絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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五領域目 俺と結衣さんは対処する

 嫌な予感。それは今までもたくさんあった。結衣さんの瞳からハイライトが消えた時とかね。

 

 今回の嫌な予感は今までと比べものにならないくらい―――――って行ったかもしれないけどそうでもないね。別にここは人間界じゃないんだ。滅びても俺に直接のダメージはない。それに黒歌にアーシアさんに膝枕してもらったのがバレた時とか、結衣さんの病みレベルがミディアムに進行したのに比べれば別に大したことはない。

 

 さてこれからどうしましょう。

 

 厄介ごとに自分から首を突っ込むわけにはいかない。それに今は結衣さんもいるんだ。結衣さんに攻撃が通ったら―――――俺が結衣さんのおじいちゃんに殺される。

 

 

立華(りっか)。逃げるよ』

『え………?』

『逃げるんだよ。ここから』

『ど、どうして!?』

『なにかが叫んだんだ………』

『叫んだ………』

 

 

 結衣さんは叫び声が聞こえてないからわからないだろうけどさ、あの叫び声は人型生物の叫び声じゃないよ。人型生物じゃああんな声は出せない。

 

 ここから家に転移するために懐から簡易転移魔法陣が描かれた御札を取り出した時だった。

 

 

探索者(エクスプローラー)!! 緊急事態だ!!』

 

 

 頭に直接サーゼクスの声が聞こえてきた。あぁ………念話ってやつですね。

 

 

『なんだよサーゼクス。俺たちもう家に帰るんだけど』

『それはもう少し先延ばしになりそうだ。イッセーくんが覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発動してしまったんだ!!』

『はぁ!?』

 

 

 覇龍(ジャガーノート・ドライブ)って………おいおいなんてこったい。イッセーが覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を自分から発動できるはずがない。ということは外的要因か、心に何かあったってことでしょ? 

 

 原因はなんだろう? まぁ無理やりに発動させたことに変わりはないからとりあえずはいいや。

 

 

『それで俺にどうしろと?』

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を押さえることはできないかい?』

『微妙だ………』

 

 

 マジで微妙なんだよね。神格とかさ、規格外の力を持っている奴らには能力の効きが良くないんだよね。例を挙げるならサーゼクス。黒歌の件でなぐり込みにいったときにさ、洗脳しようと思ったんだけど無理だったもん。まぁサーゼクスの滅びの力が原因かもしれないけど。

 

 

『そうかい………それでもとりあえず向かってくれないかい? 秘密兵器を持ったイリナさんが向かったんだけど彼女だけだと何かがあった時に対処できないかもしれないからね』

 

 

 そこまでサーゼクスが言った時だった。

 

―――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 地鳴りがした。嫌だよ………行きたくないよ………もう家に帰りたいよ………黒歌ぁ………

 

 

『急いで行ってくれ!!』

 

 

 サーゼクスがせかしてくるけどすぐに動くわけにもいかない。

 

 

『報酬は? 俺がただで動かないことは知ってるでしょ?』

『三億だ!!』

『まいどあり~』

 

 

 正直報酬はどうでもよかった。一応の理由としてね。それがなかったら俺はただの協力者になっちゃうもん。あくまでも俺が働くのは報酬があるからってことを覚えていてもらわないとね。

 

 

立華(りっか)、逃げるわけにはいかなくなった』

『さっきとは言ってることが180°違うね………』

『しょうがないじゃん。一応依頼だし』

『ふぅん………それで何をするの?』

『暴走してるイッセーを止める』

『イッセーくん暴走してるの!?』

 

 

 目を見開いて驚く結衣さん。まぁ変態とはいえクラスメイトが暴走してるんだもんね。俺は全然気にしないけど。

 

 

『そうだよ。だからさっさと止める手伝いをしないと』

『そうだね!!』

『というわけで-――――急ぐよ』

『うん!!』

 

 

 俺と結衣さんは気で身体強化をする。目視できるほどに気を開放して、一気に駆けだす。障害物は全くないから速度は一切落ちない。ただ真っ白な空間だからね。

 

 しばらくすると、瓦礫を見つけた。建物が無理やり壊された感じのね。瓦礫を見つけるのと同時に―――――

 

 

「げごぎゅがぁぁ、ぎゅはぁッ!! ぐっおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 

 人型生物の………声音じゃない!! 

 

 どうやら目的地に着いたようだ。目の前ではドラゴンみたいな鎧を纏ったイッセーであろう者と、全く知らない悪魔が戦っていた。ただ全く知らない悪魔はもう虫の息だね。両腕は消し飛んでるし、血もものすごい量を流している。血の池だね。

 

 何やら正体不明の悪魔がわめきながら足で何かしているんだけど………あ、停められた。もしかしてイッセーが? そうだとしたら《赤龍帝の籠手(ブステッド・ギア)》のスペック高すぎでしょ!? いくら神滅具(ロンギヌス)だと言っても限度ってもんがあるでしょ………

 

―――――BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!

 

―――――Longinus Smasher!!!!!

 

 やばくない………? 今さ、めっちゃ『Boost』と『Longinus Smasher』っていう物騒な音声が聞こえてきたんだけど………気のせ―――――

 

 

探索者(エクスプローラー)………今すっごい聞こえてきた「Boost」と「Longinus Smasher」ってなに?』

『気のせいじゃなかったぁぁぁぁぁ!! 立華(りっか)!!』

『きゃっ―――――ってふぇぇ!?』

 

 

 結衣さんのリアクションを無視して結衣さんを抱き寄せて衝撃に備える。結衣さんは最初から俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域内にいたけど念のためだ。ノックバックもあるし。まぁそれを無くすために『衝撃の無効』と『攻撃の無効』を同時に念じる。これで完全に無効化してくれればいいんだけどなぁ………不安だ。

 

 とうとうイッセーはさんざんブーストを掛けた攻撃を正体不明の悪魔に向けて放った。その余波がこっちにもきた。

 

 

『おおぉぉぉぉっ!?』

『きゃあぁぁぁぁ!?』

 

 

 やっぱり完全には防ぎきれなかった。ノックバックがすごいもん。

 

 起き上がって辺りを見回す。そして俺は見つけてしまった。さっきまで建っていた神殿の無残な姿を。完全に瓦礫になってるもん。なんか機械が残ってるけどひびだらけだし。

 

 

「おおおおおおおおおおおおおん………」

 

 

 イッセーが瓦礫と化した神殿の上に立って、天に向かって方向を上げた。もう完全にドラゴンですやん!! ていうかイリナさん遅くね? 俺より先に動いてるはずだよね? なのに遅いとか………あぁでもこのフィールドってなんかすごく広そうだし、いる位置が俺の方が近かったのかな? いやまて、俺は転移ができないから走ってきたけどさ、イリナさんは転移ができるはずだ。………できるでしょ? なんせ転生天使なんだから。まったく………どこで道草食ってるんだか。

 

 とりあえず俺も行動を起こしますか。イリナさんはここに来ないと思って。

 

 

立華(りっか)、ブリューナクで牽制してみて』

『りょーかい!! ―――――ブリューナク!!』

 

 

 結衣さんはブリューナクを瞬時に創造して振るった。すると穂先から五つの蒼いレーザーが出た。それは真っ直ぐイッセーに向かって進んでいき―――――直撃した。鎧は欠けて、素肌が見えた―――――と思ったらすぐに修復した。そしてこっちを向いた。

 

 ここからが勝負だな。さすがにイッセーを塵にするわけにはいかないからなぁ………龍殺し(ドラゴンスレイヤー)はまずいだろうしなぁ………今イッセーってもろにドラゴンだし。一刺しでそのままアボーンかもしれないしね。《勝利の剣》は真っ二つになっちゃうだろうし………

 

 とりあえず念じてみるか。

 

 気をさらに開放する。なんか足元にクレーターができたけど気にしない。そのまま駆け出す。イッセーも俺を撃墜しようと、魔弾で弾幕を張ってくる。俺はそれを気にしないで突っ込む。だって俺の絶対領域で無効化されてるし。ノックバック? どうにか耐えてるよチクショウ!! ちなみに結衣さんもブリューナクを振るってレーザーで援護してくれてる。すごいよ結衣さん。まったく俺に当たらないからね。それでいて魔弾を的確に射抜いてるからね。

 

 イッセーが俺の絶対領域に侵入したのを確認したのと同時に、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)解除』と念じる。すると、イッセーの動きが数秒止まり、鎧がボロボロと崩れた。でもすぐに動き出して俺に向かって魔弾を放ってきた。それをしゃがんで避けて一瞬で背後に回る。そして『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)解除』とあらためて念じる。でもやっぱり数秒止まって鎧がボロボロ崩れるだけだった。

 

 拙いなぁ………打つ手がない。結衣さんがブリューナクを投げればイッセーは息の根まで止まるかもしれない。でもそれをやるとリアス・グレモリーがサーゼクスに泣きながら誰がやったかを言って、サーゼクスが俺と結衣さんを消しとばしに来そうだしなぁ………まぁさすがにそれはないだろうけど。

 

 一度結衣さんのところまで退避する。

 

 

『どうしようか?』

『えぇ!? 探索者(エクスプローラー)でもどうすることもできないのに私に訊かれても………』

 

 

 どうやってイッセーを元に戻そうか真面目に考えているときだった。

 

―――――おっぱいドラゴン!! はっじまっるよー!!

 

―――――おっぱい!!

 

 なんだこれ………急に映像が投影されたと思ったら………

 

 

『なにこれ………』

 

 

 ほら、隣で結衣さんも呟いてるし。しかもすごいジト目だからね。安心しろ、瞳からハイライトは消えていない。

 

 

探索者(エクスプローラー)聞えているかい? ようやくイリナさんがそっちに着いたようだよ』

 

 

 サーゼクスから念話が来た。て言うかやっとかよ………どんだけ待ったとも思ってるんだよ全く………

 

 

『なんか俺じゃあ対処できなかったから帰っていい?』

『あぁ!! もう大丈夫だ!! イッセーくんもだいぶ弱ってるしね。秘密兵器ももう再生されたみたいだしね』

 

 

 秘密兵器………? 再生………? ま、まさかあの映像が秘密兵器!? なんだそりゃ!! 俺と結衣さんの頑張りを馬鹿にするような秘密兵器だなおい。ていうかこっちの状況なんで知ってるんだよ!! これが魔王クオリティか………すげぇな魔王。

 

 

『アレは一体何なんだ?』

『あれはおっぱいドラゴンの歌だよ。ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だからね』

 

 

 おっぱいドラゴンの歌? イッセーっておっぱいドラゴンなの? どうしよう、簡単に納得できるんだけど。ていうかイッセーを表すのにこれ以上に相応しい言葉を俺は知らない。

 

 

『それじゃあ俺はもう帰るね』

『今まで時間稼ぎありがとう。報酬は後日いつもの口座に振り込んでおくよ』

『よろしくな』

 

 

 サーゼクスとの念話を終わりにして、結衣さんの方を向く。

 

 

立華(りっか)、撤収だよ。もう帰ろう』

『いいの?』

『うん。どうやら向こうで対処できるらしいからね』

 

 

 結衣さんと手を繋いでから懐から御札を取り出す。そして気を流し込む。すると景色が変わった。

 

 今までのフィールドから俺の家の玄関に。

 

 さて、ここで一つ問題が出てくる。転移してきたのはもう黒歌にばれている。どうやって言い訳をしようか? 俺一人だけなら言い訳も簡単なんだけどさ、結衣さんもいるから。結衣さんは転移して早々に立華(りっか)の格好から元の格好に戻ってるし………あ、俺ももう戻ったからね。

 

 

「一!?」

「あ………」

「一くんのいとこ………? なんで一くんの家にいるのかな? かな?」

 

 

 黒歌が駆け寄って来て俺に抱き着く。それと同時に結衣さんの瞳からハイライトが消えて病みがハードにぃぃぃ!? 

 

 これ詰んだね。

 

 結衣さんの瞳はハイライトが完全に消えて深い闇色に染まってる。それになんかドス黒いオーラが見えるような………

 

 

「と、とりあえず結衣さんは家にかえ―――――」

「らないよ。今日はもう夜遅いし、おじいちゃんにも一くんの家に泊まってくるって言ったもん」

「一………どういうことにゃ?」

「え、えーっと………」

 

 

 ど、どうすればいいんだ………もうさ、ここから言い訳して成功する未来が見えないんだけど………

 

 

「「一(くん)………」」

「ア―――――ッ!!」

 

 

 

†††

 

 

 

 意識が戻ったと思ったらいつの間にかベットの中にいた。なんか身体から水分が抜けきったような………

 

 隣にはなんだかツヤツヤしてる黒歌と結衣さんがいるんだけど………俺が気絶してる間に何があったんだろう? なんか背筋がゾクゾクするよ………

 

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