一気に面倒事が二つ。これが意味するのは、俺が全力で逃走するということ。
確かにゼノヴィアさんに神の不在をバラしてしまったのは自分の落ち度だけどさ、白龍皇が来たのは俺のせいじゃない!! だから俺は全力で逃走する!!
白龍皇はリアス・グレモリーの方に集中している。今がチャンス!!
懐から黒歌にもらった簡易転移魔法陣がかかれた御札をとりだす。御札に気を込めると、一瞬で景色が変わった。無事に家に帰ってこれたようだね。
「ただいま………」
「一!!」
「うおぉ………」
「あ、ごめんにゃ」
あいさつした瞬間にリビングの扉が開いて黒歌がやってきて抱き着いてきた。ここまではいいんだけどさ、戦闘で気を使い過ぎてスッカラカンなわけでして………。抱き着かれるのも結構つらいんですね。体力的に。黒歌に抱き着かれたまま廊下の壁に背中を強打してなさけない声をだしちゃったよ。
「と、とりあえず風呂に………汗と血の匂いが………」
「わかったにゃ。背中流すにゃ」
「た、頼む………もう身体洗うのも結構ツラいからさ」
風呂では特に何もなかったからね。
風呂からあがった俺と黒歌は、ソファに座って牛乳を飲んでいた。やっぱり風呂あがった後は牛乳だね。人それぞれ好みはあると思うけど。
「随分疲れてたみたいだけど………何があったにゃ?」
「簡単でいい?」
「にゃ」
「ケルベロスとコカビエルを俺の絶対領域内で創造した剣でボコボコにしてきた」
「簡単すぎてほとんどわからないにゃ………」
そんなこと言われてもなぁ………事実なんだよなぁ………
ケルベロスは俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域で創造した偽物の《勝利の剣》で切り刻みまくったし、コカビエルは俺の絶対領域で創造した偽物のエクスカリバーで切り刻んで塵にしただけだしなぁ………。まぁそれがすごく疲れたんだけどね。
「とりあえず、詳しいことは明日話すよ。今日はもう寝させて………」
「わかったにゃ。さ、今日も一緒に寝るにゃ」
「わかった………」
最近は黒歌と寝るのも当たり前になってきたなぁ………
†††
朝起きて朝食を食べた俺は、ミカエルに電話をかけていた。
「ミカエル………今回の依頼さ、キツすぎ」
『そうでしたか? あなたなら余裕だとサーゼクスから聞いたのですが………』
あのシスコン………覚えてろよ………
「それで報酬はいつもらえるの? あ、聖剣じゃなくてお金のほうね」
『お金でいいのですか?』
「そっちのほうが生きてく上では必要だもん」
『わかりました。サーゼクスから口座番号は教えてもらいましたし、明日までには振り込んでおきましょう』
聖剣をもらっても邪魔になるだけだよね。それに黒歌が触ったりして何かあったら嫌だし。あとさ、俺の絶対領域内で偽物だけどエクスカリバーが創造できたんだし、いまさら一種類しか能力が使えない劣化版エクスカリバーをもらってもね。
「ありがと。それじゃあね」
『あ、最後に一ついいですか?』
「なに?」
『ゼノヴィアが神の不在を知ってしまったようなのですが………心当たりは?』
………俺のせいですね。
「あー………俺のせいだね。木場の
『なるほど。貴重なデュランダルの使い手が悪魔の下へいってしまったのはあなたのせいでしたか』
「え? ゼノヴィアさんって悪魔になったの?」
『えぇ………知らなかったのですか? リアス・グレモリーの眷属になってますよ。まぁ神の不在を知られてしまったので追放したからなんですけどね』
それさ、ミカエルも悪くない? 追放したんだし。それにしてもリアス・グレモリー………ちゃっかりしてるなぁ………
まぁゼノヴィアさんが最終的には望んだんだからいいんじゃないのかな。
「それじゃあね」
『はい』
ここでミカエルとの通話を終えた。
そういえばゼノヴィアさん悪魔になっちゃったけどさ、聖剣であるデュランダルを使ってても影響はないのかな? うーん………
とりあえず学校に行こうかね。
「黒歌。学校に行ってくるね」
「いってらっしゃいにゃ」
「いってきます」
†††
「おはよう結衣さん」
「おはよう一く………ん………? 一くんであってる、よね?」
「うん。そうだよ」
「髪型変えてたからわからなかったよ」
今、結衣さんが言ったように今日は髪型を変えた。変えた、というよりも切ったっていうのが正しいかな? 最近気温が高くなってきてさ、暑いんだよね。前髪が長いとさ、汗が目に入るんだよ。それとさ、蒸れるんだよ。だからさ、今朝切ってやったよ。ちなみに切ってくれたのは黒歌だよ。
「どう? 変なところない?」
「う、うん………カッコイイよ………」
「え?」
「な、なんでもないよっ」
そんなに顔を真っ赤にして………そこまで暑いとは思わないんだけどなぁ。
いつも通り自分の席に座って鞄を机の横に置く。そのまま鞄の中から本を取り出して読む。
「今日は何の本を読んでるの?」
「幻想郷縁起だよ。妖怪やその対処法なんかがかいてあるんだ」
「へぇ………」
「―――――ッ!?」
「ど、どうしたの?」
なんでだろう………つい昨日俺の駒王学園に呼び出した張本人の魔力が感知できたんだけど………。あ、そうか。リアス・グレモリーの眷属になったんだもんね。この学校に転校していても何もおかしくないか。
「ホームルーム始めるぞ~」
もうそんな時間か………
本を鞄にしまって。前を向く。たまには教師の話もちゃんと聞かないとね。重要なことを言うかもしれないし。
†††
「おはよう結衣さん」
この声は一くんだ!! どうも結衣です!! いつも通り一くんがあいさつしてくれた。
「おはよう一く………ん………? 一くんであってる、よね?」
「うん。そうだよ」
思わず詰まっちゃったよ。だってさ、一くん髪切ってきてたんだもん。鼻が隠れるくらいまで伸びてた前髪もバッサリ切ってて、目も見えるようになった。
す、すごいカッコイイ………
初めて一くんの目が隠れてない顔を見たけどすごくカッコイイ。モデルもできるんじゃないかってくらい。なんで今まで隠してたんだろう? 訊きたいけど訊かないほうがいいよね? 誰でも知られたくないことはあるだろうし。うーん、でも知りたいなぁ………そのうち訊いてみようかな?
「髪型変えてたからわからなかったよ」
「どう? 変なところない?」
一くんが恥ずかしそうに訊いてきた。
全然変なところなんてないよ。
「う、うん………カッコイイよ………」
「え?」
「な、なんでもないよっ」
カッコイイって口に出しちゃった………。でも一くんには聞こえてなかったっみたい。よかった………
あーどうしよう!! きっと今私、顔真っ赤だよ………って、一くんはいつの間にか自分の席に座って本読んでるし………
「今日は何の本を読んでるの?」
いつも通り、一くんに何の本を読んでるか訊く。もう日常だね。
「幻想郷縁起だよ。妖怪やその対処法なんかがかいてあるんだ」
「へぇ………」
何だろう幻想郷縁起って。さすがに聞いたことがないなぁ。前に一くんが読んでいたアーサー王物語ならメジャーだから少しはわかるけど………
「―――――ッ!?」
一くんがビクッとふるえた。
「ど、どうしたの?」
一くんは一人で納得したように首を縦に振っただけ。私には何も教えてくれなかった。
もしかして悪魔とか裏に関係する事なのかな? それなら訊かないほうがいいかな?
「ホームルーム始めるぞ~」
先生がきちゃった………。うーん、何かモヤモヤするなぁ………
†††
家に帰った俺は、自分の部屋で一人考えていた。
ここ最近、面倒事のレベルが上がっている。確かに
昨日、白龍皇がここ駒王町に来てたよね。《
これさ、面倒事がさらに増えるよね? そのレベルも同時に上がるよね? 相乗効果ってやつ?
白龍皇は堕天使陣営だったはず。ということはここ駒王町に堕天使のお偉いさんがくるかもしれない。イコール、アザゼル来ちゃう?
それはマズイねぇ………また勧誘されそうだ。
ま、それは置いておこうか。
これからも面倒事は増えていくでしょ? ということは、面倒だからって逃げてばかりじゃダメだよね? これからは面倒事に立ち向かっていかなきゃ………立ち向かっていかなきゃ………無理だわ。
ぜってー無理。ぜってー逃げるわ。まぁ黒歌さえ守れればとりあえずはいいしね。次に俺の命。
俺の
まぁ
俺の
今回は短いです。
一くんの
結衣さんは悪魔などの裏のことは知ってます。お忘れないように。
2014/08/24 『五章 五領域目』につなげるための一くんの