DMC5のクリフォトの樹の実をオイチイオイチイしまくってたら人魔問わず全方位から警戒されまくってて草 作:美味しいパンをクレメンス
クリフォトから養分を供給されるようになってから数日が経過したが、調子はすこぶる良かった。
まあ、肉体は人間の姿から蒼い人型の悪魔──ユリゼンと同じになってるんだけどね。
そんな俺はユリゼンの姿で全身をクリフォトの触手に巻き付かれながら、超巨大化したクリフォトの樹の内部──ゲーム通りの玉座の間みたいな空間で──でのんびり座ってるだけっていう。
いや~、それにしても良いわこれ。超良いわ。
融合したクリフォトから絶えず養分が供給されてるんだけど、それだけで腹減らないし喉も乾かない。
何より時間が経てば経つだけ自分が強くなっていくのを実感できる。力がどんどん溢れてくる。
たとえるなら、ガソリンスタンドで燃料を給油する時のメーター表示みたいな? 給油し続けると給油量がどんどん増えてって、それに比例して支払い料金のメーター表示も増えるでしょ。あれを俺に置き換えると、クリフォトの養分が給油されるガソリン、支払い料金が俺が得た力そのもの。座ってるだけで確実に強くなるとか......ニヤニヤが止まらんな。
おまけにレッドオーブもどんどん貯まってくので、使わないと勿体無いからバンバン使いまくることに。
とりあえずユリゼンと言えば閻魔刀バリアーなので、レッドオーブを脳内の時空神像に捧げて閻魔刀をゲット。閻魔刀を入手したことで閻魔刀そのものの強化や技の取得ができるようになったので、閻魔刀を水晶体へ変化させてバリアーにする技を使えるようにした。
せっかく閻魔刀を手にしたんだから本当は次元斬とか疾走居合とか使えるようにしたいけど、ユリゼンの姿じゃそれらは使えないのでまたの機会に回す。
で、一応は座ったままでも戦えるようにユリゼンの攻撃方法(火炎弾とか魔力の矢の雨とかビームとか)をゲット。
二つの国が戦争してたみたいだから、それぞれの国の兵士達が戦場跡に聳えるクリフォトの樹を見て乗り込んでこないとは限らないからね。念の為の自衛手段を用意したかった訳だ。
あとは、体力の上限を増やすブルーオーブと魔力の上限を増やすパープルオーブを現段階のレッドオーブ量で買えるだけ買って、一旦時空神像でのお買い物は終了。またある程度貯まったら買い物をするつもりだ。
今の俺がどのくらい強いのかはまだ不明だが、ちょっとやそっとのことなら問題ないかと思う。何度か手にした攻撃を試してみたけど、掌を前に向けて念じるたけで火炎弾とか発射できるし。ちょっと楽観的か?
「......なんとかなるはずだし、なんとかしよう。頑張れ俺」
ユリゼンの姿なので喋るとまさに悪魔の王のような低く威厳のある音声が口から出るのだが、内容そのものはいささか情けない人間臭さに我ながら苦笑してしまう。
次はどんなものを時空神像から購入するか考えながら、上機嫌にDMC5のネロのテーマ曲『Devil Trigger』を鼻歌で唄う俺であった。
その樹は、樹と呼ぶにはあまりにも巨大であり、他の植物と比べてとてつもなく醜悪であり、信じられないほど邪悪な気配を放つ悪夢のような存在だった。
しかもその樹はたった一晩で忽然と現れたのだ。
合わせて十万以上の兵士達がぶつかり合い、そのほとんどが命を散らした戦場の跡に、たった一晩で。
その知らせを聞いて誰もが最初は冗談だと笑い、次に嘘だと疑い、続いて本当かと問い返し、最後には実際に目にして戦慄する。
天を貫き頂上が見えないほど高く、山に匹敵するほど太く、見る者の正気を抉るほどの禍々しさ。
数キロメートル離れた場所から見ているにも関わらず視界の中で異様な存在感がある。端的に言ってそれだけ巨大なのだが、そんな物体が平野だった場所にいきなり現れれば、信じられない、信じたくないという気持ちになるのも無理はない。人智を超えた災厄がいつか自分達に降りかかるのではないかと人々は恐怖する。
その樹は、人々にとっては見ているだけで根源的な恐怖を引き摺り出す何かがあった。
故に人々はこの樹の排除を願い、動き出す。人間同士で戦争をしている場合ではない。何としても、敵国と協力してでも即刻あの樹を切り倒し、根こそぎ焼き払うべきだと。
しかし、それが人々の手によって達成されることはなかった。
樹を滅する為に向かった者達は、ほとんどが帰らぬ人となったのだから。
国の軍隊、凶悪な魔物を屠った英雄達、それらが悉く。
それでも僅かに生き残った者達がいて、彼らから得た貴重な情報によりいくつかのことが判明する。
樹の名前はクリフォト。
人の血を啜る悪魔の樹。
樹には悪魔の主が存在し、その主が満足するまで──周囲の命を吸い尽くすまで樹が枯れることはないという絶望。
逆に言えば、吸われる命が無くなってしまえば樹は枯れるという唯一の救い。
やがて人々から畏怖と嫌悪を込めてこう語り継がれる。
邪悪な樹クリフォト、それは悪魔の城。
吸血樹クリフォト、それは生きとし生けるものを吸い尽くす。
災禍の魔樹クリフォト、それはこの世にあってはならない破滅の象徴。
なんかいっぱい攻め込んできたんですけど!?
暫くの間気分良く鼻歌唄ってたら、クリフォトの樹の内部にたくさんの兵士の方々が雄叫びを上げながら突撃してきた。
樹の内部に侵入しようとする前、外から燃やそうとしたり破壊しようとしたり、それこそ色々な魔法を駆使して頑張ってたみたいだけど、いくら頑張っても焼け石に水で魔法使える人達が疲れちゃったらしい。
クリフォトって燃えにくい植物のようで火はなかなか点かないし点いてもすぐ自然に鎮火する上、樹がデカ過ぎて他の魔法による攻撃も全く有効ではない。手榴弾で山を破壊する感じだから本気で実行すると気が遠くなりそう(他人事)。
んで、これ見よがしに内部へ侵入する為の穴(樹洞)みたいなのあったら、そりゃ突撃かますか。
内部はクリフォトが作り出した異空間というか、外の空間とは隔たりがあるんだけど、罠もなければ進路を邪魔する者もいないので、侵入してから一時間くらい経過したら開始したばかりのコミケかと思うくらいの勢いで兵士の方々(オタク)が武器を手に俺(人気サークル)が座ってる広間にご来場。
「何だ貴様は!!」
「この樹の主か!?」
「まさか悪魔の仕業だったとは!!」
「成敗してくれる!!」
「地獄に帰れ!!」
「怯むな皆の者、悪魔といえどたったの一匹! 皆でかかれば倒せようぞ!!」
口々に好き勝手言うと突っ込んできた。
が、俺はそれを許さない。樹に命じて、兵士達の足下から触手を伸ばし串刺しにさせる。
「ぐわ!」
「ぎゃあっ!?」
「ごばっ」
一斉に足下から槍のように突き出た触手が期待通りに働いてくれた。腹や胸、背中、首や顔、酷い者は股間を貫かれ、断末魔の叫びと血飛沫を上げ絶命し、さっきまで騒がしかったのが嘘みたいに一瞬で静かになる。
血が地面を赤黒く染めるが、地面もまたクリフォトの樹の一部である為、血の汚れも吸われて消えていく。
「ひぃ......!!」
「お、お、お助け......」
どうやら運良く生き残った人が二人いた。
恥も外聞もなく泣きじゃくり、鼻水を垂らし、尻餅を着いてお漏らししながら恐怖に震えている。
そんな二人の目の前で、触手に串刺しにされた他の兵士達がそのまま血を吸われてあっという間に干からびてボロボロと崩れ落ちた。
いくつもの武器や兜、鎧が転がって乾いた音が立つ。
「「ひぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!!」」
二人は揃って泣き喚く。自分達の待ち受ける残酷な運命に絶望しているのだろう。
ここで俺が悪役ムーブで話しかける。
「愚かな人間共」
「「っ!?」」
固まったように動かなくなる二人に俺は威厳たっぷりの口調で告げた。
「俺はこの樹、クリフォトの主」
即興でセリフを考えながら、一つ一つ丁寧に言う。
「貴様ら人間を贄とする者だ」
人が死ぬのを目の当たりにして、自らの手で殺したのに何の感情も浮かばない。
人間の兵士達が攻めてきた時、養分が自分からやって来たかと思ったくらいだ。
まるで心も体も悪魔になったかのようで、実に楽しい。
「さあ、貴様らも贄になれ」
言い終わりニヤリと笑ってやった。今の姿はユリゼンなので、さぞ凶悪な笑顔になったであろう。
案の定、二人は悲鳴を上げることすらせず我先にと脱兎の如く逃げていく。
それを見送ると、ふーっと溜め息を吐いた。
「悪役ロールプレイって、楽しいけど疲れるな」
敵の迎撃に成功、ということで何故か報酬として入手したレッドオーブをどう使おうか思案する。
さて、これで外の人間達はどのような手段を取るだろうか。
三十人以上いた兵士がたった二人になって帰ってきた。
中には樹の主を名乗る一匹の悪魔が鎮座しており、人間を贄にすると宣言。
人間側の最適解としてはとっととクリフォトから離れて金輪際関わらないこと一択だが。
「きっと来るだろうな」
半ば確信した俺は、レッドオーブと養分に臨時収入キタコレ! 程度にしか思わない。
で、やっぱりたくさんやって来ました人間の兵士さん達。
ここであることに気づく。
クリフォトの種を蒔く前の戦場跡って二つの国が争ってたぽいって思ってて、その予想は間違いなかったんだけど、なんでキミ達は仲良く一緒になって突撃してくるのかな?
少し前まで戦争してたんじゃないの? もう停戦なり休戦なりしたの?
俺という敵を前に人間同士で争っている場合ではないと漸く理解したの?
ま、なんでもいいよ。皆殺しにして養分とレッドオーブになってもらうから。
ということで!
「虫けらが」
火炎弾を群がる兵士達のど真ん中にシュー! 超! エキサイティング!!
着弾したそれが爆発して範囲内の人間を粉微塵にぶっ飛ばす。
「雑魚がいくら数を揃えようと」
魔力の矢を彼らの頭上から雨のように降らし、それだけでバタバタと倒れていく。
「無駄だと知れ」
最後に薙ぎ払いビーム。白い破壊の光が俺の正面の魔法陣から放たれ、それを左右に振ることで立っている者がいなくなった。
さっきまで命だったのが辺りに散らばっている。
迎撃成功! 何故かゲームのミッションとかの任務達成扱いで成功報酬でもらえるレッドオーブにウッハウハ!!
いいよいいよ! こういうのもっとちょうだい!!
それから数日間はフィーバータイムだった。果敢かつ無謀にも攻め込んでくる人間共を血祭りにしていく。
クリフォトにとっては血をチューチューできてオイチイ!
俺は迎撃すればレッドオーブが手に入ってオイチイ!
そして養分をクリフォトから供給され、レッドオーブを時空神像に捧げ、俺はどんどん強くなる。
文字通りの血祭りな日々に俺は歓喜して酔いしれた。
何だこれ血祭り最高かよ。ワッショイワッショイ! ワッショイワッショイ!
攻めて来る人間共も少しずつ強くなってきたのが面白い。最初の頃はいかにも雑兵、一般兵って感じのがたくさんやって来ていたが、量より質でないとダメと決断した後は少数精鋭で来襲。カッコいい言い方をするなら軍の虎の子部隊とか、○○騎士団とかな。それ以前の連中より装備が充実しており連携が取れた動きを見せてくれる。
それでもこっちの遠距離攻撃が強力過ぎて、まともな一太刀を浴びせることもできずに全滅するんですがね。
たまーに、本当にたまーにだけど中にはこっちの遠距離攻撃をなんとか掻い潜って剣を振り下ろす奴もいたが、
「だが残念」
閻魔刀バリアー!!
トゲトゲした水晶体に姿を変えた閻魔刀が難なく敵の剣を防ぐ。
ダンテですら破ることができなかった閻魔刀バリアーを、腕が多少立つとはいえただの人間が破るなど逆立ちしたって無理だ。少なくとも魔界の帝王を余裕綽々でぶっ殺せるくらいの戦闘力になってから出直して来な。
「何っ!?」
渾身の一撃を受け止めた水晶体を見て目を見開き、動きが止まったその足下から蒼い炎の火柱がどーん!
「ぐああああああっ!!」
ウルトラ上手に、焼けました♪
ってダメだよ。コンガリ焼けたら血を吸えないじゃん! ウエルダンは明らかにやり過ぎだったな。
まあええわ、次からは焼き加減ミディアムレアで。
じゃあはい、次の方どーぞ。
弱っちいのをたくさん倒すことより、少数の強いのを倒した方がレッドオーブ取得量は多いけど、それだとクリフォトの養分である血は多く得られない。個々の人間の強さは、養分に関して因果関係はないようだ。
なので、弱いのたくさん、強いのもたくさん攻めて来て欲しいのだが、そうは問屋が卸さず。
大人数でのご来場はなくなってしまいました。厳密に言えば軍隊とか騎士団みたいな人達、在庫切れなのかもう全然来ない。ぷよぷよみたいに全消しやりまくったせいだろうか?
その代わり、装備や戦い方がそれぞれ異なる数人のチームらしき集団──RPGゲームでいう剣士、魔法使い、盗賊、僧侶、その他の職業って感じの冒険者? 冒険者だよね? な人々がエントリー。
うわっ! マジでゲームみてーだ! と感動しながらボンボコ遠距離攻撃しまくります。
「「「「グワー!!」」」」
でも弱いぞ。
粉砕!(急襲幻影剣)
玉砕!(烈風幻影剣)
大喝采!(五月雨幻影剣)
の三連コンボで全滅とかちょっと悲しい。そんなんじゃ魔王どころかフィールドマップでランダムエンカウントする雑魚にすら勝てないぞ。まさかブチスライムを倒すのに数ターンかかるカスじゃあるまいな?
兵士諸君や騎士団様達では全く見なかった女性が冒険者達からはチラホラ見られるようになった。一つのチームに紅一点ってのが多いんだけど。
男を殺すのは屁でもないけど女を殺すのは流石に気が引けた。フェミニストのつもりはないが、女性って出産あるし、こんなヤクザな商売辞めて結婚して子どもでも産んでくれれば人類滅ばないし、ということで基本的に女性は見逃すことに決める。
仲間の男は絶対、必ず抹殺するがな! もし恋人とか夫が仲間内にいたとしても新しい恋でも見つけろってことで諦めてもらうのは確定事項だ!
そもそも戦場でなぁ、恋人や伴侶の名前を呼ぶ時というのはなぁ! 瀕死の兵隊が甘ったれて言うセリフなんだよ!!
そんなこんなで──
「......誰も来なくなっちゃった......」
数日前の入れ食い具合が夢か幻だったかのような静けさに、俺の声が虚しく響く。
連日のボーナスタイムに『楽し過ぎて狂っちまいそうだ!!』って笑いながら血に狂ってたら、ある日を境にパッタリ誰も来なくなってしまった。
冒険者達も在庫切れ? ちょっと追加発注したのにどうなってんの? 物流滞ってんだけど、担当者呼んでくれる? 折角お客様をおもてなしする準備万端なのに誰も来ないとか、クリスマス当日の星飛雄馬はやめてくれよ。
「あー、マジで誰も来ない」
当然、樹は血を吸えないしレッドオーブも手に入らないので、俺に供給される養分も激減、時空神像に捧げるレッドオーブなんて節約の為に買い控えだ。クリフォトの経済は不況の真っ只中であり景気が良くなる気配は皆無。狂喜の渦へと巻き込んだバブルは弾けてしまったんだぁ(白目)。
「あれ? そういえば種蒔いてからどんくらい経ったっけ?」
確か一ヶ月は既に経過したような──
「んっ!?」
その時である。クリフォトの樹からとある情報がもたらされた。
実った果実が熟した、という知らせだ。
「待ってたぜェ!! この