黒歌と俺はぐっすり眠っていた。眠って
過去形になっちゃった理由は、多分コカビエルだ。結構な質と量の魔力を撒き散らしてくれたおかげで黒歌の目が覚めて、俺が黒歌に起こされたんだ。
あー嫌だ嫌だ。なんでこういうタイミングで面倒な事をしてくれるのかなぁ………。眠いったらありゃしなしよ。………せっかく黒歌が一緒に寝てくれていい夢が見れると思ったのに。
幸い、まだイリナさんとゼノヴィアさんから協力要請は来てない。だから………だから俺はッ―――――
「黒歌、もう少し寝ようよ」
「にゃ。一がそういうなら寝るにゃ」
寝させてもらいます。……………………………………………………寝れないんだけど。なんか一回目を覚ますと寝れないヤツあるじゃん? アレだね。まさしくアレ。
でもベッドで横にはなってるよ。とても起き上がる気力なんてないね。
「黒歌、コカビエルどうする?」
「にゃぁぁぁ………? ほっとくにゃ。今はこうしてるのが優先にゃ」
「うわわっ」
黒歌がこっちに寝返りをうつのと同時に抱きしめてきた。もうこのままでいたいなぁ………何もしたくない………働きたくない………裏仕事に関してだけだけど。
「まぁ協力要請が来たらいかないといけないんだけどね」
「それまではこうしてるにゃ」
「うん」
多分これから俺はどんどん面倒事に巻き込まれていくと思う。だってこれですでに三つ目だよ? こんな短期間に面倒事が三つ………いままでの生活から考えてみればありえないね。
イッセーのせいだ。イッセーが悪魔になって
「一、電話来てるにゃ」
そう言いながら黒歌が裏仕事用のスマホを渡してきた。
これは俺も戦闘に参加しろ的なことを言われるね………まぁしょうがないか。依頼だし、何より―――――俺と黒歌の静かで平和で楽しい生活のためだからね。
『もしもし』
『何処にいるんだ!! さっさと駒王学園に来い!! コカビエルとの戦闘が始まりかけてるんだぞ!!』
『りょーかい。全速力で向かうよ』
ここでゼノヴィアさんとの通話を終える。
相当あせってたね。なんでだろう? もしかして、イリナさんが瀕死になっちゃった? ………なんか本当にありそうで怖い。
「それじゃあ黒歌。俺はコカビエルを殺してくるね」
「にゃ。無事に帰ってくるにゃ」
「もちろん」
気で身体強化をする。そのまま家の外に出て駒王学園の方向に意識を向ける。おぉ………すごい魔力の量と質だね。あーやだやだ。今からあんなとこに突っ込むのかよ………
魔力で足場を創造しながら、その足場を使って跳躍していく。
駒王学園に着くのに約一分!! さすが俺、早いね。
駒王学園では激しい戦闘が―――――行われてないね。うん。あとさ、結界が張られてて敷地内に入れないんだけどどうしよう? 《
うーむ………どうしよう………
「あの………
誰かが俺に声をかけてきた。声の主の方を見るとそこには………生徒会長がいた。生徒会長もこの件に関わっているの!? 相当面倒な事を依頼されちゃったな………
『そうだけど………ねぇ、この結界さ、俺が中に入る一瞬だけ解けない?』
「可能です。その確認のためにあなたに声をかけたのです」
なるほどね。話が早くていいね。
生徒会長が他の面々に声をかけて数秒後、結界の一部に穴が開いた。そこをくぐりぬけて駒王学園の敷地内に入る。入った瞬間、ビリビリと嫌な緊張感を感じた。これは殺気かな?
俺の勘違いだとありがたいんだけどさ………何か頭が三つある犬の化け物が見えるんだけど。
え? あれってさ、ケルベロスじゃね?
確か、ギリシア神話に登場する冥界の番犬で、その名は『底無し穴の霊』を意味している。この獣の唾液から猛毒植物であるトリカブトが発生したとされていて、ヘラクレスによって地上に引きずり出された際、太陽の光に驚いて吠えた際に飛んだ唾液から生まれたと言われている。ハーデスの忠犬と言われている。
トリカブト、猛毒やん。死んでまうやん。相手したくねぇ………。でも俺が相手しないと毒でみんな死んじゃうよね。まぁ俺が解毒すればいいんだけどね。
とりあえず、みんなにあいさつしよう。
『こんばんわ。ゼノヴィアさんに呼ばれてきたんだけど………ゼノヴィアさんは?』
「
ゼノヴィアさんいないの!? なんで俺をここに呼んだんだよ!! なんだ? 俺に全部押し付けたのか?
こうなりゃ―――――
『やってやるよ………リアスグレモリー。ケルベロスは任せて』
「あなたの実力は知っているけどさすがにそれは無謀よ!!」
『任せて』
「……………わかったわ。あなたにケルベロスはまかせるわ」
『うん』
ケルベロス、お前には俺のストレス発散の相手をしてもらうぞ!! ついでに《
俺の絶対領域内にある剣を創造する。その剣の名は―――――
『―――――《勝利の剣》』
《勝利の剣》。形状は飾りが彫られた細身の剣だ。使い手が正しい者(もしくは賢い者)であれば、使い手の元を離れて巨人族と戦う。ドヴェルグの鍛冶師ヴェルンドが作った剣とされる。切り裂けない物はなく、刃の輝きは太陽にも劣らないという。
簡単に言えば、切り裂けない物はなくて、刃は太陽並みに輝いている剣だね。
豊穣の神フレイの剣だからかなりの性能に違いはない。問題はどれだけ再現できているかだね。あくまでも神話から取り入れた情報のみで創造したからね。本物と全く同じようにとはいかないでしょ?
それを確かめるための実験台になってもらうのがケルベロスです。早速実験させてもらいますか。
気をさらに開放して、身体強化の質を上げる。俺の身体から桃色のオーラが発現する。ここまで上げれば《勝利の剣》に振り回されないですむでしょ。
本気で駆け出す。地面にクレーターができても関係ない。一瞬と呼ばれる時間でケルベロスの真下に潜り込んで、《勝利の剣》を腹に突き刺してそのまま引き裂く。
『ギャアァァァァァアアァァァアァァ!!』
ケロべロスが叫び声を上げながら三つの頭のうちの一つを俺に向けた。そしてそのまま俺を食おうとした。
『臭いなぁ………』
思わず呟いちゃうほど臭い。口臭ケアしてないなコイツ。
すぐに《勝利の剣》を振るい、頭を切り刻む。そして離脱。これは思ったよりキツイ………。こいつも生理的に受け付けないもん。見た目が。
しかし俺の絶対領域内で創造した《勝利の剣》はすごいね。偽物とは思えないほどの強さだね。だってさ、空間ごとケルベロスの頭を切り裂いたからね。
この調子でどんどんいこう。
ケルベロスの周りに魔力で足場をつくる。それを利用して跳躍を繰り返す。スピードが乗りに乗ったときを見計らって、スピードを利用してケルベロスの頭にドロップキックをプレゼント。なんか勢いをつけすぎたせいかな? ケルベロスの頭が一個吹っ飛んじゃったよ。
もうそろそろ死んでもいいはずなんだけどなぁ………出血多量で。だってケルベロスの足元は切り飛ばしたり蹴り飛ばした首から出た血で池ができてるからね。水たまりとかそう言う次元じゃないんだよね。池だから。
さすが魔物だね!! って言った方がいいのかな? いやいや、それでも一応生物だからね? 血が出まくったら普通は死ぬでしょ。
こうなったらさっさと残りの首を斬り飛ばしたる!!
気を《勝利の剣》に流し込む。すると《勝利の剣》は黄金に輝きだした。………めっちゃ眩しいんだけど。狐のお面をかぶってるからめっちゃ眩しい程度で収まってるけどさ、お面つけてなかったらもう何も見えないんじゃない? あんまり実用的じゃないのかなぁ………。後で改良しよう。
ここで俺は一つ思ったことがある。俺はケルベロスと実験しているのに、リアス・グレモリーとその眷属はポカーンと口を開けて俺とケルベロスの実験を見てるだけなんだ。コカビエルも上空からニヤニヤしながら見てるし。お前ら戦えよ!! なんで俺だけ!? 俺はあくまでも手伝いだぞ!! 何でその俺がこんなに働いてんだよ!!
後で文句言ってやる………
めっちゃ輝いてる《勝利の剣》を横なぎに振るう。すると、聖なるオーラみたいなのが斬撃となってケルベロスに向かって飛んで行った。
斬撃はケルベロスの身体を真っ二つにした。すごいね。自分でやったことだけど驚いちゃったよ。
ケルベロスは起き上がらない。さすがに死んだね。よし、ケルベロスは片付けた。残りはコカビエルだね。
『グルルルルルルルルル』
………気のせいかな? 後ろ―――――背後からケルベロスの唸り声みたいのが聞こえてきたんだけど………
「
リアス・グレモリーの叫び声と同時に背中に一撃をもらった。ノックバックにより、俺は結構な速度で吹っ飛んだ。《
もう一匹ケルベロスがいるってことか………
《勝利の剣》を一度霧散させる。これさ、結構維持するのがつらいのね。体力をどんどんもってかれたよ。
このケルベロスはこの身一つで殺してやる!! ………はい、調子のりました。でもやってみよう。今の俺にどのくらいの力があるかわかるし。
気をさらに高める。うっすらと、かろうじて見える程度だった桃色のオーラがはっきりと視認できるまで濃くなる。
あまりこの状態は保てそうにないからね。一気に決めるしかない!!
一瞬と呼ばれる時間の半分の時間でケルベロスの下に移動する。そして気を足に集め、本気でケルベロスを上空に蹴り上げる。ケルベロスの身体が5m程飛ぶ。俺は跳躍してケルベロスの上に移動し、そのまま踵落としをケルベロスの脳天にプレゼント。ケルベロスは地面に叩きつけられて、地面に埋まった。
ぴくぴくとも動いてないから、気絶、もしくは死んだんだろう。念のため、俺の絶対領域内にケルベロスが侵入するまで近づき、『塵になれ』と念じる。いつも通り、ケルベロスは塵になった。
「加勢にきたぞ」
ケルベロスを塵にし終えた瞬間、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
遅いよ………何してたんだよいままで………
声のする方に向き、声の主に声をかける。
『ゼノヴィアさん。何をしてたの? アンタが駒王学園に来いって言ったんだよね? コカビエルとの戦闘が始まりかけてるとか言ってさ』
「あ、あぁ………そうだが」
『なんでアンタのが遅いのさ。てっきりゼノヴィアさんはここで戦ってると思ってたよ。なのに来てみればなんだよ。ゼノヴィアさんはいないし、ケルベロスは二匹も出てくるしさ………』
「す、すまない………」
『そう思うならさっさとリアス・グレモリーたちの目を覚まさせてきて。アイツら俺とケルベロスの実験を見てるだけで何もしないんだ』
「りょ、了解した。」
そそくさとゼノヴィアさんがリアス・グレモリーの方に走っていったのを見て、一息つく。まったく、呼び出した本人が来てないってどういうことだよ。
今度こそ残ってるのはコカビエルだけだね。さっさと片付けて家に帰って寝るんだ!! 明日も学校あるし………。最悪、学校は休もうかな………