは嫌いではないのですが、今回の件については白紙とさせていただきます」
......何の話? 実はお前だけ就職の為に面接しに来たつもりだったの? でも若干思ってたのと違うから内定蹴る、みたいな?
「
と
「ワタクシも遠慮するわ。誰かの下につくなんてたとえ心核が砕けてもゴメンよ」
「ボクも要らないかな。美味しくないものを食べたくないしね」
これで黒、黄、白、紫の原初がクリフォトの実を拒否したことになる。
やはり原初の悪魔は
俺だってギィ達を配下にしたいとは思わない。対等な友人関係が一番楽しい。配下や下僕を手に入れるより友達を増やした方が何倍も人生得した気になる。
それに果実を欲しがられたりしても、譲る気はないのでそれはそれで困るしな。
「いいのレイン? 果実を食べなくて? いい口実になると思うわ」
「俺から鞍替えする千載一遇のチャンスだぞ! 配下は持たない主義とか公言してるが、いざって時はちゃんと責任取る奴だぞ!!」
「二人共放っておいてくださいよ!!」
ん? ミザリーとギィがレインに詰め寄り、顔を真っ赤にしたレインが二人に怒鳴り返していた。何やってんだろ?
ま、いいや。
「クリフォトの秘密に関しては以上だ。果実をもぐとすぐに樹が枯れる、当然ここは崩壊するから転移で帰る準備だけはしておけ」
言外にもう解散であることを告げて、果実をもぐ為に歩き出す。そばまで近寄り、果実を片手で掴み皆の準備が整ったのを確認してから果実をもぐ。
ガラスに皹が入り砕け散るように幻が消え失せ、瞬く間に部屋全体が石灰化するように白くなるのに合わせて地響きが発生。樹が枯れて崩壊し始めたと同時に原初の悪魔達が各々転移しクリフォトの内部から離脱していく。
俺も閻魔刀で空間を斬り裂き転移しながら先のやり取りを反芻する。
クリフォトの実は俺以外の者が食べると俺に忠誠を誓うようになる、か。
そんなのあり得るかぁ? さっきは
まあ実際、かつてギィに喧嘩売ったレインとミザリーが返り討ちにされて配下になったって話は聞いた。レイン曰くやろうと思えば逆らえるしそこまで強制力はないって言ってたが、『自分を倒した相手に従ってしまう』という前例があるせいで変に意識してるだけじゃないかな。
「気軽に試せないのが悩みどころだな」
「ということがあってだな」
と言いつつ、俺は新鮮もぎたてのクリフォトの実を皿の上に載っけた。
場所はギルバとして冒険者活動をする際に拠点として利用しているいつもの人間の街。ハンター時代から今までお世話になっている、何十代と続く歴史ある安宿の一室。
広目の丸テーブルの中央に載せた平皿にクリフォトの実を載せれば、俺の帰りを待っていたミリムとラミリスとグリフォンとシャドウが興味津々に覗き込む。
「話には聞いていたが本当にクッソ不味そうな見た目なのだ」
「これ見てるだけで食欲失せるねぇ」
「で、持って帰ってきたのはいいがどうすんだよコレ? くれんのか?」
「グルル」
半眼になって「私は絶対に食わないぞ」「アタシもパス」と断固たる拒絶を表明するミリムとラミリスとは異なり、グリフォンとシャドウはそれなりに興味があるらしい。やっぱクリフォトと同じDMCシリーズ由来の悪魔だからか、拒否感らしいものは見受けられない。
「ユリゼンが食わねーってんなら俺に食わせろよ」
「グルルルル」
「んだよ猫ちゃん? ここは自分に譲れって? はあ!? 寝言は寝て言いやがれ! これは俺のだ!!」
「ガァァァァ!!」
「てめっ! やんのかゴラァ!!」
と思ってたらいきなり喧嘩が勃発した。グリフォンが威嚇するように紫電を纏うとシャドウが咆哮し、二体はほぼ同時に相手に向かって飛びかかるとそのまま揉みくちゃになって部屋の窓を突き破り、安宿の外で戦い始める。
「「「え?」」」
普段は仲の良い悪魔コンビの二体だっただけに、こんな食い物で喧嘩するとは思ってなかった俺とミリムとラミリスは完全に反応が遅れた。
「バーベキューにしてやらぁ!!」
「グオオアアア!!」
「クタバリやがれぇぇぇ!!」
「シャッ!!」
雷を身に纏い雷撃を飛ばすグリフォン、己の身を様々な武器に変形させて攻撃を繰り出すシャドウ。
幸いなことに、結構なスペースがある宿の庭で戦っていたので人的被害は今のところ出ていなかったが、とっとと止めた方がいいだろう。
特にグリフォンが本気になったら特大の落雷が雨のように降り注ぐことになる。ここら一帯が黒焦げの更地になる前に止めるなら早いに越したことはない。
「ミリム、ぶん殴ってでも二体を止めろ」
「了解なのだ!」
元気な返事と共にミリムが窓から飛び出しシャドウまで一瞬で間合いを詰めると、右アッパー。
ボグシャアッ! って感じのとんでもなく重たい音がした。
顎に一発食らったシャドウは、そのまま星となり何処へ飛んで行ってしまった。 このままもし落ちてこなかったら大気圏を飛び出たってことになるから、回収する場合は悪魔召喚なり眷属召喚なりして呼び戻すしか方法がない。
「次はグリフォンの番だぞ」
「ちょっ──」
何か言う前にミリムのパンチがグリフォンの腹部にクリーンヒット。再度ボグシャアッ! って音と共に「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」という汚い悲鳴を上げてすっ飛んでったグリフォンもまたシャドウと同様に星となってしまう。
二体が星になったのを唖然とした様子で見ていたラミリスが、呆れたように呟く。
「喧嘩の原因になったあの不味そうな実、さっさとアンタが食べるかグリフォンとシャドウに半分こして渡すかしないと、また揉めるわよ」
「......半分こして与えるとしよう」
まさか二体が目の色変えて実を奪い合うとは予想外だったので、騒動の発端の癖して傍観者になってしまったが、クリフォトの実を求める姿こそDMCシリーズの悪魔って感じで少し嬉しくてホッとしたのは内緒だ。
だって食えば絶大な力が手に入るのに誰一人として欲しがらないんだもん。俺がおかしいのかな? ってちょっと疑っちまったぞ。
「摩擦熱で全身火炙りにされたと思ったら宇宙空間で氷付け、レンジでチンする冷凍食品になった気分を味合わされたぜ。あのまま考えるのをやめるとこだっただろうが!!」
「......」
召喚し直したグリフォンとシャドウが凍らせた炭みたいになっていたので解凍と回復を行ったら、開口一番がこれである。
戻ってきて早速喧しいグリフォンと無言で非難するような視線を向けてくるシャドウを、俺はテキトーにあしらう。
「悪魔なんだから転移を使え」
「ミリムの嬢ちゃんに殴られたダメージでそんな余裕あるかバカタレ!」
「いきなり喧嘩するグリフォンとシャドウが悪いのだ」
「加減しろってんだよ! 喧嘩の仲裁で殴られて大気圏突破するとか誰が予想できるか!」
それに関してはごもっとも。
「まーまー、ユリゼンがクリフォトの実を半分こしてアンタ達にあげるって言うし、それで機嫌直しなさいよ」
「マジかよユリゼン太っ腹だぜ!」
取りなすようにラミリスが口を挟めば、その発言に大喜びする現金なグリフォン。変わり身早いなおい。
シャドウも期待するように尻尾をゆらゆらさせている。
二つに割った実をそれぞれ皿に載せて二体の前に置けば、まだいいとも言ってないのに勝手にガツガツ食い始めた。
食い終わるまで見守っていると、久しぶりに世界の言葉が聞こえてくる。
《告。個体名『グリフォン』と『シャドウ』の
すると二体同時にぶっ倒れた。
「ちょっとどうしたの!?」
「やっぱり腹でも下したのか!」
唐突に倒れたようにしか見えない二体の様子に慌てるラミリスとミリムであったが、
「ぐー」
「スピー」
という気の抜けるような寝息に胸を撫で下ろす。
そういえば覚醒魔王に進化する際って眠っちまうんだっけ。二体は俺の眷属だから俺にはちゃんと世界の言葉が聞こえたが、そういう関係ではないラミリスとミリムには聞こえていなかったようだ。その辺りについて二人に説明し、心配無用なので暫く放置しておくことに決定。
そして数日後、
「相手がどんな奴であろうと負けはしない! 俺は今究極のパワーを手に入れたのだぁぁ!!」
と、目を覚ましたグリフォンがナメ○ク星に到着しネイ○と同化した直後のヒ○ッコロさんみたいな調子こいたことを言うので、とりあえずミリムにもう一度星にしてもらった。
なお、グリフォンは前回とは異なり自力で戻ってきたと明記しておく。
そんなこんなで数年後。
日々の生活の中でギィ達以外の原初の悪魔達と初邂逅したことをすっかり忘れていたら、ある日ギィから「お前宛てに手紙を預かってるから今度ウチで飲み会ついでに取りに来いよ」的な呼び出しを食らう。
俺に手紙って誰から? ギィに預ける時点で『ギルバ』宛てではないというのは確実。すると『ユリゼン』宛てということだが、わざわざ手紙を送ってくる相手に心当たりがない。
一瞬、ギィ経由ならルドラか? と思ったがあいつからの場合は俺に直接『ギルバ』宛てで届くはずなのでそれはない。
何だろう? と疑問を抱きつつ、ギィの家で美味いもんがただで飲み食いできるぞー!! と騒ぐミリム達を引き連れ白氷宮に赴く。
「ほらよ」
到着早々、ギィから手渡された一通の手紙をしげしげ眺めながら問う。
「誰からだ?」
「
返答しつつパチンと指を鳴らせば、台車を押して入室してくるレインとミザリー。
台車の上に載るのは大量の飲食物。
え? 何? どういうこと? 訳が分からない。
視線で答えを求めるようにギィを見ると、手紙を指差す。まずは読め、ということだ。
とりあえず手紙を開封し読んでみれば、その内容が感謝状的なものであったことに驚く。
クリフォトの樹が枯れた後にその地に残るは、砂漠かと思わざる得ないほどの大量の白い砂だ。果実をもぐと山みたいな質量の樹が石灰化のような現象を起こして白くなり、枯れると同時に崩れ落ちるからだ。
で、樹が枯れた後に残されたこの白い砂と広大な土地を、
そういえばあの時にクリフォトの種を蒔いた場所って
そして調査の結果、砂には植物が育つ上で必要な栄養やミネラルが豊富に含まれており、その証拠に過去に樹が発生した場所のその後は何処もかしこも人が立ち入らない樹海になっているか、人の手により豊作が続く農耕地になっていた。
折角なので配下くん達をこき使いありとあらゆる人脈等を駆使して田畑を耕し砂を肥料として撒けば、笑えるくらいの大豊作。
しかも採れる果物や野菜は病気や害虫に強くて質が良い。これは想定を超える拾い物をしたと
「それでこれ、ね」
お土産の内容物は大半が野菜や穀物、果物、そしてその加工品だ。ワインやブランデーやウイスキーなどの酒から始まり、何種類もの果物のジュース、お菓子やパンなどの食料品。種類もジャンルもピンきりで手広くやってんなぁと感心した。
つまり、手紙の中身はお前が残してった砂使って農協みたいなことをしたら成功したからありがとね、ってことらしい。
人間や他種族相手に商売というか言いくるめて農業させて利益を得ているのであろうことは想像に難くない。
「で、実際のところ味はどうなんだ?」
「すっごく美味しいですよ! ユリゼン様も飲みます?」
何故か既に酒瓶をラッパ飲みしてるレインの返答に、なんでお前がもう飲んでんだと言わんばかりにギィとミザリーが彼女を白い目で睨む。
「美味い! 美味い!」
「美味しい!!」
「うめ~なこれ」
「グルル」
レインが飲んでるから自分達もいいと判断したのか、勝手に貪り始めるお子ちゃま二人と悪魔二体。
これは今後の教育の為に何か言った方がいいのだろうかと悩んでいると、ギィが背後から優しく肩を叩いてくる。
「飲もうぜ。何飲む?」
「......折角だから
「俺は当然赤からだ。決まってんだろ?」
互いにニヤリと笑みを浮かべ、乾杯した。
なお、これにより
曰く、血を啜り死を振り撒く悪魔と大地を育む豊穣の神は表裏一体、生と死の循環を司る混沌の化身......とかなんとか。
クリフォトの樹の跡地は聖域であり禁足地であると世界に広まるが、悪魔及び邪神を崇拝するやベー邪教の言うことを行儀良く守ろうなんて奴の方が少なくて、結局今度は跡地の砂を巡って個人規模から国家規模までの悪どい商売や犯罪が頻発、最終的にはまたしても砂を巡る戦争が勃発し俺がクリフォトの樹を発生させ大量の死者が出るという始末。そして残された砂を巡ってまた──
無限ループって怖くね?
抑止力とは一体......うごごご!!
・クリフォトの樹
大量の兵が投入される戦場に突如出現し、大量の死者を出す悪魔の樹。強大な力を持つ悪魔ユリゼンの根城。犠牲者の血を啜り成長することから吸血樹とも呼ばれる。ユリゼンを討伐しようとしてその樹洞に入り生きて帰った者はあんまりいないが、全くいないことはない。
ちなみに、ユリゼンを崇める邪教徒が入ると問答無用ではあるが無傷で叩き出される。
・クリフォトの実
食べれば絶大な力が手に入る禁断の果実。この実について知っているのは現時点で原初の悪魔達とユリゼンの身内のみ。
味も見た目も不味いので、今のところユリゼンを除けばグリフォンとシャドウしか食べたがらない。
・クリフォトの種
樹から果実をもぐとユリゼンが再度スキルで生成することができる。見た目はリンゴの種。
成長する為の血が無いと発芽しない。
・クリフォトの砂
樹が枯れて白く石灰のようになり崩れて残る砂。
植物が育つ上で必要な栄養とミネラルが豊富に含まれており、これを撒くだけで不毛な土地ですら大豊作が期待できる。植物にとっては肥料であると同時に優秀な土や堆肥や土壌改良材も兼ねており、実は砂だけの状況下でも植物は逞しく育つ。
・クリフォト教
なんでか生まれてしまった邪教。ミザリーを神と崇める悪魔崇拝者集団『