『第二ラウンド、はじめるよ』
俺は電子音で宣言したあと、一気に白龍皇に近づいた。足場を跳躍してね。一切の無駄なく直線的に。
白龍皇の顔面に右ストレートを放つ。でもそれは受け止められて、逆に右ひざを腹にプレゼントされた。あ、まったく痛くないからね? いや、見栄とか張ってないからね。俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域が展開されてるからさ、ノックバックだけで済んでるし。
どうやら白龍皇はコカビエルと違って気配探知に優れてるようだ。コカビエルなら『
でもそれがどうした? おまけとして自分の姿を透明にしてるだけだし、別に探知されたらそれでいいんだよね。べ、別に負け惜しみとかじゃねーし!! ………本当だからね。
あ、そうだ!! 今までボコすことしか考えてなかったから思いつかなかったけど、もっと簡単にボコす方法があるじゃないか!!
相手が動くからボコしにくい。なら、磔にして動けなくすればいいじゃない♪
足場を跳躍して、白龍皇に近づく。この時、俺の絶対領域の範囲ギリギリで止まるのが重要です。攻撃をくらうかもしれないからね。
白龍皇が俺の絶対領域内に侵入したのを確認した瞬間、俺は『十字架に磔になれ』と念じた。
思い出せ。イメージするものは結構前に廃教会で十字架に磔にされていたアーシアさんだ。遠慮なんていらない。俺にとって白龍皇は、黒歌フィギュアの壊れる原因をつくった敵なのだから。
俺がゆっくりと顔を上げると、そこには―――――
「なッ!? なんだこれは!?」
十字架に磔にされた白龍皇がいた。
け、結構シュールだね。中二感丸出しの鎧を着たイケメンが十字架に磔にされている………シュールでしょ? シュールだよね?
『
俺の絶対領域内にある白龍皇を磔にしている十字架を地面に下ろす。下ろすというよりも突き刺すって表現が正しいかな? ちなみにこの十字架、触れているものの力を吸収し続けます。そして磔にしている対象の苦手なものを
「ぐぅ………ガハッ!!」
おぉ、血反吐吐いたぞ。弱点を突かれるとすぐに効果が出るんだね。だけどそれだけで俺の気が済むとでも? バカ言っちゃいかんよ。この程度じゃあ黒歌フィギュアの恨みは晴れないね。まだまだいくよ!!
十字架に近づいていき、拳が届く距離で止まる。
『これから俺の恨みを晴らすためにひたすら殴らせてもらうけどいいよね? 答えは聞いてないけど』
殴って殴って殴りまくる。ボディボディ顔面。ボディボディ顔面。ボディボディボディボディ顔面顔面顔面。三々七拍子のリズムで本気で殴る。殴っただけ口から血反吐を吐いて、骨が砕ける音がした。まぁエクスカリバーが変形したメリケンサックで殴ったからね。すごく………痛そうです………痛いっていう次元を超えてるかもしれないけど。
『まだまだいくよ』
二度目のリズムを刻もうとした時だった。
「待ってくれ
アザゼルが待ったをかけた。もしかしてまだ未練が残ってる感じ? ありえないでしょ………だって攻撃されたんだぜ?
『なに? このまま殴り続けたいんだけど。まだ俺の恨みは晴れてないし』
「お前はたかがフィギュア一つにどんだけ固執してるんだよ」
今コイツなんて言った?
『ふざけんなよアザゼル………殺されたいの?』
「い、いやぁ………その、スマン」
『ここ日本で最高の謝り方ってなんだっけ?』
「ど、土下座だな」
さすがに知ってたか。なら―――――
『字は確か………土の下に座るってかくよね? 後はさ、わかるよね?』
「あ、あぁ………」
アザゼルがどもりながらゆっくりと地面に膝をついて、そのまま地面に額を擦りつけた。
「悪かった。それとその辺にしてやってくれ」
俺はすぐにスマホを取り出して写真を撮る。当たり前じゃん。堕天使の総督の土下座だぜ? 滅多に見れるものじゃないからね。
『オーケーオーケー。とりあえずは―――――』
「グハッ!!」
『―――――これで勘弁してあげる』
白龍皇の腹に右ストレートをプレゼントしてから言う。
今の白龍皇の姿は結構クる。中二感丸出しの鎧はボロボロになっていて、辺りには中二感丸出しの鎧にはまっていた宝玉が五、六個散らばっていた。
とりあえず、宝玉を全部拾っておく。ついで、『消滅しない』という概念を宝玉に追加してね。
「ヴァーリ、向かいに来たぜぃ―――――ってボロボロだじゃねぇか!?」
どこからか声が聞こえてきた。あ、ちなみに十字架は消したよ。その時にさ、十字架だけ消したからそのまま白龍皇が地面に落ちてさ、バキバキって鳴ったんだけど………別にいいよね?
『アンタ誰?』
「ん? 俺っち? 俺っちは美猴」
「―――――闘戦勝仏の末裔だ」
美猴ってやつの言葉にアザゼルが続けた。あぁ………孫悟空の。
『で? 何? 白龍皇を迎えに来たの?』
「お、おぅ。そうだぜぃ」
『あっそ』
なんか水を差された気分だね。もう白龍皇ボコす気分じゃないっていうかなんていうか………あー………なんて表現すればいいかわからないなぁ。興がそがれるって表現が一番当てはまるのかな?
『さっさと行けば? もう白龍皇はいいや』
「わかったぜぃ」
美猴は白龍皇を背負って転移していった。
俺もそろそろ逃げようかね。やることはやったし、これ以上ここにいてサーゼクスに見つかりでもしたら会談に参加しなかったことをグチグチ責められそうだしね。
懐から御札を取り出して気を流し込もうとした時だった。その御札を持つてを掴む者がいた。このままだとソイツも一緒に転移してしちゃう。誰だよまった―――――
「やぁ
サ、サーゼクス!? 俺の手を掴んだのはサーゼクスかよ!!
『文句って何? 俺なんかしたっけ?』
「忘れてたとは言わせないよ。今日の会談に何で来なかったのかな?」
『メールは見たんだけど、すっかり忘れてた。それじゃあ』
サーゼクスの手を振りほどいて、御札に気を流して転移した。当たり前じゃん!! 絶対長くなるじゃん!!
†††
家に帰った俺が一番初めにしたことは、裏仕事用のスマホの電源をオフにすることだ。だってサーゼクスから電話がきそうじゃん。しかも出なかったらストーカーみたいにあ何度も何度も何度も。それはいやだからオフにした。
リビングの灯りがついてる………黒歌は起きちゃったのかな?
「ただいま」
「おかえり!!」
「おっふ………」
リビングに入るのと同時に黒歌に抱き着かれた。俺の顔を抱きかかえるように抱き着いてるからさ、胸に顔が挟まれてるんだ。感触は最高なんだけどさ、息ができない………
タップして黒歌に抱き着きを止めるように伝えても、余計に抱きしめが強くなるだけだった。
「く、黒歌………い………き………が………」
「にゃあぁぁぁ!? ゴ、ゴメンにゃ!!」
俺の呟きが聞こえてくれたらしい。あわてて黒歌が解放してくれた。危ない危ない。あのままだったら本当に逝くところだった。
「黒歌………俺さ、風呂に入るんだけど………」
「背中流すにゃ」
「サンクス」
もう黒歌とのお風呂は日常の一部です。
風呂からあがったあとは、いつも通り黒歌とソファに座って牛乳を飲む。
「それでどうだったんだにゃ?」
「簡単でいい?」
「にゃ」
「爆発の原因だった白龍皇をある程度ボコしたら、
「鬼畜にゃ!! 鬼畜過ぎにゃ!!」
いやいやいやぁ………そうでもないでしょ。今思い返せばなんて面倒なことしたんだろうって、ちょっと後悔してるもん。だってさ、俺の絶対領域内でどうとでもできたわけじゃん。
人間の子供程度の力しかでなくしたり、精神を壊したり、骨を弱くして歩くだけで骨折するようにしたり、社会的に抹殺したり、男以外愛せなくしたり、下痢を止まらなくしたりとかさ。
あの時はもう黒歌フィギュアが壊れた原因をボコボコにすることしか考えてなかったからね。少し惜しいことをしたかな?
あ………そういえば白龍皇はまだ生きてたよね? そしたら復讐的なことしにこないかな? そしたら面倒だなぁ………。これからは後先考えて行動しないとダメだね。まぁ怒ってたらそんな余裕はないと思うけど。口より先に手が出るからね。
「なんかね、アザゼルが白龍皇に裏切られたらしくてね。爆発の原因はそこのいざこざだったんだ」
「何やってるんだにゃ。堕天使の総督………」
「ホントだよね」
なんで裏切ったかは知らないけどね………興味もないけどさ。堕天使陣営がどうなっていようが俺にはどうでもいいけどね。あーアザゼルもかわいそうだね。今回だけは同情するよ。だって和平会談中の裏切りだぜ? 他の陣営から何言われるかわからないじゃん。
「もうすぐ夏休みだなぁ………」
「夏休みになったらずーっと一と一緒にいられるにゃ」
そう言いながら黒歌が肩に頭を乗せてきた。
「あー………黒歌、俺さ、夏休みになったら結衣さんに
「ゆい? 誰にゃソイツ」
「ほら、前に助けたはぐれ悪魔に襲われてた子を助けたって言ったじゃん」
「にゃるほど」
黒歌はすっかり忘れてたようだ。まぁ基本的に興味がないことにはテキトウだからね。
結衣さんの
人間界でやってるといろいろ面倒が起きそうだなぁ………。平行世界とか異世界に行った方がいいかな? 次元の狭間は龍神がいるしなぁ………どうしよ。
どうでしたか?
読みにくかったら元に戻そうと思います。