DMC5のクリフォトの樹の実をオイチイオイチイしまくってたら人魔問わず全方位から警戒されまくってて草 作:美味しいパンをクレメンス
ギィとの初邂逅と初戦闘と気まずい別れを経てから、約半年程度経過した。
今俺は、この世界に降り立って初めてやって来た人間の国にいる。それなりの規模の国にあるそれなりの街の中でそれなりに大きい冒険者ギルドみたいな場所で、いくつもの依頼書が貼られた掲示板の前に立っている。
冒険者ギルドみたい、というのは厳密には冒険者ギルドではないからだ。基本的には魔物の退治を専門とする、荒くれ者共に仕事を斡旋する場所──ハンターズギルドだそうだ。そもそも『冒険者』という単語や言葉、意味そのものがまだ世間に出回っていないというか確立していないらしく、やがて冒険者ギルドの前身となる組織、が正解に近いかもしれない(つまりクリフォトの樹と融合していた俺を討伐しに来た人達は冒険者じゃなくて魔物の退治屋)。
一般的にこの生業を魔物の退治屋、もしくはハンターと呼んでいて、確かにやってることは冒険者ギルドというよりはまるでモンハンのハンターズギルドである。
約半年前にギィと出会ってから、その後は支障なく人間社会に紛れ込み
ちなみに
この世界、色々と調べてみたがマジで剣と魔法のファンタジーななんちゃって中世みたいな世界で、科学技術が全く発展してない代わりに魔法が当然の如く存在し、魔物などの人外が跳梁跋扈していた。
で、そんな世界で人類はどんな感じなのかというと、ぶっちゃけカスみたいな存在なんだわ。ゲロ以下の臭いがプンプンする人間辞めた金髪が言ってたようにマジで『貧弱! 貧弱ゥ!!』なの。けど頑張って集まって知恵を搾って国家を作ってそれなりに繁栄してたりする。一匹いたら街とか小さな国家とかが壊滅してもおかしくない化け物が、たまーにそこら辺を我が物顔で闊歩してたり飛んでたりする世界で、である。そこんところは脱帽もんだし素直に尊敬してもいいと思う。
が、ここで人類同士で戦争するのが人類のダメというか愚かなところ。
いやいや人類にそんな余裕ないだろ、戦争なんかしてないで一緒に魔物討伐でもしてろや、と誰もが思うはずなんだけど、情報収集してると耳に入るんだなこれが。あっちの国とこっちの国が戦争してどーたら、そっち方面から蛮族が攻めてきてなんちゃら、とかなんとか。それらの話にどれほどの信憑性があるか不明だが、聞いててうんざりするのは間違いない。
以前クリフォトの樹が生えたら戦争してた国が手を取り合って仲良く俺を討伐しに来た前列があるから、ここは人類同士の仲を取り持つ為にも俺が一肌脱ぐしかないかな(暗黒微笑)!!
ま、それは追々として。
今は目の前の掲示板の、魔物討伐依頼を吟味することにしよう。なんかこういうの、モンハンのクエスト及び集会所やそれらのムービーシーンを思い出して楽しい。ゲームと違って未挑戦やクリア済み表示とかそんなんある訳ないし、毎回異なる依頼が並び常にやりたい依頼がある訳ではないけど、まさに誰もが熱中したあの世界の一部になっているみたいで感無量。
勿論、何が起こるか分からない命懸けの、常に死と隣り合わせの危険な仕事だから油断は禁物なんだが。
「よし、決めた」
貼られた依頼書の内、報酬がオイチイ! のを上から順に纏めて五枚剥ぎ取り受付カウンターへと持っていく。
「これを」
「はいギルバさん。少々お待ちを」
受付嬢が営業スマイルで対応してくれる。
ギルバとは俺の偽名だ。DMCの小説版に登場するあるキャラクターから取った。顔が『5』のネロで髪型が『3』のダンテで服装は『3SE』のバージル2Pカラーというごちゃ混ぜ具合の俺だが、現在のメインウェポンは閻魔刀なので一応はバージルに関連のある名前にした。人間社会に紛れ込む以上、馬鹿正直に『ユリゼン』と名乗るつもりはない。まだギィにしか名乗っていないが、情報というのは何処から漏れるか分からない。魔物退治をしている一介の剣士『ギルバ』はクリフォトの主『ユリゼン』とは何の関係もない、ないったらないのだ。いいね?
「お待たせしました。それでは依頼内容について詳細を──」
その後、手続き済ませると俺はとっととギルドを出て、街を出る。
俺の移動手段は現在四つ。
まず徒歩。時間がかかるので基本的には選ばない。
次、閻魔刀で空間を斬り裂いて転移。便利なんだけど一つ致命的な問題があって、知らない場所や行ったことない場所へは行けないということ。今回は初見の場所を最初に行くつもりなので、帰りやその他に向かう際はお世話になるつもり。
三つ目、幻影剣を飛ばして幻影剣がある位置まで瞬間移動するエアトリック。戦闘にも移動にも使える優れものだし、街の中や外に出る際に歩くの面倒でよく使う(さっきもギルドを出てから街を出るまで使った)けど、あえて今回は選ばない。
四つ目の選択肢、それは──
「キャバリエーレ」
じゃじゃーん! DMC5に登場するダンテ専用の魔具、キャバリエーレでした。
紫電を迸らせつつ俺の右横に顕れるバイクみたいなそれは、見た目の通りバイクとして乗ることもできれば、真っ二つに別れて双剣(というかチェーンソー)として振り回すことができる。
以前ギィと戦った時、彼の撃退に成功ということで任務達成の報酬で入手したレッドオーブを消費して時空神像から購入しておいたのだ。
バイク型の魔具だからどんな悪路もへっちゃらだ。山だろうが川だろうが荒野だろうが雪原だろうが森の中だろうが問題なしのお構いなし。道なき道も何のその。むしろこれ乗って走った後及び跡が道になる結果に。
乗り物であり武器でもあるから魔物が進行方向を邪魔しても轢き逃げアタックでミンチにするので走行を中断されない。
通った場所が既知の場所となるので、後々閻魔刀での空間転移にも利用可能。
早速キャバリエーレに跨がりサイドスタンドを左足で蹴り上げ、クラッチを握りスロットルを二度三度と捻りエンジン音を確かめてからギアをニュートラルから1に切り替え発進。
「午前中までには二つ三つ終わらせて飯食いたいな」
猛スピードで駆け出しながら一人言を呟き、今日の予定を考えるのであった。
その男はふらりと現れた。
近隣諸国で大きな戦争が勃発し、その最中に『クリフォトの樹』という新たな脅威にして災厄が生まれ、それを討伐に向かった凄腕のハンター達のほとんどが帰らぬ人となり、職員の誰もが暗澹たる思いを抱えて日々を暮らしていた時だ。
「ハンターとして登録がしたい」
銀髪碧眼で整った容姿。貴族が着用するような高級そうな赤いコート。手にしているのは一振りの刀と呼ばれる剣。立ち居振舞いは歴戦の戦士でありながら身に纏う空気は静謐そのもの。
素人目からしても只者ではない彼が醸し出す雰囲気に呑まれて皆が押し黙る中、ベテランの受付嬢が粛々と登録手続きを進めていく。
全ての手続きや説明等がつつがなく終わると、掲示板に貼られていた依頼書の中で最も危険で最も報酬が高いものを一枚剥がし突き出してきた。
登録したばかりの新人がいきなり受注できる依頼ではない、そう説明しようとした受付嬢をギルドマスターが制止。
ギルドマスターはこう感じていた。彼は他の者達とは違う。底知れぬ何かを感じる、と。だから登録したばかりの新人だったが、長年培った勘を信じて彼のやりたいようにやらせてみることに。
これで彼が死んでしまったら自身の人を見る目が曇っていただけ。だがしかし彼は無事に戻るに違いないと確信し期待を込めて送り出す。
そして、ギルドマスターの勘が正しかったことはすぐに証明される。
彼は無事に戻ってきた。しかも、往復するのに馬を使っても数日かかるはずが、出発してからたったの数時間後にだ。
おまけに討伐対象である危険極まりない魔獣の首を片手に。ついさっき斬り落としてきたと言わんばかりに血が切断面からポタポタと零れていた。
なんでこんなに早く戻ってきたのかとか、なんで生首そのまま持ってきたとか、色々と聞きたいことがあったので問い詰めてみれば、彼は淡々と答える。
曰く、移動に便利な魔法のアイテムや能力があるので移動時間はそれほどかからなかった、討伐対象の魔獣は倒すよりも探す方が大変だった、魔獣の素材は不要だから首から下は依頼主に寄贈した、生首は討伐の証兼お土産、とのこと。
彼の返答に呆けることしかできないギルドマスターと職員達をそのままに、彼は手にしていた首をその場に放り捨てると依頼書が貼られた掲示板へと向かう。
「次はこれを頼む」
もう次!?
「ああ、そう言えば先の依頼の完了手続きがまだだったか。では先にそちらを頼む」
いやそうじゃない!! この時この場にいた誰もが心の中で叫ぶ。
これが後に『首狩り剣士ギルバ』と呼ばれる英雄の鮮烈なデビュー。
ギルバは一言で言えば凄まじかった。
依頼を受ける、暫くすると魔物の首を持ってくる、また依頼を受ける、少し経つと魔物の首を持ってくる、この繰り返しが一日に四回から五回程度。勿論、どの依頼も凶悪な怪物の討伐依頼であり、危険度など語るべくもない。通常のハンターならばどんなに凄腕であったとしても一つにつき数日から一、二週間は必要とするものを。しかし彼は常に淡々とした態度で受注し、散歩でも行ってきたかのような気軽さで首を持ってきた。
「......あの、ギルバさん。討伐の証は首じゃなくてもいいんですよ」
「これが一番楽だし誰が見ても一目瞭然だ。すまんな」
「でも毎回新鮮取れたてを持って来られますと、血で床が......」
「む」
血生臭くなった受付の前で一度だけ職員が首じゃねーのを持って来いとオブラートに包んで進言したら、
「ではこうしよう。これならギルド内が血で汚れることもない」
今度はギルドの玄関前に首を並べ始めやがったのだ。
だからそうじゃないっつーの!!
多種多様な魔物の首が花壇に咲く花のように綺麗に並べられ道行く人々を虚ろな目で睥睨する光景は、街の住民から何か良からぬ誤解を生みかねないというのにギルバは一人満足気にうんうんと頷くだけ。
「首を剣か槍で貫いたのをギルドの壁面に突き刺せば良い飾りになるはずだ。内壁と外壁にそれぞれ、な。もしくは帽子ハンガーのようなもので首を吊るせば、このギルドは実績があるのだと誰もが思うだろう」
思わねーよ! 断固拒否だ!!
「......そうか」
普段表情の変化に乏しい彼が心の底から残念そうに呟いたが、ダメなものはダメである。ギルドを地獄に変えたいのだろうか。
見ると呪われそうなインテリアやオブジェの設置はギルドマスター含めた職員全員で全力阻止したものの、相変わらず討伐対象の魔物の首をギルドの入り口前に並べるのをやめようとしない。
こいつ頭おかしい。
ギルドを出入りする者達は当然として、街の住民からもヤベー奴認定されるギルバであったが、本人は自身への評価や風評など一切気にした様子がない。
ハンターとしての実力は超一流で依頼を達成する早さは誰よりも早く、容姿も整っておりハンターを生業としているのに常に清潔感があり、粗野で粗暴で荒くれ者が多いハンターの中でも常識的で紳士的で話がし易く、依頼主から苦情もない、しかし首狩りの狂人というのが彼の総評であった。
彼は今日も意気揚々と狩った獲物の首をギルドの前に飾る。
やがて数年後には若手のハンター達の中でも特に有望な者達が超一流の彼に倣って首を飾り始め、ギルド側としては大変不本意なことに『狩った獲物の首を大衆の目につく場に並べること』がギルドに所属するハンター達の間で己の力を示す宣伝を兼ねた伝統になっていく。
更に後年、ハンターズギルドに魔物退治以外の仕事が年々増加していたことや人々から何でも屋として頼られるようになっていたこと、『冒険者』という言葉が新しく生まれたことを鑑みて名称を『冒険者ギルド』に変更。
それから長い年月とイングラシア王国の建国を経て『自由組合』へと再度名を改め、国家事業として多くの冒険者を輩出し各国へと派遣することになる。
上記の経緯から、今もなお続く冒険者間での首狩り文化は伝説の英雄『首狩り剣士ギルバ』にあやかり、偉業を達成した証として受け継がれるようになったのだ。
なお、ギルド施設内に録音した音楽を流す魔法アイテム『ジュークボックス』と『ビリヤード』の遊戯台を設置するのはギルバが発祥だ。これらは職員や他のハンター及び冒険者、一般人から好評であった為その後ほとんどのギルド支部にて広まり──
──『イングラシア王国建国秘話 第二章 自由組合の成り立ち』より抜粋
ギルドの内装をダンテの事務所みたいにしたい! 今まで狩った悪魔の首を剣で貫いたのを壁に刺して飾るスタイリッシュなインテリアみたいなやつ!
だから生首持って帰るんだけど、職員の皆さんは『絶対にNO!』って感じで取り付く島がない。
おかしいな。普通こういう生業に関わってる人達って何処かのネジ飛んでて割りとクレイジーな発想にもついてきてくれるはずなのに。これがモンハンのハンターズギルドであればギルド側から剥製にしようとか提案されるに違いない......解せぬ。
贅沢を言えばジュークボックスとかビリヤード台とかも中に置きたいけど、残念ながらこの世界にそれらはそもそも存在してない(はず)。なので諦めるしかない。いや、今はダメだとしてもいつかは......だからせめて首だけでも飾らせろよ!!
好き勝手したいなら自分で事務所用意してそこでやるべきなのは百も承知だが、如何せんそういう事務所の維持や管理が面倒臭いし、そもそもギルドと競合するようになって仕事の取り合いとか縄張り争いとかで揉めるのもヤダし。
ていうか俺、ここにいつまでいるか分からんのよね。人外だかんね。しかもクリフォトの樹ってギルドじゃ『災禍の魔樹』って呼ばれてて、ここに所属してたベテランハンターが軒並み殺されたから皆トラウマになってるし。その樹の主、とはバレなくても種族が悪魔だって身バレしたら即トンズラこくから身軽にしておきたい。
ただ、この世界の人間って聖人化とか魔人化(DMCの用語ではなくこの世界特有のもの)っていう方法で不老長寿になれるらしい。色々条件はあるようだけど、両者に共通しているのが人類を逸脱した強者であるということ。という訳で、老いないことについてはあまり言及されないんじゃないかと楽観視してたり。ま、本当に俺が不老長寿なのかは知らん。ダンテ達みたいに普通に人として年齢を重ねるかもしれんけど、そん時はそん時である。
「ん?」
今日も今日とてギルドにやって来ては掲示板とにらめっこ。いつものルーチンワークではあるが今回は少し毛色が異なる。
普段であれば魔物退治の依頼書が犇めく掲示板が、本日に限っては魔物退治の依頼だけではなく、野盗の討伐や荷物の運送、薬の原材料となる植物の採取、護衛といったものが散見していた。
「ギルバさん、実はですね」
話しかけてきたのはいつも対応してくれる顔馴染みの受付嬢。彼女の話によると、俺が危険度の高い魔物やら魔獣やらを片っ端から殺しまくったことで自然環境及び生態系に著しく変化が起き、退治の依頼そのものが減少傾向にあったらしい。それに反比例するかのように人々から「魔物退治以外もやってくれ」という意見が増えてきて、本日から試験的に導入し暫くは様子を見て、今後も上手くいきそうであれば本格的に魔物退治以外の仕事も斡旋していくとのこと。
「なるほど、そういうことか」
つまり需要と供給の変化、ニーズの変化か。
魔物退治以外も請け負うというのなら、いずれはハンターが冒険者と呼ばれるようになるのだろう。
ギルドの歴史の転換期、か。
「では俺が魔物退治以外の仕事を初めて受注する、ギルド初の男ということになるな」
「はい。ギルバさんはいつも開所と同時に、朝一番に顔を出しますのでそうなりますね」
「よし。ならこれを」
一枚剥がし渡したその依頼書の内容を見て、受付嬢は営業スマイルを全力で投げ捨て顔を盛大に顰める。
「......野盗の討伐依頼......流石に人の生首は持って来ないですよね? 持って来ないですよね? 持って来ないでください」
「無論だ」
俺は自信満々に返答し、ギルド職員全員からの疑いの眼差しを振り切り出発した。
「あの野郎!! 首持って来るなって言ったじゃねぇか!!!」
ギルバ担当の受付嬢はプッツンした。というか彼女だけではなく職員全員プッツンだ。
無論のこと、野盗は一人残らず斬首してギルド前で晒し首にしてやったから。
それなりに人数が多く、首一つひとつを地面に転がしておくのは流石に通行の邪魔なので、野盗の連中が所持していた剣や槍を用いて団子三兄弟や四兄弟を作り、地面に突き立てておく。『野盗の末路』と書かれた看板をそばに立てておくのも忘れない。
そんなこんなな生活をギィと出会ってから丁度一年くらい経過するまで送っていたら、近隣でまた戦争が勃発するかもしれないという噂を聞き、これ幸いとギルドに「暫く旅に出る」と言い残し足を噂の発生源に向ける。
さあ、一介の剣士『ギルバ』の時間は一旦終わりだ。クリフォトの主『ユリゼン』としての活動を再開しようじゃないか!!
凶悪な魔物や魔獣が大量死。
↓
自然界の生態系が変わる。
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魔物退治の依頼が減り、これまで危険で人が入れなかった場所に入れるようになる。(野盗や盗賊団などの犯罪者が隠れ家として入り込んだりもするように)
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人の生活圏が広がり経済や職業に変化を及ぼす。(今ここ)
ちなみにリムルが台頭する時代で『首狩り剣士ギルバ』を知らない冒険者やギルド職員は確実にモグリ扱いされる。