ミニスカ和装アーシアさん八分の一フィギュアの製作も順調な今日この頃。俺は必至に裏仕事ようのスマホから目を逸らしていた。画面に映し出されている文字はサーゼクス・ルシファー。
今度は一体どんな面倒事だい? うん? いっつもいっつも面倒な事ばかり依頼をしてくるんだよ。えぇ? でもまだ面倒事だって決まったわけじゃない。いつも通り、はぐれ悪魔狩りかもしれないしね。
とりあえず出てみよう。そうしないとそのうち念話で話しかけてくるからね。さすが魔王様だ。世界を超えて念話をできるんだから。
「………もしもし」
『やぁ
「いや………まぁ特に何もなかったけど」
『そうかい? ならいいんだ』
お前からの電話に出るのが嫌だったなんて言えないよね。
『それで今回はどんな面倒事?』
「あはは………今回は君にオーディン様の護衛の手伝いを頼みたいんだ」
『はぁぁぁぁ!?』
オーディンだって!? オーディンって確かしか、北欧神話の主神で戦争と死の神様だったはず。詩文の神でもあって、吟遊詩人のパトロンでもあるんでしょ? 魔術に長けてて、知識に対し非常に貪欲な神で、自らの目や命を代償に差し出すこともあったっていうちょっとイカれてる爺神様でしょ? そんな規格外な爺さんの護衛? 襲撃されるにきまってるじゃないですかヤダー。
「なんでオーディンの護衛を俺なんかにさせの?
『リーアたんとリーアたんの眷属』
結構な大所帯ですね。まぁ確かにリアス・グレモリーとその眷属だけじゃあキツイだろうね。精々上級悪魔の中から下程度の力量しかないんだ、オーディンを襲ってくるような敵には敵わないだろうね。
正直受けたくないね。面倒事になるのは確定しているし、
「正直、受けたくない」
『ははは、そうだろうね。そこをなんとかできないかな?』
「ちなみに報酬は?」
『逆に何か欲しいものはあるかい?』
無いよ。あるわけないじゃん。金は腐るほど貯まちゃったし、たいていのものは創造できる。なのに何を欲しがれと?
「無いよ無い無い。なんにも無い」
『困ったね………』
「というわけで、この話はなかったことに―――――」
『していいのかな?』
「なに?」
『―――――修学旅行』
「なっ!?」
こ、こいつ………汚いぞ!! 部屋割りを盾に出しやがった!! そんなこと言われたら断れないじゃないか!!
「仕方ない………受けるよ」
『そうかい? それは良かった』
こ、この野郎………絶対仕返ししてやる。
「それで日にちは?」
『明日の夜だよ』
「もっと早く言えよ!!」
『いやぁ、明日日本を見て回りたいって言われちゃってね』
「あーそう。じゃあ明日どこに行けばいいの?」
『明日の夜イッセーくんの家に行ってくれればいいよ』
「りょーかい。じゃあな」
ここでサーゼクスとの通話を終える。
くそっ………アレを条件に出されたら勝てないよ。俺は………無力だ。こんなところで無力を感じてもしょうがないんだけどね。
†††
サーゼクスに言われた通り、オーディンの護衛しに行きましたよ。
いつも通り
スレイプニルという足が八本もある大きい馬車に乗りましたよ。馬車に乗ってたのは俺、オーディン、アザゼル、ロスヴァイセっていうヴァルキリーにリアス・グレモリーと朱乃さん、イッセー、アーシアさんにギャスパーっていう半吸血鬼。
それでこの馬車、飛んでおります。夜空を移動中です。
軍馬が大きいせいなのかな? 馬車もすっごく広い。
外には護衛として、木場、ゼノヴィアさん、イリナさん、それで堕天使幹部のバラキエルっていうおっさんが空を飛んでついてきている。いつでもテロリストなんかを迎え撃てるようにするためだって。
馬車に乗ってる俺勝ち組じゃん。
でも一ついただけないことがある。アザゼルだ。アザゼルはニヤニヤしながら俺の方を見てくるんだ。うざったいことこの上ない。まぁガン無視してるけどね。
「日本のヤマトナデシコはいいのぉ。ゲイシャガール最高じゃ」
オーディンが満足げな表情で「ほっほっほ」って笑っている。
マジでむかつく!!
このオーディン―――――もうジジイでいいや。このジジイはこの巨大な馬車に乗って、日本各地を連れまわすんだぜ? まぁ現在進行形で続いてるんだけどね。都内のキャバクラに行ったり、遊園地に行ったり、寿司屋に行ったりね。ジジイは好きなように日本を観光した。
俺は
見てみなよ。グレモリー眷属のみんなも疲れ切ってるよ。アーシアさんに至ってはイッセーの方にもたれかかって寝ちゃってるもん。
それでさ、ジジイの接待はすごく面倒だった。怒るとさ、「耳が遠いから聞こえんぞい」とか「アザゼルさんや、おっぱいはまだかい?」とかわざとらしく言うんだよ? すっごくウザかったよ。
だけど文句は言ってないからね。依頼だし、
「オーディン様!! もうすぐ日本の神々との会談なのですから、旅気分はそろそろお納めください。このままでは、帰国したときに他の方々から怒られます」
そうだそうだもっと言ってやれ!! ナイスだよロスヴァイセさん!! ロスヴァイセさんね、すごいんだよ!! ジジイがウザくてもクールに対処してるんだよ。マジで尊敬するよ。でもさすがのロスヴァイセさんも我慢の限界らしい。額に青筋を立ててるもん。
「まったく、お前は遊びの心がわからない女じゃな。もう少しリラックスしたらどうじゃ? そんなだから男の一人もできんのじゃよ」
『うそおおぉぉぉぉぉぉ!?』
俺は思わず電子音で叫んだ。
ロスヴァイセさん彼氏できたことないの!? マジで!? こんなにいい人いないだろうに………まぁ黒歌には負けるよ? 黒歌はね、表現できない魅力があるから。
「か、か、彼氏いないのは関係ないでしょう!! す、好きで独り身やってるわけじゃないんですからぁぁぁっ!!」
ジジイこの野郎塵にするぞコラ。ロスヴァイセさん涙目になっちゃったじゃんかこの野郎。
依頼完了後、ジジイをどうしてやろうかと考え出した時だった。ガックン、と馬車が急停車する感じがした。
―――――ヒヒィィィィィィィィィィィィンッ!!
それと同時に馬の鳴き声が聞こえた。
急停車からの鳴き声。これが表すのは襲撃だよね。
「何事ですか!? まさか………テロ!?」
「わからん!! だが、こういうときはたいていろくでもないことが起こるもんだ!!」
ロスヴァイセさんとアザゼルが警戒し始めた。ていうか警戒するの遅いよ。俺はずっと警戒してたからね。ジジイと同じ馬車に乗った時から俺はずっと警戒してたよ。いつ襲撃を受けるかわからないからね。むしろ今回の襲撃は遅かったと思うよ? うん。
馬車の窓から外を見ると、バラキエルを中心に、木場、ゼノヴィアさん、イリナさんがそれぞれ戦闘態勢になっていた。
馬車にいる全員が外に出る。俺は飛べないので、魔力で足場をつくってその上に立っている。
襲撃者の姿がやっと確認できたよ。目つきが悪い若い男―――――でもきっとすごい年月を生き延びてるね。修羅場をくぐったのが感じられるもん。若いのは見た目だけだね。
身に纏っているのはなんかすごい高そうなローブだ。黒がメインで、ダークな感じがかもしだされてる。
男を確認したロスヴァイセさんがすっごく驚いたような表情になった。すごくじゃないよ? すっごくだよ。ここ重要だから。ちなみにアザゼルは舌打ちをしてたよ。行儀悪いね。
男はマントをバッと中二感溢れる広げ方をすると、口の端を吊り上げて高らかにしゃべりだした。今がチャンス!!
俺は外套を翻して『外套の裏に目の前のいかにも悪役な男の腹の目の前に拳が当たるようになる術式を出現』って念じる。すごく長いから念じているときに他のことを考えてめちゃくちゃにしそうになったよ。
俺は外套の裏に出現した術式目がけて気で強化した拳を本気で放つ。
「はっじめまして、諸君!! 我こそは北欧の悪神!! ロ―――――ぐはぁぁぁ!?」
なんか自己紹介している途中だったみたいだね。でも僕は悪くないよね? 襲撃してきたのは向こうだし。まぁなんにせよ―――――
『初撃はいただいたね』
「ってお前の仕業か
アザゼルが叫ぶ。
なんで叫んでるんだろう? 先に仕掛けられたのはこっちだよ? もうそこから勝負は始まってるんだ!!!
『そうだけど………どうかした?』
「どうかした? じゃないわよ
『昔………俺は教わったんだ』
俺は思い出すように、懐かしむような声音で言った。
「なにをよ………」
突っかかってきたリアス・グレモリーになだめながら俺は言い放つ。
『「卑怯、汚いは敗者の戯言」ってね』
「「「「「教えたやつ誰だよ!?」」」」」
総ツッコミありがとうございます。でも俺は間違ってないよね? この裏の世界の戦いでは勝てばいいんだ。手段は問わない。過程も問わない。勝てばいいのだぁぁぁ!!
北欧の神で『ロ』から始まる神か………ロキ、ローズル、ロヴンしかいないね。ロヴンは女神で、ローブルは滅多に北欧を出ないらしいから必然的にロキになるね。
ロキは確か、北欧神話に登場する悪戯好きの神だ。その名は『閉ざす者』『終わらせる者』の意らしい。神々の敵であるヨトゥンの血を引いている。巨人の血を引きながらもオーディンの義兄弟になってアースガルズに住んで、オーディンやトールと一緒に旅に出ることもあったらしい。男神でだけど、時に女性にも変化するらしい。 美しい顔を持っているけど、邪悪な気質で気が変わりやすい。狡猾さでは誰にも引けを取らない。『空中や海上を走れる靴』を持っているらしい。元は火を神格化した存在だったと考えられてて、ロキをモデルとした『ニーベルングの指環』のローゲはその点が強調されているんだって。
なんかいろいろと複雑な神だよね。でもあれだね、正直オーディンより弱そうだね。
「ごほっごほっ………ふぅ。いきなり一撃をくらうとは………我も鈍ったようだな。改めて言おう!! 我こそは北欧の悪神!! ロキだ!!」
おぉ!! 俺の予想大的中。二つの意味で。
一つは面倒事ね。もう一つは男がロキだってこと。
アザゼルが冷静にロキに何か言っているけど俺は全て聞き流す。ていうかそんなの効いている暇はない。さっさとロキに致命的な一撃を与える方法を考えないと。
ロキは悪神だとしても神だ。神格だから俺の絶対領域も能力の効きが悪い。まぁ俺自身がどうにかなることはない。ただ、能力が相手に効きにくいってだけだ。
ロキは火を神格化した存在………なら相性のいい属性は水か? でもそんなに安直なのかな? 神話通りなら水が弱点だろうけど、実際は違うってこともあるだろうし………くっそ、マジでどうしよう。最悪、一人先に逃げるか。
とりあえず、《勝利の剣》を俺の絶対領域内の創造して、右手でも持つ。
さーて、ここからが勝負だぜ。アザゼルもロキをは話終わったらしく、戦闘態勢をとっているからね。
俺は《勝利の剣》を振るおうと思い、右腕を後ろに引いた時だった。
―――――ドガァァァァァァァアアアッ!!
ロキにすごい『聖』の波動が襲いかかった。誰が放ったのか確認するために辺りを見回すと、ゼノヴィアさんがデュランダルを振るった状態で停止していた。あぁなるほど、ゼノヴィアさんの仕業ね。
―――――Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!
この音声が聞こえてきたってことは、イッセーが
イッセーはロキに向かって突っ込んでいった。拳を振るったけど、ロキは簡単にそれを避けた。
ロキはうれしそうに笑っている。あぁ………Mなのね。あんなに攻撃されて喜ぶなんてM以外考えられないよ。
―――――BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!
で、でたぁ………赤龍帝お得意のデタラメなブースト。これが《
ロキが放った波動とイッセーが放ったレーザーとぶつかり合って勢いよく弾け飛んだ。それによる爆風がすごいよ。
「出てこいッ!! 我が愛しき息子よッ!!」
ロキが叫んだ。
一拍空けて中が歪んだ。なんだろう………あの歪みからは飛んでもなく嫌なのが出てきそうな感じがするんだけど………
空間の歪みから姿を現したのは灰色の狼だった。軽く10mはあるね。………フェンリルだろうね。
フェンリルは、北欧神話に登場する狼の姿をした巨大な怪物。ロキが女巨人アングルボザとの間にもうけた、またはその心臓を食べて産んだ三兄妹の長子だ。神々に災いをもたらすと予言されて、ラグナロクでは最高神オーディンと対峙して彼を飲み込んだらしい。
あ………これアカンやつだ。ほら、アザゼルたちもすごいあわててるじゃん。
一くん、権力に屈しました。
一くん、キャバクラを眺めているだけでした。まぁ参加したら黒歌や結衣さんが………
一くん、フェンリルを見つけた瞬間ビビリました。
これから更新の速度が少し遅れそうです。
でも、三日に一話は必ず更新します。
2014/12/16 誤字修正。