一領域目 俺は天使長に依頼を受けた
『突然申し訳ありません、
知らない番号から裏仕事用のスマホに電話がかかってきて出てみたらなんかイケメンボイスで裏の名を呼ばれたんだけど………。というか誰だろう?
「その前にあんた誰?」
『あぁ、失礼しました。私は四大熾天使の一人、天使長のミカエルです』
知らない番号の主は四大熾天使の一人、天使長のミカエルだったんだけど………
これはもう絶対面倒事だよね? ていうかその前になんで俺の裏仕事用の電話番号を知ってるんだろう? 俺のこの番号を知っているのは四大魔王とグレイフィアさんだけのはずなんだけど………
「それで? 天使長が俺に何の用?」
『仕事を依頼したいのですが』
「内容と報酬によるね」
『依頼内容は、聖剣の奪還の手伝い。報酬はもし適正があれば聖剣を一振りで、適正がなければお金で』
聖剣の奪還の手伝いって………盗まれちゃったのかよ聖剣。依頼に対しての報酬の聖剣ってさ、奪還したやつとかじゃないよね? しかも適正がないと使えないとか………キビシー。適正がなかった場合のお金っていくらもらえるんだろう?
その前に、誰に聖剣を盗まれたんだろう? やだよ、変に強い奴とかだったら。
「報酬のお金っていくらもらえるの?」
『最低でも億は』
「誰に聖剣を盗まれたの?」
『コカビエルです』
コカビエル………コカビエル………えっと………思い出せない。あ、そうだそうだ、サーゼクスが確か堕天使の中では結構強いって言ってた奴だ。
報酬のお金も最低で億はもらえるのか………。でも貯金も結構あるしなぁ。はぐれ悪魔狩りしまくったから億はあるね。それでもお金は大事だからなぁ。お金ないと食べ物変えないし、水道代払えないし、電気代払えないし。
よし、やったるか。でも、その前に黒歌に訊いておかないとね。
「―――――黒歌」
「どうしたにゃ?」
「今ね、天使長から依頼が来てね、聖剣が堕天使のコカビエルに盗まれたんだって。だから聖剣奪還の手伝いをしてくれって」
「コカビエル!? ダメにゃ!! 絶対ダメにゃ!!」
黒歌はコカビエルがどのくらい強いか知ってるんだね。だから絶対ダメって言ってるんだろう。
「ちなみにコカビエルは魔王より強いの?」
「魔王より弱いにゃ」
「焼き鳥よりは?」
「強いにゃ。でも最後に勝つのは焼き鳥にゃ。あの再生能力があるからにゃ」
なるほど。魔王よりは弱いのか。それならどうにかなりそうだね。
「ミカエル。ちなみにそのコカビエルはどこにいるの?」
『あなたが住んでいる駒王です』
嘘だろ………これは受けるしかないんじゃないか? 俺と黒歌の静かで平和で安全な生活を守るためには。
「黒歌。なんかコカビエルは駒王にいるらしいんだけど」
「にゃ!? ………一、今回はやるしかないにゃ。一と私の静かで平和で安全な生活を守るために」
黒歌も俺と同じ考えか。なんかうれしいな。
「わかったよミカエル。その依頼受けるよ」
『ありがとうございます。教会から二人ほどそちらに派遣しますので、その二人のフォローしてください』
「その二人は強いの?」
『正直、コカビエルには勝てないでしょう。それでもそれなりの実力はあります』
「わかった。二人はいつこっちに来るの?」
それが問題だ。多分男だと面倒なことになる。どうしてもフリードが頭に浮かぶんだよね。
『明日にはそちらに着きますね』
「おっふ………もう少し早く連絡できなかったの?」
『申し訳ありません。あなたの番号をもらったのがつい先ほどでしたので………』
「しょうがないなぁ………ちなみに女の子? 男?」
『女の子ですよ』
よし。黒歌に何か言われるかもしれないけど、フリードが頭に浮かばなくなったぞ。
「格好は?」
『いかにも教会の人間という格好をしてます』
それならわかりやすいね。
「それじゃあまたなんかあったら今かけて来てる番号にかけるから」
『はい。それではお願いします』
ここでミカエルとの通話を終わりにした。
結構問題が多いかもしれないね、今回の面倒事は。
†††
『アンタらが教会から派遣された人?』
「えぇそうよ!!」
ミカエルの依頼を受けた翌日、俺は学校を休んで
二人の格好がさ、なんかエロいんだけど。
身体にピタッと張り付いている黒の戦闘服。しかも丈が短い。その上に白いローブを羽織っているだけなんだよね。正直、痴女と間違えたね。
そんな見た目でも「神様は偉い!!」とか言ってるんだかね。少し教会が正気を疑うよ。
『こんな声でごめんね。面が割れると厄介だからね。俺のことは
「わかったわ。私は紫藤イリナそれでこっちが―――――」
「ゼノヴィアだ。よろしく頼む」
栗毛ツインテールが紫藤イリナで青髪で緑色のメッシュが入っているのがゼノヴィアね。どっちも可愛いね。レベルの高い駒王学園でも確実に上位に入るね、きっと。
『ミカエルからアンタたちの手伝いを依頼されたんだけど………ちなみにどこまで調べはついてるの?』
「ミカエル様から!? あなた一体………まぁいいわ。聖剣を奪った堕天使のコカビエルがここ、駒王に来ていることぐらいね」
「それと、先日からこの街に神父―――――エクソシストを秘密裏に潜り込ませていたんだが、ことごとく始末されているくらいだ」
それはドンマイとしか言いようがないね。でも秘密裏に潜り込ませてたのはまずいんじゃないかな? 万が一、リアス・グレモリーが知ったらぐちぐち言うでしょ。
『そう。どこに潜んでいるかわからないのね』
「「……………………………………」」
二人からの視線が痛いね。でも本当のことを言っただけなんだよね。俺と同じ情報しか持ってないとか………結局一から探すのと変わらないじゃん。
『それで? 基本的にはどうするの?』
「行動は夜に起こす。昼は人の目が多すぎて行動がしにくいからな」
『それで?』
「探す」
方法を教えてくれ。夜に行動をして探すのはわかったんだけどさ、肝心の方法を教えてくれないとね。もしかして方法すら考えてなかった? それとも教会に属する人間だけの秘密の方法的な?
『具体的な方法は?』
「それは………まだ考え中よ!!」
考えてなかったよ………なんでこの二人が派遣されたんだろう? ここまでひどいとは思わなかったんだけど………
『あー………わかったわかった。それじゃあ何か見つかったらこの番号に電話をして。ヘルプが必要なときもね』
「わかったわ」
裏仕事の時に使う名刺を渡した。そこで俺は二人と別れた。このままここにいてもしょうがないしね。
†††
『すぐに駒王学園の旧校舎、オカルト研究部の部室に来てくれ』
夜になって、黒歌と夕食を食べているときにゼノヴィアから電話が来た。ちょうど食べ終わったからタイミングはいいね。
『わかった。すぐに行く』
通話を終えて、黒歌の方を向く。
「ちょっといってくるね」
「にゃ。いってらっしゃいにゃ」
黒歌がうなずきながら言ってくれた。てっきり「私もいくにゃ」って言うと思ったんだけど。まぁいいや。さっさと行って、用を済まして、それで帰ってこよう。
今回は急いでいるので、俺の少ない魔力で足場を空中に創りながらいこう。
地面から跳躍―――――そして落ちるときに足場を魔力で創り、それを踏みしめて跳躍。跳躍を繰り返すとすぐに駒王学園に着いた。うーん、なかなか早く着いたね。本気を出したからかな?
旧校舎のオカルト研究部の部室にいるだろうから、部室の窓にそのまま突っ込むか。
最後の跳躍にありったけの力を込める!!
『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――』
部室の窓を突き破って部室内に侵入成功!! そのまま話し合いへ―――――
「………敵襲?」
『―――――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぶふぅ!?』
―――――向かえなかった。白音が俺の顔面に右ストレートをプレゼントしてきたから。
幸い、俺の絶対領域がクッションになってノックバックだけで済んだんだけどね。危ない危ない。狐のお面が壊れて俺の面が割れるところだったよ。
『なにすんだよまったく………』
「早かったな。ここまで早いと監視していたかと疑ったぞ」
『本気出したからね。それで? どうしたの?』
「悪魔にお前を協力者として紹介しておこうと思ってな」
『なるほどね』
ゼノヴィアが俺を呼び出した理由には納得したけどさ、これはまずいよね? だってリアス・グレモリーが目の前にいるんだよ? 絶対面倒な事になるでしょ。
『あー………っと、知っている人もいると思うけど、そこの教会から派遣された二人の手伝いをしている
「あ、あなた教会の人間だったの!?」
リアス・グレモリーが俺を指さしながら言った。
俺が教会の人間なわけがないじゃん。そうだとしたら、魔王とつながってるわけないし、レーティングゲームにもでないから。
『違うよ。俺はあくまでもフリー。報酬をもらう代わりに依頼を受けているだけだよ。もちろん仕事は選ぶけどね』
「………それもそうね。教会の人間だとしたらこの前のゲームに出るはずがないものね」
『理解してくれたようで何よりだね』
なんだ、わかってるじゃないか。
『それで? 今は何をしてるところだったの?』
「私たちの任務の説明をして絶対に干渉しないように言ったところよ!!」
「そして『教会の秘密兵器でもあるのかしら?』と聞かれたのでお前を呼んだ」
イリナさんがニコニコしながら言って、ゼノヴィアが真顔でそれに続けた。
ゼノヴィア………その言い方じゃあ俺が教会の人間って疑ってもしょうがないよ。
でもまぁ、説明は終わったんだしさっさと帰れるね。
『よし、じゃあ帰ろうか』
「お茶でもどうかしら
『遠慮させてもらうよ。いこう、イリナさん、ゼノヴィアさん』
「うん♪ ゴメンなさいね。それでは」
イリナさんが手でゴメンをしながら断った。このまま帰れるなぁと思った。思ったんだけどなぁ………二人の視線が一箇所に集まってるんだよね。
イリナさんとゼノヴィアさんの視線の先には、アーシアさんがいた。もうこの時点で嫌な予感しかしないよね。元シスターのアーシアさんに視線が集まってる時点で。
「―――――兵藤一誠の家で出会ったとき、もしやと思ったが、『魔女』アーシア・アルジェントか? まさか、この地で会おうとは」
ゼノヴィアさんが盛大にやらかしてくれた。バカタレが。そんなこと言ったらアーシアさん大好きなイッセーが反応しないわけがないじゃないか。
ゼノヴィアさんがそんなことを言うからイリナさんまでアーシアさんをまじまじと見てるし………
「あなたが一時期内部で噂になっていた『魔女』になった元『聖女』さん? 悪魔や堕天使をも癒す能力を持っていたらしいわね? 追放され、どこかに流されたって聞いていたけれど、悪魔になっているとは思わなかったわ」
「………あ、あの………私は………」
ほらぁ、イリナさんとゼノヴィアさんが言い寄るせいでアーシアさんが対応に困って、後ろでイッセーがわなわなとふるえてるじゃないかぁ………
「大丈夫よ。ここで見たことは上には伝えないから安心し―――――」
『そこまでにしてくれ。これ以上お前に口を開かれると面倒なことしか起きないからさ』
思わずイリナさんが話をしているときに口を突っ込んでしまった。だってこれ以上話をさせてもボロが出るだけでしょ? どんなボロかはわからなけどさ、面倒なことになるのはわかりきってるよね。
『というわけで、さっさと帰ろうね』
「「は、はい………」」
イリナさんもゼノヴィアさんも素直に返事をしてくれた。よかった………面倒な事になる前に家に帰れ―――――
「ちょっと待ちなよ」
―――――木場ぁ!? 嫌だよ、待ちたくないよ。俺はさっさと家に―――――
『何で俺の腕を掴んでいるの? イリナさんにゼノヴィアさん』
「待ってって言われたんだから待たなきゃ♪」
「そうだぞ。待てって言われたんだから」
『悪魔の声に耳を貸すんだね?』
「「………………………………」」
二人は無言で腕を放してくれた。そしてそのまま部室の外に出ようとする。でも扉の前に木場がいるんだよねぇ………
『どいてくれない? もう家に帰らないと寝る時間がなくなるだよね』
「あなたに用はありません。僕が用があるのは後ろの教会の戦士二人です」
『じゃあ俺は先に帰っても?』
「いいですよ」
木場が扉から退いてくれた。よし、俺が帰れれば後はいざこざがあってもいいからね。
こうして俺は無事に家に帰ることができた。よかったよかった。