DMC5のクリフォトの樹の実をオイチイオイチイしまくってたら人魔問わず全方位から警戒されまくってて草 作:美味しいパンをクレメンス
「ハッ!」
一歩踏み込み斬り上げるような居合い斬りから、
「フンッ!」
真っ二つにするつもりで閻魔刀を振り下ろす。
しかしギィは余裕の表情で二連撃をそれぞれ下がるのみで対処。
俺は更に踏み込んで袈裟斬り、払い斬り、逆袈裟二連続斬と追撃するが全て避けられる。
むきになって閻魔刀を振るうがその後も悉く躱されてしまう。体を反らし、半身になり、下がって距離を取りギリギリ間合いの外に逃げられるのが続く。
当たらない。当たる気がしない。純粋な身体能力がアホみたいに高いぞこいつ!? あからさまに遊んでいるというのが丸分かりだ。その証拠として反撃してこない。
格上、そうは思っていたがこれほど差があるとは予想外。こうなったら一太刀でもいいから叩き込んでやりたいが、そう上手くはいかない。
こうなりゃ意地だ。絶対に一発入れてその余裕かましてる綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる!!
「そろそろこっちからいくぜ」
っと思ってたら剣が無造作に上段から振るわれた。
回避は無理! クッソ速い! なんとか相手の剣にこっちの刀を合わせて防ぐのが精一杯。
耳を劈く金属音というより最早爆音。
重い! マジでクソみたいに力強いなこいつ! 歯を食い縛って耐えるが足下に大きな皹ができて砕けて、足が地面に陥没した。
「お、正面から受けて無事か。スゲーな」
なんか賛辞の言葉が聞こえるが俺にそれを聞いてる余裕がない。このまま押されてるけど耐えられそうにない。
受け切れない、受け流さないとダメだこれ。上手くいなさないとこっちが真っ二つにされる。世紀末病人の『剛の拳よりストロングな柔の拳』ができないと死んじまう。
ぷるぷる震える全身の筋肉を駆使してギィの剣を横に流す。
「あ」
少し驚いたように声を上げつつ体を泳がせるギィ。
彼の剣がそのまま地面にぶつかって、地割れが起きたみたいに大地が真っ二つに裂けた。いや、底が見えない真っ暗闇なんですが威力どんだけ!? お前の通常攻撃は何処ぞの騎士王様の宝具なの!?
慌てて距離を取るがギィが意趣返しするかのように肉薄。そして振り回される剣を刀で受け流していく。
とんでもないパワーとスピードでこっちを粉微塵にしようとしてくる剣撃を閻魔刀で必死に捌く。捌いて、いなして、受け流す。一度でもミスれば死ぬ。全神経を集中して丁寧かつ精密動作を要求される対応をしないと一瞬で八つ裂きどころかネギトロみたいになる未来が待ってる。
「お前、スゲーな。剣の腕だけなら俺より上じゃねーか」
感心してくれてるようだが口では応じることができない。そんな余裕が本当にない。そいつはどうも、アンタもパワーとスピード半端ねぇよ! 閻魔刀装備して戦ってんのに防戦一方で泣きそうだわ畜生!
っていうか閻魔刀は大丈夫なの? 折れたりしない? 日本刀みたいな外見だからちょっと心配なんだよ。
そんな余計なことを考えていたのがいけなかった。
「しまっ──」
下段から掬い上げるように振るわれた一撃を今までのように受け流せず、刀を握ったまま両腕を跳ね上げられてしまう。
「がら空きだぜ?」
その隙をギィは逃さない。鋭い刺突が繰り出され、俺の左胸を──心臓を剣が貫く。
「ぐっ!」
あ、熱い! 痛いというよりは熱い! のた打ち回るほどに熱くて痛いのに体を貫通している剣に固定されて動けない。
「いいぜ、気に入った。お前を俺の配下にしてやろう」
吐息が届く距離まで顔を近づけたギィが笑みを浮かべて囁く。
「名前もくれてやる。そうすればお前は今よりもっと強くなれるぜ」
名前をくれる? つまりはギィが俺の名付け親になるってことか?
何故かそれは、無性に嫌だった。
ギィの配下となり名前を与えられれば強くなれる、もしそれが事実であれば少なくともこの場で死ぬことはない。今、俺の生殺与奪を握っているのは目の前のこの悪魔だ。根拠も証拠も何一つないのに、俺が頷けば命の保証はしてもらえるという妙な確信がある。
だが、しかし──
「断る」
はっきりと俺は告げる。
ろくに知りもしない人物に気に入られたという理由だけで名前を付けられるなんて糞食らえだ。
『我に血を捧げよ』
誰かの下に付くのも、命令されるのも真っ平ご免。
俺を動かすことができるのは、俺に命令できるのは、俺に名前を与えられるのは俺だけだ。
『我に血を捧げよ!』
こっちの心臓を貫いてる剣の柄を──ギィの右手ごと左手で握り締める。
驚き目を見開くギィが何かする前に、右手に持った閻魔刀を振り下ろす。
「があっ!!」
ギィの悲鳴なんぞ構わず左肩と首筋の間にめり込んだ閻魔刀を更に押し込む。
残念だったなぁ! スパーダの血族(この体が本当にそうか不明だが)は心臓を貫いた程度じゃ死なねぇんだよ! むしろパワーアップイベントとして必須なくらいだアホンダラ! DMCシリーズ恒例の貫通式って言われてるのは伊達じゃねぇんだ! その証拠として今まさに
そして
「フンッ!!」
頭を仰け反らせてから勢いよく自分の額をギィの額に叩きつけ、怯んだ瞬間に俺に刺さっている彼の剣を引き抜き奪い取り、
「要るかよ、こんなもん!!」
そのままお返しとばかりに彼の鳩尾に剣をぶっ刺し、刺さった剣の柄尻に喧嘩キックをかます。
吹っ飛んでからもんどり打って倒れるギィ。
『我に血を捧げよ!!!』
さっきから脳内の時空神像がうっさい。レッドオーブを大量消費することで自分自身に『名付け』ができるようだ。
『名付け』をすることによって生命力が上がったり進化したりといったメリットが発生するとかなんとか。デメリットに関してはレッドオーブの消費のみ。なら躊躇う必要があるだろうか。
「......俺は、クリフォトの主」
クリフォトの樹を今後も使う以上、人類のみならず、全ての生命の敵と言っても過言ではない。
俺は力が欲しい、絶対的な力が。何かを為すのに必要だから力が欲しいんじゃない。ただただ力が欲しい、それだけだ。
力を得る為にクリフォトを用いて犠牲を出し続ける、災厄の悪魔。
だったら、もう既に相応しいのがあるじゃないか。
そもそも一番最初に変身した姿が、何もかも体現していたようなものじゃないか。
「俺は
クリフォトの主、ユリゼン。今日からそれが俺の名だ。
するとどうだろう。更に俺の身体能力と魔力が上昇していくのを実感。己の格がまたしても上がったことを事実として知る。
なるほど、だからギィは名前があるかどうかを気にしていたのか。この世界は名前の有無が重要なんだ。ひとまず納得し、こちらを睨みながら自身の腹に刺さった剣を引き抜き立ち上がるギィに対して、半身となり両手で握った閻魔刀の切っ先を向け水平に構えた。
「傷が塞がらねー......お前のそれ、ただの武器じゃねーだろ」
自分の剣で刺された箇所は既に出血が止まり傷が再生し始めているのに、閻魔刀で斬られた箇所はそうではない。血は止まっているようだが傷は再生する気配がない。
確か閻魔刀って複数ある能力や設定の内に『闇を切り裂き食らい尽くす』とかいうのがあったな。ギィの傷がすぐに治らないのは恐らくそれが関係しているに違いない。『闇』とはつまり広義的な意味で『魔』に属するものを指し、閻魔刀による攻撃は悪魔であるギィに特効となるらしい。
閻魔刀はDMCのシリーズにおいて、悪魔でありながら人間の味方となり、魔界の王を含めた同胞の悪魔達を片っ端からぶった斬っていた『伝説の魔剣士スパーダ』が所持していた一振りだ。魔族や魔物に弱点特効がついていても不思議じゃない。
「俺にもよく分からん。すまんな」
ま、そんなことわざわざ教えてやらんがな。
ちなみに俺の傷──ギィに剣で心臓を貫かれたやつはとっくに完治してる。
ダンテ達も斬られたり刺されたりしてもすぐにケロッとしてたから、俺の体もそういう風になったんだろうな。
心臓刺しても死なねーヤベー奴ってことで、これ以上俺とは関わらん、ってなってくれたらありがたいのだが彼の表情を見るにそれは望み薄。
「いいぜ、ますます気に入った」
嬉しそうな顔してんじゃねぇよ。新しい玩具を与えられた子どもみたいに目をキラキラさせんなっつの。
「その傷でまだやるつもりか?」
「ああ。是が非でもお前を配下にしたくなった」
厄介な奴に目を付けられちまったもんだな。
こうなりゃ初めての
「ならば第二ラウンドだ」
レッドオーブは『名付け』でさっき大量消費したせいで手持ちに余裕がない。だがまだある程度は残っている。
ということで、
俺の姿が人間から人型の青い悪魔へと変わる。鏡がないのでしっかり自身の姿を確認できないが、視界に映る範囲を見る限りではたぶん『3』や『4SE』のバージルが
つーか、
「まだそんな力を隠し持っていたのか!?」
俺の変身を見たギィが推しアイドルを前にしたドルオタみたいになっとる。
......なんかどんどん喜ばせるだけになってる気がするけど、今度はマジでぶっ倒すつもりで戦うかんな。純粋な剣術しか使わなかったさっきと違って幻影剣も次元斬も解禁するし、先と同様に攻撃を食らいながら攻撃する、魔人化中のスーパーアーマーを活かした肉を切らせて骨を断つ作戦も使いまくるので悪しからず。
では改めて──
「俺はクリフォトの主、『ユリゼン』」
「俺は
互いに相手を見据えて名乗り合い、同時に踏み込み斬りかかる。
「勝負だギィ!!」
「かかって来やがれユリゼン!!」
ヒャッハー第二ラウンドだぁっ!!!
数時間後。
互いにボコボコの血塗れの青息吐息の状態で俺から切り出した。
「......すまん。ウンコしたいからそろそろやめにしないか」
「お前悪魔なのに排泄あんのかよ!?」
「え?」
「え?」
忘れてたけどスパーダの血族ってスパーダ以外は人間とのハーフやクォーターだから普通の人間と同じ生理現象があって、当然のように俺にもありましたよ。便意と尿意が。
クリフォトの樹と融合してる間は空腹感も睡眠欲も便意も尿意もなかったのに、だ。
で、ギィ曰く悪魔は精神生命体だから人間を含めた物質生命体の生理現象はないんだと。
「ウンコしないのか、普通の悪魔は」
「ウンコしねーな、普通の悪魔は」
「だが俺はしたいんだ、ウンコ」
「......お、おう」
結局勝負は流れた。ウンコだけに。
一応、再戦の約束はしたけど、別れが気まずかったから次会う時また気まずくなりそう。だから当分会いたくないなと思った。
ギィの撃退に成功!
主人公、ついにネームドになる。名前は『ユリゼン』。DMC5からまんま取った。
なおギィからの評価は以下の通り。
初見時──ランクC
「面白そうな奴」
↓
戦い始めて──ランクB
「面白い奴」
↓
心臓刺しても死なない──ランクA
「スゲー奴」
↓
デビルトリガー発動──ランクS
「自分自身で名付けして更に強くなりやがったのに、まだその上があるだと!? これは楽しめそうだ!」
↓
ウンコ発言の前──ランクSSS
「楽し過ぎて狂っちまいそうだ!」
↓
ウンコ発言の後──ランクFuck(糞)
「ウンコ野郎」
ちなみにギィから事の顛末を聞いたレインは爆笑しミザリーはドン引き。しかしレインは「青かったからお前の系統じゃね?」とギィに言われて「あんなウンコ野郎知りませんよ!!」と憤慨したとかなんとか。